2008年04月28日

それはTEACCHじゃない!(1)

これは妻から聞いた話ですが、プライバシーの問題もあるかもしれないので、細部についてあえてぼやかして書いている部分があることをご了承ください。

妻がこれまでの療育等を通じて知り合った「ママ友」のなかの一人の話だということですが、そのママ友さんは、自分の子ども(療育ニーズのあるお子さんです)をある療育サービスに通わせていました。

実はその療育サービスは、我が家でも検討したことがあったところでした。
検討の時点で私が聞いていた情報では、「部屋が構造化してあったり、絵カードとかスケジュールがあったりして、TEACCHをベースにしたグループ療育がされている」とのことだったので、それはなかなか魅力的だな、できることなら娘も入れてやりたいな、と思っていたわけです。それを検討していた時点では、我が家が受けているTEACCHの療育サービスが継続されるかどうかも不透明だったので、TEACCH的な療育を継続したいと考えていた我が家にとっては、「TEACCH的なグループ療育」というのはかなり魅力的でした。

ただ残念ながら、いろいろ条件が厳しくて、結局我が家は参加できませんでした。(見学にも行く機会がありませんでした)
幸い、もともと通わせていたTEACCHの療育を継続して受けられることになったので、我が家の療育体制はどうにか維持できました。

ところが、今回聞いた話では、そのママ友さんは、子どもをそのサービスに通わせることをやめることにしたそうです。

その理由というのが、

・やらされる課題の難易度が高めで、ついていけない
・グループ活動で順に何かをやるとき、それぞれの子どもが走り回ったりパニックしたりしているのに対応するのに時間がかかり、順番待ちの時間が長くなりすぎて我慢できずにパニックしてしまう


ということだったそうです。そんなことが続いて子どももそこに通うのを嫌がるようになったりで、結局、そのサービスに通わせることを断念することにした、という話でした。

私はそれを聞いて、「そうか、それはあまりうまくクラス分けされていなかったのかな、あるいはそのサービス自体が、割と遅れの小さい子ども向けにできているのかな」などと漠然と感じたのですが、なぜか、ものすごくもやもやとした気分になりました
その「もやもや」がどうしても晴れなくて、「いったいこの気持ちの悪さはいったい何なんだろう?」と不思議に思っていた次の瞬間、その「気持ちの悪さ」の正体に気づいて、思わず妻に答えました。

それってTEACCHじゃないじゃん!

私は、その療育サービスは「TEACCHがベースになっている」と聞いていました。そのことと「子どもがついていけなくなったからやめざるを得ない」という話は、どう考えたって矛盾しているとしかいえないことに、今さらながらに気づいたわけです。

TEACCHの理念と言われるものにはいろいろありますが、その中でも基本中の基本だといえるのは、「個別の療育プログラム」という考えかたでしょう。
できないことを無理にさせるのではなく、できることを伸ばすのがTEACCHの基本理念であり、その「できること」が一人ひとり違う以上、その療育プログラムは個別に設定されなければならないのは必然です。
また、子どもの「できること」は静的なものではなく、常に変動しつづける動的なものです。普段はできることが今日はできない、あるいは今までできていたことが一時的に退行してできなくなることもあります。そんなときも、そのときどきの「できること」を尊重して臨機応変に対応することも必要です。もちろん、「できること」が少しずつ増えていくという側面もあります。それにしても、その発達のスピードは子どもによってまちまちなのだから、そのペースに合わせて取組みを変えていく必要があるわけで、それはあくまでも「個別」のものでしかありえません。

そういったことも、全部ひっくるめて「TEACCH」なのです。構造化とか絵カードはその理念を実現する(できることを伸ばす)ためのツールなのであって、もしそれらのツールを使いつつ、「できないような無理なことをさせる」「グループのペースに追いつかない子どもが脱落する」といったことがあったとしたら、それはもはやTEACCHではなく、むしろ「反TEACCH」ですらあるでしょう。

(続く)

※分量が多くなったためやむを得ず分割しました。
 まだ議論としては途中になってしまっていますので、次回以降もさらに考察を続けたいと思います。

posted by そらパパ at 22:19
"それはTEACCHじゃない!(1)"へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

fortop.gif当ブログの全体像を知るには、こちらをご覧ください。
←時間の構造化に役立つ電子タイマー製作キットです。
PECS等に使える絵カード用テンプレートを公開しています。
自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。