2013年06月10日

NOといえる(ようになる)療育 (4)

さて、最近になって娘は実際に、何かに誘われて、でもそれをやりたくない(やる必要がない)ときに、「しない」と答えることでそれをやらないという意思表示ができるようになりました。

私は、娘が少しずつことば(や絵カード)による意思表示ができるようになってきた頃から、やがてはこの「いや、それはやりたくない」という意思表示のコミュニケーションを教えたい、とずっと思ってきました。
でも、じゃあどうやって、どんな手順で教えようか? と考えたとき、そのあまりの「道のりの長さ」には、気が遠くなる思いでした。

そして娘は、私がイメージしていたほぼすべての「長い道のり」を実際に少しずつ前に進んでクリアしていきながら(でも、順番に着々と、というのではなく、停滞と謎の飛躍(笑)を繰り返して)、ようやく数年をへて、この「しない」ということば(コミュニケーション)を獲得したわけです。

では、なぜそんなに、この「しない」ということばが「難しい」のでしょうか?

少し考えてみると、「Aをする?」と聞かれて、「しない」と答えると、その「A」をしなくてすむ、ということを理解、学習させるためには、さまざまな前提が必要になることがわかります。

出発点として、まずこのやりとりが、ABAでいうところの「イントラバーバル」である、ということから始めなければいけません。

「イントラバーバル」とは、ABAの創始者であるスキナーが「言語行動」として定義した6種類の言語オペラントのなかの1つです。

この中で、「イントラバーバル」というのは、「誰かからAと言われたことに反応して、Bと発話する」という反応を指します。
簡単に言うと、「聞かれた質問に答える」というのがイントラバーバルになるわけで、「しない」ということばも当然にこれに属することになります。

ところが、この「イントラバーバル」は、発語がない、あるいは著しく遅れている子どもに教える言語行動としては、相当に難易度が高いものだと言えます。

例えば、「誰かからAと言われて、同じくAと発話する」=いわゆる音声模倣、先の6種類の言語行動でいう「エコーイック」は、模倣訓練のなかでは比較的容易に学習させることができます。(とはいっても、「音声模倣」も、「模倣」トレーニング全般のなかでは、物理的にプロンプトを与えることが難しいことから難易度の高いトレーニングです。実際、我が家では音声模倣で「みかん」と言わせることがどうしてもできずに、絵カード療育に移行せざるを得なかったという経験もありました。)

また、音声模倣(エコーイック)の延長線上に、「欲しいものの名前を発話することで、その欲しいものを手に入れる」という、欲求のコミュニケーション(マンド)という言語行動もあり、これもまた「欲求」という外在的なエンジンを活用できること、強化がしやすいことなどから、音声模倣さえできればその流れで比較的容易に獲得させることが可能な言語行動だと考えられます。

ところが、それらに比べると、「何かの状況を説明する」=タクトや、「Aと聞かれてBと答える」=イントラバーバルは、ある程度ことばそれ自体に基づいた抽象的な思考能力が必要とされることもあって、音声模倣やマンドとは比較にならないほど難易度が高く、エコーイックやマンドとは、明らかに「断絶」があります。

実際、娘はいまだに「タクト」にあたるような発話は極めて少なく、どちらかというとこちらから促されて何かを言うことのほうが多く、「イントラバーバル」に吸収されているような状況です。

さて、それでは我が家は娘にどうやってイントラバーバルを教えたか、というと…。

娘は、ことばを覚えたてのころから、なぜかイントラバーバルとして通じる魔法のことばがあったのです。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 21:15
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