2006年11月27日

幼児期の療育を考える(11)

「避けるべき療育法」の続きです。

c.宗教やオカルト

宗教の意義を否定するつもりはありません。
自閉症児と共に生き、長い療育生活を乗り切っていくためには、精神的な強さが必要です。
そもそも、自立した大人が精神的なよりどころを持つことは真に必要なことであり、その一端として宗教が果たす役割は極めて大きいものがあると確信しています。

しかし、宗教で自閉症は治りません
宗教に限らず、「科学で証明されない力や存在」、すなわちオカルトに頼って自閉症を治そうと考えてはいけません。
そういうものに頼ってしまうことは、療育のための限られた時間やお金を無駄なことに使ってしまうことであり、子どもの「伸びる可能性の芽」を摘んでしまうことでしかありません。

繰り返しになりますが、地道に子どもに働きかけて、適切な経験とスキルを積み上げていくことでしか、子どもを伸ばすことはできないのです。「不思議な力を持った人」や「不思議な力を持った動物」や「不思議な力を持ったアイテム」なんてものは存在しないのです。「不思議な力を持った療育の達人」はいるかもしれません。でもそういった人の持つ「不思議な力」というのは、実際には長期にわたる療育の経験と知識から地道に作り上げられたものです。

このカテゴリでを具体的に指摘しておきたい療育法には、ファシリテイテッド・コミュニケーション(Facilitated Communication、FC)およびドーマン法、聴覚統合療法(感覚統合療法とは別物です)や特殊メガネといったものがあげられます。中でも特に有名なファシリテイテッド・コミュニケーションというのは、介助者が腕の動作を「助ける」ことによって、言葉のなかった障害児でも高度なコミュニケーションが可能になるというものですが、多数の統制実験によって、これらが単に介助者(ファシリテイター)による作文であり、一種の「こっくりさん」のようなものであることが確認されています。

関連記事:
http://www.geocities.com/validationluna/index.html
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/atoz3/ask/teacch/teacch3.html


d.自閉症と引きこもりを混同している療育法

自閉症が「治る」と豪語する療育法には大きく分けて2つあって(どちらも誤りですが)、1つは自閉症の何たるかはある程度理解していて、そこにオカルト理論を乗せて自閉症を「治す」と称するものです。キレート療法などはこちらに入ります。

もう1つが、ここで考えているような、「自閉症=引きこもり・極端な内気」という勘違いからスタートして、子どものやる気を出したり性格を明るくするようなアプローチで「自閉症が治る」と言ってしまうタイプの療育・教育法です。

これはもう出発点から間違っており、検討する価値すらありませんが、幼児教室や一部の幼稚園・保育園などではいまだにこういった誤解をしているケースが見受けられます。

書かれていることを読んで、あるいは話を聞いて、相手がこういった誤解に基づいて語っていることに気づいたときは、その療育・教育法は無条件に排除していいと思います。なぜなら、繰り返し書いているとおり、自閉症は特別な配慮を必要とする脳の障害であり、間違った前提からはとうてい適切な療育はできないからです。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 22:48
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