2006年11月24日

幼児期の療育を考える(9)

3.療育とはどんなものか?

自閉症の療育には、「○○法」と名前がついて世間で広く行なわれているものだけでも、さまざまなものがあります。
それ以外にも、例えば私自身もいくつかの療育アイデアを開発して紹介していますし、そのような「小ネタ」的に紹介されているものまで含めれば、それこそ無数にあると言ってもいいでしょう。

具体的な療育法について詳しく書いていく前に、この章では、自閉症の療育法にはどのようなものがあるのかを全体として眺めて、その中でどんな療育法を選ぶべきかについて書いていきたいと思います。

が、実は、療育については、「どんな療育を選ぶか」よりも、「どんな療育を選ばないか」のほうがはるかに重要です。

というのも、自閉症のように「治療方法」が確立されておらず、原因もはっきりしないような障害や難病に対しては、怪しげな代替療法・民間療法の類がハエのように群がってくるからです。
こういった類は、医者や専門家からの「一生続く『治らない』障害です」という言葉にショックを受け、「子どものためならどんな犠牲でも払う」という親の気持ちに、金儲けの匂いをかぎつけてやってきます。そして、さまざまな心理的トリックを使って、あたかもその方法が(大金さえ払えば)劇的な効果があるかのように宣伝します。

この後、いくつかの代表的な「避けるべき療育法」をご紹介?しますが、実はこういったインチキ療法の類を見分けるのは意外に簡単で、端的には自閉症が「治る」と主張する療育法を選ばなければいいだけだったりします。
でもそれでは身もフタもないので(笑)、具体例をいくつか見ていきたいと思います。

1) 避けるべき療育法

a.「自閉症『治療』」を目的とする薬物療法・外科手術・サプリメント療法

繰り返し書いているとおり、自閉症の原因はいまだ分かっておらず、それを治療する医学的方法も現在のところ存在しません。
したがって、現時点では、自閉症を「治す」と主張する薬や手術、サプリメントといった「医療的介入」の類は、すべて根拠のないオカルトだと断言していいでしょう。
もちろん、現在の医療・科学が世界のすべての謎を解明しているわけではなく、こういった「科学的・医学的に認められていない療法」が絶対に効果がないと断言できるわけではありません。そう考えると、「ダメでもともと、効くかも知れないことは何でもやってみよう」と思う方も多いかもしれません。それが献身的な親の愛情だ、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

でも、忘れてはならないことは、医療行為には常に小さくないリスクが存在する、という事実です。
薬やサプリメントというのは、そもそも体に何らかの作用を及ぼすことを目的として作られており、特に自閉症に「効く」と称する薬の多くは、脳に強く働きかけるという作用を持っています。また、薬物というのは、体内の自律バランスに変化を及ぼすことを目的にしていることから、本質的に必ず副作用を伴います。
一方、手術についていえば、「脳外科手術」を行なうことになると思いますので、リスクが大きいのは自明です。

それでも、「リスクがあっても『効果』に賭けたい」とはやる気持ちを持つこともあるかもしれません。
そんなときに考えるべきなのは、「誰がリスクを承諾して、誰がリスクを負うのか?」という、「インフォームド・コンセント」の視点です。
こういった医療行為ないし医療まがい行為を実際に受けるのは、自閉症のお子さんです。一方、その行為を行なうことを承諾するのは、お子さん自身ではなく親御さんであることがほとんどでしょう。
「科学的効果が実証されておらず、一般にはオカルトと呼ばざるを得ない行為で、かつ無視できないほどのリスクがある行為」を受けるにあたって、このような「リスクを負う者」と「リスクを承諾する者」が異なる(そして、「リスクを負う者」はそのリスク自体を認識できない)という状態は、たとえ親と子の関係であっても、倫理面から、安易に受け入れるべきものではないと考えます。

参考記事:療育の「倫理」

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 22:45
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