2006年07月21日

いえるかな?あいうえお(ブック?レビュー)

よくよく考えてみると、このおもちゃのレビューをちゃんとしていませんでした。
このおもちゃを療育にどう活用するかという「実践プログラム」の観点から、改めて紹介してみたいと思います。

aiueo.jpg


いえるかな?あいうえお 音のでるたのしいおけいこえほん
和田 ことみ
ポプラ社

いわゆる音声モジュール(ボタンなどを押すと、歌や動物の鳴き声や楽器の音などが出る仕組みになっているもの)のついた絵本です。
最近ではさまざまな種類があり、本屋さんの幼児向け絵本のコーナーにずらっと並んでいるので、ご存知の方も多いと思います。

その中で、これは、あいうえおの五十音を発音してくれるモジュールのついた絵本です。類書がいくつかあるだけでなく、一般的なおもちゃの中にも同じ機能のものがあり、我が家でもいろいろ試しましたが、最終的にこのモジュール絵本が最もすぐれていて使いやすい、ということが分かりました。

そのポイントとしては、

1. 電源が自動でON・OFFするため、「電源を入れる・切る」ということを子どもに教える必要がない。いつでも押せばすぐに音が出るため、「操作-反応」という因果関係の理解が容易で、「押す」という行動が学習されやすい。
2. モードがない。多くのモジュールにモード切替スイッチがあり、それを不用意に触るとクイズモードや英語モードなどに切り替わってしまってわけが分からなくなるが、このモジュールではそういうことがなく、同じ場所を押すとつねに同じ反応が返ってくる。
3. 物理的な可動部分や、落とすと割れてしまう場所がほぼ無く、モジュール部分が保護される構造になっているため、荒っぽい使われ方をしても壊れにくい。
4. 「あいうえお」の音そのものと、あいうえおで始まる単語名、両方を発音してくれる。
5. キャラクターものでないため、発音される単語の中にキャラクター名など意味のないものが含まれていない。
6. おもちゃとして売られているものと比較して、値段が安い。


我が家では、「絵本」の部分は子どもが全然見ないので、絵本の部分を破棄してモジュールだけで遊ばせていましたが(そうしないと「絵本」部分がいつもぶらぶらと下がっていることになり使いにくい)、そんな使い方をしても強度が保たれるような構造になっています。
また、モジュールと同じ単語の絵が掲載された50音表も付属しているので、壁などに貼ってあわせて使うことも検討できます。
さらに、当ブログでは、「いえるかな?あいうえおサポーター」や「おくちがみえる ことばのDVD」などで、このモジュールのさらなる活用方法を提案しています。


私は、こういったモジュールおもちゃは、「操作おもちゃ」の1つとして導入されるべきものだと考えています。

自閉症児にとっての最重要発達課題の1つとして、「環境に対して適切に働きかける」というスキルを育てることがあります。なぜなら、このスキルが最終的に「ヒトとのコミュニケーション」につながっていく、と考えられるからです。(参考記事

そのために、療育の初期の段階から、「操作すると反応が返ってくるおもちゃ」を適切に導入していくことが必要です。
私が最初に導入すべきだと考えているのは、鏡です。これは既に「鏡の療育」としてまとめました。
そして、「鏡の療育」と並行して、操作-反応系が極めてシンプルで、かつ「部分」に分離されにくい操作おもちゃを導入していくことが求められます。例えば次のようなおもちゃが考えられます。


ローリングロール/河田
アンパンマン 好奇心むくむく ひらいてとじて/バンダイ

あいうえおモジュールは、「操作おもちゃ」として「モノとの関わりかた」のスキルを伸ばしつつ、目指すべき「ヒトとの関わり」に関連することばへの関心や「気づき」を育てるという、「橋渡し」の役割を果たすことが期待できます。

あいうえおモジュールの欠点としては、押すべき場所がフラットで「ボタン」の形状をしていないため、「これは押して遊ぶおもちゃだ」ということが分かりにくいことがあげられるでしょう。つまり、「操作おもちゃ」としては、やや難度が高いものになっていると思います。
このため、操作おもちゃで遊ぶスキルが不十分なお子さんの場合、親が手助けしても、「押して遊ぶ」という行動が形成されにくい場合もあると思います。

そういった場合は焦らず、「鏡の療育」を続けながら、先のような、より「操作-反応系」のシンプルなおもちゃで遊ばせて、操作おもちゃで遊ぶスキルを伸ばすことを先行させるのがいいと思います。

モジュールおもちゃの中でも、ことばより歌のほうが子どもの関心を引きやすいということもあるでしょう。そういった場合はこちらを先に導入することをおすすめします。


どうよううたのえほん―お手本のうた付き!
笹沼 香
永岡書店

こちらのモジュールは、押すべき場所ごとに「枠」がついているので、「いえるかな?あいうえお」より「押す」という行動に導きやすい、というメリットもあります。

※その他のブックレビューはこちら
posted by そらパパ at 22:26
"いえるかな?あいうえお(ブック?レビュー)"へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

fortop.gif当ブログの全体像を知るには、こちらをご覧ください。
←時間の構造化に役立つ電子タイマー製作キットです。
PECS等に使える絵カード用テンプレートを公開しています。
自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。