2011年01月03日

「子育ての工夫」としてのABA入門 (1)

当ブログにお越しくださっている皆さん、

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、今年最初のエントリは、久しぶりに新しいシリーズ記事でいきたいと思います。
これまであまりまとめてこなかった、自閉症療育のためのABAについての、比較的短めのシリーズ記事になります。どうぞよろしくお願いします。



当ブログでは、自閉症療育についてのオープンな(誰かがパテントを持っていて公開することに制限があるようなものでない)情報を広く共有することと、「インチキにだまされない」ための考えかた、すなわち療育にかかわるリテラシーについての話題を主に取り上げています。

そんななかで、これまで、「絵カード療育」と、それに関連する領域としてのTEACCHの構造化に関する話題、そして「リテラシー」の話題については比較的基礎的な部分も含めて記事で取り上げる機会がありました。例えば、以下のシリーズ記事です。

そらまめ式絵カード療育

3た論法から療育リテラシーを考える

それと比較すると、ABAについては、これまで散発的な記事が多かったように思います。例えば、

幼児期の療育を考える(28)以降

あたりでしょうか。

なぜかというと、これは一つには私の「家庭療育におけるABA」の位置づけが影響しています。
ABAのベースとなっている「行動分析」は、非常にストイック、もっといえば「マニアック」な心理学で難解でもあるのですが、それを家庭の療育に活用するという意味での「ABA」は、テクニックとしては比較的シンプルなものだ、と私は考えています。

既に上記のシリーズ記事でも書いているとおり、

1)伸ばしたい行動にごほうびを与える(強化)
2)減らしたい行動にごほうびを与えない(消去)
3)上記2つを組み合わせて、問題行動を消去しつつ「望ましい別の行動」を教えてそちらを強化することえ行動を切り替える(代替行動への切り替え)
4)新しい行動を教えるときは、最初は手助けして成功させ、徐々に手助けを減らす(プロンプトとフェイディング)


この4つを使いこなせば、「家庭の療育でのABA」としては十分だ、と考えています。

なので、ABAについては比較的シンプルに、他のシリーズ記事の一部として書いているだけ、というエントリが多かったのかな、と自分なりに考えています。

でも、その後いろいろな方と話をしたり意見を読んだりしている中で、こういうシンプルなとらえかたをしている方は意外と少ないのかもしれない、ということにも気づいてきました。
ABAに実際に取り組んでいる方も、検討して「やめておこう」と判断された方も、ちょっと聞きかじっただけという方も、ABAというものを、非常に複雑で、負担がかかり、難しいものだと考えている方がとても多い、そんな印象をもったのです。

うーん、そんなに難しいと思われているんだなあ、でも基本になってる原則自体は10分で覚えられるのに・・・
などと考えてみて、1つのポイントに気づきました。

いま、日本で(だけなのかは分かりませんが)自閉症の療育を考えている親御さんが目にする「ABA」というのは、端的にいってロヴァース式のような「ABAを活用して大量の課題を子どもに実施させる」もの、専門家に大金を払ってやってもらうもの、あるいは日々悩んでいる困難極まりない問題をなんとか解決するような、「特効薬」「魔法」のようなものなのではないでしょうか。

もちろん、そういった「ハードなABA」も存在しますし、また、「魔法」のようなテクニックを持っていると噂される専門家も存在します。
そしてそういった領域で活用される「ABA」は、確かに複雑で難しく、大変そうに見えますし、実際にそうなのでしょう。

でもそれらは、「専門家のためのABA」であって、「親御さんのためのABA」ではありません。
家庭でロヴァース式に挑戦するという「つみきの会」のようなアプローチもありますが、それは「本来専門家がやるべきことを、何とか家庭でやってしまおう」というやり方であって、どんな親御さんにもなじむという性格のものではないと考えます(ここではそれ以上の是非は問いません)。

つまり、自閉症療育には「ABA」という効果的な方法論があり、多くの方がその名前も知っていてイメージも持っているのですが、そこでイメージされているものはしばしば「専門家のためのABA」であって、「家庭療育のためのABA」ではない、という問題があるのかもしれない、と考えるようになったわけです。

繰り返しになりますが、私がブログで目指している・取り上げているのは「『オープンな』家庭の療育」です。
ここでいう「オープン」には、情報が制限されていないという意味に加えて、「誰もが気軽に利用できる」「必ずしも専門家に依存せず、自ら自主的に試していくことができる」といった意味も含まれていると考えています。

そんなことを考えて(相変わらず能書きが長いですが(笑))、今回、「専門家ではなく親御さんのための」「特別な場面ではなく家庭の療育のための」ABAについてのシリーズ記事を書いてみよう、と思い立ったわけです。

もっと具体的にいうなら、それは、「ABAを活用した、ちょっと新しい子育ての考えかた、ちょっと工夫した子育てのやり方」です。
そしてそれは、「家族やお子さんにとって新たな負担が加わるのではなく、むしろ負担を軽減し、子育てでラクができるやり方、子ども自身の家庭での生活もラクになるやり方、そういうやり方として使えるようなABA」ということでもあります。

私自身、頭の中を整理しながらのシリーズ記事になりますので、どういった展開になるか分からないのですが、お付き合いいただければ幸いです。


参考図書



おかあさん☆おとうさんのための行動科学(レビュー記事
行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由(レビュー記事
発達障害のある子の「行動問題」解決ケーススタディ―やさしく学べる応用行動分析(レビュー記事

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 20:01
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