2010年10月25日

「いたい」と言えること

今日は、絵カード療育のシリーズ記事の続きを掲載しようと思っていたのですが、たまたまちょっと印象に残る「事件」が発生したので、そちらを書こうと思います。

今日、学校から急に連絡があり、何があったのかと思っていたら、娘が体育ホールで遊んでいるときに遊具にむこうずねをぶつけて、ちょっとしたケガをしてしまったそうです。
保健室でしばらく冷やして様子を見ていたそうですが、ひどいアザはできたものの、特に骨などには異常はないようで、帰宅後の様子を見ている限り、特に心配はなさそうです。

で、そのときの状況ですが、どうやら先生が目を離したすきにケガをしたらしく、先生は娘が痛みにギャーと叫んだところで気がついて、あわてて娘の様子を見に行ったということらしいです。

そしてそのとき、娘は先生にむかって「いたい」と言ったそうです。

私はその話を聞いて、ケガをしてしまったことはさておき、「いたい」とちゃんと言えたことはすごくいいことだな、と思いました。


娘の言語能力はまだかなり低く、現時点でもまだ1語文と2語文の中間くらい、2語文を言うときも1単語ごとにこちらがおうむ返しをしてイントラバーバル的に誘導しないと、2語目が出てこないくらいの水準です。(それでも、療育を始めた頃、あるいはその後の長きにわたる「音声言語のまったくない時期」を思い起こせば、よくぞここまで成長してくれたと感動するくらいではありますが)

そんな中で、(これは以前も書いた記憶がありますが)我が家でかなり初期のころから目標として取り組んでいたのが、「いたい」と言えるようになることでした。
体のどこかが痛いときに「いたい」と言える、というのは、娘のように重い障害をもっている場合には重要なサバイバルスキルになると思われます。
体のどこかをケガしているのに(例えば分かりにくいところの骨が折れているのに)、あるいは病気で内臓のどこかが非常に痛くなっているのに、それをうまく表現できなければ、周囲の人に気づいてもらえず、致命的な結果を招く可能性が高くなります。

ただ一言、痛いときに「いたい」と言えるようになること、何とかこれができるようになってほしいと、まだ娘がおうむ返しができるかできないかという時期から、「いたい」を意識して教えることを始めました。

そのとっかかりとなったのが、「いたい」ではなく「かゆい」ということばでした。

娘が蚊に刺されてかゆがっているときに、「かゆい」と音声模倣で言わせて、言えたら「よし」とほめてすぐにムヒを塗ってあげるようにしました。
ムヒには即効性があるせいか、これがかなりの強化子になったようで、まもなく、娘は蚊に刺されたり乾燥肌になったりして皮膚がかゆくなると「かゆい、かゆい、むひ、むひ」と言ってムヒを塗ることをせがむことができるようになりました。

そこで、「いたい」についても、これと同じ流れを汲んで教えることにしました。

娘がどこかに体を打ちつけたりして明らかに痛がっているのを見かけたら、すぐに飛んでいって音声模倣で「いたい」と言わせて、言えたら「よし」と言ってほめて、オロナインとかメンタームのような当たり障りのない薬を塗ってあげます。
そんな薬で痛みが取れるとは思えませんが、痛い患部を「さする」ことで、少なくとも娘は、痛みに対して私たちが何らかの働きかけをしている、ということには気づくことができるのではないか、それに気づいてくれれば、「かゆい」と同じような形で「いたい」も言えるようになるのではないか、そんな風に考えていたわけです。

そんな「かゆい」「いたい」の働きかけも、もう最初に始めてから4~5年がたとうとしています。
療育というのは、どんなに小さいことも、本当に気の長い取り組みだなあ、と改めて思います。

最近では、娘は私たちに対しては「かゆい」も「いたい」もかなり適切に言えるようになってきました。(特に「かゆい」については、自分でムヒを薬入れから出して持ってきて「早く塗ってくれ」とアピールするくらいです)

今回、それがちゃんと汎化していて、学校の先生にも言えた、ということは、私たちにとってはとても意義深い、嬉しいニュースでした

そう言えば話題はちょっと変わりますが、おとといにはこんな嬉しい出来事もありました。
娘をスーパーに連れて行ったら、歩きながらティッシュ配りの人のティッシュを器用に受け取るなど。あまり役に立つライフスキルじゃないけど、随分器用になったなとちょっと感心。
http://twitter.com/sora_papa/status/28478497455

これは、実際受け取るところをすぐそばで見ていた(一緒に歩いていたわけですからね)んですが、微細運動の苦手な娘にしてはずいぶん器用にティッシュを受け取っていたので、驚きました。

こうやって折に触れて子どもの成長を実感できるということが、療育を続ける親にとって何よりの励みになりますね。
さまざまな困難に負けず、少しずつ、でも着実に成長してその成果をみせてくれる娘の姿には、いつも感動させられます。
posted by そらパパ at 21:50
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