2006年04月04日

PECS:フェーズ4以降についての私見(1)

前回のPECSの導入プログラム(シリーズ記事「PECS導入」参照)では、いわゆるPECSのフェーズ3までしか説明していません。

実際には、PECSの導入フェーズには6段階あり、フェーズ4以降は次のような課題が設定されています。

フェーズ4:文章を作る
 センテンスストリップを使い、複数のカードを組み合わせた「文章」を作ることを教えます。
フェーズ5:質問に答える
 ここまで自発的要求を重視してきたPECSですが、この段階にきて初めて「何が欲しいの?」といった質問に、カードを選んで文章を作ることを教えます。
フェーズ6:叙述を教える
 ABAでいう「タクト」、つまり、要求ではなくて「○○があります」「○○が見えました」といった叙述の文章を作ることを教えます。

ただ、このブログでは、この後半の段階についての解説はしばらくしない予定です。

理由はいくつかあります。

一番大きな理由は、フェーズ3と4との間にはけっこう大きな断絶(ギャップ)があり、それをどうやって埋めればいいのか私の中で整理しきれていないからです。

フェーズ4で、子どもはそれまでカードをそのまま持って来ればよかったところを、センテンスストリップにカードを貼り付けて持ってこなければならなくなります。


↑コミュニケーションブックの下に貼り付けてある、青くて細長い板が、「センテンスストリップ」です。

しかもその際、「I want」というカード(日本語なら『ください』『おねがいします』あたりに翻訳しなければならないですが)と欲しいものを組み合わせた二語文として持ってくることを要求されます。(もちろん、最初は「ください」のカードは大人があらかじめセンテンスストリップに貼り付けておくわけですが)

私が気になるのは、カードを1枚渡して要求するのと、センテンスストリップにカードを2枚貼り付けてそれを持ってくるのとを比較したとき、子どもにとってはコスト(やるべきこと)が増えているのにリターン(手に入るもの)は変わらないという点です。
これは子どもから見ると、やらずぼったくりというか、手間だけ増えて得るものが増えない、何のメリットもない行為です。

フェーズ3までのPECSにおいて、次のフェーズに進む必然性と、子どもにとってのメリットがある(大人が遠いところにいても要求がとおり、いろいろなものを要求できるようになる、など)のと比べると、フェーズ3から4への移行には「子どもにとっての必然性」が感じられないのです。

PECSでは、フェーズ4への移行に「必然性」を持たせるために、属性(赤い、大きいなど)を導入して「赤い」「キャンディ」「ください」といった三語文を作らせることになっているのですが、属性というのは全て概念語なので、その概念自体を持たせることから本来は始める必要があります。
いきなり三語文や概念語などが登場し難易度があがるところを見ると、この辺りからPECSは少し迷走し始めているという印象がしないでもありません。

PECSのフェーズ4について、私自身が「自信を持って」何か書くためには、もう少し、この断絶を埋める方法について考えてみたいと思っているのです。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 22:02
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