2006年07月14日

行動療法の効用と限界(7)

まとめです。

結局、行動療法とは、「行動をコントロールする技術」です。それ以上でも、それ以下でもありません。
ほとんどこの定義ですべてが言い尽くされています。

行動をコントロールすれば問題がすべて解決するようなタイプの療育課題に対しては、行動療法が絶大な力を発揮します
特にことばが通じない自閉症児に対する療育法としては、行動療法がほとんど唯一の方法といってもいいでしょう。
問題行動の抑制や、パターン化された自助スキルの獲得などは、このカテゴリに入ります。
こういった分野に行動療法を適用することの有効性については、疑問をさしはさむ余地はないのではないかと思います。

逆に、行動に表れない内的な過程が重要と考えられ、しかもその内的な過程がよく分からないような療育課題に対しては、行動療法は極めて効率が悪く、しかも期待した結果が得られない可能性が高くなります
このカテゴリに属する典型的なものが、「ことばの獲得」です。

これら両者の中間にあるのが、既に獲得したことばを伸ばしていく療育や、友達の中に入っていって「社会性」を伸ばす療育などでしょう。
これらは、行動を形成すればそれなりに目的が達成できるという意味では「行動のコントロール」で話が済むのですが、その背後にある内的な発達を重視すればするほど、行動療法ではその部分が抜け落ちてしまうという懸念が大きくなります。

この、行動療法の得手・不得手をみていると、とても皮肉な感じがします。

行動療法は、自閉症の療育で大きな成果を上げているといわれています。
それは事実でしょう。私自身、娘の療育に行動療法を応用することで、大きく助けられていると実感します。

ところが、自閉症の最も深刻な障害である「ことばの障害」や「社会性の障害」は、実は行動療法の得意分野だとはいえず、特に親御さんの誰もが最優先に考える「ことばのゼロからの獲得」については、明らかに力不足なのです。

大切なことは、力不足なら力不足だと認めたうえで、じゃあ行動療法で効率的に教えられる範囲で、子どもを助けることはできないのか、という発想の転換でしょう。それが、前回までに説明した、「機能性フォーカス」の行動療法という立場です。
そのような状況でも徹底的行動主義を貫く、「行動フォーカス」の行動療法については、私は有効性に疑問を感じています。
少なくとも、「そらまめ式」で考える「頑張らない家庭の療育」には適用できないと言えるでしょう。

私がPECSを高く評価しているのは、この行動療法にとっての大難問である「ことばの獲得」という課題に対して、「機能性フォーカス」という考え方で真面目に取り組むことによって生まれた療育法だからです。
また、先日ご紹介した「みんなの自立支援を目指すやさしい応用行動分析学」がABAの入門書としておすすめできる理由も、この本がちゃんと「ABAが得意な分野」に焦点を当てていて、文字通り「やさしいABA」になっているからです。

posted by そらパパ at 21:00
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