2006年07月03日

行動療法の効用と限界(1)

以前のシリーズ記事で、行動療法(ABA)を歴史的な観点から再評価し、その手法に内在する(でもABAは知らないフリ?をしている)限界について書きました。

ただ、あの記事だけでは、単に歴史的に否定された過去があるから限界があるに違いない、という主張をしているようにも取れてしまいますので、具体的な例をとりながら、どういったときに行動療法は抜群の効果をあげて、どんなケースでは限界が露呈するのか、考えてみたいと思います。

行動療法の基本的な考え方は、ある行動に随伴する(後に続く)結果を操作することによって、その行動を増やしたり減らしたりするところにあります。これを「介入」と呼びます。
もっと簡単にいえば、望ましい行動にはごほうびを与え、望ましくない行動にはごほうびを与えなかったり罰を与えたりする。この、誰でも当たり前にやっている子育てをきっちりと体系的に実施するのが、行動療法だと言えます。

ここで、非常に大きなポイントがあります。

それは、行動療法における「介入」では、原則として、既に発生している行動しか制御できないということです。ここでいう「制御」とは、行動を増やすこと・減らすこと、両方を指します。
言い換えると、よく起こっている行動は制御しやすく、滅多に起こらない行動は制御しにくく、まったく起こらない行動は制御できないということです。
したがって、ある療育の目標に対して行動療法が有効に働くかどうかの最大のポイントの1つは、療育のターゲットとなる行動が頻繁に起こることかどうかにあります。

例えば、ここに積み木があって、「積んで遊ぶ」という行動を増やしたい、と考えたとします。
このターゲット行動に対して、行動療法がどのくらい「効率よく」機能するかは、療育の対象となる子どもの行動パターン(ないし、発達の度合い)によって、大きく異なってきます。

1. 積み木を積む遊びとなめる遊びを半々の確率で行なう子ども
2. 積み木をつかむことはできるが、なめる遊びしかしない子ども
3. もっと大きいものならつかめるが、積み木をつかむことはできない子ども
4. 「つかむ」ということができない子ども


このうち、行動療法が最も簡単に適用できるのは、1.のパターンの子どもです。

1. 積み木を積む遊びとなめる遊びを半々の確率で行なう子ども

この場合は、目の前に積み木を置いて、積む遊びをやったときにはごほうびを与え(強化)、なめたときには何も与えないという「分化強化」という方法を使えば、ほどなく「積む遊び」ばかりやるようになるでしょう。
こういう状況に対しては、行動療法は最も向いていると言っていいと思います。

※分化強化:ある状況下で複数の行動が見られる場合、特定の行動は強化し、それ以外の行動は強化しないことによって、特定の行動の発生頻度を高める介入手法。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 22:42
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