2008年12月22日

そらまめ式絵カード療育法 (2)

それでは、実際の絵カード療育法について入っていきたいと思います。

1.そもそも絵カードってどんなもの?

例えば、こんなものです。

ecard.jpg
自閉症療育のための絵カードのイメージ

絵カードとは一般に、この写真のように、厚めの紙に「画像」と「文字」を印刷したものをいいます。

「画像」としては、その絵カードが意味するものを表す写真やイラスト、マークなどが使われます。
そして、その絵カードが示しているもの(こと)の名前を「文字」を添えて表現するわけです。

カードは、貼ったりはがしたり持ち運んだり手渡したりといった操作の繰り返しに耐えられるよう、ラミネートフィルムなどで表面を補強して使います。

また、大きさは、当事者であるお子さんが扱いやすいサイズにカスタマイズして作ることになります。ただし、今回のシリーズ記事では、一例として、1辺60mm弱の正方形になるような絵カードを作ります。具体的な作り方については、後で説明します。


2.なぜ絵カードを使うのか

具体的な絵カードの作り方や使い方の手順などに入る前に、そもそも、なぜ「絵カードによる療育」を行なうのか、について整理しておきたいと思います。

絵カードとは、端的にいえば私たちがふだん使っている「ことば(音声言語)」に代わる、もしくはことばを補完するための「特別なツール」だと考えられます。
特別な、というのは、自閉症児の特性や教える側の私たちの利便性に配慮し、「自閉症児の療育」という目的に特化してカスタマイズされたものになっている、という意味です。
平たくいえば、絵カードは自閉症児のために開発された、特別な「ことば」だということになります。

自閉症児は視覚優位であると言われています。
恐らく、視覚「優位」というのは相対的なものであって、実際にはどちらかというと「聴覚劣位」、つまり音声言語を聞き取って理解することが困難(その結果として音声言語を話すことも難しい)だというのがより真相に近いのではないかと私は考えていますが、いずれにせよ、そういった特性によって、自閉症児には、

・音声言語を習得することに困難がある
・仮に習得したとしても、それを実際に使うための労力が大きく、子どもの負担が大きい


といった問題が生じることになります。

音声言語を理解したり自分が使ったりするのが難しく、負担が大きいということは、単に私たちが教えるのが大変だということだけではなく(もちろんそれも、療育の効率に大きな影響を与えるのですが)、子ども本人にとって音声言語を使用する「コストが高くつく」ことを意味します
つまり、私たちにとっては「便利でカンタン」なために、それを使うことでどんどんコミュニケーション能力が発達していく音声言語が、逆に自閉症児にとっては、「不便で使うのが大変」なために、それを使うことが負担になり、コミュニケーション能力の発達につながっていかない(それどころか、場合によってはむしろ使うことを避けてコミュニケーションから「離れていく」ようになる)可能性があるわけです。

音声言語のコストが高い、ということは、その他の表現方法、つまりクレーンやパニックの「コスト」が相対的に低くなるということでもあります。コストが低いというのは、要は「使いやすい」ということですから、クレーンやパニックで意思表示をしやすくなり、それが定着しやすくなるということにつながっていくわけです。

この「コストの高さ」の原因は、主に自閉症児の先天的な困難にあると考えられます。ですから、音声言語が遅れている自閉症児にあえて音声言語の使用を強いることは、合わない服に無理に体を合わせようとするような矛盾を孕んでいるとも言えるわけです。

このような考察をふまえることで、「自閉症児のコミュニケーションのための特別なツール」としての絵カードの本当の価値が見えてきます。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 21:42
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