2005年12月26日

パニックを減らすために(3)

今回、過去の記事にリンクを張るために記事を読み直していたところ、「パニックを減らすために」の記事が、「次回に続く」のまま残っていることに気づきました。

そこで、ずいぶん期間が空いてしまいましたが、残りの部分について書いておきたいと思います。

パニックを一言で表現すれば、「不適切な要求行動」だといえます。
「パニックを抑える」という考え方は、「パニックは不適切な行動だからやめさせなければならない」という発想から生まれてくるもので、もちろんこれはこれで意味があります。
これまで書いてきたとおり、パニックを抑えるためには行動療法の「消去」というテクニックを使い、「パニックを起こしても無視する」という反応パターンを取ることになります。
また、「パニックを起こしたら慌てて対応してパニックをやめさせる」、あるいは「パニックを起こしたら罰を与える」という対応は、パニックを強化、もしくは望ましくない方向に変容させる可能性があるので、意識して行なわないようにしなければなりません。

でも、これだけではきっと、パニックを多少は減らせるかもしれませんが、十分なコントロールができるところまではいかないでしょうし、問題の根本的な解決にはなっていない、と思うのです。

続きがあります・・・
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2005年12月16日

睡眠障害を克服する

たまたま、妻のブログで寝不足の話が出ているようですので、関連する話題ということで睡眠障害について書いてみたいと思います。

以前も書いたとおり、日々の療育に追われながらも、家族が楽しく毎日を暮らし、家族のQOL(生活の質)を維持するためにもっとも大切なことの1つは、睡眠だと思っています。

毎日十分な睡眠が取れれば、いろいろな困難を乗り越えていけるだけの精神力も維持しやすくなりますし、気分も落ち着き、家の中の雰囲気も穏やかなものになると思います。逆に、睡眠時間が不十分だと、精神的に疲労困憊してしまい、子どもや家庭の将来についても後ろ向きに考えがちになるだけでなく、免疫力も落ちてしまい、病気さえかかりやすくなりかねません。

自閉症児に睡眠障害が多いというのはよく知られた事実ですが、それによって家族の睡眠がおびやかされているとすれば、他の課題やトレーニングよりも優先して、睡眠障害の克服に取り組んでもいいのではないかと思います。

理由は、大きく分けて3つあります。

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2005年11月29日

パニックを減らすために(2)

前回まとめた、パニックを強化している「ごほうび」一覧を違う観点からもう一度考えてみたいと思います。
それは、「一覧」で書いた項目の「逆」を考えてみることです。

a. パニックを起こさないと欲しいものが手に入らない。
b. パニックを起こさないと構ってもらえない。
c. パニックを起こさないと注目されない。
d. パニックを起こさないとやりたくないことを回避できない。
e. パニックを起こさないといやな場所から逃げられない。

子どもにとって、こういう環境を作ってしまっていないでしょうか?
自閉症の子どもはコミュニケーションが下手で、思ったことをうまく伝えられないことが多いと思います。そんな子どもが、唯一、確実に周囲に対して「自分は何かやってほしいことがあるんだ!」というメッセージを伝えられる手段がパニックだ、という側面があります。元来、自閉症の子どもはパニックが強化されやすいのです。つまり、こういうことです。

1) パニック以外の表現→うまく伝わらない→ごほうびがもらえない→消去されやすい
2) パニック→よく伝わる→ごほうびがもらえる→強化されやすい

※パニックが強化される二重構造イメージ図
行動前の状況(A)行動(B)行動の結果(C)
要求があるパニック以外の要求行動要求がかなわない
                           ↓かなわない要求がどんどん供給される
行動前の状況(A)行動(B)行動の結果(C)
かなわない要求があるパニック要求がかなう


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2005年11月28日

パニックを減らすために(1)

パニックをコントロールするために知っておきたい行動療法の話題が、先日の回でようやく終わりました。非常に長い連載になってしまい、こんなややこしい話題を続けている間に読者が減ってしまうかもと心配しながら書いていましたが(実際アクセス数はちょっと減ってしまいましたが(笑))、ようやく終わりました。

我が家も、パニックに関しては、娘が生まれたまさにその日から悩まされてきました。娘が生まれた翌日に妻を見舞いに行くと、眠そうな目をこすりながら、「一晩中泣いて全然寝てくれなかった。周りの子はみんなおとなしく寝ていたのに」と言っていたのを思い出します。
その後も、寝つきが悪く泣いてばかりで、泣き出すと背中をそらして頭を後ろに打ち付けるので、椅子の背もたれにはいつもタオルが重ねてあり、背もたれのない椅子に座らせることはまったく不可能でした。当時は「こんなものかな」と思っていましたが、赤ちゃん用のいすや抱っこひもなど、本来であれば使えるはずのグッズでまったく使えないものがいろいろあったので、そういう意味ではやっぱり障害の芽はすでにあったんだろうな、と思います。(と、この記事をドラフトしてしばらく寝かしておいたら、妻も同じようなことをブログに書きました。)

それから1年半、娘のパニックの原因が自閉症にあると知り、「ベストな対処法」を一生懸命捜し求めました。で、たどり着いたのが、ロヴァース色に染まっていない、ピュアな行動療法(応用行動分析)です。
今でも娘のパニックはありますが、家族が皆どう対処するか確信を持って対応できるようになったので、何より、パニックが起こったときの家の中の雰囲気が良くなりました。また、パニックが起こるケースも、娘の要求を我々が拒んだとき(もっとおやつが食べたい、もっと遊んでいたいなど)にほぼ絞られてきました。
これは、娘にとっては、いきなりパニックを起こさないで別の方法で要求を表現する(まだクレーンと手差しくらいしかやりませんが)ことができるようになってきたことを意味しますし、我々からみると、なぜパニックが起こっているかが大体わかる(だから「相手をしちゃいけない」ということも冷静に判断できる)ということを意味します。この変化は大きいと思います。また、パニックを起こしていない普段の娘に対する対応が、実はパニック対策としてとても大切なんだ、ということを理解し、努力するようにもなりました。

続きがあります・・・
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2005年11月13日

ガイド・鏡を使った療育(2)

前回の続きです。

3.どんな風に使うか

まずは、子どもに鏡に興味を持ってもらうところからです。うちの娘のように、放っておいても鏡が大好きになるお子さんも少なくないと思われますが、そうでもない場合は、設置場所を工夫する(普段の遊び場所からよく見える場所に設置する)ことがまず第一です。そのうえで、鏡の前に誘導し、こんな遊びをします。(子どもが嫌がらない遊び方を選んで行なってください。)

・鏡に映っている子どもの腕を持って上げ下げする。バイバイをさせる。手を叩かせる。
・鏡の前で体のあちこちに触れてみる。
・鼻や耳をつまんだり、ほっぺたをはさみこんだり軽くつねったりする。
・子どもを抱っこして、鏡に近づけたり遠ざけたり、揺さぶったりする。
・鏡に手を突くような形で、鏡を触らせてみる。
・おもちゃを持たせて鏡の前に立たせてみる。おもちゃを振ったりして遊ばせてみる。

これらの遊びは、子ども自身に身体感覚のある遊び(体を動かす、何かを触る、触れられる)を鏡の前で行なうことによって、自分の体に起こっている「感覚・運動」と、それを客観的に見たときにどんな風に見えるということの「関連」を発見させるのが目的です。
特に、頭や髪、耳、鼻、顔、口(ほっぺた)など、自分で直接見ることができない部分を触ったり、動かしたりする遊びが効果的です。

慣れてくれば、鏡の前で食事をさせたり、服を着替えさせたり、日々のいろいろな動作を鏡に映して見せるのもいいでしょう。
子どもが自分から鏡に興味を持ち、親が関与しなくても勝手に顔を映して表情を作ったりして遊んでくれるようになれば、親の役割は補助的なものになり、新しい遊び方のきっかけを作ってあげる(面白い顔を作ってあげる、後ろから顔を出して驚かせるなど)だけでよくなります。「自他区別の発達」という観点からは、子ども一人の環境で遊ぶ時間があることが望ましい面もあります。

4.鏡の効果を確認する方法

子どもが鏡というものがどういうものか理解したかどうかを確認するには、次のようなことをやってみます。

・子どもが鏡の前で遊んでいるときに行います。
・自分は子どもの後ろにしゃがみます。
・音がしないように、子どもに触れないように、頭の後ろから手を出して、鏡に映るようにしてください。
 手でうさぎのマネをしたり、顔の横でグーパーしたりして興味を引きます。このとき風を起こさないように。
・子どもが後ろを振り向いて手がそこにあるかどうか確認したら、鏡というものを理解しています。

この反応ができるようになっていれば、鏡に映っているのが自分だということも、恐らく分かっているでしょう。「自己像」ができあがり、自他区別ができるようになった、と言えます。今後の療育のためにどうしても必要な、大きな進歩です。

そうなるまでは、親がサポートして、鏡の前でいろいろな動きをさせたり、刺激を与える遊びを継続的に続けていくのがいいと思います。

続きがあります・・・
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2005年11月12日

ガイド・鏡を使った療育(1)

あらゆる療育の最低限の前提となる「自他区別」の認知力を発達させるために、「そらまめ式」では鏡を使った療育が有効だと考えています。
娘のケースでも、いつでも覗ける場所に鏡を設置したことが、日々の発達に大きく貢献していると感じます。鏡の前で表情を変えて遊んだり、踊りの振りをしたりするだけでなく、最近では(妻のブログでも時々出てきますが)怒るときに鏡に自分の怒った顔を映して「確認」することで、自ら感情をコントロールしているようにさえ見受けられます。いずれにせよ、鏡の存在が娘にいろいろな刺激を与えていることは間違いないと思います。

そこで今日は、鏡を使った療育のヒントというか、活用方法について簡単にご紹介します。

1.使用する鏡の種類と入手法

アクリルミラーといわれているもので、アクリル版の一面が鏡面処理されているものです。ガラスの鏡と比べ、軽くて割れにくく、値段も安価です。大きめのホームセンターのアクリル版コーナー、またはアクリル版を販売しているウェブサイトを使ってください。45cm×60cmくらいのものが、3000円以内で買えると思います。

http://www.acry-ya.com/

↑参考:アクリルミラーを通信販売している「アクリ屋」のサイト。後で説明する「ミラーマット」も売っています。
 (「アクリル(材料/工具)」→「アクリルミラー(鏡)」)

2.鏡の設置

子どもがふだん生活している部屋の、よくいる場所に設置します。鏡の前に空間が十分ある場所、部屋の中心部に向かって開けた場所が望ましいです。あまり鏡の前が狭いと、子どもが全身を映して見ることができません。
理想は木ねじと両面テープで完全に固定することですが、住まいが賃貸であったり、構造上ねじが打てない場所の場合は両面テープのみとか、家具の側面を使うとか、ひもでぶら下げるといった方法も検討してください。いずれにしても、子どもが取り外したり、ぶつかって破損するするような設置方法はいけません。

高さは、全身が映るのが理想ですが、かなり大きなサイズでないと子どもの身長を上回ることは難しいですよね。少なくとも、顔が映らないと話にならないので、ミラーを縦長の向きにして、子どもが立ったときにミラーの上端が頭のてっぺん+10cm程度(身長が伸びることもある程度考慮して)の位置に設置するのがいいでしょう。立ったときも座ったときも顔だけは映るのが望ましいです。

注意点として、アクリルミラーは安全で便利なのですが、ガラスの鏡と比べると平面性が低いです。これくらいの大きさの鏡になると、普通にねじ止めで固定する程度では、真っ平らになることは期待できません。ちょっとゆがんだ鏡像になりますが、目で見て違和感がない範囲であればよしとします。
どうしても平らに貼りたいという場合は、ミラーの裏側全体に貼る「ミラーマット」という両面テープがありますので、これを全面に張って、鏡全体を壁面に密着させれば、完全ではないと思いますが平面性は上がると思います。

鏡による療育を行なうのであれば、携帯式の小さなアクリルミラーもあわせて用意し、外出先や部屋の外でも活用するのがいいと思います。もともと鏡というのは赤ちゃんが大好きなおもちゃだということで、赤ちゃん用にアクリルミラーのおもちゃがいろいろ出ています。


スマイリーフェイス・ラトル
Sassy

赤ちゃん用のラトル(がらがら)ですが、裏面が全面アクリルミラーになっています。携帯用ミラーとして。



ミー・イン・ザ・ミラー
Sassy

赤ちゃん用の鏡おもちゃ。ミラーが大きいせいかちょっと値段が高いのと、周囲におもちゃが付いていてちょっと邪魔?なのが残念ですが、これだけ大きなアクリルミラーのついたおもちゃは多分これだけでしょう。室内用の持ち運び可能なミラーとして。

(次回に続きます・・・)
posted by そらパパ at 17:37| Comment(6) | TrackBack(0) | 実践プログラム | 更新情報をチェックする

2005年11月10日

魔法の鏡

娘がガラスに自分の顔を映して遊んでいるのを見て、「そうだ、鏡だ」とひらめきました。

自他区別の難しさの一つは、「自分」が自分自身には部分的かつ偏った形でしか見えていないということにあります。周りにいる人間が見えていても、それがそのまま、「自分」も同じように顔があって、手があって、人間の形をしていて、といった認識につながるわけではありません。なぜなら、自分の目からは自分はそう見えていないからです。見えているのは、せいぜい腕と胸から下くらいで、しかも見ている角度が全然違います。

鏡なら、この問題を解決できます。鏡を覗けば、そこには「自分」と「周囲の環境」とが、一番分かりやすい形でそのまま映ります。そこにいるのが自分だということは、自分が動けば鏡像もそのとおりに動くことで、すぐに理解できるでしょう。
さらには、自分の動作がどんな風に見えるのかということが常に確認できますから、リアルタイムでモニタリングするという部分の発達についても強力なサポートになると考えられます。
さらに好ましいことは、自分が少しでも体を動かせば100%確実に鏡像もそれに「応えて」反応してくれることで、器用さがあまり発達していない段階でも、鏡像を「操作する」という遊びが自然にできるということです。娘に関していえば、「おもちゃの部品だけをいじって遊ぶ」なんていう望ましくない行動も、鏡なら一切できません。

よし、鏡を置こう。

翌日、さっそく会社帰りにショッピングモールに立ち寄り、姿見やスタンドミラーなどを見に行きました。
ところが、ここで1つの問題が出てきました。娘は危険が分からず走り回るので、姿見とかを置いたら衝突したり落としたりしてガラスが割れる危険がある。そんな危ないものは設置できない・・・。
いろいろ見ていると、小さな壁掛けの「アクリルミラー」というのを発見しました。持ってみると非常に軽く、クリア層がガラスではなくアクリル板でできています。これはいい、ということで買って帰り、娘がいつものぞき込んでいたサイドボードのガラスにそのミラーを貼りつけてみました。
娘はこれが非常に気に入ったようで、毎日何度も鏡に走ってきては顔を映して鼻や口に触ったり、口をぱくぱく動かしたりして遊ぶようになりました。さらに良かったことは、鏡にしたことで顔をぴったり近づけなくても映るようになったため、少し離れたところからのぞき込むようになったことでした。これにより、少なくとも顔全体が一度に視界に入るようになり、「自他区別」の入り口が少しだけ広がった気がしました。
続きがあります・・・
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2005年11月05日

抱っこ好きにするには?(2)

というわけで、娘を抱っこを好きにするための「プログラム」です。

1.基本的な考え方
 これだけ抱っこで「悪いこと」ばかり経験しているとすると、抱っこを「積極的に避ける」ことを学習しているに違いありません。だから、抱っこを避けるという行動を消去していくと同時に、抱っこを求めることを強化していく必要があるでしょう。(「学習」「消去」「強化」などは、行動療法の用語です。今後、これらについても解説していきます)。

2.「悪いこと」を減らす

2-1.体の自由がきかなくなること
 これは、抱っこすれば必ずそうなってしまうので、更に1段階レベルを下げて「体の自由がきかなくなると楽しいことがある」という経験をたくさんさせることにします。具体的には、チャイルドシートに乗って(体の自由がきかなくなる)大好きなお出かけをする(楽しいことがある)機会を最大限増やすことにしました。

2-2.抱っこされるときは嫌なことをされる
 これも、親として関わっていく以上、ある程度仕方がない(薬を飲ませる、無理に移動させる、etc.)ので、前回の「味方・悪役」理論を使って、抱っこして嫌なことをする役は全部父親(私)に集中させて、まずは「母親に抱っこされて嫌なことをされる」確率を極力減らすことにしました。

2-3.肌の接触が不快だ
 ここから、感覚統合的な考え方が出てきます。感覚統合法とは、皮膚感覚や視覚、バランス感覚などに働きかけることによって神経に刺激を与え、それによって不適切につながっていて感覚異常などを引き起こしている脳細胞をあるべき姿に整え活性化していく、といった療育方法です。自閉症児の場合、感覚異常を伴っている場合が多いので、感覚統合法が有効である場合があります。
 娘の場合も、外で風に当たると驚いた顔をしたり、くすぐると泣き出したりということで、皮膚感覚の異常が疑われました。そこで、ボールプールなどに連れて行ったり、公園の噴水池の浅瀬で足をつけさせたりといった、「楽しい中に新しい皮膚刺激がある」といった遊びを、自分たちなりにいろいろ考えて実践しました。
 また、そもそも運動量を増やせば結果的にいろいろな皮膚刺激があり、鍛えられるはずなので、休みの日に公園に出かけたり、家の中に折りたたみのジャングルジムを置いたりして、とにかく運動させる機会を最大限増やしました。(幸い、ジムは大好きになり、登ったり降りたりぶら下がったりして遊び倒しました)

2-4.足元が不安定になるのが嫌だ
 これは今でも続いていますが、足が地についていないこと、足元のバランスが悪いことを極端に怖がります。当時はつまさき立ちもやっていたので、足の裏の感覚やバランス感覚が異常ないし未発達だったのでしょう。
 ここでは、寝るときに使うマットが活躍しました。それまで、硬くて薄いベビーふとんだったものを、厚さ15cmの大人用フローリングマットに変えたのです。妻も同様のマットを使っていたので、並べて敷くと、つごう2畳分以上の広さの「ふかふかマット」ができあがります。
 寝る前にさんざん部屋を走り回る娘は、マットが変わった後も、やはり飽きずに走っていました。新しいマットは踏むと沈み込むので、前のふとんに比べると不安定で、娘も何度も転んでいました(大抵は柔らかいマットが受け止めるので安全)。それでも1か月もすると転ばなくなり、この頃から、同じように柔らかいリビングのソファの座面に登って歩いて遊ぶようになりました。
 こうして、少なくとも「足元のバランスが悪い」ことを、嫌がるよりむしろ喜ぶようになり、「足元恐怖症」が一段階、克服されました。
 最近は、トランポリンで跳ね回ったり、地面に置いてある箱ブランコでバランスを取ったりするのが大好きになり、「足元恐怖症」はかなり改善しています。いまだに、普通のブランコは怖くて近寄りませんが。

3.「いいこと」を作る・増やす
 上記のように、「悪いこと」を減らすだけでは、「抱っこ嫌い」が消去されるだけで、抱っこ好きにはなりません。抱っこを好きになるためには、抱っこされるといいことがある、という状況を作る必要があります。
 このためにやったことは、ベビーカーを使わないようにする、ということでした。ベビーカーを使わずに公園や店を歩かせると、そのうち疲れて歩くのを嫌がるようになります。ここでベビーカーがあると乗りたがってしまうので、あえてベビーカーを持ち歩かず、「歩かずに済むようにするには抱っこされるしかない」という状況を作ったのです。
 これは娘にとって「いいこと」なので、基本的に母親の役目になりました。逆に、嫌がる娘を歩かせるときに手をつなぐのは、「悪役」である私です。
 これは実際、効果てきめんで、程なく、外を歩いていると、私の手を振り切り母親の前で泣き出す、という形で母親に抱っこを求めるようになりました。こうして、ほんの少しですが、「要求の表現」もできるようになってきました。
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2005年11月04日

抱っこ好きにするには?(1)

2歳前の娘は、抱っこもおんぶも嫌いでした。
抱っこをすると数秒で逃げ出そうとするし、おんぶに至ってはやった瞬間から大暴れです。
抱っこができないというのは日常生活でも非常に不便ですし、愛着形成のためにも抱っこができるようになることはとても大事なことだと思ったので、娘を抱っこ好きにするにはどうすればいいか考えました。

最初にインターネットで「抱っこ 自閉症」といったワードで調べて出てきたのが「抱っこ法」という療育方法でした。実はこれ、私も試してしまったのですが、今ではこの方法には否定的で、抱っこ好きにするという意味では大失敗でした。この辺りにについては近日中に書こうと思います。

「そらまめ式」としての話に戻します。「そらまめ式」的に考える、ということは、目の前にある問題を、分かりやすくて働きかけが可能な、より小さな単位に分解することから始めるということです。
そこでまず、娘にとって抱っこされることによる「いいこと」と「悪いこと」は何なんだろうか、という要素への分解から始めました。

「いいこと」
 うーん、よく考えてみると特にないかも。

「悪いこと」
 1.体の自由がきかなくなる。
 2.大体、抱っこされるときは嫌なことを強要されるときだ。
 3.「肌の接触」という刺激が、自閉症の娘にとっては刺激が強すぎるか、不快な刺激である可能性がある。
 4.娘は、ブランコなど足元が不安定な遊びが大嫌い。「抱っこ」も、足が宙に浮く感覚が嫌いなのだろう。

何だ、簡単だ。これじゃ抱っこを喜ぶはずがない。

というわけで、抱っこを好きになってもらうためのプログラムを考えていきました。

(次回に続きます。)
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2005年11月03日

最初の一歩-「ママは味方」

さて、理論の話はいったん横において、私達が最初に始めた「療育」について書こうと思います。

といっても、普通に考えるような、トレーニング的な療育とは全く違います。
一般に療育というのは、子どもが大人の働きかけに対して何かしらの反応することを大前提として成り立っています。仮に言うことを聞かないで大暴れしたとしても、修正して、やってほしいことをやらせるための「きっかけ」にはなりますから、まったく反応しないよりはずっとマシということです。
ところが、2歳前の時点で、娘にはこの前提すら成り立っていませんでした。つまり、

1.働きかけに反応しない
2.そもそも我々に興味がない
3.泣く以外には要求を表すことさえしない(赤ちゃんのまま?)

といった状態だったわけです。これを、

1.働きかけに反応する
2.我々に興味や愛着を持つ
3.泣く以外の方法で要求を表す

というところまで「引き上げる」のが、最初のテーマになりました。

ところで、この1~3というのはよく考えると依存関係があり、身につく順番はおそらくこうだろう、と考えました。

1.我々に興味や愛着を持つ、それによって、我々に対して、
2.泣く以外の方法で要求を表す、それに対して我々が応えることによって、
3.働きかけに反応する、ようになる

だとすると、何より最初に必要なのは、「我々に興味や愛着を持つ」ことだ、と考えました。

続きがあります・・・
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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。