2009年02月11日

心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る(立ち読みレビュー)

※この記事は、立ち読み程度の読み込みで書いている、特殊な形態のレビューであることを、あらかじめご了承ください。

けっこうあちこちの書店で見るので、念のため言及しておこうと思います。


心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る
田辺 功、松澤 大樹
西村書店

これはMRIを使った「占い」のようなものでしょう。
MRIというのは脳の物質としての姿を低い解像度で映し出すだけのものですから、そこから「MRIで見える特定の場所の傷が精神病を引き起こしている」という結論を導くためには、とんでもない論理の飛躍が必要です。
言ってみれば、コンピューターのケースを開けて、中で動いているプログラムのバグを当てるようなものでしょう。脳の部位とこころのはたらきを単純に1対1で結びつけるのも、何十年前か分からないような大雑把な「機能局在論」の立場ですね。

続きがあります・・・
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2009年01月05日

行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論(ブックレビュー)

「お父さん」だけでなく、「ABAを深く学びたい人」にもうってつけの好著です。


行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論
著:舞田 竜宣、杉山 尚子
日本経済新聞出版社
(Amazonが在庫切れのときは楽天ブックスもご利用ください)

序 章 今こそ組織・人材マネジメントに「行動の科学」を
第1章 褒めてやらねば、人は動かず―好子による強化と弱化
第2章 鬼の上司が会社を伸ばす?―嫌子による強化と弱化
第3章 ネガティブ社員はこう扱え―消去
第4章 活発な職場を取り戻す―復帰
第5章 上手な褒め方、無意味な褒め方―強化スケジュール
第6章 「頑張れ」というだけでは業績は上がらない―課題分析
第7章 ハイ・パフォーマンス集団の作り方―シェイピング
第8章 「勝ち味」を覚えさせよ―チェイニング
第9章 裏表のない組織を作る―刺激弁別
第10章 お互いの悪い癖を直す―プロンプト、代替行動
第11章 表彰制度はこう変えよ―好子の種類
第12章 フィードバックで新人を育てる―フィードバック
第13章 マンネリが組織を不活性化する―確立操作
第14章 過去の自分と決別する―自己強化と抹殺法
第15章 「苦手な顧客」の克服法―レスポンデント条件づけ
第16章 コンプライアンスを高める―ルール支配行動、トークン
終 章 伸び続ける会社を作る

当ブログ殿堂入りの「行動分析学入門」の著者の杉山尚子氏が、経営コンサルタントと組んでビジネス書を出しました。
しっかりした(スカスカでない)文字組みで300ページ以上ある単行本ですから、かなりのボリュームです。ですが、構成がしっかりしていて文体もこなれているだけでなく、本文の半分は仮想の会社「ノルウェー・モバイル」を舞台としたドキュメント風の仮想ケーススタディになっていますから読みやすく、ボリュームの割にどんどん読み進められます。
年末年始、それほど本を読む時間があったわけではなかったのですが、それでもこの本は読了することができました。

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2008年12月29日

自閉症は情動コントロールの障害なのか?

先日、当ブログのコメントで、「自閉症児のパニックの原因は、情動の異常にあるのではないだろうか?」、さらに「自閉症というのは、情動の障害でもあるのではないか?」という問題提起を受けました。

そのコメントを書いていたら優に記事1回分のボリュームになってしまったことと、この話題はかなり一般性があると感じたので、記事として書かせていただくことにしました。

この問題についての私の立場は、「自閉症児が情動のコントロールに問題がある(それがパニックの原因の一端になっているように見受けられる)ことは、当然あると思われるけれども、だからといって自閉症という障害のモデルに『情動の異常(という脳神経モデル)』を追加するには及ばない(既存のロジックで説明できる)」というものです。
少し過激にいうならば、「自閉症児が情動コントロールに問題がある、と感じられるのは、『われわれのルール』を自閉症児に無理に当てはめることで生じる、ある種の幻想なのではないか」と考えているわけです。

以下、詳しく書きたいと思います。

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2008年11月10日

クリティカル進化(シンカー)論(ブックレビュー)

療育に「科学の目」を取り入れたいと考えるすべての方に。


クリティカル進化(シンカー)論-「OL進化論」で学ぶ思考の技法
著:道田 泰司、宮元 博章
まんが:秋月 りす
北大路書房

はじめに
本書はこう読もう
序章 クリティカル思考とは
 「クリティカル」の意味
 クリティカル思考の定義
1章 推論の仕方は妥当か
 クリティカルに推論するやり方
 因果関係を検討する上での留意点
 前後論法のもつ罠
 間違った議論のいろいろ
2章 根拠としての「事実」は正しいか
 事実検討の基本的スタンス
 スキーマによる事実の歪み
 偏った事実を「事実」とする過ち
 「事実そういう人か」の検討
3章 クリティカルシンカーへの道
 クリティカルシンカーの特性
 クリティカルに生活しよう
終わりに
本書を読んだ人のための今後の読書案内
秋月りすから一言

「クリティカル・シンキング」ということばを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
直訳すると「批判的思考」ということですが、日本語の「批判」には否定的なニュアンスがあるので、多少意訳すれば「科学的論理思考」といったことになると思います。簡単にいえば、「事実に基づいた適切な推論によって、妥当な結論を導く思考のプロセス」のことです。

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2008年10月20日

ABAの限界について(補足)

今回のシリーズ記事は前回までの3回分で一応終わっているのですが、ちょうど連載中に「そだちの科学11号」のレビューを行なったこともあって、少し補足しておいたほうがいいかなと思う点があったので、書こうと思います。

今回の記事での結論を簡単にまとめると、「ABAには大きく2つの限界がある。1つは、「脳と活動の発達」のような典型的な複雑系の事象においては、還元主義的なABAのモデルは限界が見えやすいこと、そしてもう1つは、療育というのは子どもと養育者との相互作用そのものであり、ABAでは無視せざるを得ない『相互作用による養育者側の変化』が実際には極めて重要であることだ」ということでした。

これ、内容を表面的に追っていくと、「よくわかる自閉症」や「そだちの科学11号」などで小林隆児氏が展開している「関係発達臨床」説における問題意識とかなり近いように映るのではないでしょうか。
彼もまた、自閉症の臨床にあたっては「発達」と「母子関係(これはちょっと表現として狭すぎだとは思いますが)」にこそ注目しなければならず、ABAなどの方法論はこれらを無視しているため適切ではない、という立場を表明しています。

でも、この一見似ているように見える、私の立場と小林氏らの立場は、やはり根本的に異なっているのです。

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2008年10月13日

ABAの限界について(3)

さて、前回は、つい1世紀ほど前までは「世界の真理を解明する隙のない方法論」だと思われていた古典的な科学観(ニュートン物理学などが想定していた世界観)が、いくつかの現代科学の「革命」によって、根っこからひっくり返されてきた歴史について簡単に触れました。

繰り返しになりますが、私は理系な人ではないので、かなり文系的に創作しているところもあると思いますので、その辺りはご容赦のうえ読み進めてきていただければ幸いです。

さて、ひるがえっていよいよABAについてです。

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2008年09月29日

ABAの限界について(2)

前回は、ABA(のベースとなっている行動分析学・徹底的行動主義心理学)が、徹底して「科学的な方法論」にこだわって現在の姿になっていること、だからこそ、私たちの常識的な(素朴な)視点からは、ABAは理論的には万能でスキがないように感じられること、でも実は、ABAが拠って立つ「科学的な方法論」は、「古典科学的な方法論」であって、科学の世界ではこの「古い科学的方法論」には問題がたくさんあることが分かってきていることなどをざっと紹介してきました。

今回は、まずは先の「古典的な科学の方法論」が前提にしていた仮定が、どのように否定され、否定された後どうなっているのかについて見ていきたいと思います。
ただし、私は理系な人ではないので、あまり細かい厳密な議論は期待しないでください。科学哲学的な視点から、ざっくり整理するに留めます。

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2008年09月22日

ABAの限界について(1)

ちょっと他の記事が続いたので若干旬を逃してしまった(--;)気もしますが、先日、「療育と『万能感の錯覚』」や「療育は、花を育てるように」で問題提起した内容は、私の予想を上回るかなり大きな議論に発展したと感じています。

ところで、ここで私が主張している立場というのは、感覚的な議論としては、多くの方に伝わっているんじゃないかな、と感じています。

その一方で、「それはABAが前提としている立場とは矛盾しているんじゃないか?」という批判もあるのではないかと思います。

つまり、こういうことです。

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2008年09月19日

赤ちゃんが初めて話すことば

ちょっと興味深いニュースが出ていたので掲載します。

赤ちゃん:初めて話す言葉…1位は「まんま」

http://mainichi.jp/select/science/news/20080919k0000m040133000c.html

 赤ちゃんが初めてしゃべる言葉は「まんま(ごはん)」「おっぱい」「いないいないばぁ」の順--。NTTコミュニケーション科学基礎研究所(京都府精華町)は、インターネット上に設けた子育て日誌コーナーを基に、幼児が最初に使い始める上位50語をまとめた。子供を取り巻く関係や発達過程を調べる試みで、札幌市で19日から始まる日本心理学会で発表する。

 子供がいつ、どんな言葉を話したかを書く個人ページ「赤ちゃん成長ダイアリー」を用意。生後10カ月~3歳の子供を持つ親398人が07年4月から今年2月までに記入したデータを分析した。
 その結果、「まんま」が最も早く平均1歳3カ月半だった。個人差もあり、話し始めた時期は生後10カ月~1歳8カ月とばらつきがあった。50位は「大きい」で平均1歳11カ月だった。家族を指す言葉では、ママは4位、パパは8位。一方、じいじ(おじいちゃん)は24位、ばあば(おばあちゃん)は37位と、祖父母では男女逆転していた。また、アンパンマンが21位に入ったほか、食べ物ではバナナ(19位)、お茶(25位)、ミルク(38位)の順だった。
 50語を分類すると、あいさつなど社会的な言葉が16語と最も多かったほか、普通名詞13語▽性質を示す言葉8語▽家族など人を示す言葉6語▽動作語4語▽代名詞・疑問詞3語--と、早い時期からさまざまな種類の言葉を使い始めることが分かった。
 また、名詞が動詞の約5倍多かった。海外などの研究によると、韓国や中国では名詞は動詞の2倍程度、英語圏では約12倍とされ、日本はその中間にあたるという。
 小林哲生研究員は「英語圏では親が早くから物の名前を覚えさせようとする一方、アジアでは情緒的な共感を重視する傾向があるようだ。文化圏ごとの育児スタイルの違いが、幼児の言葉にも影響しているのではないか」と説明する。男児と女児では言葉の出現が異なるかどうかも今後分析する。成果の一部はホームページ(http://labs.baby.goo.ne.jp/)で公開している。

 ◇赤ちゃんが最初に話す上位20語◇(NTTコミュニケーション科学基礎研究所の調査による)

(1)まんま(ごはん)(2)おっぱい(3)いないいないばぁ(4)ママ(5)はーい(返事)(6)ワンワン(7)ねんね(8)パパ(9)バイバイ(10)よいしょ(11)どうぞ(12)お母さん(13)お父さん(14)ニャンニャン(15)くっく(靴)(16)ある、あった(17)痛い(18)ないない(片付ける)(19)バナナ(20)ブーブー(車)


この「上位のことば」には、極めて強烈な(少なくとも私にはそう思えました)特徴があります。それは、

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2008年09月15日

フレーム問題とTEACCHの構造化

この分野を知っている人には当たり前すぎることだと思われますが、そういえば書いていなかったなあ、ということで、書いておきたいと思います。

人工知能研究の分野の古典的な問題として「フレーム問題」というのがあります。

http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/doc/frame.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%95%8F%E9%A1%8C

これは、「ある目的のために行動するときに、世界に存在する無数の事象のなかから、どうやって瞬時に『考慮すべき事象』だけをピックアップし、そうでない事象を端的に無視できるのか」という問題です。

哲学者のデネットが提示した有名なフレーム問題の例がありますので、それを以下に示します。(これは、私の1冊めの本『自閉症-「からだ」と「せかい」をつなぐ新しい理解と療育』の中でまとめたものの引用です)

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2008年09月08日

おかあさん☆おとうさんのための行動科学(ブックレビュー)

まさに「待望の1冊」です。



おかあさん☆おとうさんのための行動科学
著:石田 淳
フォレスト出版

はじめに
PART1 行動科学ってなんだろう?
 人の行動に着目した科学、それが「行動科学」
 「きちんとあいさつしなさい」は、言ってもムダ
 計測は本当に大事
 「ゴール」の重要性
 「ほめる」ことの意味
 長続きしないのは、どうして?
 できる子・できない子の違いとは?
PART2 「とっておきのスキル」編
 苦手を克服する技術
 行動科学の「叱り方」
 「やり方」の教え方
 「続け方」のコツ1 「増やしたい行動」「減らしたい行動」
 「続け方」のコツ2 環境を整える
 ポイントカードが「できる子」をつくる?
 おとうさんを育児参加させる法
行動科学と学習
おわりに

この本、書店で見かけた瞬間にレジに持っていってしまいました。

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2008年09月01日

ゆらぐ脳(ブックレビュー)

痛快な科学エッセイ!



ゆらぐ脳 (ハードカバー)
著:池谷 裕二、木村 俊介
文藝春秋

第1章 脳を分かる(パーツをきわめても、脳は分かりません。他)
第2章 脳を伝える(サイエンスにプレゼン能力は必須?他)
第3章 脳はゆらぐ(脳の「ゆらぎ」は「ノイズ」だと思われていました。他)

池谷氏の本は、どれも「科学の最前線」が分かって面白いなあ、と感じていて、最近は多作すぎて脳「科学」とはほとんど無関係な観念的エッセイしか書かなくなった茂木健一郎氏よりもずっと注目しているのですが、なかでも今回の本は、ものすごく本質的で大切なことを、誰にでも読めるくらい易しく解きほぐした、極上の科学エッセイに仕上がっています

池谷氏といえば、今までに大きく2系統の本を出しています。

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2008年08月25日

「自分だまし」の心理学(ブックレビュー)

ニッチですが、療育とも関連の深い領域を扱った認知心理学の入門書。「心理学の驚き」も満載。



「自分だまし」の心理学
著:菊池 聡
祥伝社新書 121

1章 なぜ人は「だまされる」のか
2章 人は無意識のうちに、自分で自分をだましている
3章 誰もが、自分に都合のよい「思い込み」をする
4章 無意識のだましと付き合う心構え
5章 「自分のだまし方」を身につければ、物事はうまくいく
6章 おたくこそ、だましのリテラシーの達人だ

ちょっと誤解を招きそうなので、最初に整理しておきます(私も最初混乱してしまったので)。

オカルトとか超常現象に対して、批判的な立場から積極的に発言している「菊池」という姓の研究者は2人います
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2008年08月18日

時速250kmのシャトルが見える(ブックレビュー)(2)

前回の記事の続きです。



時速250kmのシャトルが見える
著:佐々木正人
光文社新書

前回、トップアスリートたちは、己の肉体を鍛えることと同等かそれ以上に、自分の外側の世界=「環境」に徹底的に適応していること、自閉症児はその対極にあると考えられ、そのような「環境との相互作用・環境の変化への適応」に困難があることから、それをふまえた療育や子育てを検討していけばいいのではないか、といったことを書きました。

・・・このような、私たちの目線を客観的なところにおいて、「我が子と環境とのありかた」を考えるような議論は、割とよくなされると思うのですが、私は、議論をここで止めてはいけないと考えます。

なぜなら、環境と相互作用しているのは、自閉症児だけではないからです。
当然ですが、私たち自身も、環境と相互作用して、学習して、適応して生きています

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2008年08月11日

時速250kmのシャトルが見える(ブックレビュー)(1)

世間はオリンピック一色ですので、当ブログの記事も少しそちらに寄せた内容にしようかと思います。(というか、たまたま面白い本がでたので、ちょっとこじつけです(笑))

療育のことを忘れて、気軽に読める本です。
ところが、全部読んで内容をかみしめていると、あるところから、療育につながってくるのです。



時速250kmのシャトルが見える
著:佐々木正人
光文社新書

エリア―身体の延長しているところ、一瞬で知覚する広さ
 潮田玲子・バドミントン―空間を20分割して、シャトルを打つ!
 名波浩・サッカー―ゴールへの完璧なパスコースが光り輝く
 松下浩二・卓球―騙しあいの格闘技…卓球競技の本質

地面―疾走を支える外部エンジン
 朝原宣治・100m陸上―100mを10秒台で走るとはどういうことか
 鈴木亜久里・F1―F1ドライバーが見ている時速300kmの世界
 堀井学・スピードスケート―スケート選手は氷をどう捉えているのか
 皆川賢太郎・アルペンスキー―ポールは“縦への落下”でクリアする

空気―情報の埋め込まれた周囲
 鹿島丈博・体操―宙返り、離れ技、高難度…体操競技の本質
 澤野大地・棒高跳び―コンディションのいい日はポールが柔らかい
 船木和喜・スキー・ジャンプ―ジャンプは、飛ばずに「風」に乗る

水―硬軟、形、千変万化の環境
 寺内健・飛び板飛び込み―踏み切った瞬間、「入水ルート」が見えてくる
 武田大作・ボート競技―水と喧嘩せずにボートに従う
 武田美保・シンクロナイズド・スイミング―水面の硬さは、演技によって障子紙にもシルクにもなる

力―「隙」、「道」…直感で把握するタイミング
 吉田沙保里・レスリング―“隙間”ではなく隙“動き”。そこがタックルの「入り口」
 野村忠宏・柔道―相手の股下に背負い投げへの「道」が見える
 友綱親方・相撲―大相撲で闘うとはどういうことか


さまざまなスポーツで活躍する、日本を代表する超一流のアスリートたちに、「アフォーダンス理論」で著名な心理学者がインタビューするという一風変わった趣向の本。先月出たばかりの新刊です。

一見、自閉症療育とはまったく何も関係のない本です。
そして、中身を読んでも、恐らく95%以上の人には、療育とは完全に無関係のものと受け止められるかもしれません。

私にとっては、この本に書かれていることは、自閉症療育の(特に「自閉症の」療育にとって)究極の真髄に迫っているのではないかと感じられるものなのですが、その「直観」自体が間違っているかもしれませんし、ここではこの本を「療育に役立つから読んで下さい」とは書かないことにします。

その代わり、このレビューでは、私がこの本を読みながら、療育について考えたことを書くことにしたいと思います。

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2008年07月24日

PECSのアンディ・ボンディ先生の講習資料

法政大学の島宗先生のブログで、先日法政大学で行われた、PECSの創始者であるアンディ・ボンディ先生の講座の配布資料が公開されています

http://simamune.cocolog-nifty.com/nature_human_and_science/2008/07/post_2bde.html
自閉症とコミュニケーション:報告(自然と人間を行動分析学で科学する)

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2008年07月10日

マンガでわかる心理学(立ち読みレビュー)

心理学の本とか自閉症、発達障害の本は非常にたくさん出ています。
そのなかで、当ブログの「ブックレビュー」の記事は、実際に買って最後まで読んだものに限定して書いています。(そうでないと無責任だと思っているので)

ただ、書店で立ち読みの段階で「これはだめだ」と思って購入しないで終わらせてしまうものも多くて、そういった本はこれまでレビューを書いたことはありません。
ただ、そういった本のなかでも、当ブログを読んでくださっているような方が、「つい買ってしまいそうな本」については、「立ち読みレベルでしか読んでいません」ということを断ったうえで、なぜその本を「だめだ」と思ったのかについて書いておくべきかな、と最近思っています。

そんなわけで、「立ち読みしかしていない本の(原則として)批判的なレビュー」の記事を、今後ときどき書いていこうと思います。

今回はこちら。


マンガでわかる心理学-座席の端に座りたがるのは?幼いころの記憶がないのはなぜ?
著:ポーポー・ポロダクション
ソフトバンククリエイティブ
↑買うことを推奨しているわけではありませんが、「インデックス&入り口」としてアフィリエイトリンクを貼っておくことをご容赦願います。
 このリンクからAmazonに入って、この本以外の他の本を買っていただくと、当ブログからの紹介扱いになりますので、そういう風に使っていただければ幸いです。


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2008年06月09日

自閉症児のためのTEACCHハンドブック(ブックレビュー)

TEACCH必携書。


自閉症児のためのTEACCHハンドブック
(改訂新版 自閉症療育ハンドブック)
著:佐々木正美
学研ヒューマンケアブックス

第1章 TEACCHの基本理念と哲学
第2章 コミュニケーションへの指導と援助
第3章 学習指導の方法・構造化のアイディア
第4章 就労と職場での支援
第5章 余暇活動・社会活動の指導と援助
第6章 高機能自閉症・アスペルガー症候群とTEACCH
第7章 不適応行動への対応

本書は、以前紹介したこともある、「自閉症療育ハンドブック」の改訂新版です。

「改訂」とはいっても、実際には相当なレベルで書き換えが行なわれていますから、佐々木先生が書いた新しいTEACCHの本だ、と言ってもいいのではないかと思います。

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2008年03月31日

心の哲学入門(ブックレビュー)

あえて「本記事」扱いで。



心の哲学入門
金杉 武司
勁草書房

はじめに――心とは何か?

序 章 「心とは何か?」という問い
 1 心についてどのように考えていけばよいのか?
 2 心の哲学の二つのテーゼ
 3 哲学的議論の方法

第1章 心の因果性
 1 心心因果と心物因果
 2 二元論と心の因果性
 3 心脳同一説
 4 機能主義

第2章 心と意識
 1 現象的意識とクオリア
 2 クオリア問題
 3 物的一元論からの再反論
 4 説明のギャップ
 
第3章 心の志向性
 1 志向性
 2 命題的態度
 3 志向性とクオリア
 4 志向性の説明

第4章 心の合理性
 1 合理性と因果性
 2 消去主義
 3 解釈主義
 4 不合理性

第5章 心の認識
 1 他我問題
 2 心と行動
 3 自己知
 4 自己知の説明

おわりに――結局のところ答えは出せるのか?

哲学の本です。
「また哲学の本か」という声が聞こえてきそうで、私もこのレビュー記事を、月曜日以外にアップする「サブ記事」にしようかどうか迷いましたが、あえて今回は月曜にアップする「本記事」の扱いにしました。

その理由ですが、「自閉症の本なら、もう数え切れないくらい読んだよ」という方には、そのまま自閉症の本を読み続ける前に、一旦脇道?にそれて、本書をぜひ読んでいただきたいと思っているからです。
本書は、自閉症の本を「より深く、より客観的に」読むために絶対に必要な、ある種の知識を与えてくれる本だと思っています。

この本を本記事扱いでレビューしようと思ったのには、実は、先日レビューした、とある自閉症の入門書?の内容が直接のきっかけになっています。

この本の内容にはさまざまな問題があると考えられるのですが、それを単に「この人の言ってることには賛成しかねる」というだけでは、「好みの問題」になってしまって議論としては弱いですね。

ですから、レビューの中ではさまざまな問題点を、具体的かつ論理的にいくつか指摘していったわけですが、「最大の大物」についてはあえて触れていませんでした

その大物というのは、

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2008年03月17日

よくわかる自閉症―「関係発達」からのアプローチ(ブックレビュー)

うーん・・・この本は「自閉症の本」ではないんじゃないだろうか。



よくわかる自閉症―「関係発達」からのアプローチ
著:小林 隆児
法研

序 章 本書を読む前に
第一章 「関係発達臨床」が生まれるまで
第二章 今なぜ「関係発達臨床」か
第三章 「関係発達臨床」の基本にあるもの
第四章 <自閉症の三大特徴①>対人関係の障碍を「関係」から読み解く
第五章 <自閉症の三大特徴②>コミュニケーション障碍を「関係」から読み解く
第六章 <自閉症の三大特徴③>偏った興味、こだわり行動、繰り返し行動を「関係」から読み解く
第七章 不可解な行動を「関係」から読み解く
第八章 「関係発達支援」で最も大切なこと

本書は、普段の判断基準に乗せれば、恐らく「読んでも紹介しない本」になるであろう本だと思います。
普段からいろいろな本を読んでいて、その中では自閉症や発達障害を扱ったものももちろん少なくないのですが、実際に当ブログでレビューしているものはその中の一部です。
基本的には、「肯定的に読めなかった本」は、文章を書くのがいろいろな意味で難しいので、レビューを書かないようにしています。

とはいえ本書の場合、先週の「図解 よくわかる自閉症」とのタイトルつながりで「レビューする」と書いたこともありますし、それなりに大きな影響力を持つ本になる予感もありますので、あえて記事を書くことにしました。

そんなわけで、今回の記事ははっきり言って肯定的なものではないです。それどころか、かなり攻撃的なものになってしまいました。
それをご理解いただいたうえで、ご興味のある方は読み進めてください。(とんでもない長文になってます。)

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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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←時間の構造化に役立つ電子タイマー製作キットです。
PECS等に使える絵カード用テンプレートを公開しています。
自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。

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