2010年04月21日

だまされ上手が生き残る~入門!進化心理学(ブックレビュー)

これはいまいち。どう考えても「科学」じゃない。


だまされ上手が生き残る 入門!進化心理学
著:石川 幹人
光文社新書

序 章 恐怖を手なずける
第1章 人間をうみだした進化の原理
第2章 遺伝子の生存競争
第3章 わかりあえないオスとメス
第4章 狩猟採集民の脳と心
第5章 人間は「協力するサル」である
第6章 文明社会への適応戦略----信頼の転換
第7章 現代社会の生きにくさにせまる
終 章 だまされ上手の極意

本書は、心理学の一カテゴリである「進化心理学」の入門書の形をとりつつ、最終的には「社会のなかで生きるようになったヒトは、『だまされやすく』なる方向に進化した」という仮説を展開していく、という内容です。

では、その「進化心理学」とはどんなものであるのかといえば、ヒトの行動や心のはたらきを、ダーウィン進化論(突然変異と淘汰、世代交代)で説明しようというもので、例えば本書には次のような例があげられています。

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2010年04月19日

行動科学で人生を変える(ブックレビュー)

面白い!石田氏はABA界のエンターテイナーだなあ。


行動科学で人生を変える
著:石田淳
フォレスト2545新書

人生は行動の積み重ね―まえがきにかえて
第1章 人生を変えるマネジメント手法
第2章 「物事が続かない」のは、なぜ
第3章 こうすれば続けられる
第4章 「続ける技術」の実践
第5章 ビジネスでの行動科学マネジメント(基本編)
第6章 ビジネスでの行動科学マネジメント(実践編)
第7章 行動科学マネジメントを応用
行動科学マネジメントの「続ける技術」を実践した方々の声!

当ブログ殿堂入りの「おかあさん☆おとうさんのための行動科学」(レビュー記事)の著者であり、恐らく一般には「続ける技術」という著書で最も有名な、ABAコンサルタントの石田淳氏の最新刊です。
出版元がわりとトンデモっぽい本も量産しているフォレスト出版で、(だからでしょうが)本書のタイトルも「人生を変える」とかなり大上段に構えたものになっていますが、中身を読んでみると、なかなか正統派の、行動分析のライフハック的応用の入門書に仕上がっています。

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2010年03月15日

自閉症スペクトラムの子どもへの感覚・運動アプローチ入門(ブックレビュー)

うまく使うなら、まずまずいい本です。私も買いました。


自閉症スペクトラムの子どもへの感覚・運動アプローチ入門
著:岩永 竜一郎
東京書籍

感覚処理とは
自閉症スペクトラム児の感覚調整障害
自閉症スペクトラム児の感覚識別機能の問題
自閉症スペクトラム児の運動面の問題
感覚・運動面のアセスメント
感覚処理障害のアセスメントから支援計画までの流れ
感覚識別の問題と姿勢運動・プラクシスの問題に対する感覚統合療法
感覚調整障害に対する訓練室でのアプローチ
感覚調整障害のある人の生活支援
感覚統合療法の効果
体性感覚刺激を使ったコミュニケーション指導
身体への感覚刺激を好子(正の強化子)として用いる
特別支援教育における感覚処理障害への理解と対応
学校の中での感覚統合指導
医療行為における感覚面への配慮―歯科治療における配慮
まず以下のレビューの前提として、私は感覚統合について、「理論そのものは信用できない。療法についてもEBM的には有効でない可能性のほうが高そうだ。ただ、自閉症の人の感覚上の問題に着目している視点は評価できるし、実践面には実用性(感覚上の問題への対症療法的として安心感を与えたり、障害が重く反応性が弱い子どもに適した遊びを提供するなど)もあるので、実践のヒントとして知っておくのは悪くない」といった評価をもっています。

感覚統合療法へのEBM的評価としては、ネットで閲覧できる日本語のものとして、「オーストラリア自閉症早期療育エビデンス・レビュー(2006)」があります(こちらのエビデンスレビューでの感覚統合療法の有効性への評価を、このエントリの最後に引用しました)。

さて、岩永氏といえば、花風社の「続・自閉っ子、こういう風にできてます!」や「続々・自閉っ子、こういう風にできてます!」で登場する「感覚統合療法のスゴイ先生」として有名になりましたが、私は、これらの本をかなり低く評価しています(リンク先のブックレビューを参照ください)。

これらの花風社の本では、岩永氏は「ニキさんの/藤家さんの問題はなんですか?」と聞かれて「前庭覚の調整が・・・」とか「固有受容覚が・・・」といった謎めいた「感覚統合用語」で断定的に診断したり、あらゆる自閉症の問題を感覚統合理論で「解釈」する(しかもそれが「解釈」ではなく「事実」であるかのようなニュアンスで語られる)、「感覚統合で自閉症の問題をバリバリ解釈し、解決するスーパーマン」のように描かれています。
過去に書いたブックレビューを読んでいただければ分かるように、これは漠然とした「印象」ではなく、本の記述として、実際にそういう断定的なニュアンスで発言していることになっています。

ですので、この本も最初に手にとったときには、「感覚統合に心酔している先生が、ひたすら感覚統合理論を振りかざす本なのかなあ」と思っていたのですが、実際に読んでみて、その点についての印象は180度変わりました。
そこに現われていたのは、上記の花風社の本での印象とはまったく異なる「謙虚でEBM志向な」岩永氏の姿でした


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2010年03月08日

ライブ・自閉症の認知システム (10)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。


Slide 11 : 環境との相互作用モデル:自閉症の場合(図)


Slide 12 : 一般化障害仮説

さて、それでは、このモデルを自閉症にあてはめると一体どうなるのか、今後はそれを見てみましょう。
自閉症の人は、このモデルのなかで、「一般化処理」の部分の能力が、「抽出処理」と比較して弱くなってしまっているのではないか、と私は考えています
先ほどもいくつか例をあげてご説明しましたが、こう考えると、さまざまな自閉症の問題を、うまくまとめて説明できるんじゃないかと思っているのです。

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2010年03月01日

ライブ・自閉症の認知システム (9)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。

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Slide 9 : 環境との相互作用モデル(図)

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Slide 10 : 環境との相互作用モデル:キーワード

かなり話が込み入ってきましたので、ここで、いまお話ししたことを図に表してみます。
この図を見ながら、私たちと自閉症の人の認知システムがどう違うと考えられるのかについて、もう少し詳しくみていきましょう。

さて、この図は、私たちが身の回りの環境とどのように関わり、その経験をどのように知識として蓄えていくのか、ということについてのモデルです。
自閉症の人のモデルではなくて、私たち自身のモデルだというところを間違えないようにしてください。また、「モデル」であって、脳のなかが物理的にこんな風に分かれているということでもない、ということにご注意ください。このモデルは、あくまでも脳の情報処理のしくみを分かりやすく説明するための便宜的なものです。
図の上のほうが私たちの脳やからだを表していて、下のほうが私たちがかかわる外の世界、つまり「環境」を表しています。

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2010年02月22日

代替医療のトリック(ブックレビュー)

本気で療育に取り組む人、科学的リテラシーを高めたい人にとって、必読の書と言えるでしょう。


※左は楽天Books、真ん中がAmazon、右は1200円で買える原書です。
※いくら待ってもAmazonの在庫が戻らないので、楽天Booksをご紹介することにしました。楽天Booksも送料無料ですので、ぜひご利用ください。また、原書が読める方なら訳書の半額で買えますので、こちらもどうぞ。


代替医療のトリック
著:サイモン シン、エツァート エルンスト
訳:青木 薫
新潮社

第1章 いかにして真実を突き止めるか
第2章 鍼の真実
第3章 ホメオパシーの真実
第4章 カイロプラクティックの真実
第5章 ハーブ療法の真実
第6章 真実は重要か?
付録 代替医療便覧
 アーユルヴェーダ
 アレクサンダー法
 アロマセラピー
 イヤーキャンドル(耳燭療法)
 オステオパシー(整骨療法)
 キレーションセラピー
 クラニオサクラル・セラピー(頭蓋オステオパシー)
 クリスタルセラピー
 結腸洗浄
 催眠療法
 サプリメント
 酸素療法
 指圧
 神経療法
 人智学医療
 吸い玉療法(カッピング)
 スピリチュアル・ヒーリング(霊的療法)
 セルラーセラピー
 デトックス
 伝統中国医学
 ナチュロパシー(自然療法)
 バッチフラワー・レメディ
 ヒル療法
 風水
 フェルデンクライス法
 分子矯正医学(オーソモレキュラー)
 マグネットセラピー(磁気療法)
 マッサージ療法
 瞑想(メディテーション)
 リフレクソロジー(反射療法)
 リラクセーション
 レイキ(霊気)
より詳しく知りたい読者のために

※とても大切なポイント

たぶん議論のポイントはここにしかないので、最初に指摘しておきます。
EBM(根拠に基づいた医療)で検証されるのは、「ある治療法の理論や効くメカニズム」ではなく、シンプルに「その治療法に効果はあるか、副作用はないか」です

ある代替医療がどんなに科学的に検証できない・否定されるような理論を前提にしていても、EBMではそこにはあえて注目しません。
EBMで検証されるのは、「科学的に説明できなくても、実際に効くんだ」という代替医療の主張の、まさに「実際に効く」かどうか、そちらの側面です。

ですから、「理論はおかしい(または不明だ)が、効果は確認できた」という療法があった場合、EBMでは「有効性が実証された」という評価になります。
逆に、ある代替医療がEBMによって否定されたという事実があった場合、それは「効くメカニズムが非科学的だ」という否定ではなく、「効かないからお金のムダ」ということが実証されてしまった、ということなのです。

代替医療側の人の反論がほぼすべて「科学で解明できないこともある、でも現実に効く人がいるんだ」になっていますが、EBMで否定されるということは「理論やメカニズムは知らないけど、とにかく実際にやっても効かないことが実証されちゃったよ」ということですから、それでは反論にならないわけですね。
EBMに対して反論したいならば、統制実験や疫学的研究といった、EBMの「効くかどうかの検証方法」を論破しなければならないのです。

さて、ここから本文です。

代替医療というのは、「通常(主流派)医療」と対の概念を成すもので、主流派の医療界が行なわないような医療的介入を行なうものを総称して呼ばれるものです。
この中には、自閉症の療育でもよく話題に上がるような、ホメオパシー、キレーション、サプリメント療法、オーソモレキュラーなども含まれます。
それ以外には、はり治療やカイロプラクティック、ハーブ療法、指圧や整骨、デトックスなどもよく話題にのぼりますね。

本書は、こういった主流派医療の枠組みの外にある「代替医療」を、批判的に検証していくものです。

とはいえ、この本は「代替医療はけしからん」と頭ごなしに否定するものではありません
また、その代替医療が主張する超科学的な理論が怪しいからといって、そこで検証をやめてしまうものでもありません。

実は、本書の最大のテーマは代替医療批判にはなく、むしろ、

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2010年02月15日

脳は利他的にふるまいたがる(ブックレビュー)

「視点が提示されている」ところに、読む価値があります。



脳は利他的にふるまいたがる
著:村井 俊哉
PHP研究所

第1章 価値観の混乱の時代?
第2章 報酬が行動を決める
第3章 社会、この複雑なもの
第4章 他者の心を予測する
第5章 誰のために
第6章 身体が勝手にそうする
第7章 そうすべきだからそうする
第8章 死を思うこと
第9章 異なる「価値」の葛藤

最初に余談です。
既に各方面で評価の高い「代替医療のトリック」という本をレビューする予定でいるのですが、いつまでたってもAmazonの在庫が復活しません。
仕方がないので、代わりにというわけではありませんが、気軽に読めてちょっと新しい視点を持つことができる脳科学の一般書をご紹介します。(自閉症についての話題も一部登場します

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2010年02月08日

ライブ・自閉症の認知システム (8)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。


Slide 8 : 自閉症=「一般化」の障害であるという仮説

さて、先ほどのスライドの後半のお話のなかで、カンのいい方はもう気づかれたと思います。
私たちの脳の中に「一般化」という認知のしくみがあるおかげで、私たちは「ことば」を使うことができ、安定した世界を感じることができ、他人のこころを理解して社会性のあるふるまいをができるわけです。
だとすれば、その「一般化」というプロセスが、何らかの理由でうまく働かなかったとしたら、どうなるでしょうか?

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2010年02月05日

MMRワクチンと自閉症の関連を主張したランセット論文が完全に消えました。

既にこの問題にご興味をお持ちの方は恐らくご存知のとおり、MMR(三種混合)ワクチンと自閉症の関連を示唆した、専門誌ランセットに掲載された有名な論文について、その後の調査の最終的な結論として、ランセットはこの論文を完全撤回すると発表しました。

自閉症「ワクチン犯人説」、英医学誌が撤回
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100204-OYT1T01072.htm
 【ワシントン=山田哲朗】権威ある英医学誌「ランセット」は、はしか、おたふくかぜ、風疹の新三種混合ワクチン(MMR)と自閉症を関連づけた1998年の有名な論文を撤回すると発表した。
 論文自体はワクチンが自閉症の原因だと断定していないが、著者のアンドリュー・ウェイクフィールド医師が記者会見で関連を指摘、ワクチン「犯人説」が独り歩きして、接種を控える動きが世界に広がった。因果関係はその後の研究で否定され、共著者13人のうち10人は2004年に論文の結論を取り下げている。
 英医療当局が1月末、論文が対象とした自閉症児らの中に、予防接種の副作用被害の訴訟当事者が含まれていたことなど、数々の不正や倫理違反を認定した。このため、ランセット編集部は「誤りが明確になった」と撤回を決めた。(2010年2月4日19時53分 読売新聞)

原文を見てみましょう。

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2010年02月01日

ライブ・自閉症の認知システム (7)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。

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Slide 6 : 「知識とは」とは「一般化された経験」のこと

「一般化」という脳の情報処理のしくみが、子どもの発達過程のなかで演じる役割について、まずは「ことばの発達」という観点からお話ししました。

それ以外の「一般化」の役割ということでは、たとえば「安定した世界観を得ること」、これと一般化も関係しています

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2010年01月25日

ライブ・自閉症の認知システム (6)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。


Slide 6 : 「知識とは」とは「一般化された経験」のこと

前回、私たちは、過去の個別雑多な経験から、捨てるべき部分をうまく捨てて、重要なエッセンスだけを残す「一般化」をすることによって、将来に役立つ知識を学習するという、すばらしい能力をもっている、というお話をしました。

実はいま、非常に重要なことをお話ししています

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2010年01月04日

ライブ・自閉症の認知システム (5)

今回が、2010年、最初のメイン記事になります。
皆さん、今年もよろしくお願いします。

2010年は、昨年から続いているシリーズ記事のうち、昨年、石川にて行なった講演を、ダイジェストかつ再構成してお届けする「ライブ・自閉症の認知システム」で始めたいと思います。

slide 6
Slide 6 : 「知識とは」とは「一般化された経験」のこと

脳みそを少しかきまわしてもらったところで、こんどは私たちが世界をどんなふうに認識しているかということについて考えていきましょう。
たとえば私の目の前にはマイクとかコップとかがありますけど、なぜ私は、あるいは皆さんは、これがマイクだと分かり、これがコップだと分かるのでしょうか?

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2009年12月28日

ライブ・自閉症の認知システム (4)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。

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Slide 5 : 「こころ」をとらえなおす(続き)

「こころ」についてしっかり考えていくためには、端的には「念力問題」に現れるような、「こころ」に対する矛盾を何とか解決してやらなければなりません。

その矛盾を解消するための1つの道は、そもそも「こころ」という概念を使わないことです。

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2009年12月14日

ライブ・自閉症の認知システム (3)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。


Slide 5 : 「こころ」をとらえなおす

さて、私たちは普段から当たり前のように「心の教育」とか「こころを育てる療育」みたいなことを言いますけど、そもそも「こころ」ってなんでしょうか?

こういうことを考える学問を、心の哲学とか認知哲学といいます。
もちろん心理学についても、そもそも心理学というのは心の科学ですから、こころとは何かということについて考えることがすべての出発点になります。

そして、この21世紀に「こころ」について考えることは、そのまま「脳」について考えることにつながっていきます。
いまの時代を生きている人で、「こころ」を作り上げているいちばんの臓器が脳である、という意見に反対する方はほとんどいないと思います。

ここで、自閉症ともつながってきますね。

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2009年12月07日

自閉症・アスペルガー症候群のRDIアクティビティ 子ども編(立ち読みレビュー)

またもやこのパターン。


自閉症・アスペルガー症候群のRDIアクティビティ 子ども編 家庭・保育園・幼稚園・学校でできる発達支援プログラム
著:スティーブン・E.ガットステイン、レイチェル・K.シーリー
監訳:榊原 洋一
明石書店

「またもや」というのは、先日ご紹介したPRTの本「機軸行動発達支援法」と同じく、「以前に原書を買って持っている本が翻訳された(でも値段が高すぎて買えない)」というパターンだったからです。

ちなみに本書の原書は、以下のものになります。


Relationship Development Intervention With Young Children: Social and Emotional Development Activities for Asperger Syndrome, Autism, Pdd and Nld

この本は、最近では知る人も多い「RDI」という療育法をベースとした、「2歳から8歳までの子どもとのかかわり遊び(RDIではアクティビティと呼びます)」を集めたものになっています。
まあ、簡単にいってしまえば、「自閉症スペクトラムの子どもに特化した、かかわり遊び事典」です。

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2009年11月30日

ライブ・自閉症の認知システム (2)

このシリーズ記事は、先日、石川にて行なわせていただいた講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。


Slide 4 : 「心理学」の誤解を解く

自閉症についてお話しする前に、「こころ」と心理学について、しばらくお話ししたいと思います。

というのも、自閉症という障害がなぜやっかいかというと、いわゆる「こころ」に関する障害だからだ、というところが大きいからです。
自閉症は、目に見える体の障害でもないし、外から見て分かるような形で脳が損傷しているわけでもありません。
その人の中にある、目に見えない「なにか」がうまく働いていない、そういう障害なわけです。
そして、実際に働きかけるときも、その目に見えない「なにか」を意識して、それを支援したり伸ばしたりしていくことになるわけです。

この、目に見えない「なにか」のことを、一般的に私たちは「こころ」と呼んでいます

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2009年11月23日

ライブ・自閉症の認知システム (1)

このシリーズ記事は、先日(といってももう5か月たちますが)、石川にて行なわせていただいた2時間の講演の内容を、ダイジェストかつ再構成してお届けするものです。

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Slide 1 : 表紙

この講演では、内容が比較的高度なものになることが予想されたため、かなり詳細に準備を行ない、話す内容もスクリプト原稿としてすべて書き下ろして臨みました。その原稿の内容が、現時点での私の自閉症という障害についての考え方をコンパクトにまとめたものになっていると感じたので、今回、その原稿をベースにシリーズ記事を書き起こしてみることにしました。
なお、内容についてのすべての責任および権利は私にありますので、この内容について、いしかわTEACCH研その他私以外のところへのお問い合わせは絶対にやめてください。また、当日用意した原稿をかなり思い切って再編していますので、当該講演の内容との同一性や整合性についての保証も一切ないことをご了承ください。

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2009年10月19日

変革を定着させる行動原理のマネジメント(ブックレビュー)

ABAの優れた応用例です。



変革を定着させる行動原理のマネジメント―人と組織の慣性をいかに打破するか
著:中島 克也
ダイヤモンド社

第1章 なぜ、変革は続かないのか?
 多くの職場が直面する7つの悩み
 2つの根本原因とその処方箋
第2章 人の行動原理をマネジメントする
 人は「きっかけ」ではなく、「結果」で動く
 行動を促進させる・ストップさせる法則
 「望ましい行動」の回数を増やす法則(承認による行動強化)
 無理強いは絶対に長続きしない(脅迫による行動強化)
 ある行動を減らす法則(処罰による行動弱化)
 無視・無関心が行動を減少させる(無視による行動弱化)
 4つの行動結果を使い分けて部下を変える
 4つの行動結果を活用した会議の活性化
 行動の背景をつかむPIC/NIC分析
第3章 変革行動を継続させる5つのステップ
 「望ましい行動」を引き出し、定着させる
 ステップ1・成果と行動の特定化
 ステップ2・測定
 ステップ3・フィードバック
 ステップ4・承認
 ステップ5・飽き防止
第4章 人と組織の「慣性」をマネジメントする
 「慣性」が変化を押しつぶす
 「人の慣性」をマネジメントする
 「職場の慣性」をマネジメントする
 「会社の慣性」をマネジメントする)
第5章 自走する組織・チームのつくり方

ABAをビジネス場面で応用しましょう、という、これまでにも何冊か出ているタイプの本ですが、なかなか完成度の高い本です

コンパクトな中に理論から実践までが網羅されていて、ABAをビジネスに応用する本としての実用性は、もしかすると当ブログで過去に殿堂入りさせている「行動分析学マネジメント」より上かもしれません。

よくよく見てみると、表紙が「ABC分析」になっています(笑)。



ただ、「当ブログで」紹介する本としては、ちょっと厳しめに評価しておいたほうがいいかな、と感じるところがあって、それは、

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2009年10月12日

行動分析学を学ぼう-療育リテラシー最初の一歩(補足)

先日、「行動分析学を学ぼう」という記事を書いて、自閉症の療育をすすめるにあたっての「まず身につけたい基本的な考えかた」として、「内的モデルを介したトートロジー(同語反復)に惑わされないようになること」をあげ、そのノウハウを学ぶための近道として、ABAのベースにある「行動分析学」の基礎理論を学ぶことが有意義である、ということを書きました。

この「行動分析学的な考えかた」というのは、もちろん一般的な意味で、「いかがわしいものにだまされにくくなる」という効果があります。
ただ、前回の記事では、そこからさらに踏み込んで、なぜそれが特に自閉症の療育について重要なのか、という点についての説明が十分ではなかったように思いましたので、今回の記事で補足したいと思います。

なぜ、行動分析学的な考えかたが、何よりも「自閉症の療育」において重要なのか。

それは、

続きがあります・・・
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2009年10月07日

アスペルガー症候群(クイックレビュー)

うーん、これもまた・・・



アスペルガー症候群
著:岡田 尊司
幻冬舎新書

第一章 アスペルガー症候群とはどんなものか
第二章 アスペルガー症候群の症状はどのようなものか
第三章 アスペルガー症候群を診断する
第四章 アスペルガー症候群の脳で何が起きているのか
第五章 アスペルガー症候群が増えている原因は何か
第六章 アスペルガー症候群と七つのパーソナリティ・タイプ
第七章 アスペルガー症候群とうまく付き合う
第八章 学校や家庭で、学力と自立能力を伸ばすには
第九章 進路や職業、恋愛でどのように特性を活かせるのか
第十章 アスペルガー症候群を改善する

お金を払って本を買うときは、もちろんその本が素晴らしいものであることを期待して買って、それが自閉症関連の本の場合は、ぜひレビュー記事で皆さんにおすすめできれば、と思っているのですが、残念ながら、ここ最近、その期待は裏切られ続けています。

この本も、せっかく読みやすい新書で出た新刊なので、できればいい内容で皆さんにおすすめできるものだといいなあ、と思って買ったのですが・・・

続きがあります・・・
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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

fortop.gif当ブログの全体像を知るには、こちらをご覧ください。
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自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。

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