専門家によるトレーニングではない、「家庭の療育」「工夫のある子育て」としてのABAでは、この「新しい考えかた、見方を意識して、少しだけ子育てのやり方を変える」というところこそが最も大切なんじゃないか、そう思っています。
ここからは、実際の子育ての場面で、「ABA的な見方、考えかた」がどんな風に活かされるのか、それはよくある「内面モデル」とはどんな風に違うのか、そういったことを考えながら、具体的なABAのテクニック的なこともその中に織り交ぜる形でご紹介していきたいと思います。
ここで例として、目の前で突然パニックを始めたお子さんがいると想定します。何とかしなければなりません。
ここで、「この子は何を考えているんだろう」というところから問題の解決を図ろうとするなら、これは完全に「内面モデル」の考えかたです。
つまり、「いまこの子が考えていること=内面の動き」が、パニックという「行動」を引き起こしている、という構造を前提にものごとを考えていることになるからです。
では、「この子は何に困っているんだろう」あるいは「この子は何を伝えようとしているんだろう」ではどうでしょうか?
この視点は、そんなに悪くありません。ABA的思考法に慣れた後なら、こういう視点から問題を探っていっても迷うことは少ないでしょう。
でも、そうでない(まだABA的思考法に慣れていない)場合は、この問題設定もあまりよくありません。
なぜなら、このレベルだと、まだ簡単に内面モデルに移行してしまう可能性が残っているからです。
例えば、「何を困っているんだろう」「何を伝えたいんだろう」という問題設定は、「子どもが内面から発するメッセージを何とかして探ろう」という方向性に、簡単に変わってしまいがちです。そうすると「内面モデル」になってしまって、「目に見えないものを推測する」という困難なルートに乗ってしまいます。
では、ここで設定すべき「ABA的に適切な問題設定」とは、どんなものでしょうか?
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