2014年09月01日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(15)

こちらのシリーズ記事では、まんが「聲の形」で描かれた、聴覚障害者のヒロインに対するいじめの姿をとっかかりにして、福祉のある近代社会だからこそ生じる、新しいタイプの弱者いじめについて考えています。

かなりのんびりとしたペースで連載をしているので、議論の最初の方がだんだん見えなくなってきているようにも思います。

ですので、今回は、これまでの議論をいったん整理して、箇条書きでまとめてみるところから始めたいと思います。
(前回の記事で、この問題を解決するための最も重要な第一歩についても触れましたので、内容をいったんまとめるにはいいタイミングだと思います。)



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2014年08月25日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(14)

さて、本シリーズエントリでは、もともとの出発点だった、まんが「聲の形」からは離れて、簡単な数値的モデルを束って「福祉社会だからこそ起こるようなタイプの「障害者いじめ」とはどのような構造で発生するのか」について考えてきています。

前回までで、その「現象」の説明は終わったので、今回からはその問題に対する解決法、ソリューションについて考えていきたいと思います。

この「弱者いじめ」の構造、根っこにあるのは、弱者に対する「実際にはそんなに困っていないはずだ」という誤解です

その誤解があるために、社会から与えられる福祉が過剰であり、弱者は焼け太っており、既得権として「甘い汁」を吸っている、という「誤った認知」にいたり、さらにそこから「人はみな公平であるべきであるという「正義感」に基づいて、弱者に与えられた福祉的サポートを無力化するような私的制裁(リンチ、いじめ)が行われ、かつ正当化される、そういう流れがあるわけです。

では、この問題を解決するには、どうすればいいのでしょうか?
この答えは「弱者が困っている、苦しんでいることのリアリティを、正しく伝えて理解してもらう」こと、つまり、あえて陳腐な言い方をするならば、

社会の理解を深める

ことが、最大の解決法になります


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2014年08月18日

聲の形 第5巻(まんがレビュー)

ずっと追いかけていて、専用のブログまで作ってしまったので、もはや誰よりも「聲の形」について語っているブロガーの一人になってしまっている気がしますが(笑)、ともかく私にとって非常に大きな存在になっているまんが作品、「聲の形」の最新刊、第5巻です。


聲の形(5)
大今 良時
講談社コミックス



当初、障害者いじめをテーマに始まったこの作品ですが、巻を追うにつれて、「障害」だけにポイントを絞ったような話題はほとんどなくなり、登場人物それぞれが抱えるトラウマとコミュニケーション不全から生じるさまざまな摩擦、衝突、誤解、絶望、そういったものが織りなす群像劇の様相を呈してきています。

だからといって、物語のなかから「障害」が消えてなくなったわけではないです。むしろ、「障害」が投げかける「影」は、巻を追うごとに重く苦しいものになっていると言ってもいいのではないかと思います。

それは、2つの意味においてです。

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2014年08月04日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(13)

さて、前回の私的制裁(=リンチ、いじめ)の話で、「本当に困っている人」という概念が出てきました。
「本当に困っている人」まで、福祉を提供すべきではないと表立って主張する人は、ほとんどいません(心の中で思っている人はいるかもしれませんが)。
「本当に困っている人」にだけ必要な福祉を提供すべきである---福祉の「ばら撒き」に批判的な人は、多くの場合このように主張します。

そして、その主張の背景には、「現在は『大して困ってない人』が福祉を受けすぎだ」、あるいは「提供している福祉の量が多すぎだ」という認識があるのでしょう。
でも、その「福祉が多すぎる」という認識は、弱者がどれくらい困っているかを自分が勝手に判断して、その結果、「弱者の困っている度合い」を軽く見積もりすぎていることが原因で起こっている誤解かもしれない、というのが、前回までで書いてきたことの1つです。

さて、そのような「誤解」に基づいて、「本当に必要な福祉」だけが提供されるような形で福祉が削減されたらどうなるでしょうか。
それが、下記のグラフです。



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2014年07月28日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(12)

社会が弱者に対して段階的な福祉サポートを与えることが逆説的に引き起こす私的制裁(リンチ)について、書いています。

さて、弱者に福祉が提供される社会環境では、その福祉が過剰に多いと認知される、ないしはもともと「弱者」がそれほど困っていないと誤って認知されることによって、「弱者は福祉によって甘い汁を吸っている」「自分たちよりも楽して恵まれた生活をしている」という誤解を受け、さらにその結果として、その「社会によって与えられ過ぎている福祉」を無効化するような方向性での私的制裁(リンチ、いじめ)が生じる構造がありうる、ということを、いくつかのグラフを使って解説してきました。



この私的制裁は、「誤解された弱者の利得カーブ」に基づき、社会から提供される福祉利得がほぼゼロに帰すような量的レベルで課される、と考えることができます。(それは、私的制裁が「公正世界理念」に基づくペナルティだからです)
私的制裁のペナルティが、社会からの福祉を「全部」マイナスしない場合もあるかもしれません。それは、その私的制裁者が考える「本当に必要な最小限の福祉」だけが残されている、ということになるでしょう。
先のグラフでいうと、下の方にある社会福祉の茶色い太い実線と、赤くて細い実線がずれている部分、このずれの分が「私的制裁者が考える本当に必要な最低限の福祉」です。

さて、ここで問題は、この元々の「弱者の利得カーブ」が、誤った認知にもとづいている、という点です。

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2014年07月21日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(11)

さて、前回から、社会が弱者に対して段階的な福祉サポートを与えることが、逆にそういったサポートを受けている層への私的制裁(リンチ)を生むことがありうる、ということを、グラフを使ったモデルを示しながら説明しています。



既に何度か出ていますが、こちらが、そういう私的制裁を生むような社会の福祉構造の認知モデルです。「認知モデル」と呼んでいるのは、このグラフが実際(を反映させたモデル)ではなく、「そう思われている」というものであって、「実際」のものよりも弱者が「多くもらっている」という誤解を含んだグラフになっていることを示しています。

水色の実線がその「誤って認知された」利得のグラフです。
これを見ると分かるとおり、この「誤った認知」のベースでは、弱者は「もらいすぎ」です。(繰り返しますが、本当はそうではないのですが、そう誤って認知されている、というグラフです)
しかもこの「もらいすぎ」は、社会によって保障されているので、社会の側からは「是正」されることはありません。

こういったとき、「社会によって正義が実現されないのであれば、われわれが自分たちで実現する」ということで、不公正を正すために特定の人間や集団に対してペナルティを与えるのが、「私的制裁=リンチ」ということになるわけです。

次に示すグラフが、先ほどのグラフに「私的制裁」を加えたものになります。



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2014年07月14日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(10)

さて、前回は、社会が段階的な福祉的サポートを提供することが、以下のような問題を引き起こすということを、グラフを提示しながら解説してきました。



・弱者(当事者)にとって、「より弱者であるように振る舞う」あるいは「あえて弱者のままでいる」という悪しきインセンティブを与えてしまうこと。

・障害認定の段階が変わる境界近辺に位置付けられる弱者(当事者)にとって、「障害を軽く認定されることによって提供される福祉的サポートが減り、ぎりぎり重い側に認定された人よりも社会から得られる利得(=生きやすさ)が下がってしまうことがあること。

・相対強者(非当事者)にとって、弱者は自分たちがもらっていないサポートを受け取っていて「得をしている」「甘えている」といった錦をもってしまうことがあること。特に、弱者の「困っている状況」がうまく非当事者に理解されていない環境では、弱者の弱者性(困り度)が軽く見積もられ、いっぽう与えられている福祉的サポートは実態より大きく見積もられる(隣の芝は青い)傾向があるので、そういった妬みの感情はより強くなる傾向がある。


簡単にいうと、弱者の側に「既得権」っぽいものができあがってしまって、弱者は弱者でそれをできるだけ多く得続けるために「弱者でい続ける」インセンティブが働いてしまうし、弱者ではない非当事者からは、「あいつらは楽をしておいしい汁を吸っている、不公平だ逆差別だ」と見えてしまう、ということです。

さて、ここでようやく「いじめ」の話に戻ってきます。

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2014年07月07日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(9)

※このシリーズ記事ですが、タイトルを微修正することにしました。過去分のエントリについても、今後修正します。

さて、前回のエントリの最後で、下記の「福祉国家の利得モデル」のグラフについて、



段階的な社会福祉制度の導入によって、一部に「利得の逆転ポイント」が生まれる、という問題があることを指摘しました。



これは、実際によくある、「障害認定が軽い方になってしまったので(あるいは、障害認定がぎりぎりされなかったので)、もう少し障害が重い人よりも支援が少なくて苦しくなってしまった」といったケースが図示されていることになります。

こういう状況が起こると、大きく2つ問題があります。

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2014年06月30日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(8)

さて、前回記事からかなり時間があきましたので、改めておさらいから始めます。
このシリーズ記事ですが、当初、まんが「聲の形」のいじめ描写の話題から入りましたが、そこで得られたヒントを出発点に、現在はグラフを使った「障害者いじめの構造」の考察という段階に入っています。

そして、いくつかグラフを提示しつつ、前回記事の最後で提示したグラフが、こちらでした。



横軸が、個人が社会に適応できる力の強弱。(右ほど社会的強者)
縦軸が、その個人が社会から得られる利得の大小。(上ほど社会から多くが得られる)

政府の介入のまったくない弱肉強食社会では、この横軸と縦軸は比例関係になるはずです。
それが緑の点線で、この線で表現される利得グラフを「ベース利得」と呼びます。

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2014年06月16日

小ネタ:赤ちゃんの写真を撮るのに最適な格安中古コンデジ

当ブログは通常、月曜を更新日とさせていただいていますが、今週に限り、明日火曜日にエントリを更新させていただく予定です。

理由は、現在当ブログイチオシのまんが「聲の形」の最新刊(第4巻)が明日発売されるからです。


聲の形(4)
大今良時
少年マガジンコミックス

とはいえ、何も書かないというのもつまらないので、本来ならこちらのブログに書くようなガジェットネタ(ただし療育にもちょっとは関係ありそうなネタ)を1つ書いておこうと思います。

先日次女が生まれ、次女の様子を写真に撮る機会がまた激増しましたが、寝ている写真を撮るときなどは周囲が暗いことが多く、やはりスマホのカメラではレンズが明るくなく、シャッタースピードも遅いのでなかなかいい写真が撮れません。

とはいっても、レンズが明るい高級コンデジや、ましてや一眼レフなどは、子育てでバタバタしているときに持って回りたくないし、その辺においておいてさっと手にとって気軽に撮るには重厚すぎます。

というわけで、中古で数千円程度で買える格安クラス(中古として、です)のコンデジのなかで、子ども(赤ちゃん)の写真を撮るのに最適なものを選定してみました。

それが、こちらです。


IXY 30S
キヤノン

キヤノンのIXY 30Sです。
2010年5月発売のモデルになります。

このデジカメを子ども撮りでおすすめする理由は、以下の4つほどです。

1.レンズが明るい。
 F2.0という、高級コンデジに匹敵する明るいレンズで、フラッシュをたかなくても高速シャッターが切れます。暗いところで動き回るお子さんを撮るのに、これが何より重要です。

2.広角端が28mmスタート。
 これは「あまり広角過ぎない」という意味でいいということです。
 風景ではなく人物の写真をとるときは、24mmスタートなどの超広角スタートのコンデジはかえって使いにくいです。人を撮るなら28mmスタートのほうが断然使いやすいです。
 また、コンデジのレンズは広角端以外は暗くなるので、一番明るくておいしい焦点距離が24mmではなく28mmというのもポイントが高いです。

3.ハイビジョン動画が撮れる。
 まあこれはいまのほとんどのコンデジは撮れますが、今回はちょっと古いコンデジから選定したので、これも1つおさえておきたいポイントでした。
 やはり子どもの写真を撮っていると、時には動画で撮りたい、と思うときがありますので、そういうときに同じコンデジでさっと動画を撮れることはとても大事ですね。

4.安い。
 このコンデジ、私自身は、中古でちょっと状態の悪いモデル(傷が多い)を3980円で購入しました。
 うまく探すと、これくらいから見つかることがあります。
 高くても1万円以下では買えると思いますから、最新のデジカメに比べると非常に安いですね。

ちなみに私は、デジカメはいろんな場面で使い分ける派で、ふだんから複数のコンデジを場面ごとに使っています。

例えば、こんな感じですね。

・普段使いで、風景中心に撮るとき:CASIO EX-ZR100
・普段使いで、マクロ中心に撮るとき:RICOH CX-5
・普段使いで、雨が降っているとき:OLYMPUS μTOUGH-6000
・暗い場面で、ハイビジョン録画をするとき:Panasonic DMC-FX700
・「ダイナミックトーン」を気軽に使いたいとき:OLYMPUS VH-510
・超広角24mmが必要で、かつ荷物を最小限にしたいとき:CANON IXY DIGITAL 930IS
・一眼レフのお供に、本格的に使いたいとき:Panasonic DMC-LX3


だいたいどれも中古で買ったもので、数年以上前の機種ですなので、買った値段は非常に安いですが、それも目的に合わせて使うと非常にいい仕事をしてくれます。

今回のIXY 30Sも、以前から持っていましたが、いまいち「うまく使いこなす場面」を見つけられずにいたのですが、今回、新たに上記のラインナップに加わりました。

・暗い場面で、人物(子ども)を撮りたいとき:CANON IXY 30S

それでは、明日もエントリ更新する予定ですので、よろしくお願いします!
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2014年05月05日

プロチチ(4)(まんがレビュー)

残念ながら、打ち切り終了になってしまったようです。


プロチチ(4)
著:逢坂 みえこ
講談社 イブニングKC

アスペルガー症候群であるがゆえに、大学まではそこそこ順調だったものの社会人になって挫折の連続だった青年が、理解ある女性とめぐりあって結婚、子どもが生まれたのを機に主夫となり、障害特性をいい方向に活かして最高の父親(プロチチ)になっていく、というまんが。

始まった頃、アスペルガー症候群を題材にしたまんがを、実力派として知られる逢坂さんが描き、メジャー誌であるイブニングに掲載されるということで、ASD当事者(家族)界隈ではけっこう話題になりました。
私も、もともと逢坂さんのまんが(ベル・エポックなど)が好きで、期待してずっと追いかけてきました。


プロチチ(1)(2)(3)

それから、3年ほどにわたって連載が続いていたのですが、今回の第4巻で完結となりました。



ただ、ここ最近のこのまんがの動向をチェックしてみると、残念ながらこれは「打ち切り終了」ということのようです。
実際、本巻をみても、最後のほうで急にばたばたと話が展開して強引にハッピーエンド、といった雰囲気が強く感じられますし、これまでにいろいろ張ってあった(と思われる)伏線もほとんど回収されず、唐突感が否めません。

本巻の後半、「ラスボス」的な存在として主人公の母親が登場します。

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2014年04月28日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(番外編その2)

現在、このシリーズ記事では、週刊少年マガジンで連載中のまんが、「聲の形」の物語をベースにして、より一般的な支店から、障害者いじめ、障害者差別についての論考をすすめていますが、現在進行中の「聲の形」の連載の方で、関連する動きがあったようですので、現場に切り替えたいと思います。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC


それでは、現場、どうぞ。

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はい、こちら現場です。

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2014年04月21日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(7)

このシリーズ記事では、いま週刊少年マガジンで連載中の話題のまんが、「聲の形」をとりあげ、その中で主要なテーマ、モチーフになっている「障害者に対するいじめ」という観点から考察を加えています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

このシリーズ記事、とっかかりとしては「聲の形」を題材にしましたが、既に話題としてはまんがを離れていま。「聲の形」自体の話題については、別で展開している専門ブログ(笑)をご覧ください。

ブログ「なぞ解き・聲の形」

さて、グラフを使った説明を続けます。

前回触れたように、弱者が支援されず弱いままで生きることを強いられる「前近代的社会」は、弱者に対する一定の支援を提供することで、(福祉面について)「近代的社会」に生まれ変わります。


こちらが前近代的な「弱肉強食社会」のモデル。


それに、このような「段階的福祉」を提供することにします。
前回も書いたとおり、3段の階段状になっているのは、このモデルで提供されている福祉が「重度」「中度」「軽度」の3段階認定制度によって実施されていることをモデル化しています。

このような福祉を提供すると、


グラフがこのように変わります。
弱者の側(左のほう)が、社会から得られる利得が底上げされることで、弱者にとってもある程度「生きやすい」社会が実現されているということが示されています。

ところで、このグラフには「嘘」があります

それは、

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2014年04月14日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(6)

このシリーズ記事では、いま週刊少年マガジンで連載中の話題のまんが、「聲の形」をとりあげ、その中で主要なテーマ、モチーフになっている「障害者に対するいじめ」という観点から考察を加えています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

単行本もよく売れているようですね。第3巻は、オリコンで週間セールスのベスト10に入っていました。

ところで、今回のエントリあたりからは、議論が「聲の形」のまんがそのものからは少し離れていきます。
「聲の形」自体の話題については、とうとうブログを別に作ってしまいました(笑)ので、ぜひそちらをご覧ください!

新ブログ 「なぞ解き・聲の形」

さて、前回のエントリの最後で、グラフのようなものをお見せしました。
今回のエントリからは、この図を使いながら、「聲の形」でも見られるような「支援を受けている弱者へのいじめ」の構造をひもといていきたいと思います。

前回お見せした図をもう一度掲載します。



この図は、「社会的な弱者が、その社会でどのくらい困っているか」を単純化して示したものです。

横軸は、ある社会に属する人が、その社会に対してどれくらい「適応し、力を発揮できるか」をプロットするための軸です。
簡単にいうと、この横軸で左にいけばいくほどその社会における「弱者」、右にいくほど「強者」である、ということになります。
障害があるなどの理由で、社会に適応することに困難を抱えている人たちは、この横軸で左側に集まることになります。

一方縦軸は、ある社会に属する人が、その社会からどのくらい利得を得られるか、やりたいことが実現できる、豊かな生き方ができるかをプロットするための軸です。
簡単にいうと、この縦軸で上にいけばいくほど「社会からたくさんのものを得られ、豊かで満ち足りた生活ができ」ていて、下にいけばいくほど「社会から得られるものが不十分で、健康で文化的な生活が脅かされ」るような状態にあることを示しています。
こういった、社会という枠組みのなかで、個人が得たり拠出したりする資源(リソース)の量が、縦軸にプロットされる、という言い方もできます。

ちなみに、その「リソース」のなかの最たるものは「お金」です。
もっとも乱暴に単純化すると、横軸の「社会適応力」に対して、縦軸は「そいつがどれだけ金を稼げるか」を示している、となりますが、さすがにこれは単純化しすぎで、縦軸については、お金以外のさまざまな物質的・インフラ的、さらには道徳・規律的な面での社会的支援やリソースも含まれます。

さて、説明が長くなりましたが、そういう目でもう一度この図を見てみましょう。

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2014年04月07日

サイドバーとブックレビューを、4年ぶりに更新しました。

はい、ずーっとさぼっていました。すみません。

当ブログは、現時点のトータルエントリ数が1160件あまりあり、あまりに膨大なため迷子になってしまうので、サイドバーのリンク一覧で原則すべてのエントリにアクセスできるように整備してきました。

ところが、2011年の7月以降、その更新作業をここしばらくやっていなかったために、最近のエントリについては追いかけて読んでいくのが非常に困難になっていました。

同じく、ブックレビュー一覧のエントリについても更新ができていなかったために、ここ数年のブックレビューエントリが迷子になってしまっていました。

今回、ようやくサイドバーのリンクとブックレビュー一覧のエントリをすべて更新し、あらためて、これまでのすべての記事にサイドバーからアクセスできるようになりました。
(作業に半日近くかかりました(^^;))

せっかくですので、今回更新によりサイドバーからアクセスできるようになった(もしくはより多くの記事にアクセスできるようになった)シリーズ記事等の主なものをご紹介しておきたいと思います。

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2014年03月10日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(5)

このシリーズ記事では、いま週刊少年マガジンで連載中の話題のまんが、「聲の形」をとりあげ、その中で主要なテーマ、モチーフになっている「障害者に対するいじめ」という観点から考察を加えています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

まんがの単行本も、いよいよ来週月曜日に3巻が発売されますね。
3巻は最後に驚きの展開が待っている(はず)ので、これまで2巻までお持ちの方はぜひ3巻も読んでいただきたいと思いますし、まだ読んでいない方は3巻発売を期にまとめて読むのもとてもいいと思います。ぜひ。

ところで、先週はこのシリーズ記事でまさに今連載中の「聲の形」の展開を話題にしましたが、そちらもまだ話が続いています。
いちおう、27話での植野のセリフはある程度露悪的なものだった、という整理で話が前に進んでいくようなので、そちらはそちらでこの先を見守っていきたいと思います。

さて、ここからは本論に戻りたいと思います。

今回、このシリーズ記事で着目しているのは、「聲の形」の小学生編でいみじくも示されているとおり、障害者(だけでなく、いわゆる社会的弱者と呼ばれる人たち)へのいじめのなかには、単に「異種の存在を排除する」といった「古典的」なものだけでなく、「弱者が公的に保護され支援されていることに対する『衡平化圧力』としての私的制裁」といったものがありうる、ということです。



それがどのようなものであるかということについては、前々回のエントリで箇条書きで書きました。
ここでは、その中身をもう少しシステマチックに見ることで、問題の構造を明らかにすると同時に、そのような「いじめ」を抜本的に解決しうる方法と、応急処置的に解決する方法についても、あわせて構想していきたいと思います。
その副産物として、障害について「社会の理解を深めていく」ことがなぜ必要なのか(そのことと、障害者への「いじめ」がどのようにつながっているのか)、ということについても1つの答えが出せるように思います。

そのために、このようなグラフを導入したいと思います。



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2014年03月03日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(番外編)

このシリーズ記事では、いま週刊少年マガジンで連載中の話題のまんが、「聲の形」をとりあげ、その中で主要なテーマ、モチーフになっている「障害者に対するいじめ」という観点から考察を加えています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

いよいよ第3巻の発売日が近づいてきました。第3巻の表紙のデザインもようやく公開されました。

ところで、このブログで考察をしている間にもまんが本編の連載は続いてストーリーは進展しているわけですが、ちょうどいま、第27話まできたところで、ここ最近はあまりストーリーにからんでこなかった「ヒロイン・硝子が受けた小学校時代のいじめ」の話題が改めて登場してきました。
それも非常に劇的な形で。

私も連載を読んでいて衝撃を受けましたし、まさにいまこのシリーズ記事で考察している内容にも対応するストーリーなっていたこともあり、マガジン発行日にこの話題について連続ツイートをさせていただきました。

なお、以下には第27話のネタバレを含みますので、単行本しか読んでいない方で、ネタバレを気にされる方はご注意下さい。
(ちなみに第27話は、単行本でいうと第4巻の中盤くらいに相当すると思われます。)

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2014年02月24日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(4)

このシリーズ記事では、いま話題のまんが「聲の形」をとりあげています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

現在週刊少年マガジンに連載中のまんがで、単行本は現時点で2冊出ており、3月17日には第3巻が発売される予定です。

さて、前回触れたような、「障害ある人を支援するためのさまざまな処遇(モノ・カネ・仕組み、そしてココロ)」、そして「私は他人と公平に、もしくは優遇されて扱われたい」という、誰もが持つであろう願望、さらには、「公的なシステムで裁かれない『不公平』は、私的に裁いて『正義』を実現するしかない」という、「いじめの論理」の1つのロジック(正当化)とが不幸に出会うと、どのようになるだろうか、ということを、これから考えていきたいと思います。

ただ、このあと、少し理屈っぽくなりますので、今回のエントリで結論から先に箇条書きで書いてしまおうと思います。

なお、ここで書いていることは、先週触れたような価値観から「障害者いじめ」を行う者が自らの行為を正当化するための理屈であって、私がこう考えているということでは決してないということはあらかじめ言っておきたいと思います。

<障害者いじめが正当化される、1つのロジック>



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2014年02月17日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(3)

このシリーズ記事では、いま話題のまんが「聲の形」をとりあげています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

現在週刊少年マガジンに連載中のまんがで、単行本は現時点で2冊出ており、3月17日には第3巻が発売される予定です。

前回のエントリで、「いじめ」とは、「公的な制裁システム」でカバーしきれない「不公平、アンフェアネス」を衡平化するための私的制裁システムであるということ、そして、「障害者へのいじめ」として考えられる構造には2つあり、1つは「よく分からないものを怖れ、忌避する」「異物を排除する」といった、ある意味昔からよく言われているような「単純な構造の」いじめ、もう1つは、「福祉による処遇を無効化させようとするいじめ」である、ということを書きました。

今回は、この2つめの「いじめの構造」について、考えていきたいと思います。

では、「福祉による処遇を無効化させようとするいじめ」とは、どんなものでしょうか?






それはつまり、このようなものです。

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2014年02月10日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(2)

このシリーズ記事では、いま話題のまんが「聲の形」をとりあげています。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC

現在週刊少年マガジンに連載中のまんがで、単行本は現時点で2冊出ており、3月17日には第3巻が発売される予定になっています。(Amazonでは予約受付中になりました。)


さて、前回の記事で、「いじめ」とは「公的な制裁システム」でカバーしきれない「不公平、アンフェアネス」を衡平化するための私的制裁システムだと考えられる、ということを最後に書きました。

そう考えると、「障害者いじめ」とひとくちにいっても、実はその中に2つの種類があるのではないか、ということに思い当たります。

まず1つめは、「よく分からないものを怖れ、忌避する」「異物を排除する」といったニュアンスの、ある意味昔からよく言われているような「単純な構造の」いじめです。

まんが「聲の形」では、主人公の石田は、どっちかというとこのニュアンスで硝子をいじめていたように描写されています。
彼は硝子のことを「西宮星人」と呼び、周囲となじまない「異物」として、自らのいじめを正当化します。(それが彼が(彼だけが)その後孤立し、いじめの被害者に転落していった遠因となっていると私は読みといています)。



これに対して、もう1つの「障害者いじめ」の構造として、

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