2006年12月21日

幼児期の療育を考える(25)

2) どんな療育をすればいいのか?

私たちから見て「何から手をつけていいか分からない状態」というのは、子ども自身からみるとどんな状態だと考えられるでしょうか。
それは恐らく、「(自分のおかれている状況が)何が何だかわからない状態」だと言っていいのではないでしょうか。

ヒトに限らず生物というのは、生きていくために必要な環境に対する働きかけをどん欲に学習していきます。例えば、エサがあるところには近づきますし、敵と味方を区別して違う対応を取ったりもします。自分に利得を与えてくれる存在(親や仲間)がいれば、積極的に働きかけてその「利得」を最大限に得ようともするでしょう。なぜならば、それが生き残りのために絶対に必要なスキルだからです。

ところが、子どもが外から見て「何から手をつけていいか分からない状態」にある、ということは、こういった最も基本的な生物の活動状態にさえまだ至っていないと判断せざるを得ません。
なぜこのような原始的な活動すら、自閉症児は阻害されてしまっているのでしょうか?

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2006年12月20日

幼児期の療育を考える(24)

今回からは、実践編です。私が考える、幼児期の自閉症児むけの家庭での療育について考えていきたいと思います。

4.最初の目標-環境とのかかわりの足場をつくる

1) 私の経験から

今から2年半ほど前になりますが、2歳前の自分の娘が「おそらく自閉症だ」と気づいて、何とか療育を始めようと思ったとき、私は、娘がまったくこちらからの働きかけに反応しない、こちらのアクションを受け入れないことに途方にくれました。

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2006年12月15日

幼児期の療育を考える(23)

g) 具体例で考えてみる

以上が、私の考える、自閉症本を読むときに求められる、「批判的な読み方」です。
分かりにくいかもしれませんので、最後に具体的な例を示しておこうと思います。

例えば私が、「○○メーカー製の消しゴムには自閉症の有効成分が入っている」と主張して、その消しゴムを自閉症児の額に当てて1時間呪文をとなえる、という療育法を編み出したとしましょう(もちろん、こんなものはデタラメに決まってます)。
そして、その療育法を100人に実施したら、1年後に半数もの子どもの発達指数が向上したとします(実は、半数が向上して半数が下がるのは当たり前)。
私は、この療育法を実施した親御さんにアンケートはがきを送り、療育の効果を確認しました。
すると30人から返事があり、うち「良くなった」という反応はなんと25人にのぼりました。(こういうアンケートは「良くなった」と思う人しか返してこないものです

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2006年12月14日

幼児期の療育を考える(22)

「本を読むときに注意したいこと」の続きです。

d) 不適切なサンプリングや評価方法に基づく数字を誇示していないか。

「全体に対する成功率」が載っていたとしても、まだそれだけでは不十分です。
例えば、ある商品について「商品アンケートはがきを返信してくれた人」をベースに「満足度」を計算した場合、そもそも「アンケートに返事をしてくれた人」というのは、多くの場合、効果があって喜んでいる人でしょうから、見かけの「満足度」が高くなってしまいます。(効果がなかった人の多くはアンケートに返信したりしません)
療育の評価の基準が「親から見て改善があったと感じた人の数」だったりする場合も、多くの親はそもそも最初から期待を持って療育を受けさせているのであり、「こんなに療育をがんばったのだから効果があって欲しい」という願望も持ちがちであることから、実際には変化がなくても、「良い効果が出ている」と感じる場合がしばしばあります。

このように、一見、統計的に正しそうなやり方で「素晴らしい効果がある」といった内容が紹介されている場合も、眉に唾をつけてじっくり検討しなければならないのです。


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2006年12月12日

幼児期の療育を考える(21)

3)本を読むときに注意したいこと

医療の場においても、心理の場においても、自閉症児の療育の専門家の数は極めて限られており、需要と供給のバランスは非常に悪いものになっています。どの専門施設も専門医も予約でいっぱいで、数か月待ちはザラです。
ですので、療育について専門家の先生にかっちり付いてもらって、家庭での療育メニューまで含めた詳細なアドバイスを継続的に受けられるという恵まれた状況はほとんど期待できません。

必然的に、家庭での療育の多くの部分について、親御さんは本などによる独学で学び、応用していくことが求められます
幸い、現在では多くの優れた自閉症児のための療育入門書が手に入りますので、本を読むことで家庭での療育を進めていける程度の知識を身に付けることは十分に可能です。
ただし、こういった本を読むことは推理小説や雑誌を読むこととは少し意味が違います。私たちは療育の素人ですが、療育に関する本を読むときは、あたかも療育の専門家であるかのような態度(つまり、一歩引いて書いてあることの妥当性を吟味する態度)をとらなければならないのです。

ここでは、療育についての本を読むときに求められる基本的態度について、簡単にまとめておきたいと思います。

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2006年12月11日

幼児期の療育を考える(20)

自閉症の療育技法の中で、検討する価値のあるものを順に紹介しています。

e.ソーシャルストーリーとRDI

ここで紹介する2つの療育法は、基本的な生活スキルやことばに比較的問題の少ない、知的能力の高い自閉症児(アスペルガー症候群のお子さんなど)に対して、最後まで残るとされる大きな困難である「社会性の障害」に対して強く働きかけようとする療育法です。

ソーシャルストーリーというのは、自閉症児がうまく対応できない対人場面などに対して、マンガの一こまのような吹きだしつきのイラストを作ったり、電話応対のマニュアルのような会話例(スクリプト)を作ったりして、「この場面はどんな意味を持っていて、そういう場面に出くわしたらどんな風にふるまえばいいのか」を教える療育法です。
自閉症児が苦手な、目に見えない社会のルールや適切な話し方を、イラストやスクリプトの形で視覚化することで子どもに理解と気づきを与え、あわせて事前のロールプレイなどによってその対応を「練習」しようとする方法だと言えるでしょう。

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2006年12月10日

幼児期の療育を考える(19)

自閉症の療育技法の中で、検討する価値のあるものを順に紹介しています。

d.感覚統合

感覚統合というのは、体のさまざまな感覚器からの感覚「入力」が脳で「統合」され、筋肉の運動として「出力」される、という脳の「情報処理」を仮定し、この情報処理の流れがうまくいっていないのが自閉症などの障害を生んでいると考え、この「感覚入力」→「感覚統合」→「運動出力」の流れが適切になるよう働きかける療育法です。

具体的には、体育館にあるような遊具(マット、ブランコ、トランポリン、バランスボール、ボールプール、etc.)などを使って遊ぶことによってバランス感覚や皮膚感覚にたくさんの適切な刺激を与え、その刺激に対応して適切に体を動かす粗大運動スキルをあわせて伸ばすといった療育を行ないます。
非常におおざっぱに言えば、「体育遊具を使って大人と一緒に遊ぶこと」を中心とした療育法です。

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2006年12月08日

幼児期の療育を考える(18)

自閉症に対する有効な療育技法を順にご紹介しています。

c.PECS(絵カード交換式コミュニケーション法)

PECSは、ABAの知見に基づき、自閉症児のために考案された、絵カードを使ってコミュニケーションを教える療育法です。

PECSの基本はとてもシンプルです。
子どもが何か欲しいものがあるとき、その「欲しいもの」に対応する絵カードを手にとり、それを「欲しいもの」を与えてくれそうな人に渡すことで、「欲しいもの」を手に入れるという手順を教えるのがPECSの基本です。
もっと簡単にいえば、子どもは「ジュースカード」を親に渡すことで、親からジュースをもらうのです。

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2006年12月07日

幼児期の療育を考える(17)

自閉症児の療育に高い効果を上げることができるABA(応用行動分析、行動療法)ですが、より細かく見ていくと、ABAと呼ばれる自閉症児むけの療育プログラムにもさまざまな「流派」があります。

特にここで触れておくべきだと思われるのは、ABAに基づく療育法の中でも、週20~40時間、2年間以上という極めて高密度な介入を2~3歳という幼児期に行なう「早期集中介入」とか「高密度介入」などと呼ばれる手法です。
この手法は、今から20年あまり前に、アメリカUCLAのロヴァース博士によって開発された手法であり、その名をとって「ロヴァース式」「ロヴァース法(メソッド)」などと呼ばれたりもします。
現在ではいくつか派生系の療育法も存在しますが、どれも、3歳以下の自閉症児を主な対象として週20時間以上という長時間のABA療育を行なうという共通点を持っています。さらには、これらの療育法には熱狂的な「ファン」がいて、他の療育法に対して極めて否定的・排他的な傾向が強いということも特徴だと言っていいかもしれません。
このタイプのABAはTEACCHに対して明確に否定的な立場をとり、「普通の環境」の中で、子どもをできる限り「普通」にするという、TEACCHとはまったく逆の目標を設定するのが一般的です。

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2006年12月05日

幼児期の療育を考える(16)

自閉症に対する有効な療育技法を順にご紹介しています。

b.ABA(行動療法・応用行動分析)

TEACCHが療育の「枠組み」であるとすれば、ABAは具体的な療育の「実施技法」であるといえるでしょう。両者は本質的には対立する概念ではありません。TEACCHでは、TEACCHの理念に合致した療育メニューを、ABAの理論(行動理論)に基づいて実施しています。
ただし、ABAにはTEACCHとは違ってさまざまな「流派」があり、中には明確にTEACCHの療育観を批判する立場に立っているものもあります。このあたりも後で書きたいと思います。

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2006年12月04日

幼児期の療育を考える(15)

自閉症児の療育法の1つである、TEACCHについて続けたいと思います。

ところで、TEACCHというのは簡単にいえば「自閉症児の特性にあわせた療育をしましょう」という考え方ですので、逆に考えるとTEACCHの考え方に立たない療育法なんて存在するんだろうか?と考えてしまうかもしれませんが、そのような考え方も実際に存在します。

TEACCHの考え方に立たない療育観というのは、典型的なものとしては「健常児と同じように普通の社会生活を送ることを最初から目指すべきだ」という考え方でしょう。
そういった考えによる1つの意見としては、TEACCHの療育で用意されるような「特別に配慮された環境」は現実の社会にはどこにもないのだから、そういった環境で学んだことは現実社会で応用しにくく、また、TEACCHで学んだ自閉症児も結局最後は複雑な現実社会に出て行くのだから、特殊な環境で療育するのは非効率的だ、といったものです。
ですから、そういった療育観から生まれる療育法というのは、「普通の子どもの中に放り込んで普通の生活を送らせながら、遅れている部分を、TEACCH的でない、実社会と同様の複雑さの中での療育によって追いつかせる」といったものになるでしょう。

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2006年12月01日

幼児期の療育を考える(14)

2) 自閉症児の療育に有効な療育法

自閉症児の療育法にはさまざまなものがありますが、ここでは本のタイトルになるくらい一般化して「○○法」と呼ばれているようなもののうち、実際に効果があると認められ、検討に値するものをご紹介します。
実際には、これらのどれか1つだけを勉強し、それだけで療育するというのは現実的ではないでしょう。無節操な「いいとこどり」は良くありませんが、それぞれの療育法が持つ特徴と目指すものを十分に理解し、適切に組み合わせ、さらには自分の子どもに合ったメニューを独自に開発するといったことが求められるのではないかと思います。

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2006年11月30日

幼児期の療育を考える(13)

「避けるべき療育法」、くどくなってきましたが(笑)、最後の1回です。

f.親や子に著しく過大な負担を強いるもの

これは、特に「親の負担」という点については異論があるかもしれません。
多くの親御さんは、「自分が苦労して子どもが何とかなるなら、何だってやる」と考えているのではないでしょうか。もちろんその真摯な親心は正当なものであり、否定されるものではありえません。

ただ指摘しておかなければならないのは、どんなに大変な療育法であっても、それによって確実に子どもが劇的に良くなるという保証はないということです。
私の実感としては、親の苦労を2倍、3倍と増やしていったとしても、平均的な子どもの「伸び」は、せいぜい1割、2割といったペースでしか改善していきません(平均ですので、もっと伸びることもあれば、ものすごく苦労したのにほとんど成果が上がらない場合もあるでしょう)。それだけでなく、負担の大きさに負けて途中で療育に挫折した場合、通常の療育をマイペースで続けていた場合に比べてもより悪い状態へリバウンドする可能性も小さくありません

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2006年11月29日

幼児期の療育を考える(12)

さらに、「避けるべき療育法」の続きです。

e.観念的で具体的な理論の裏付けのないもの

かつて、自閉症というのは原因もわからず、どう対処していいかも分からない障害でした。
そういった時代に生まれた療育法は、自閉症の原因を親の愛情不足や子どもの心的葛藤などに求め、無条件の愛情を与えることや、子どもの「心の傷」を癒すこと、子どもに「共感すること」、ひたすら語りかけることなどによって子どもの情緒改善を目指すものが多かったのです。

現在では、自閉症の原因は何らかの脳の器質的障害に起因するということがほぼ確実になっており、TEACCHやABAといった科学的裏付けと実績をあわせ持った効果的な療育法も生まれてきています。

しかしながら、こういった最新の自閉症研究には背を向け、あえてかつての「古い」療育法にこだわり続ける臨床家の先生もいらっしゃいます。
長く続いている療育法にはそれなりの実績の裏打ちがあるから続いているのだ、という考え方もあるでしょう。
しかし、自閉症児療育に関する限り、残念ながら「古い」療育法には価値がない、と言い切ってしまって構わないのではないかと私は思います。

では、なぜ一部の「古い」療育法が生き残っているのでしょうか?

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2006年11月27日

幼児期の療育を考える(11)

「避けるべき療育法」の続きです。

c.宗教やオカルト

宗教の意義を否定するつもりはありません。
自閉症児と共に生き、長い療育生活を乗り切っていくためには、精神的な強さが必要です。
そもそも、自立した大人が精神的なよりどころを持つことは真に必要なことであり、その一端として宗教が果たす役割は極めて大きいものがあると確信しています。

しかし、宗教で自閉症は治りません
宗教に限らず、「科学で証明されない力や存在」、すなわちオカルトに頼って自閉症を治そうと考えてはいけません。
そういうものに頼ってしまうことは、療育のための限られた時間やお金を無駄なことに使ってしまうことであり、子どもの「伸びる可能性の芽」を摘んでしまうことでしかありません。

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2006年11月26日

皮膚感覚の不思議(ブックレビュー)

思いっきり期待はずれ。



皮膚感覚の不思議
山口 創
講談社ブルーバックス

第1章 触れる!
第2章 痛い!
第3章 痒い!
第4章 くすぐったい!
第5章 気持ちよい!
第6章 皮膚感覚と心

この本にはだまされました。
「皮膚感覚が『心』を育てる!」という帯の文句、アフォーダンス理論の「アクティブ・タッチ」の紹介、そして、名前だけは知っていても実物はどんなものか分からなかったテンプル・グランディン女史の発明した「締め付け機」の紹介などが載っていて、感覚統合療法にもページが割かれていることから、「新しい(より科学的な)感覚統合理論が載っているのかも」と期待して買ったのですが・・・

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2006年11月25日

幼児期の療育を考える(10)

ちなみに、この「避けるべき療育法」のカテゴリ(「自閉症『治療』」を目的とする薬物療法・外科手術・サプリメント療法)に属する典型的な療育法としては、キレート療法三角頭蓋手術があげられるでしょう。

キレート療法(キレーション、水銀排泄療法、重金属排泄療法、デトックス療法)とは、自閉症の原因を脳に蓄積した重金属(水銀など)にあるとし、それを体外に排泄するためにキレート剤と呼ばれるサプリメントを飲む、あるいは点滴するという療育法です。自閉症の原因が重金属にあるという証拠はなく、キレート剤によってさまざまな必須ミネラルも排泄されてしまうため、体内のミネラルバランスが致命的に悪化し、生命の危険に至るリスクを抱えています(死亡例も出ているようです)。
運良く?生命に別条がなくても、心身へのインパクトの大きいサプリメントを飲むことで、気づかないうちに脳や体にダメージを与え、飲まなければもっと改善したはずのお子さんの心身の状態を悪化させている可能性もあると思われます。

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2006年11月24日

幼児期の療育を考える(9)

3.療育とはどんなものか?

自閉症の療育には、「○○法」と名前がついて世間で広く行なわれているものだけでも、さまざまなものがあります。
それ以外にも、例えば私自身もいくつかの療育アイデアを開発して紹介していますし、そのような「小ネタ」的に紹介されているものまで含めれば、それこそ無数にあると言ってもいいでしょう。

具体的な療育法について詳しく書いていく前に、この章では、自閉症の療育法にはどのようなものがあるのかを全体として眺めて、その中でどんな療育法を選ぶべきかについて書いていきたいと思います。

が、実は、療育については、「どんな療育を選ぶか」よりも、「どんな療育を選ばないか」のほうがはるかに重要です。

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2006年11月23日

幼児期の療育を考える(8)

2)自閉症という障害と療育の意義

次に、「療育などの働きかけによって、何をどこまで伸ばすことができるのか?」という問題について考えます。

視覚や聴覚、記憶や学習のための基本ネットワーク構造といった脳の最も基本的な構造は、恐らく胎児の頃から生後2年程度で急速に発達・固定し、その後は変化する力(可塑性)を失っていくと考えられます。このような時期を「臨界期」と呼びます。脳をコンピュータに例えるとすれば、この臨界期までに作られるのは、「ハードウェアとしての脳」だと言っていいでしょう。
そして、自閉症というのは、恐らくこの臨界期までに構築される脳の基本構造の障害から生じるものだと考えられますので、そういう意味ではやはり「一生続く障害」であると言え、働きかけによって「完治」するものではないと考えられます。

その一方で、そのような基本構造以外の脳の要素、例えば環境から学習することや、さまざまなスキルを身に付けることのような広い意味での学習・社会適応能力は乳児期を過ぎても続き、むしろたくさんの経験を積むことによって一生発達を続けていきます。同じようにコンピュータに例えるとすれば、これらは「ソフトウェアとしての脳」の側面を表していると言えるでしょう。
こちらの能力についていえば、いくつになってもトレーニングによって発達・適応度の向上を図ることができます。それは自閉症児であっても例外ではありません

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2006年11月21日

幼児期の療育を考える(7)

自閉症の療育を考えるときに、私がとても大切だと思うのは、自閉症という発達障害は「量的なおくれ」ではなく「質的なおくれ」である、という視点です。
もちろん自閉症児も、療育を続け、年齢が上がるにつれて成長・発達してきますが、その発達のしかたは、必ずしも健常児のたどる道すじと同じものを「ゆっくりたどってくる」わけではなく、健常児とは異なった道を歩いて発達してくるのです。その発達の進みかたも能力によってまちまちで、特に対人コミュニケーション(社会性)やことばの発達は大きく遅れることが多いといわれています。

そして、残念なことですが、このような自閉症児が持っている「困難」は、一生を通じて消えることはありません。自閉症については、厳密な意味での発症機序も、障害の起こっている場所も、認知障害の詳細も分かっておらず、「治療」という意味においては現時点ではまだまだ手も足も出せない状況です。このことを突き詰めて考えると、自閉症というのがどんな障害なのかという疑問そのものが、厳密にはまだ解けていないのです。
本当に効く自閉症の治療薬・医学的治療法を開発すれば、恐らくノーベル賞は確実でしょう。

※このことを知っておけば、現時点で自閉症が「治る」と自称している治療法はすべて眉唾だということが理解できると思います。自閉症に関して「治る」と言ってしまうことは、その発言者が自閉症に関して無知であるということを判断する、もっとも簡単な指標だとさえ言えます。


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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。