2016年05月23日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(69)

さて、新居の間取りでもっともこだわったのは、前回までで触れたとおり、廊下がなく、階段もトイレも浴室もリビングから直接つながる構造でした。
なお、この間取りの採用によって、あるスペックが建物に要求されることになりますが、それはあとで書きます。

間取りに関して、次にこだわったのが、

2)法令で許される上限ギリギリまで広げた、広いグルニエ(屋根裏部屋)と固定階段

です。
住環境と広い駐車スペースにこだわって選んだので、買った土地は一種低層地域で、2階建以上の家は建てられません。
でも、一種低層地域であっても、一定の要件を満たす屋根裏部屋なら作ることができます。
具体的には、

・天井の高さが140cm以下
・面積が下の階(=2階)の半分以下


という条件になります。
逆の言い方をすると、最大で2階の広さの半分の広さのグルニエまでは作ってもいいということになるのです。

通常、グルニエというのは補助的な物置扱いで、作ったとしてもせいぜい2畳とか4畳程度のものがほとんどです。
また、グルニエのアクセスについても、利用するときだけ下ろすロフトばしごようなものを使う場合が多いですね。

でも、我が家は(というか、私が)ものすごくモノが多いので、グルニエを目一杯広くしようと考えました。
そのために、屋根の形や傾斜角度、家全体の高さや2階の間取り(柱の位置によってグルニエの自由度が変わるため)にまでこだわり、最終的に12畳オーバーのものすごく広いグルニエを作ることができました。

さらに、2階からグルニエへ、1階から2階と同じように固定階段で行けるようにしました。(そのために、階段の配置にも細心の注意を払って設計することになりました)
これで、「ほぼ3階建て」という2階建ての家を、合法的に建てることができました

ちなみに、この間取りを採用したことでも、建物に対して、2つの「あるスペック」が求められることになりましたが、それもあとで書きたいと思います。
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2016年05月16日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(68)

さて、新居の間取りを考えるときに、最初に私が決めたのは、

1)リビング内階段・リビングから続く水回りを含む、廊下のない1階。

ということでした。

これは、逆にそれまで住んでいた家には廊下があり、リビングと水回り・階段が廊下をはさんで分かれていたことで感じていた不便を解消するためでした。

すなわち、

・親が介助で寒い・暑い思いをしなくて済むように。
・娘がリビングのドアを閉め忘れるのを毎回注意しなくて済むように。


という2点が大きな理由です。

我が家では、娘がトイレにいくのにも入浴するのにも介助が必要です。トイレでは近くで見守って終わったら後始末や手洗いをサポートする必要があり、入浴については一緒に入る必要があります。

このうち、特にトイレについては1日に何度も発生するイベントなうえ、親はドアの外で待っていなければならないので、そこが玄関直結の廊下だと、夏は暑く冬は寒いです。
また、トイレの中も更衣室も、冷暖房が届かないのでどうしても夏暑く冬寒いです。

加えて、娘は気分にあわせて1階のリビングでくつろいだり2階の家族の個室に来たりとあちこち移動します。
さらに、下の娘をトイレやお風呂に連れて行くのが気になるらしく、いちいちトイレや更衣室まで様子を覗きに来たりします。
そのとき、しばしば娘がリビングから廊下につながるドアを閉め忘れるんですね。そして熱気や冷気が流れ込んできます。
そのたびに注意するのですが、家族にとっても本人にとっても気持ちのいいことではありません。

新居では、そもそもこういったことが起こらないよう、階段も、トイレも、更衣室〜浴室も、ぜんぶリビングにつなげました
これで、玄関からリビングにつながるドアは、外出するとき以外は開けないで済むことになり、また、トイレも更衣室もリビングの冷暖房が回り込むので暑さ・寒さから解放されます
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2016年05月09日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(67)

さて、家づくりで、建物のプランとして考えなければならないことは、

・建物の仕様(構造や断熱仕様、外壁、屋根、防火性能、防犯性能、耐震性能など)
・間取り
・設備の仕様(浴室、キッチン、トイレ、内装、照明など)
・外構(門塀、駐車場(舗装方法を含む)、駐輪場、玄関アプローチ、機能門柱(表札とポストとインターホンがまとまっている門柱)、植栽、物置など)


といったものになります。

このうち、何よりも最初に決まっていかないと話にならないのが、間取りです
間取りが決まって初めて、どんな大きさ・どんな形のキッチンが入るのか・使いやすいか、どの場所にどんな窓をどう配置するか、玄関アプローチと駐車場をどう配置するかなどが決められるようになるわけです。

というよりも、土地を買う時点で、その土地にどんな間取りを入れるつもりなのか(その間取りがちゃんと入るのか)がわかっていなければ、土地の売買契約を結んだあとで希望する間取りが入らなかったなんていう悲劇が起こってしまうわけですから、まずは何よりも、土地を検討している時点から本気で間取りを考えていかなければならないわけですね。

間取りのプランニング方法については、既にこれまでに書いていますから、ここでは実際に私が建てた家について、間取りを決めるにあたってこだわったポイントをまとめておきたいと思います。

1)リビング内階段・リビングから続く水回りを含む、廊下のない1階。

玄関を入るとすぐにドアがあって、そこを入るとLDKがあり、2階に上がる階段はそのリビングの中にある、という構造です。
同様に、洗面室やトイレ、浴室も(ドアはつけるものの)リビングから続いていて、玄関前の小さなホールを除いて、1階には廊下がない間取りにしました。

これは実は、娘の療育(生活支援)と大きな関係のある間取りプランです。
その点については次回エントリ以降で。
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2016年05月02日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(66)

というわけで、ようやく、建物の建築請負契約も終わり、残すところは間取りや建物の仕様の最終化、設備の仕様の決定といった、「建てる家の詳細を決めていく」作業になってきました。

間取りや建物の仕様(断熱仕様など)については、請負契約締結までに何度も打ち合わせを重ね、また、契約時の書面にも図面が添付されています(契約金額も、その図面に基づいて決められています)から、ここから先はどちらかというと微調整ということになります。
間取りや建物の仕様について、どんなところにこだわって決めていったかについては、このあとのエントリでも書いていきたいと思っています。

一方、設備の仕様については、この時点では間取りに影響を与えるようなものしか確定的には決まっておらず、大部分は契約締結後に最終化していくことになります。
具体的にいうと、浴室については、標準仕様の1坪サイズから、オプションの1.25坪サイズへのサイズアップは、契約締結までに決めました。当然ですが、浴室を1.25坪で設計して間取りに入れ込んでおかないと、あとで建物や間取りの形を変えなければならなくなってしまうからです。(そしてそれは、契約締結後だと断られてしまう場合もあります)
その一方で、浴室の内装を何色にするかとか、浴槽の形をどうするか、シャワーヘッドをミスト機能付きにするか、タオル掛けの位置をどこにするかといった、建物の構造・設計に影響を及ぼさなない「設備の仕様」については、契約締結後に続く「仕様決定の打ち合わせ」のなかで最終化していくことになるわけです。

そして、設備の仕様を決めるためにやらなければならないことがあります。
それが「ショールーム巡り」なのです。
ショールーム巡りについても、このあと(それ以外のことを先に書く予定なので、だいぶ後になってしまうと思いますが)書いていきたいと思っています。
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2016年04月25日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(65)

そんなわけで、ローンについてのゴタゴタの話がまとまらないうちに、建物の建築請負契約の時間になってしまいました。

とはいえ、これで話が頓挫した、というわけではありません。
分割融資やつなぎ融資(場合によっては系列ノンバンク経由になる場合もあるようですが)のできる銀行もあることはわかっていますし、ローンの審査についても、万一通らなかった場合には建物の契約を白紙撤回できる「ローン条項」というのが、建築請負契約にもついているのが一般的なので。

A社のモデルハウスに着き、契約手続き前の雑談のときに、相手方にこの話をしました。

「実は住宅ローンが最終一括融資オンリーだということが分かり、分割融資前提のAさんとは組み合わせられないということになったので、キャンセルの連絡を入れたところです。これから融資先を探し直すことになるので、ちょっと大変なんですが」

すると、A社から新たな提案がありました。

「そういう事情なら、こちらで社内と銀行とで調整して、支払いを最終一括とすることはできる。つなぎ融資も不要とできるかもしれないが、この部分については当社提携のつなぎ融資の利用もありうることは承諾してほしい」

これは、いいお話です。
改めていまからローン申込をするリスクを考えれば、間違いなくその提案に乗ったほうがいいだろう、ということで、その場で銀行に電話を入れ、ローンのキャンセルを撤回し、同じ銀行で建物のローンを組む(方向で今後、銀行、A社、私の3者間で調整する)ということになりました。
時間的にももう8時前でしたが、幸いローンの担当者と電話がつながったので、話を整理することができました。新しいローンの調整を始めてくれていた不動産業者にも連絡を入れました。

これで、ローンの心配がほぼなくなったので、安心して建築請負契約に進むことができます。
契約書については、本当は事前にもらっておいて読むつもりでしたが、前回訪問したときにその話をするのをうっかり忘れてしまっていたので、その場で慌てて読み込むことになりました。
といっても、業界統一の標準契約書が使われているということも確認し、個人的に一番気になっていた建築中の建物損害についての賠償責任の条項が特段不利に書かれていないことが確認できたので、契約の読み込みには10分も時間をかけず、契約締結に進みました。
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2016年04月18日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(64)

そんなわけで、家造りのパートナーはローコスト系ハウスメーカーであるA社に決まり、いよいよ建築請負契約締結の当日を迎えました。
諸々の事情があり、だいたい家づくりに関する契約を締結するときは土日ではなく平日が指定されます。この建築請負契約の締結もとある平日の夜に決まり、仕事を早めに切り上げて職場から直接モデルハウスに向かうことになりました。

ここで、この日の午後、たまたま土地の住宅ローンを融資してくれた銀行の融資担当者から電話で連絡がありました。
もともと、建物の融資もここでやってもらう前提で、この担当者からは2週間に1回ほど「建物の契約はどうなりそうですか」という電話が入っていて、この日も同じようなリマインダーの電話だったのですが、当然私の方からは「実は今日の夜に契約を締結することになりましたので、今後の手続きについて教えてください」という話をしました。

すると、こちらの想定とはまったく異なる返事が返ってきて、びっくりすることになりました。
A社の建築請負契約をみると、建築費用については、まず契約締結時に着手金として一部を、次に上棟時に中間金としてさらに一部を、そして完成時に残額を全部支払い、全額が支払われた後に引き渡し、という流れになっていました。
このうち、着手金についてはいったん手持ちの現金で建て替え、そのうえで銀行からのローンを分割融資してもらって埋め合わせ、中間金はローンの分割融資で、そして引き渡し前の残額精算は分割融資もしくはつなぎ融資で支払うことを想定していました。
ところが、銀行としては分割融資もつなぎ融資も扱っておらず、引き渡し後の一括全額融資しか取り扱っていない、という話だったのです。さらに、ローンの審査ももう一度やり直しになるので、そもそも融資できるというお約束もできない、との話で、なんかそれまで言ってたことと違う、という口論みたいなものになってしまいました。

建物の契約では「請負金が全額払われなければ引き渡さない」となっており、ローンの側が「引き渡されなければ融資しない」と言っているわけですから、シンプルに「詰み」です。

やむを得ず、この銀行を紹介してくれた不動産業者とも連絡をとり、あらためて別の(分割融資・つなぎ融資に対応できる)銀行を探して、そちらの審査を受けてそちらでローンを組むこととして、土地のローンを融資してくれた銀行には「建物のローンはキャンセルします」という連絡をとりました。

そしてローンの話がここまで進んだところで、建物の契約締結の時間になってしまいました。
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2016年04月11日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(63)

さて、家づくりのパートナーをほぼほぼA社に絞り込んだところで、次に訪れたのは以前話を伺っていた建築事務所でした。

以前ここで話をしたとき、家づくりそのものを依頼するにはコストが見合わず断念したのですが、別のビルダーに決まったときに、そこが出してきた見積もりや図面を見てもらって、プロの建築家としてのアドバイスをもらう「セカンドオピニオン」のサービスを提供してもらうことをお願いしていたのです。

私の方からは、メールで図面等一式をスキャンして送り、また私の方で質問をいくつか出しておいたうえで、1週間ほど後に時間をとってもらって、A社の提案についての意見や、私が出しておいた質問に対するアドバイスなどをいただきました。
当然、コンサルティングフィーとして費用は(数万円のオーダーで)お支払いしています。

このセカンドオピニオンを受けたことで、

・A社の提案全体、提供された図面等の品質は十分に高いこと
・A社の構造、断熱などの水準はかなり高く、それをふまえると割安な見積もりになっていること
・見積もり項目の中に、おかしな上乗せ費目や、必要なのに省かれている項目などが特に見当たらないこと


など、A社の提案に大きな問題がないことが確認できました。
さらにそのうえで、よりプランの完成度を高めるためのいくつかマイナーな箇所の修正のアドバイスが得られたことや、こちらから質問していた収納不足の具体的な解消法や、間仕切り壁の防音化などについてヒントが得られたこともあり、このセカンドオピニオンを受けたことはかかった費用以上のメリットがありました。
あとでリフォームで直すことになるような箇所を1箇所でも減らすことができればそれだけで確実に数万円のコスト削減になるわけで、今回はそういった有益な指摘がいくつも得られただけでなく、リフォームでは直せないような構造面でのアドバイスもあったからです。

プランの修正については、A社に電話で連絡し、次の打ち合わせ時の図面に間に合わせて反映してもらうことになりました。
もうこれでA社を選ばない理由がなくなったので、この段階でI社にはお断りの連絡を入れ、A社に対してはその次のアポのときに「(このあとよほどのトラブルがない限り)御社と契約させていただきます」という話を出しました。

これで、家づくりについては、「土地」に加えて、「建物」のパートナーが決まり、建築請負契約を結べる段階に入ったわけですから、さらに大きく前進したことになります。

そして、2月の最終週の平日の夜、契約締結当日を迎えるのですが、ここで信じられない大どんでん返しが待っていました
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2016年04月04日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(62)

ここまでのエントリで書いたような検討をふまえ、私の中では家造りのパートナーはA社がナンバーワン候補だ、という判断が固まりました。

そこで、平日に有休をとって、娘が学校に行っている間に、妻を住宅展示場のA社のモデルハウスに連れて行くことにしました。
ちなみにこの頃、妻は妊娠7〜8か月でした。
なので、そうそういろんな場所に出かけるわけにもいかないので、ビルダー巡りなどはもっぱら私のほうが行ない、妻にはもらってきた資料などを見せてあとで話し合って意見交換をしたりしていたわけですが、最終結論を出すにあたって、やはりいちどモデルハウスは見てもらったほうがいいだろう、と思ったわけです。
(書き忘れていましたが、土地を選ぶ段階でも、最後に決める直前に、現地を見てもらっています。)

アポをとっていなかったので、特段営業マンもつかず、逆に自分たちのペースでのんびりとモデルハウス内を見て回ることができました。
また、外壁材、屋根材などのサンプルやカタログがおいてある「仕様決めの打ち合わせ部屋」(この部屋は家づくりの過程で何度も利用することになりました)がたまたま使われていなかったので、中に入らせてもらって妻と一緒にそれらサンプルを実際に見ることもでき、なかなか有意義な時間をすごすことができました。

妻の印象は、建物全体の印象も悪くないし、内装もしっかりしていて、構造や断熱(実物を使ったカットモデルみたいなものがおいてあって、外壁から内装の壁紙までの間にどんなものが入っているかが分かるようになっていました)も安心できるものだったので、ここに決めていいんじゃないかと思う、ということでした。

A社の動きはなかなか速く、この飛び込み訪問のあとの2回目の打ち合わせが、最初に飛びこみで行った次の週末だったにも関わらず、この時点ですでに現地の簡易測量を済ませ、自社の建築士によるかなり詳細な図面と詳細化された見積りまで出てきました。
A社は早期契約に持ち込む気満々です。
出てきた図面が私の作成した希望間取りをほぼ完全に取り入れたものになっていたことも、ポイントが高かったです。これまで、どの工務店の提案も、私の希望からはちょっと離れた間取りばかり提案してきていたので。

私からは、最初に見積もりをとった1月よりも、現在の2月に実施しているキャンペーンのほうが値引き幅が大きいことを指摘して、2月中に契約を締結することを条件として、2月のキャンペーンを適用してもらう確約もとりつけました。

これでA社を選ぶことがほぼ決まったのですが、その決断を完全なものにするため、もう一段階ステップを踏むことにしました
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2016年03月28日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(61)

さて、こんな風に、家づくりのパートナーが徐々に絞り込まれていき、とうとうローコストハウスメーカーAと、激安工務店Iの一騎打ちというところまできました。

ここまできたのが、だいたい2月の頭くらいです。
土地が概ね決まった12月頃からパートナーを探し始めていましたので、ここまでが大体2か月といったところになります。

そしてこの時点で、IとAの見積もりの価格差は、300〜400万円くらいありました。「当初考えていた建物予算」に対してでいえば、Iは予算内、Aはやや予算オーバーといったところでした。
また、Iは格安工務店でありながら企画提案力はなかなかで、こちらの要望すべてに応え、かつ新しいアイデアを盛り込んだ間取りプランを、すべての工務店のなかで唯一提案してくれていました。

ただ、スペック的にはIとAとでは圧倒的な格差がありました。
Iは、グラスウールを並べるだけの伝統的な内断熱で、「木材の呼吸を妨げたくない」という理由で、吹付け断熱材も嫌がっていました。いちど、実際に建った家をオープンハウスで見に行ったのですが、日陰は寒く日の当たっている部屋は暑いという、断熱性能的には典型的な「建売クオリティの家」でした。
また、外壁も最低グレードのサイディングの釘打ち施工、柱はかなり細い杉材で、強度的にもかなり不安がありました。土台も檜でなく、檜にするとかなりの追加コストが発生するという、あらゆる面でスペックダウンがはっきり伺える仕様です。
今回、広いグルニエを作ることで、事実上3階建てに近い重量バランスの家になることを考えると、柱が華奢というのはかなりのマイナスポイントでした。
また、長期優良住宅+耐震性能3には微妙に届かないかもしれない、ということも言われていました。

一方、Aのスペックはこれとは一線を画した魅力的なものでした。
定評があり、厚みも十分にある部材を使った外断熱に、内側からも断熱材を吹き付けるダブル断熱に、熱交換方式の24時間換気まで導入され、高気密・高断熱となっているほか、外壁も量産クラス上位グレードのサイディングの金具止め施工、土台は当然に檜を使い、柱は(メリデメありますが)強度的には非常に強いと言われる4寸集成材、さらに面構造で耐震性も強化され、プランそのものが最初から「長期優良住宅+耐震性能3」を前提としていました

そして、見た目の印象も明らかに違うんですね。
オープンハウスで見たIの家は、外観も内装も、やっぱりかなりコストダウンして建てたことを感じるチープさがありました。
そして、ちょっといいな、と思う部分はほとんどが「施主がこだわって標準仕様からグレードアップした部分」だったのです。
そしてそのグレードアップコストだけで、数百万以上かかっていることも教えてもらいました。
一方、Aのモデルハウスは、住宅展示場に並ぶ、値段が全然違う大手ハウスメーカーの家と比べるとやや単調で工業製品的には見えたものの、あくまで趣味的な違いで、品質的に劣る印象は受けない立派なものでした。そして営業マンに確認すると「あえて標準仕様で建てています。室内の装飾や一部設備にはオプションが使われていますが、外壁や基本設備はすべて標準仕様の範囲内です」とのこと。

これらを総合的に判断すると、結論は明らかでした。

「A社でいこう」
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2016年03月21日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(60)

さて、ここまでで、家づくりのパートナー候補、5業者が出揃いました。
出てきた見積もり金額が安かった順に並べてみると、

工務店I:とにかく安さが売りの工務店。それでいて事務所に設計士もいるので間取りの提案力はなかなか。建物のスペックは建売並み。
ハウスメーカーA:格安のハウスメーカー。外断熱・フルスペックのオール電化住宅がかなり安く建てられそう。
工務店H:基礎の仕様がユニークで、基礎床断熱が標準装備なのが魅力の業者。それ以外のスペックは建売並み。
工務店Y:工務店のなかでは唯一外断熱仕様で比較的スペックが高く、設備等の仕様もそれなり高めなのが魅力の業者。
工務店B:設計事務所に近い態勢で、提案された間取りプランは最も本格的でこだわりも感じる。その分、スペックに対するコスト見積もりはやや割高。

ここからの絞り込みの過程で、まず工務店Hが消えました。
当初、かなり安価な見積もりが出てきていたのですが、よくよく見るとスペックがかなり落としてあることに気づき、その点を指摘して希望するスペックに引き上げてもらったところ、数百万円レベルで見積もり金額が上がってしまいました
さらに、ここは建築確認をとったり本格的な設計をする際には設計士が外注のようで、こちらから「長期優良住宅にしたい」と告げたところ設計料を別途50万円ほど乗せてきたので、この調子ではどこまで最終コストが跳ね上がるか分からない、という不信感が出てきてお断りすることにしました。

続いて消えたのが工務店Bでした。
ここは、渡り廊下があったり、子ども部屋がリビングから見える(ちょっとモデルハウス的な)吹き抜けがあったりといった、非常にユニークな間取りプランが出てきて面白かったのですが、やはりこちらのこだわる条件を入れていくと、コストがどんどん上がっていって、予算の範囲をかなり超えてしまったので、お断りせざるを得なくなりました。また、コストダウンのために全体的なスペックが落としてあったため、長期優良住宅+耐震等級3は必ずしも取れないかもしれない、と言われたことも大きかったです。

そして、工務店Yも消えました。
もともと、Yについては工務店だけを候補に考えていたときに、唯一、予算内のリーズナブルなコストで外断熱を提案できた業者だったので残っていたのですが、同じく外断熱のハウスメーカーAの見積もりをもらい、AのほうがYよりもスペックが上で見積もりが安いことが分かったので、Yを選ぶ理由がなくなってしまったのです。
また、Yは外断熱ではあるものの、断熱材が異様に薄く、計算上は建売レベルの内断熱よりも断熱性能が劣る恐れがあっただけでなく、外断熱といいながら、屋根については屋根裏に断熱材を吹き込む「内断熱」になっていたりと、中途半端な仕様になっていることもネガティブポイントでした。
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2016年03月15日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(59)

いくらローコスト系ハウスメーカーとはいえ、工務店のなかでも特にコストの安いところを厳選して絞り込んだ4業者と比べても、むしろ安い水準の見積もりを出してきたA社に、私も最初は半信半疑でした。

そこで、見積もりに漏れていると思われる項目をいろいろあげてみて、それでコストがどのくらい増えるかを聞いてみたのですが、いろいろ突っ込んでいってもそれほどコストは上がっていかず、結局最後まで、「安い方から2番目」というポジションは変わりませんでした

それでいて、建物のスペック的に、妥協しなければならないポイントがほとんど見つからなかったのです。

まず、外断熱であること
さらに、建物の内側からも断熱材を吹き付ける内外両断熱になっていること。
そして、高気密住宅でQ値の計算・C値(気密度)の測定までしてくれること。24時間換気もアクティブ方式の熱交換型の本格的なものが導入されていること。
柱も土台もすべて4寸角を使用し、土台は檜であること。
面構造を取り入れて剛性を高めていること。
長期優良住宅、耐震等級3の取得ができること。
外壁のサイディングが釘打ちではなく金物止めであること。

実は、これらをすべて満たしている工務店は、4業者のなかで一つもなかったのです。

しかも、ハウスメーカーにありがちな、決まった間取りの中から選ばなければならないという不自由な設計ではなく、ゼロから自由に間取りがプランできる(そういう意味ではハウスメーカーというより工務店に近い)、「完全自由設計」であったことも大きな魅力でした。

唯一気になったのは、オール電化住宅であることでした。
もともと新しい家をオール電化にするつもりはなく、A社での見積もりも、電気・ガス併用仕様に変更するように依頼したのですが、その変更をすると費用が一気に50万円以上跳ね上がることが分かったため、割り切って、「A社を選ぶならオール電化にしよう」と考えることにしました。

これで、家づくりのパートナー候補はすべて出揃いました。
ここから、追い込みをかけて候補の絞り込みを行なっていくことになります。
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2016年03月07日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(58)

さて、そんなわけで、既に残っているローコスト系工務店4社に加えて、「5社め」の候補にできるかどうかという視点で、家づくりパートナー選びの終盤の休日、ローコスト系ハウスメーカーの「A社」のモデルハウスのある最寄りの住宅展示場に足を運びました。
その住宅展示場は、自宅から5kmあまり、自転車でも車でも20分くらい(自動車だと渋滞する幹線道路を通るため)のところにありました。

あくまでも情報収集のつもりでの訪問だったので、特に予約などは取らずにいきました。
モデルハウスに入ると、事務の担当らしき女性が出てきて話しかけてきました。私が、いま家を建てようと思っているんだけど、今日は参考のために来ただけなので特に予約などはとっていない、という話をしたところ、入れ替わりにやや年配の営業の男性が出てきて、モデルハウスの中を案内してくれることになりました。

モデルハウスは、外装も内装も決して豪華ではないけれど、スペック重視の質実剛健なつくりで、私の好みに合っているものでした。
ひととおりすべての部屋をみたところで、リビングルームのテーブルに案内され、営業マンから「プランの提案をしたいので話を聞かせてください」という流れになりました。
「まだこちらでお願いすると決めているわけでもないですし、前金とかをお支払いして、といったこともまだ考えていませんけど、それでもいいですか?」と聞いたところ、それでもいいという話だったので、用意してきていた土地の図面、間取りの希望条件、そして私自身が作成した最新の間取り案を見せ、簡単に見積もりを作ってもらうことになりました。

ここで営業マンに加えてモデルハウス駐在の設計士の人も出てきて、私が作成した間取りがどの程度実現可能か、建築規制面と構造面からアドバイスをもらいました。(概ね、作成した間取りどおりで家は建ちそう、という話になりました。)

そして、営業マンが作成した粗見積もり(土地面積、建物面積、主要な追加スペック要素等を加味した大雑把なもの)を見て、驚きました。

本格的な外断熱で梁にもかなり太い檜材を採用するなど、ローコスト系工務店の家よりも明らかにスペック的に上になっているにもかかわらず、出てきた見積もりは、ローコスト系工務店と比較しても、安い方から2番目だったからです。
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2016年02月29日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(57)

家づくりのパートナー候補として、ローコスト系工務店4業者に絞り込まれた時点で(つまり、パートナー選びとしてはかなり終盤の段階で)、ちょっと気まぐれにハウスメーカー(全国の住宅展示場にモデルハウスを建てて営業をしているタイプの住宅建築業者)のことを調べてみたところ、意外な事実に気づきました。
それは、

ハウスメーカーのなかにも「ローコスト系ハウスメーカー」というのがある。

ということでした。

だいたい、全国の住宅展示場にモデルハウスを建てて営業しているハウスメーカーというと、テレビ広告をやっているような大手ばかりで、どのメーカーもローコスト系工務店の1.5倍とか2倍くらいの坪単価、というイメージが強かったのですが、実際に調べてみると、必ずしもそういう業者ばかりではなく、実はローコスト系工務店と変わらないくらいの価格帯で勝負しているハウスメーカーもいくつかあることに気づいたのです。

しかも、建物のスペック的にも、断熱仕様や外壁の材質などでそれなりに妥協が必要なローコスト系工務店と比較すると、それらローコスト系ハウスメーカーのほうが優っている部分が多く、ここへきて俄然ハウスメーカーが有力な家づくりパートナー候補として浮上してきました。

そこで、さっそくそれらローコスト系ハウスメーカーのなかから3社ほどを選び、資料請求をかけることにしました。
そして、届いたパンフレット、ネットでの評判、坪単価、最寄りの住宅展示場の近さなどを総合的に考慮して、そのなかから「A社」1社に絞り込み、直近の休日に住宅展示場を見に行くことにしたのです。
ちなみに、この時点でもやはり「本命」は工務店だと思っていたので(ネットで出ている坪単価が安くても、実際に見積もりをとってみるといろいろな追加コストが乗って全然安くならないパターンが多く、たぶんハウスメーカーの場合もそうなのではないかと思っていたため)、あくまでA社については「参考までにハウスメーカーも最低1社は見ておこう」といった気持ちが強く、もしもこのA社がいまいちだったら、もう他のハウスメーカーを検討することはせず、この時点で残っていた工務店4社のなかから最終パートナーを選ぶつもりでした。
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2016年02月22日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(56)

このような形でパートナー探しを続け、最終選考の少し手前くらいの段階で残っていた業者は、以下の4つでした。

業者H
 カウンターで紹介された業者。ユニークな基礎構造をもち、基礎を使った床暖房が標準装備。それ以外のスペックは建売同等。

業者Y
 カウンターで紹介された業者。外断熱で面構造を採用するなど、建売より高スペックになっているにもかかわらず、坪単価が割安なのが魅力の業者。

業者I
 飛び込みで話を聞いた近所の業者。建材に集成材ではなく国産杉を使うという変わった建材チョイスと、パワービルダーより安いくらいの超低コストが売りの業者。スペックは建売同等。

業者B
 飛び込みで話を聞いた近所の業者。代表が一級建築士の小さな工務店で、限りなく設計事務所に近いにも関わらず、ローコスト工務店のコストで建てられるのが魅力。プラン的にも自由度が高く、ここからは面白いものがいろいろ出てきました。

この段階で工務店のなかでの候補探しはだいたい終了、最後に「いちおう他のカテゴリの業者も1つずつくらいは見ておくことにしよう」と思い、

・建築設計事務所
・住宅展示場(ハウスメーカー)


についても、それぞれ1業者だけは見ることにしました。

最初に、自転車でいける距離にあった近所の設計事務所(ここはHPで安い家も建てますとアピールしていたので)で話を聞きました。
結果的に、やはりコスト的にはローコスト工務店の1.5倍くらいかかるのは避けられないことが分かったので、家づくりを依頼することは断念しました(間取りプランを作ってもらう時点で費用が発生するので、結果的に雑談のみ)が、他のビルダーでプランがまとまったときに「セカンドオピニオン」をもらうことで話がまとまりました。

そして最後に、ハウスメーカーです。
どうせハウスメーカーを見るなら、多少なりとも契約する可能性のあるところを見よう、ということで、ハウスメーカーのなかで坪単価の安いところはどこだろうという視点でネットで調べてみることにしました。

その結果、予想外のことが分かったのです。
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2016年02月15日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(55)

家づくりのパートナー探しで、不動産業者の紹介、ネットでの資料請求の次に利用したのは、某大手住宅情報誌が運営している、住まいの相談カウンターでした。

これは、無料で利用できるサービスで、カウンターに行って希望する条件を伝えると、その条件に合致した工務店を紹介してくれて、かつその業者との顔合わせ・初期の打ち合わせをそのカウンターで行なうことができる、という、なかなか便利なサービスです。

自宅から電車を使って30分くらいのところに最寄りのカウンターがあったので、そこに行って相談して、ローコスト系の工務店を5業者ほど紹介してもらいました。
そして各業者とのアポもカウンターのほうで調整してもらって、その翌週くらいに顔合わせをすることになりました。
土地の図面や希望条件などは最初にカウンターに行ったときに渡してあり、それをカウンターのほうで各業者に転送してもらっていたので、最初の顔合わせの時点ではすでにそれぞれの業者が具体的な提案を持ってきてくれていました。
しかも、同じカウンターで時間をずらして順に話を聞くことができるようにアポが調整されていたので(1業者あたりの時間は30分に制限されていますが)、移動することなく1日でまとめて全業者の話を聞けたので、助かりました。

実際、ここで紹介された工務店のうち、2業者が「最終選考」まで残りました。(カウンターで打ち合わせをするのは最初の2回くらいまでで、それ以降は個別の打ち合わせに移行します)

それ以外に、自宅の近所にいくつか希望に近そうが業者があったので、それらについては一部は事前にアポをとり、一部はいきなり飛び込みに近い形で事務所に伺って、話を聞いてもらいました。
この形で会ったのは、工務店が3業者、あと建築事務所が一か所でした。
そして、工務店については実際に見積もりを取ったら最初の話と違って異常に高かった1業者を除き2業者が「最終選考」に残り、建築事務所については家づくりそのものはコスト高のため依頼できませんでしたが、「セカンドオピニオン」をもらうことになりました(この部分については、後で改めて書きたいと思います)。

さらに、土地を買った不動産業者のほうで、土地の契約後に改めて紹介してくれた工務店が3つほどあり、そこからも具体的な提案ももらったりしていたのですが、結局そちらについてはコストが合わなかったり、なぜかアポをすっぽかされたりして縁がなく、最終選考に残った業者はありませんでした。
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2016年02月08日

セカンドハウスを手放しました。

以前、当ブログにてシリーズ記事として連載させていただき、比較的反響の大きかった話題として、娘の療育を目的としてセカンドハウスを購入した、というものがありました。

自閉症児をもつ家族のためのセカンドハウス 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21



具体的には、初めての場所ではパニックを起こしやすい娘とでも安心して遠出ができ、外泊などの練習ができるよう(そして、家族の側も少しでも気分転換ができるよう)、観光地エリアにある、いわゆる「リゾートマンション」の一室をセカンドハウスとして購入し、週末に遠出して外泊するなどして活用してきました。

そのマンションの部屋を、今回、売却しました。
2006年の年末に購入し、2016年の2月で手放したので、ざっと9年強の期間、保有してきたことになります。

今回、セカンドハウスを手放すことにした最大の理由は、「当初の目的を果たすことができたから」ということになります。
セカンドハウス購入の目的は、娘の「慣れない新しい場所でうまく過ごせない」という問題、そしてそこから派生する「家族が新しい場所に安心して外出するのが難しくなる」という問題に対処するためでした。
その後年月がたち、娘は外泊にもすっかり慣れ、新しい場所でも落ち着いて過ごすことができるようになり、学校その他で企画される外泊や旅行の企画でもパニックすることなく楽しんでこれるようになりました。
また、「(娘が)外出しないときの余暇の過ごし方」というもう1つのテーマについては、タブレットを活用した音楽鑑賞ができるようになったことに加え、「特になにもせず、のんびり過ごす」こともできるようになったので、こちらも大きく改善しました。
一方で、セカンドハウスは維持しているだけで相応のコストが発生するため、徐々に「コストをかけてセカンドハウスを維持すること」よりも「そのコストをカットし、別の旅行などに回すこと」のほうがメリットがある状態に移行していったわけです。

家族で話し合って売却を決め、リゾートマンション専門の不動産仲介業者に依頼して、セカンドハウスを売りに出しました。
これが、昨年12月の中旬ごろのことになります。
その後、業者に対して数件の問い合わせがあり、その中の一人の方から正式に購入の申込みがあり、先日、正式に売買契約ならびに物件の引き渡しを完了させました。

以前も書きましたが、リゾート物件というのは非常に流動性の悪い不動産で、売りに出しても何年も売れ残ってしまうのが当たり前の世界なのですが、今回は年末年始をはさみ、かつ売れにくいオフシーズンである真冬に売り出したにも関わらず1か月ちょっとで売れたということで、やはり「売れる物件を最初から選ぶ」ということがいかに大切かを改めて実感しました。

ちなみに、そんな「売りやすい物件」だった、我が家がもっていたセカンドハウスとは、具体的には、富士五湖河口湖エリアにある「プロティオン河口湖でした。
もう築24年になりますが、市街地に隣接した利便性の高い場所にあり、物件のすぐ隣にホームセンター、徒歩圏にスーパー、コンビニ、ドラッグストアがあり、富士急ハイランドまで徒歩6分、居住者のうち定住者が3割以上、大浴場や室内プールもいまだにキレイな状態で稼働中で、管理組合も機能していて大規模修繕もちゃんと実施されているという、ベストに近いコンディションで管理されている素晴らしいマンションでした。
山中湖エリアも含む富士五湖エリアではナンバーワンの物件だと確信していますし、他に私が見た熱海・伊東エリア、箱根エリア、石和エリアなどを含めてもこの物件以上のものは私は見つけられなかったので、これからセカンドハウスを検討される方にはかなり自信をもっておすすめできると思っています。

もう一点参考情報として、この9年間、セカンドハウスを利用することでかかったコストを概算してみました。

1.購入と売却:285万円
 購入額と売却額の差(売却差損):130万円
 購入時のコスト:80万円(仲介手数料、ローン諸費用、登記費用、不動産取得税、火災保険など)
 寝具・家電・家具など:15万円
 ローン金利・繰上返済手数料:30万円
 売却時のコスト:30万円(仲介手数料、登記費用、ゴミ処分費等)

2.維持費:470.5万円(年52万円)
 管理費・修繕積立金:年32万円×9年=288万円
 電気・下水道代:年5万円×9年=45万円
 (オール電化なのでガス代なし、井戸水だったので水道代なし)
 固定資産税:年7万円×9年=63万円
 住民税:年5000円×9年=4.5万円
 (住んでいなくても物件を持っているだけで課税されるのです)
 リフォーム費用:70万円(トイレ便座交換、エアコン交換、照明交換、壁紙交換、24時間換気導入を行なっています)

3.総合計:755.5万円(1年あたり:約84万円)

うーん、やっぱりお金はかかってますね(^^;)。

ホテルとかに泊まるのと比べて「元をとる」のは無理だと最初からわかっていました。実際月あたりに換算して7万円ですから、毎月1泊旅行に行くのをかなり上回るコストがかかった計算になります。もちろんこれ以外にガソリン代・高速代・観光費用などもかかっています。

でも、それを分かったうえで考えるなら、我が家にとっては意味のある「投資」だったと思っています。
この9年間、当初1〜2年は毎週のように、そしてその後も安定して月に2回程度はこのセカンドハウスを利用し、富士五湖エリアのさまざまな観光資源を思う存分楽しむことができました。
夏のブルーベリー狩りや富士急ハイランドでの「グレートザブーン」、冬のそり遊びや冬花火、樹海ハイキングや洞窟巡りなど、娘のお気に入りのアクティビティもたくさんできました。
そして泊まるたびにマンションの大浴場を利用していたことで、他の旅館での大浴場も平気になりましたし、昼や夜にサービスエリアやレストランで外食するのも大好きになり、落ち着いていられるようになりました。
こういった経験をたくさん重ねることができ、娘は新しい場所への抵抗がなくなり、セカンドハウス以外の旅行も楽しめるようになり、また家族と離れた学校等での外泊イベントでも落ち着いて過ごせるようになりました。
もちろん、そうやって娘が安定し、旅行を楽しめるようになったことで、娘以外の家族も大いに助けられたことも言うまでもありません。
また、富士山が大好きだった、関西に住む私の実家の両親もこのセカンドハウスを非常に気に入って、毎年のように2度、3度と遠路はるばるやってきては、1週間単位で利用して富士山観光を楽しんでいました。盆正月に実家に帰ると、セカンドハウスを使った富士五湖・箱根観光での楽しい経験を話してくれたりして、実家の両親に「リゾート滞在型」というちょっと贅沢な観光環境をプレゼントできたのは、ある意味想定外のメリットだったかなとも思っています。

そんな、楽しい思い出がいっぱい詰まったセカンドハウスを手放すと決めたとき、そして実際に買い手が見つかり売却の契約を結ぶとき、さすがに一抹の寂しさを禁じえませんでした。
でも逆に、手放すときにこんな気持ちになれるような物件と出会えたことを喜ぶべきだ、と思い直しました。

ともあれ、これで我が家の「セカンドハウスの物語」はようやく完結です。
以前のシリーズ記事でも書いたように、セカンドハウスというのは永遠に所有し続けられるものでもないので、いちど手に入れて、存分に利用して、そのうえでスムーズに手放すことができて初めて完結する、と当初から考えていたので、無事に迅速に手放すことができて本当に良かったと思います。

これからは、これまでセカンドハウス維持に使っていた費用を活用して、これまで以上にいろいろな場所に家族ででかけ、新しい体験を重ねていければ、と思っています。
さっそく、暖かくなったころにどこか行きたいですね。(^^)
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2016年02月02日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(54)

前エントリでは、業者選びの大きな流れを書きましたが、今回はその流れのなかで、実際にどんな業者とのやりとりがあったかを書きたいと思います。

最初に提案をもらったのは、まだ土地購入の契約をする前に、不動産業者が参考プランとして手配してくれた建売系のパワービルダーの提案でした。
この提案はあくまでもパワービルダーのおまけサービスみたいなもので(こちらから正式に依頼したものですらないので)、間取りとかも「4LDKで広いグルニエあり」程度の非常に大雑把な希望しか伝えていなかったので、出てきた提案もあまりこちらの希望にマッチしたものではありませんでしたが、やはりコストはかなり安く、このとき出てきた提案を「家づくりにかかる費用の最低ライン」として参考にすることになりました。

ただ、このときも思ったことは、決まった建材を使うことなどでベースとなるプランを安くしている業者は、そこから外れたカスタマイズを行なうと、あっという間にどんどん割高になっていく、ということでした。
ですから、安く家を建てようと思った場合、ベースとなるプランが自分の希望に近いスペックを持っていることが、非常に重要になってきます。そうすれば、仮にベースプランの坪単価が多少高めであっても、カスタマイズする部分が少なくなり、結果的に最終コストを安く抑えることができるのです。

そして、次に利用したのが、ネットのポータルサイトからの資料請求です。
ローコスト系の業者を選んで、15社くらいに資料請求をしたのですが、実際に資料を送ってきたのはそのうち10社くらいだったと思います。
送られてきたパンフレットを吟味したのですが、ローコストをうたっている工務店で割と共通していたのが、3階建などの狭小住宅での実績をアピールしていたことです。
そういう住宅は延床面積が狭いので見かけ上の建築費が安くなっているのですが、今回建てようと思っている家はそれよりは面積が広くなるので、それをベースにコストを引き直してみると思った以上に割高になる業者が多く、かなりの業者がそれで「落選」しました。
一方、そういう見直しをしたとしてもコストの安い業者は、使っている建材や断熱材が建売と同等の貧弱なものであることが多く、だとしたらパワービルダーで建てたほうが安くなる、ということでこれまた「落選」ということになりました。
そんなわけで、ネットから資料請求した業者で、実際にプランニングをお願いするところまで進んだ業者は、実は1社もありませんでした
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2016年01月25日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(53)

そんなわけで、ローコスト系工務店が我が家の家づくりのパートナー候補の本命となっていったのですが、パートナー選びの大きな流れは、だいたいこんな感じになりました。

1.工務店の情報を得て、資料を請求。
 このとき、情報を得る手段として、(1)住まい系のネットポータル、(2)注文住宅系の家づくり雑誌、(3)某大手住宅情報誌が運営している家づくりカウンター、(4)土地を仲介してくれた不動産屋の紹介、という大きく4種類のものを活用しました。

2.資料を見て、気に入った工務店に連絡をとり、買った土地の図面と希望する間取り条件などを伝え、間取りを提案してもらう。
 建築事務所とかだとこの段階ですでに設計料などが発生してきますが、工務店の場合はこの段階はまだ無料です。
 ただ、もちろん相手方にはコストが発生することなので、あまり安易に手を広げず、本当にここだったら条件次第で契約してもいい、と思えた業者に厳選してプランニングの依頼をするようにしました。(とはいえ、依頼した工務店の数としては10業者くらいにはなってしまいましたが…)

3.出てきたプランの間取り、費用見積もりなどを見て、業者を絞り込み。
 この段階で、半分くらいの業者は「見積もりが高すぎ」で落選していきました。
 私の希望する間取りは、グルニエを非常に広くとったり、浴室を大型化したり、断熱材を補強することを求めたりなど、それなりにコストのかかるものになっているため、業者が想定する標準プランからはかなり外れたものになることが多かったです。その「カスタマイズ部分」のコストが高い業者の場合、パンフレットなどで宣伝している坪単価の倍以上になってしまったりすることがあり、そういう業者はこの段階で外しました。
 また、設計のスキルが弱い工務店もあり、そういう工務店の出してくるプランは私が希望する条件が満たされていませんでした。そういう業者も当然外すことになりました。

4.絞り込んだ業者とは実際に会ってみて、さらにプランを詳細化。
 業者が出してきたプランが優秀な場合は、そのプランを前提により細かい希望を出して、見積もりを最終化していきました。
 一方、業者のプランがいまいちだった場合は、私があらかじめ作成した間取りを見せて、こちらをベースにプランを作り直してもらうように依頼することにしました。
 だいたい、業者のプランで進めたケースが半分、私のプランで引き直してもらったケースが半分くらいでした。
 この段階でも、やはり希望する間取りがどうしても入らない業者や、希望を細かく伝えていくとどんどん値段が上がっていく業者があったので、そういったところは外していきました。

5.最終プランが揃ったところで、最終判断。
 この段階まで残った業者は、だいたい3社くらいでした。業者側からもこのあたりで「そろそろ決めてもらわないと、これ以上は無料での提案はできない」といった話が出てくる段階です。
 ここで、最終提案のプランの

(1)スペック(柱や梁の材質、断熱性能、構造、外壁、屋根性能など)
(2)間取りのクオリティ(希望がすべて満たされているか、動線は整理されているか、日照はいいか、無駄な空間はないか等)
(3)コスト(スペックに対して割安感があるか)


 といった要素を総合的に考慮して、家造りのパートナーを絞り込みました。
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2016年01月18日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(52)

さて、当初考えていたパワービルダー(建売業者の注文住宅部門)による家づくりですが、

・カスタマイズの余地が少なく、カスタマイズすると割高になる。
・建材や断熱材が建売クオリティで明らかに注文住宅のなかでは劣る。
・そもそもあまり営業活動をやっていないので、話を聞きたいと思ってもなかなかアクセスできない。


といったことがネックになり、結局選ぶことができませんでした。

ここで急浮上してきたのが、「ローコスト工務店」です。
一般的に、ネットなどで「注文住宅」で検索して山のように出てきて、パンフレットとかもたくさん集められるのは、実はこの「ローコスト系工務店」だったりします。

ハウスメーカーについてはネットで検索というよりは「住宅展示場に行く」というのが王道のアクセス方法でしょうし、建築事務所は「まずは会ってお話を」「これまでの作品を気に入っていただけたら、契約を結んで(お金も払って)それからプランニングを」といった流れになることが多く、どちらかというと「指名買い」に近くなると思います。

それに対して、ローコスト系工務店は、だいたいそれぞれの業者が自分たちなりにブランド名をつけて、パッケージ化された家づくりプランを売り込んでおり、それにあわせてパンフレットなどもちゃんと用意されています。そこには、柱やはり、外壁や断熱材にどのようなものを使うのかといった「品質」についてのスペックシートのようなものや、(実はあまり信用できないのですが)坪単価やモデルプランの費用なども明記されていて、複数の業者を比較検討することも可能です。
ネットで資料請求をすれば、そういったパンフレットを簡単にたくさん入手することができるでしょう。

私も、まずはネットを使って、買った土地が施工エリアに入っているローコスト系の工務店の資料をいくつか取り寄せました。
そして、特に気に入った業者にはこちらから連絡をとり、土地の情報や希望間取りなどを送って、面談をしたり見積もりを作ってもらったりという活動を開始しました。

それに加えて、某大手情報誌が運営している住まいの情報カウンターにも顔を出して、話を聞いていくつかの業者を紹介してもらいました。

結局、資料を請求したり検討対象にした工務店は50業者ほど、そのうちこちらから連絡をとったのは15業者ほど、ある程度話に折り合いがついて、間取りを引いてもらったり見積もりを作ってもらったりしたのが10業者ほど(残り5業者ほどは、話を聞いてみるとローコストではなかったり、アポが取れずに話が流れてしまったりした業者)となりました。
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2016年01月11日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(51)

さて、ここまで、一般の個人が注文住宅でローコストに家を建てる場合に想定できるパートナーをまとめてきました。

我が家も、だいたいこれらのパートナーに順にあたっていくことになったのですが、実は最終的に選んだのは、ここでご紹介した1)〜4)のどれにも該当しないところでした

そのあたりについても、順を追ってお話ししていきたいと思います。

今回、家を買う予算について、当初の想定からすると予算オーバーを何度も何度も繰り返すことになりました。
もともと安い建売を買うことを想定していたので、土地から買うことにした時点でいちど予算を引き上げていますし、さらに買う土地についても、条件のいい分譲地を選んだことで、さらに予算が上がってしまいました

ですからここは、建物を建てるコストを可能な限り抑えることで、トータル予算をできるだけ圧縮しなければならないわけです。

そんなわけで、パートナーとして当初想定していたのは、言うまでもなく一番安い「パワービルダー」でした。
建売をたくさん建てている業者の、注文住宅部門ということですね。

そこで、情報を集めようとしたのですが、当時、パワービルダー系で広告を出したりパンフ等を作成したりして一般ユーザー向けに広く門戸を開いていたのは、1社程度しかありませんでした。
それ以外は、どちらかというと不動産屋を介して見積もりなどを取ってもらう(そのうえで、気に入ったら不動産屋から紹介してもらう)といった、あまりオープンではないチャネルしかないような感じでした。

そして、唯一の詳しいパンフを作っていた業者については、「屋根の形状が決まっていて、私が希望する広いグルニエが作れない」ということが分かったのでパートナー候補から除外、それ以外の業者については不動産屋を介して出てくる間取り案・見積もりが不明瞭なうえ、やはり「標準仕様」からカスタマイズする部分を増やしていくとあっという間にコストが跳ね上がっていくということが分かり、実は私のイメージするような(いくつかこだわりのある)家を建てる場合、パワービルダーというのはあまり向いていないということがだんだん分かってきました。

いちおう、それでもコストは最低レベルだったので、不動産屋を通じていくつかの業者とのパイプはしばらく維持していたのですが、最終的には別の業者でよりいい提案が出てきたので、パワービルダーに頼むということはやめることにしました。(まあ、これによってさらに当初の想定よりも予算が上がっていく結果にはなってしまったのですが…)
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