2017年01月09日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(98)

さて、キッチンの仕様決めについて、かなり大きな設計変更を前提にしてショールームを巡り、メーカーを絞り込んでいったわけですが、まず、「シンク位置が移動できる」という条件で、かなりのメーカーが脱落しました
そのうえで、「食洗機置き場下の収納を、引き出しではなくただの箱にできる」というところでも、さらに脱落メーカーが出て、選べるメーカーは大手の2社くらいに絞り込まれてしまいました。

このあたりで、仕様変更後のキッチンの見積もりを出してみたのですが、ここで傾向がはっきりふたつにわかれました。

1つは、仕様変更で生じるコストが、シンプルに「オリジナルの仕様のコストと変更後の仕様のコストの差額」で済むメーカー。
もう1つは、オリジナルの仕様は「特に安く設定した特別仕様」という位置づけになっていて、仕様変更のコストが、ほぼ変更後の仕様のコスト全額(オリジナルの仕様分のマイナスが、たった1万円とかそういうレベル)になってしまうもの。

今回の仕様変更のポイントはコストの積算でいうとほぼキッチン仕様のすべてに影響するので、見積もり計算方法が後者になっているメーカーの場合、追加コストが平気で50万円クラスになり、ビルダーが設定するオプションを選んでいる意味がほとんどなくなります。

幸い、希望する仕様変更ができるメーカーのなかで、たった1社だけ、「シンプルな差額方式」で仕様変更を見積もってくれるメーカーがあったので、今回は迷うことなく、そのメーカーのキッチンを選ぶことになりました。

具体的にいうと、トクラス(ヤマハ)の「Berry」というキッチンでした。
これは調理スペースだけでなく、シンクそのものも人造大理石でできているという面白いキッチンです。
先のエントリで書いた複雑な仕様変更が全部可能で、しかも追加コストはオリジナルと変更後の仕様の差額のみという明朗会計、デザイン的にも古臭くなくて、妻も気に入ってくれたのでこちらに決めました。

あとは、シンクの色、シンクの形状、天板の色やデザイン、扉の材質・色・デザイン、壁面パネルのデザインといた「見た目」の要素や、IH調理器、レンジフード、シャワー水栓といった設備の種類を選ぶといった「カタログオプション」を妻に選んでもらって、終了です。
以前も書きましたが、ショールームで細かい仕様変更・オプション追加等を行うと、ショールームではその詳細な見積もりや図面を作ってくれて、ビルダーに送ってくれます。
ビルダーは、その見積もりをもとに後日私と契約して、改めてメーカーに発注をかけるという流れになるわけです。
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2017年01月03日

2017年 新年のご挨拶

ブログにお越しの皆さん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

当ブログは、ここしばらくはほとんど家づくりのことしか書いておらず、療育とはあまり関係のない話題が中心になっていますが(たまに療育と関連のある家づくりのポイントについて触れている程度ですが)、まだしばらく更新を続けていきたいと思っていますので、よろしければ今後ともよろしくお願いします。

さて、今年も、妻の実家に帰省して年越し、新年を迎えたわけですが(私の実家は離れているので、混んでいる正月を避けて春休みなどに帰っています)、そこで、家づくりに関連して改めて痛感したことがありました。

妻の実家は典型的な昔からある家の作りをしていますので、玄関を入ると廊下がずっと続いていて、その廊下から、リビングに入るドア、トイレに入るドア、浴室(洗面室)に入るドア、2階にのぼる階段などに接続しています。
この間取りだと、当然ながら、リビングに家族がいて、誰かがトイレに行く場合にはドアを開けて一度廊下に出て、それからトイレに入ることになります。
いまは冬ですから廊下は寒い(玄関を通じて廊下は外とつながっていますから、従来型の木造住宅だと、廊下を暖めるのは現実的ではありません)ですから、リビングから廊下に出たらドアはすぐに閉めて、リビングの暖かい空気を廊下に逃がさないようにしなければならないわけですが・・・

これが、我が家の場合は難しいのです。
以前は、上の娘が妻や私の後追いを(慣れない実家での外泊などでは特に)して、誰かがトイレにたつたびに一緒に廊下に出て、ドアを閉め忘れるので、その都度「ドア、パタンして」と声をかけなければならなくなり、本人にとっても家族にとってもストレスでした。
そういうこだわりは最近になってそれなりに改善されてきて、今回は上の娘のほうはそれほどでもなかったのですが、まだ2歳の下の娘がよく知らない実家で「場所見知り」をして、激しく母親(妻)の後追いをするようになりました。

結果、妻がトイレにたつたびに(妻自身の用だけでなく、上の娘のトイレの介助をするときも含めて)下の娘が廊下につながるリビングのドアを全開にして、廊下とリビングの境目に仁王立ちをして、トイレの様子を見守らずにはいられなくなってしまったのです。少しでもドアを閉めたり、廊下の前から移動させようとすると大泣きしてしまいました。
というわけで、一定時間ごとにリビングのドアは全開となり、リビングの暖気はその都度全部廊下に抜けてしまって部屋が寒くなる、というのを繰り返す羽目になってしまいました。(^^;)

この問題について、子どもに「ドアを開けないように教え込む」というのも1つの方向性ですが、いなくなった親を探すというのは、親への愛着を示す行動であったり親から離れる不安を解消する行動であったりもするので、本質的には禁止すべきものでもないという悩ましさもあります。
ですから、可能であれば、こういった問題は子どもの行動だけでなく、環境にも働きかけることで解決したいところです。

そしてこの問題は、いまの家に引っ越す前の自宅でも発生していました。(その問題を、妻の実家で改めて思い出したわけです。)

そんなわけで、以前の記事でも触れましたが、新しい家を建てる際、「療育的観点からの間取り」としてもっとも具体的にこだわったことの1つが、トイレや洗面、入浴といった日常の家族の動線の範囲で、玄関につながるドアを開けずに済むという「リビング集中型動線」でした。
玄関からドアを開けて入るのはリビングだけで、トイレも洗面室も浴室も、リビングから直接ドアを開けてアクセスする間取りを採用しました。
そして2階にのぼる階段も、リビングに直接接続しています。これは、「リビング内階段」として、いまでは非常にポピュラーな間取りですね。

この間取りにしたことで、子どものどちらかが後追いをする年代になっても、その都度「寒い(暑い)ドアが開けっぱなしになる」ことはありませんし、また子どもがトイレや浴室に行く際にドアを閉め忘れるのを注意する必要も大幅に減らすことができました。

ちなみに、このようにリビングに全動線を集中させてドアの数を削減した場合、問題になることが1つあって、リビングが常にいろんな場所につながる(特に階段を通じて2階にまでつながる)ことで、リビングがある種の「開放空間」になるため、そのままでは冷暖房の効率が悪くなる、ということです。
この問題については、いわゆる高気密・高断熱の住宅構造とすることで、エアコンの熱や冷気が家の外に抜けるのを避けて冷暖房効率を高めることで解決することになります。

さて、そんなわけで、次週からはまた、療育のこともいろいろ考えながら、家族みんなで建てた我が家の家づくりについて書いていきたいと思います。
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2016年12月26日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(97)

さて、仕様を決めるために欠かせないショールーム巡りを通じて、具体的にどういったことを決めていったのかについても書いていきたいと思います。

まず、キッチンです。

キッチンは、今回のビルダーが提供する選択肢の幅が最も大きかった設備のひとつで、たしか8つくらいのメーカーの中から選ぶことができました。
しかも、それなりに「こだわり」ポイントも多い設備でもあったので、万全の準備をしてショールーム巡りに臨みました。

まず、メーカーホームページに行き、カタログPDFをダウンロード。さらにカタログだけでなく、ビルダー向けの設計仕様書や図面もダウンロードし、どういった仕様変更が可能なのか、そしてそれにはいくらかかるのかを、机上でわかる範囲で目いっぱい吟味しました。
素人なりに図面を引いたりもしました。

そのうえで、自宅からアクセス可能なショールームを巡り(大半のショールームは新宿にあるのですが、一部のメーカーは全然違う郊外にあったりします)、実物を見て、スタッフに質問をし、予算の範囲内で仕様変更の希望がかないそうな場合には見積もりまで作ってもらう、ということを繰り返したわけです。

今回、キッチンについて希望した仕様変更・追加仕様(単に色を変えたり、デザインを変えたりといった「カタログを見るだけでもできる程度のオプション以上のもの)は、主に以下のようなものになります。

・シンクの位置を中央側に45cmずらす。(シンク脇に食洗機置き場を作るため)
・食洗機が標準でついている場合はキャンセルする。
・シンク位置の移動に伴い、収納のレイアウトを変更する。具体的には、シンク直下の収納は位置だけずらして元のまま、シンクをずらして生まれた食洗機置き場の下は引き出しのない開き戸のみの大きなボックス収納、逆にシンクを動かすことで狭くなった調理スペース下収納は3段引き出しの食器入れ、コンロは動かしていないので変更なし。
・シンクの水栓は浄水器内蔵型のシャワー水栓に変更。
・さらにシンクに穴を開けて食洗機専用の水栓を追加する。
・キッチンの背中側の食器棚は、壁面固定の「上の部分」だけをとりつけ、「下の部分」は取り付けない(下半分は希望する収納の組み合わせがほとんどないため、別途棚等を準備して組み上げることにしたため)


「見た目が美しい」とか、「収納がいろいろ工夫されている」とか、そういうキッチンのカタログで強調されているようなポイントはほとんど見てません(笑)。
というか、そういった部分についていえば上位メーカーのものはどれも五十歩百歩だし、だいたい先に触れたような「カタログレベルでオプション選択できる範囲」に含まれているので、メーカーと構造的な仕様を決めたあとで、その辺については妻に一任して全部決めてもらいました。
ですので、「事前の特注や、加工の工事が必要なこと」みたいなことについては私のほうで決めていったわけですが、一般に言われるような(例えばマンションのオプション選びのような)意味での「キッチンの仕様決め」の部分、色やテクスチャーといったデザインや、追加でつける便利小物といった部分については、全部妻に決めていってもらったわけです。
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2016年12月19日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(96)

さて、仕様について、大がかりなところから少しずつ細かいところに進んでいきますが、このあたりで始まるのが、

・ショールーム巡り

です。

実は、注文住宅で家造りをするまでは、街のあちこちにあるショールームがいったいどういう目的で存在するのか、正直なところよく分かりませんでした。
たとえば家具屋さんとかホームセンターの水回り用品販売コーナーと何が違うのかいまいち分からなかったのです。

でも実際に経験してみると、注文住宅を建てる際にさまざまな選択肢があり、その選択肢を絞り込む際に「実際に見る」「細かいオプションを決める」ための場所だということがよく分かりました。
ユーザーが勝手にショールームで実物を見るだけじゃなくて、そのうえで見積もりをとり、細かい仕様決めをして、ショールームからビルダーに「仕様を確定させた見積もり」を送り、そのうえでビルダーからメーカーに「発注」する、という流れの一部も担っているわけですね。
ですから、キッチンやお風呂のような大型の水回り設備については、「ビルダーにお任せ」してしまわない限り、必ずショールームに行って見積もりをとり、仕様を確定させなければならなかったりするわけです。

私は、選択可能なものについては「ビルダーにおまかせ」は一切やらなかったですし、さらに複数のメーカーの選択肢がある場合(例えばキッチンだと、6メーカーくらい選べました)、見る前から絞り込まずに、全部のショールームで実物を見るようにしたので、結果的に10か所以上のショールームを回ることになりました。
キッチンやお風呂、トイレ・洗面台といった主要な水回り設備だけでなく、床やドア(室内・玄関)、屋根(瓦)、外壁、またこれはビルダーへのオーダーではありませんが、外構に関する門・塀・フェンス・機能門柱(ポストや表札を兼ねている門柱のこと)についてもショールームを回りました。

ちなみに、LIXIL(INAX)とかTOTOといった大手メーカーのショールームだと、いくつもの設備がまとめて見られるのでつい全部一か所で全部決めてしまいたくなる誘惑にかられるのですが、これはやめたほうがいいと思います。
ちゃんと比べてみると、やはりメーカーごとに得意・不得意なジャンルがあって、全部同じところで選ぼうとするとベストの選択にならない可能性が高くなるからです。
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2016年12月12日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(95)

さて、防犯性能を高めるための住宅の仕様の基本として、防犯合わせガラスを採用することにしたわけですが、ビルダーがオプションでリーズナブルに提供してくれるプランから外れるものとして、以下のような部位のガラスがありました。

・キッチン出窓(特注なので)
・勝手口ドアのガラス部分(窓ではないので)
・玄関ドアのガラス部分(窓ではないので)


このうち、キッチンの出窓と勝手口ドアのガラス部分については、別途追加コストを払うことで防犯ガラスを入れることにしました。
これらについては当たり前に「窓ガラス」であり、防犯ガラスにしないことは家に弱点を作ってしまうことに他ならないからです。
これらについてはオプションではなく定価になり、しかもキッチン出窓については既存サイズのなかではかなり大きなもので、限りなく「特注」に近い料金設定になっているため、このキッチン出窓と勝手口ドアだけで、ビルダーオプションで設定できた、その他すべての窓の防犯ガラスの価格の半分よりも高くなってしまいました。(^^;)

そして、悩ましいのが玄関ドアです。
これは1階でもあり、狙われやすい場所でもあるので、ある意味防犯ガラス化は必須なのですが、防犯ガラスを入れた場合の追加コストが極めて大きかったのです。(ここ1枚で他の全窓のビルダーオプションと同じくらい)

この問題の簡単な回避方法として、「窓のない玄関ドアを選ぶ」というのもあるのですが、それはそれで玄関を暗くしてしまいます。
そこで最終的に、「ガラスの形状が細長くて割っても体も腕も入らない・ガラス部分の位置関係から、クレッセントにも手が届かない」、さらに「ガラスを割ってもドアの格子が邪魔をしてほとんど開口部が生まれない」というデザインのドアを見つけ、それを選びました。

なお、それ以外によく言われる、

・窓にシャッターをつける
・窓の外側に格子を入れる


というのは、ビルダーの標準設定・無料サービスの範囲内で採用しましたが、これらについてはどちらもその気になれば簡単に破ることができ、「最初の5分」を防御することができないので、防犯効果は全然大したことはないという認識です。

どちらかというと、台風などのときにものが当たって窓を割ったりしないということで、防災性能のほうが期待できるくらいかもしれませんね。
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2016年12月05日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(94)

さて、家族と家を犯罪から守り、子どもを支える体制を維持するためには不可欠な、高い「防犯性能」を実現するためのアプローチについて、いったん「住宅の仕様」ではない部分から先に書きました。(そちらのほうがむしろ重要だと思っているからです)

そのうえで、「住宅の仕様」として、防犯性能を高めるために選んだものがいくつかありますが、その最たるものが、

・防犯ガラスの採用

です。

ご存知の方も多いと思いますが、住宅用の窓ガラスの一種として、「防犯合わせガラス」というものがあります。
これは、窓ガラスを多層構造にして、ガラスとガラスの間に樹脂フィルムのようなものを挟み込むことで、「叩いても割れない」ガラスにしてしまうというものです。
効果は非常に高いと言われており、泥棒が家に侵入しようとする際の「最初の5分」では破壊できないため、泥棒が侵入を諦める可能性が高くなります。
また、そのような性能をもった防犯ガラスには、その性能の証明として「CP(Crime Prevention)マーク」のステッカーが貼られており、外から見えるようになっています。
これもまた、泥棒に対して強い牽制効果をもつことが期待できます。

ですから、これを家の窓ガラスとして採用することで防犯性能を大幅に高めることができるわけですが、当然ながら、問題はコストです。

普通に積算すると、窓ガラスを防犯合わせガラスに替えるだけで、1窓あたり数万から10数万程度かかってしまいます。

ところが、ここでもA社には魅力的なオプションがあったんですね。
なんと、「すべての窓を防犯合わせガラスにする」というオプションが、個別に入れるよりも遥かに安い価格で選べたのです。

これを使わない手はないということで、このオプションを追加することに決めました。

でも、このオプションには条件があって、「標準仕様の範囲で設置されている窓ガラスだけ」が対象になります。
この条件によって除外されてしまうガラス部分として、

・キッチン出窓(特注なので)
・勝手口ドアのガラス部分(窓ではないので)
・玄関ドアのガラス部分(窓ではないので)


があります。
これらについて、どう対応したかについては次回書きたいと思います。
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2016年11月28日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(93)

さて、続いては「防犯性能」です。

防犯性能についてはちょっと難しくて、いわゆる「家の仕様」で実現する部分というのは、実は第一優先ではありません。
それよりももっと重要なことがあるので、そちらについて(仕様ではありませんが)先に触れておきたいと思います。

防犯については、何をもって防犯性が高いと考えるか?という視点から考えなければならない、と私は思っています。
そして私は、防犯性の高い家というのは、

・犯罪者から狙われる際に優先順位が低くなる家

というのが第一義だ
と思っています。
つまり、例えば空き巣狙いの泥棒がうちの近所にやってきて「入る家」を物色したとき、私の家を見て「入りにくそうだから他をあたろう」と考えてくれれば、それは間違いなく「我が家の防犯性が発揮された」と言えるだろうと思います。

この「防犯性」の優れたところは、単に空き巣だけでなく放火魔でも自動車泥棒でも、すべての「家に近づいてくる犯罪者」に対して有効であることです。

では、そのためにどうすればいいか。
要は、「見た感じ、入りにくそう」「何かやろうとしたら終わるまでに見つかりそう・捕まりそう」と感じられるようにすればいいわけです。

そのために、まず我が家は、

・オープン外構

を前提としました。これは家の仕様ではなく、外構の仕様なのでまた話が別になりますが、簡単に触れておくと、家の周囲にがっつりと塀を設けることをせず、家の建物が外からよく見えるような、「門塀のない家の敷地の構成」のことをいいます。

オープン外構は防犯上弱くなるように思えますが、住宅密集地で周囲に人の目があり、また夜も街灯などで明るさが維持される場合には、一度侵入すれば死角に入れるクローズド外構よりも、すべてが丸見えになってしまうオープン外構のほうが防犯性は高いと言われています。

家づくりにあたっては、オープン外構とすることを前提に駐車場の位置を決め、それを前提に建物自体の敷地内での位置決めを行ないました。

防犯のために次に考慮したことは、

・防犯カメラの設置

でした。
これは間取りのところでも少し触れましたが、外から家を見渡したときにあちこちに防犯カメラがついているような家は、少なくとも「ついていない家」よりは犯罪者にとって「優先順位」が低くなるでしょう。
さらに言えば、防犯カメラはそれまで住んでいた家でもつけていて、実際に何度も何度も(つまらないイタズラとかの犯人を見つけたりするために)役立ったので、「実用性」もあります。
家の正面から見える場所に1つ、玄関アプローチに1つ、さらにやや人気のない家の裏側にも1つ、合計3つの防犯カメラによって、見た目的にも犯罪者を牽制することにしました。(もちろん実際の録画もします)
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2016年11月21日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(92)

さて、新しい家の「仕様」のうち、対災害・防犯性能について書いています。
すでに耐震性能については触れましたが、続いては耐火性能です。

耐火性能については、基本的には、

・省令準耐火

の基準を満たすことを1つの目標にします。

この基準は、ざっくり言うと「外壁や構造躯体が1時間程度の火災まで耐えられる」というもので、外壁については一定の基準を満たした耐火性の高い素材(サイディングなど)を使い、室内については耐火性のある厚い(12mm)石膏ボードでありとあらゆる部分を覆い、さらに部屋と部屋との接合部にも延焼を防ぐような部材を入れ、火災の通り道を作らないようにすることによって実現します。

当然、コストがかかりますが、このコストは実はなかったことにできます。
というのも、省令準耐火にすれば、火災保険・地震保険の保険料が「木造料金」から「鉄筋コンクリート料金」に変わるため、例えば30年分の火災・地震保険料で比較すると50万円くらいは余裕で違ってくるからです。

火災で燃えにくい家になり、しかも実質的にコストはかからないわけですから、省令準耐火を目指さない手はないですね。
まあ、デメリットとしては、間仕切りの石膏ボードが厚くなるのでその分家のなかがわずかに狭くなること、「梁を見せる」といった演出は(石膏ボードで覆わなければならないので)できなくなることなどがありますが、大したことはありません。

むしろ、ローコストビルダーの場合、多くが「うちは省令準耐火はできません」と断ってくるので、そっちのほう(=ビルダー選び)がハードルになってくるパターンが多いかと思います。
というのも、省令準耐火については、家ごとに認可をとるというのではなく、ハウスメーカーが「工法」でもってあらかじめ認定を受けておき、家を建てる際にはその認定を受けた「工法」どおりに建てていることの確認を受けるという流れが基本になっているため、そこまでの手間をかけられない、地元工務店的なローコストビルダーでは難しいわけです。

ここについてもA社は、自社の工法にて省令準耐火の認定を既に持っており、当たり前のように標準仕様で省令準耐火にすることができたので、安心して選ぶことができました。(標準仕様だったので、特段のコストすらかかりませんでした。)
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2016年11月14日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(91)

さて、家づくりにあたって、「間取り」に続いて「仕様」の検討の話をしていますが、次に考えなければならないのは、

・耐震性能
・耐火性能
・防犯性能


といった、対災害性能です。
特に、これらのうち「耐震性能」については、税制面などでメリットを受けられる、

・長期優良住宅

に認定されるためにも重要です。
それだけでなく、個人的にも、耐震性能については特に重視したいと考えていました。

新しい家は2階建てですので耐震性能については実は規制がゆるく、単に建築許可をとり、耐震基準を満たすだけならば、実のところそれほどハードルは高くありません。

でも私としては、そのレベルで満足したくはありませんでした。
なぜなら、新しい我が家は建築法制上は2階建てですが、実際には固定階段つきの12畳を超えるグルニエをもち、しかもこのグルニエは物置になる予定ですから荷物がたくさん入ります。
グルニエにたくさん荷物が入るということは、家全体としては重心が高くなり、地震に弱くなるということです。

ですから、私としては、新しい家には「木造3階建住宅」に求められるレベル以上の耐震性能は絶対に確保しておきたいと思っていたのです。

その点については、実際に建築請負契約に入る前の時点でA社の営業担当および担当建築士の方には話しており、協力をお願いしていました。
そして、契約後に間取りを最終化する時点で、A社側で作成した壁量計算結果を見せてもらい、さらにこの計算結果を外部の建築士の方に見てもらって、セカンドオピニオンまでもらいました
もちろん、私自身も図面を読み込みました。

最初に出てきた計算結果の時点で、建築基準法の最低ラインはもちろん、木造3階建の基準相当の耐震強度も確保できていたのですが、それでもまだ若干の壁量バランスのずれがあり、地震の際にねじれの力が発生する可能性があったため、間取りをわずかに修正し(耐力壁の長さを30cm変えるとか、そういうレベル)、さらに数字を改善して間取りを最終化しました。
最終的には、「ここまでバランス良く耐力壁が配置できている家は珍しい」と外部建築家に言ってもらえるくらい、耐震性能については文句のないレベルまで引き上げることができました。もちろん耐震等級は最上級の「3」です。
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2016年11月07日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(90)

家づくりで、建物の「仕様」を決めていく第一歩は、木造か非木造(鉄筋・鉄骨)か、木造なら在来工法かツーバイフォーか、といったところなわけですが、これについては、

・木造で、
・在来工法、


というところに落ち着きました。

そして、工法が決まると、次に考えるべきは。

・断熱工法

ということになります。

木造在来工法の建物の断熱工法には、大きく分けると

・内断熱
・外断熱


という2つの工法があります。
簡単にいうと、家の骨組みを組んで、板張りの外壁を張った状態に対して、その壁の内側に断熱材を充填するのが「内断熱」、壁の外側に断熱材を張り巡らせるのが「外断熱」です。

一般的に、外断熱のほうが断熱効率は高いと言われていますが、同時にコストも高くなります。安い建売の家はだいたい内断熱です。(この時点で住んでいた建売は典型的な内断熱でした。)

今回は、断熱にはそれなりにこだわる必要がありました。
なぜなら、既に間取りのところで説明したとおり、新しい家の間取りはリビング内階段だからです。
リビング内階段ということはつまり、1階LDKの冷暖房をLDKだけに封じ込めることができず、冷気・暖気は階段を通じて2階、さらにはグルニエにまで抜けていってしまいます。
それでも冷暖房効率を落とすことなく、電気代を抑えるためには、いわゆる「高気密・高断熱住宅」にすることが欠かせませんでした。

ですから、新しい家はできるなら外断熱にしたいと思っていましたが、当初見積もりをとっていたローコストビルダーはほとんどが内断熱で、ようやく見つけた外断熱で比較的安いY社は、玄関や屋根裏がどう見ても外断熱になっていない、一部内断熱の中途半端な謎工法で、選ぶのに躊躇を感じていました。

それに対して、最後に登場したハウスメーカーA社は、なんと外断熱(アキレスボード)と内断熱(吹付けフォーム)を両方やってしまうという力技の「ダブル断熱工法」で、しかも玄関も屋根裏も完璧な外断熱でした
最終的に、この断熱工法の優秀さが、A社を選ぶ決定的要因の1つになったといっても過言ではありません。

そして、このダブルの断熱工法のおかげで、高断熱だけでなく「高気密」の性能も得ることができ、新しい我が家はかなり高レベルの「高気密・高断熱」住宅とすることができたのです。
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2016年10月31日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(89)

在来工法かツーバイフォーか、という選択で、家づくりの当初はツーバイフォー優先で考えていたのですが、ビルダー選択の後半で残ったのは、すべて在来工法のビルダーでした。

これは、ツーバイフォーをうたう工務店の動きが鈍かった、というのも1つにはあります。
でも、より本質的な理由としては、ツーバイフォーに(在来工法と比べて)それほどの優位性はないんじゃないか、と考えるようになったことが大きいです。

在来工法と比較すると、ツーバイフォー工法には次のような弱点があると感じました。

a.コストが高い。

 本来、ツーバイフォー工法というのはコストダウンのために考案された工法のはずなのですが、日本ではまったくそんなことはなく、在来工法をうたうビルダーよりも坪単価は明らかに高いです。
 その結果、ツーバイフォーの標準仕様と同じコストなら、在来工法ではワンランク以上上の仕様が選べるという状況になり、ウリであるはずの耐震性能や断熱性能も含めて、同じコストレベルでは優位性がほとんどなくなってしまうのです。

b.設計の自由度が弱い。

 ツーバイフォー工法の最大の弱みの1つとして、設計上、窓が自由に開けられないということがあります。イメージとしては、日本の一般的な住宅よりもかなり窓が少なく、またそれぞれの窓が小さな家になります。
 そういった家が洋風でおしゃれだ、というセンスもあると思いますが、思ったところに窓が開けられないというのはプランニングする立場としては嫌だな、というのがありました。

c.建築中の雨に弱い。
 これもよく言われることですが、在来工法では上棟の日に1日で屋根をつけてしまうので、以後室内が雨ざらしになることが避けられます。
 一方、ツーバイフォー工法では下から順番に組み上げていくため、屋根がつくのは家が完成する最後の段階になります。そのため、建築中に大雨が降ると床の部分が水浸しになってしまうわけです。
 雨の多い日本の気候を考えたとき、この差は非常に大きいように感じました。

d.パネル工法自体は在来工法でも採用されている。
 ツーバイフォー工法のメリット(耐震性、断熱性)を生み出しているのは、筋交いではなくパネルで家を支える「パネル工法」であるところだと言えます。
 でも、実は在来工法を採用するビルダーの多くが、筋交いとパネルをうまく組み合わあせて家を建てることで、ツーバイフォーのメリットを吸収していることが分かりました。
 在来工法を選んでも、パネル工法のメリットを享受できるのであれば、ツーバイフォーを選ぶ理由はかなり薄くなってしまいます。

他にもいろいろ理由はあるのですが、主に上記のようなことを考え、ツーバイフォーにしてもはあまりメリットはないな、と感じるようになったので、最終的には在来工法のビルダーを選ぶことになりました。

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2016年10月17日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(87)

21)おまけ:地下室と屋上

さて、間取りについてはだいたいこんな感じですが、今回触れなかったアイデアとして、「地下室」と「屋上」というのがあります。

まず、屋上については木造だとほとんどナンセンスですから考慮さえしませんでした

木造建物の最大の敵は「雨」です。
家のどこかに雨が滞留すると、そこから木が腐ってしまって家がだめになってしまいます。
そして雨が最も多く当たる場所は、言うまでもなく屋根であり、木造の家は屋根に雨が滞留しないよう、屋根形状をシンプルにし、また傾斜をきつめにつけることで雨をどんどん地面に落としていく必要があります。
対して、「上がれる屋上」を作るためには、屋根をできるだけフラットにして、かつ屋根に上がるための仕組み(はしごなど)をつけ、さらに屋根の上を歩いてもいいような補強、落下を防ぐ手すりの設置まで施す必要があります。
こういったものはすべて、「屋根から雨を早く落とす」こととは真逆に働いてしまうわけです。
たまに、木造でも屋上を作るプランとかありますが、家の耐久性を考えれば、ちょっとありえない選択だと思います。

一方、地下室については、居住スペースを大きく広げることができるアイデアとして、いったんは考慮の俎上にあげました。
ただ、検討のかなり早い段階でプランからは外すことにしました

まず、大きかったことはコストの高さです。
地下室を作るためには、地下部分は基礎を兼ねた鉄筋コンクリート造にする必要があり、建築のための坪単価は通常の住宅の倍ではすみません。

そして、そこまでのコストをかけて地下室を作っても、湿度が高く漏水のリスクもある使いにくい部屋ができてしまい、用途としては趣味のスペース(オーディオルーム、シアタールーム、楽器の演奏スペース等)といったものになりがちで、部屋としての使い勝手が悪くなること、さらには大雨のときに漏水どころか「冠水」のリスクさえあることなどを考えると「割に合わない」と考え、やめることにしたわけです。

屋上を作るくらいなら、床がすのこ状で屋根のないバルコニー(グレーチングバルコニー)を思いっきり張り出すほうが面白くかつ実用的だと思いますし、地下室を作る目的は、大きなグルニエを作れば相当程度達成できると考えたので、今回はどちらもなしにしました。
(グレーチングバルコニーについては、割と本気で考えていましたが、若干建築基準法上もグレーになりますし、コストも意外と高かったのでやめました。)
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2016年10月10日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(86)

20)規制との戦い

間取りについて、立体的な設計を意識することで問題をクリアしたということを書きましたが、もう1点、設計士の方に無理をお願いしたポイントとして、建築規制をクリアするために、いくつかテクニックを使っていただいたということがあります。
まあこれは、設計士の方にとっては当たり前の仕事ではあると思いますが、以下のポイントのうち、浴室のサイズの件については、私の方から提案しました。

まず1つめは、浴室について、ミリ単位でサイズを調整したことがあげられます。

我が家は真上から見ると長方形ではなく、浴室部分だけ、わずかに出っ張った形になりました。まあこれは、浴室を1坪ではなく1.25坪タイプにしたことが最大の理由です。
ところが、この間取りを素直にプランすると、建ぺい率が規制をわずかにオーバーしてしまうのです。それも、0.1%より小さいような、ごくごくわずかなレベルです。
この状態から一般的なやり方で間取りを修正すると、どこかの部屋を一回り(2畳とか3畳のレベルで)小さくするか、さらに建物を凸凹にして複雑な形にするか、どちらかになってしまいます。
それは避けたかったので、今回は、「浴室のために出っ張らせた部分の長さを、ミリ単位で縮める」というアイデアで乗り切りました。
浴室にはユニットバスがごろんと入りますが、実は1.25坪のユニットでも、1.25坪の空間に対して、5cmくらいの余裕をもって小さめに設計されています。
ですから、1.25坪のユニットは、わずかに1.25坪よりせまい、例えば1.24坪のスペースにも入れることができるわけですね。
そんなわけで、今回は浴室部分の出っ張りを「1cm」だけ縮めることで、建ぺい率を規制の範囲内に収めることができました。(建ぺい率は、規定の40%に対して、39.998%とか、そういう笑ってしまうくらいぎりぎりのレベルになりましたが。)

また、もう1点、規制をクリアするために設計士の方に汗をかいていただいたのが、「ベランダ」でした

ベランダ自体はごくオーソドックスな標準仕様で、2階の南向きの掃き出し窓に沿って規制の範囲内(張り出し1m以内)で作っただけだったのですが、敷地との関係で、そのベランダの南西の角だけが、そのままだと道路斜線規制に引っかかってしまうことが分かったのです。

こちらについては、こういった場合によくやる(ただし超低コストビルダーとかだと嫌がってやらないこともある)、「天空率」を使った制限緩和の規定を活用して、なんとか当初想定していたとおりのベランダを設置することができました
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2016年10月03日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(85)

19)3次元での微調整

これまで、間取りについてのこだわりポイントを書いてきましたが、これらをすべて満たすような間取りを、決まった広さの敷地に破綻なく設計していくことは非常に大変です。
いったん、「これならうまくいく」と思った間取りができても、それをハウスメーカーにもっていくと、設計士の方から問題点を指摘されてやり直しになる、といったことも何度かありました。

逆に、普通に間取りを組んだらできないはずのプランについて、設計士の方に無理を言って設計を詰めてもらって、何とか押し込んだというパターンもいくつかありました。

その際のポイントは「3次元」ということでした。

その1つは浴室です。
我が家の浴室は結果的に、その上を階段がとおることになりましたが、フルの天井高よりも低い位置を階段の一部が通っています。
こういった場合、通常の部屋であれば、天井の一部に階段の出っ張りができる、ちょっと不格好な部屋になるだけで済みますが、浴室の場合、ユニットバスですから天井を削ることができません。
天井の出っ張った部分だけユニットバスの天井をカットして、別途天井を施行することができるか、とハウスメーカーに聞いたのですが、それはちょっと難しいという回答でした。(たぶん、保証とかもできなくなるからでしょう。)
これは無理か、と思ったのですが、選択可能なユニットバスの図面を比較吟味した結果、特定のメーカーのユニットバスで、天井をドーム型ではなくフラットにして、かつ浴室換気ユニットの位置を工夫すれば、ユニットバスを加工せずにそのまま入れても何とか入ることが分かりました。

また、グルニエについても、当初の設計では階段と屋根の位置関係が悪く、平面図ではうまくできているように見えていたものの、立面図で書き起こしてみると、階段の途中で天井高さが80cmを切るというありえない状況になることが分かったため、階段の段数や回転部分の刻み方を調整して、何とか1.1m程度を確保するようにしました。

間取り図とにらみあっていると、つい間取りというのは平面的にプランニングされているものだと錯覚してしまうのですが、実際には建物は3次元の立体なので、空間をうまく使えば、思いもよらないアイデアで問題解決できたりするものなんだな、と改めて感じたりもしました。
きっと、こういったセンスが抜群に優れた建築家とかに家造りをお願いすると、スキップフロア(中二階)とか吹き抜けを駆使した、芸術的でとても魅力的な家ができたりするんだろうな、とも思ったわけです。(私にはそういうセンスはまったくないので、あくまで実用上、機能上役に立つ部分でだけ、「立体的なプランニング」の恩恵を蒙りました。)
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2016年09月26日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(84)

18)防犯カメラのレイアウト

新しい家を建てるにあたって、防犯のこともいろいろ考えました。
防犯ガラスを使うなど、仕様面での配慮については別に書くとして、間取りという観点から考えたことは、

・防犯カメラの設置ポイントの決定

でした。

引っ越す前の建売住宅でも、我が家では自分でカメラと録画機を設置して、玄関前やマイカーを常時モニター・録画するシステムを手製で構築していました。
これは、ベランダの角から家の玄関・駐車スペースを見下ろすようにカメラを設置し、そのケーブルをベランダの屋根伝いにひきまわして2階の私の部屋に引き入れ、そこに録画機を設置して録画・監視すると同時に、インターネット越しにも見られるようにして、外から家の周囲を見守ることもできる、といったシステムでした。
実際、この防犯カメラにはうちの門塀やマイカーを壊して黙って逃げていくシーンや、粗大ゴミを不法投棄していくシーンなどが何度も記録され、問題解決に大いに役立ちました。

そこで今回、家を建てるにあたっては、家の四方をすべて監視できるよう、カメラを設置することにしました。
そのためには、外壁などに固定するカメラマウント(カメラ用アームなど)、そこから内部へのケーブルの引き込みボックス、さらに室内に電源コンセントと映像用のターミナルなどが必要になります。

そして、間取りを考える場合に考えなければならなかったことは、

a.カメラ設置ポイントが建物の周囲を監視できる場所になっていること。
b.設置ポイントのすぐ横に窓を設置できて、その窓からカメラの取り付け・取り外し・調整が安全にできること。
c.設置ポイントにアクセスする部屋が、子ども部屋ではないこと。


まず、a.は当然ですね。カメラを設置して、ちゃんと見たいところが見えなければ意味がありません。
そしてb.ですが、カメラは2階の高さ以上に設置しますので、室内から窓ごしにカメラの付け外し・向きの調整をやる必要があります(外から長いはしごを使うというのは危険すぎます)。カメラは数年で、雨ざらしのケーブルは10年くらいでダメになるので、メンテ性がいいことは不可欠です。
そして最後にc.ですが、カメラを微調整する「室内」は、私が自由に出入りできる部屋である必要があります。子ども部屋は、将来そうではなくなる可能性があるので、避ける必要がありました。

以上をふまえて、カメラの設置場所候補は、2階のベランダ、納戸、トイレ、そしてグルニエのそれぞれ窓の脇に決定しました。
「候補」なので、とりあえずカメラが設置できてケーブルを取りこめる設備は作りますが、実際にカメラを設置、作動させるかどうかは、家ができてカメラを試しにつけてみて決めることにします。
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2016年09月19日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(83)

17)子ども部屋のレイアウト(3)

子ども部屋の設計にあたり考えたこと3つ、

1)プライバシーは適度に守られるが、完全な密室にはできないこと。
2)わざわざ快適性を損ねることはしないが、快適性に関する要素を他の部屋に優先的に割り当てることで、相対的に快適性を下げる。
3)子どもが小さいころと成長したあとで使い方が変えられるように工夫する。


のうち、1)と2)については前回触れました。
最後に3)ですが、これについては子どもの療育と少し関係があります

家のプランニングをしている時点で、上の子(障害あり)は夜寝るときに親と同じ部屋・別のベッドで寝る形、下の子はまだ小さく、必ず親が一緒に寝なければならない状態でした。(ちなみにその時点では、上の子と私が同じ部屋に、下の子と妻が別の部屋に一緒に寝ていました。)

そして、この「関係性」はもちろん子どもが成長するにつれて変わっていきます。
下の子は夜泣きしなくなり一人で寝られるようになっていくでしょうし、さらに成長すれば個室(子ども部屋)を用意する必要も出てくるでしょう。
一方で上の子は、形は変えつつも、寝るときを含めて親のサポートが一定必要であり続けると想定されます。

2階の居室は、それらのニーズをうまくすくいとれるように設計する必要がありました。

そこで採用したのが、引き戸によって仕切られた和室と子ども部屋、という間取りです。
つまり、建物の東側半分を、南から北まで基本的にひと続きの長屋みたいな大きな空間にして、南側を親の寝室(和室)、北側を子ども部屋にして、間を2枚引きの引き戸+引き戸と同じ幅の間仕切り壁で仕切る、という間取りにしたのです。

これにより、引き戸を開ければ大きな1つの部屋に、閉めれば2つの個室に変わるようになり、非常にフレキシブルに部屋の使いみちを変えていけるようになりました。

具体的には、下の子が小さいうちは子ども部屋側に上の子、和室側に下の子と親が寝て、間仕切りを開けておく(下の子に夜泣きなどがあった場合には閉める)、下の子が大きくなってきて一人で寝るようになったら、子ども部屋側に下の子を寝かせて上の子には和室で寝てもらうようにして、最初のうちは怖がらないように間仕切りを開けておく、やがてプライバシーが必要になったら、間仕切りは閉めて子ども部屋を個室にする、といった具合です。

実際には、新居に引っ越しして少し練習させたら、上の子は子ども部屋側で一人で寝られるようになったので、間仕切りは閉めた状態で寝かせています(エアコンを通すときに少しだけ開ける感じ)。
間仕切りは、昼間の時間に部屋の風通しを良くするために開けているような状態ですが、下の子がもう少し成長して、でもまだ小さい時期のための「オープンな子ども部屋」としてはうまくワークしそうだと感じています。
posted by そらパパ at 20:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2016年09月12日

自閉症の子どもと暮らす家づくり(82)

17)子ども部屋のレイアウト(2)

今回、子ども部屋をプランニングするにあたって考えたのは、次のようなことです。

1)プライバシーは適度に守られるが、完全な密室にはできないこと。
2)わざわざ快適性を損ねることはしないが、快適性に関する要素を他の部屋に優先的に割り当てることで、相対的に快適性を下げる。
3)子どもが小さいころと成長したあとで使い方が変えられるように工夫する。


まず1)についてですが、「プライバシーが適度に守られる」というのは、

・個室状態が作れること。

そもそもドアがない、とか、仕切りがただのカーテン、とか、カーテンのない透明な室内窓がついている、みたいに、プライバシーを作らないような部屋・空間にはせず、ちゃんとドアを閉めて個室状態を作る、ということができるように設計します。

・その状態から、第三者が部屋に入ってくる場合、「部屋に入ってくる」という目的しかありえないこと

その部屋が他の部屋に行くための動線になっていたりしないこと。これにより、誰かが部屋のドアを開ける場合は、必ず「その部屋に入る」ことそれ自体が目的であるようにします。

といったことを指します。

一方、「完全な密室にはしない」ということについては、端的にはドアに鍵をつけない、ということを指しています。

さらに、子ども部屋を完全に孤立した部屋にするのではなく、隣の部屋(妻の使う和室)と引き戸でつながるようにして、隣の部屋とも緩やかにつながっている状態にすることにしました。
これは、上記3)の目的にもつながるところなのですが、1)の目的にも適っているわけです。

続いて、2)の「相対的に快適性を下げる」という点ですが、2階に配置する居室のなかで、以下のような点で子ども部屋の「優先順位」を最下位にしました。

・方角:北向きのスペースを子ども部屋に割り当てました。

・広さ:居室として最低限の四畳半としました。さらに隣の部屋との引き戸の収納スペースを子ども部屋側に作ったので、実際には4.2畳くらいの広さになりました。

これは、子ども部屋は勉強をして寝る、あとはプライバシーを確保したい時間にいることが主たる目的で、できれば一日中こもる部屋にしたくないということから考えたことです。(勉強机を置く方角としては、北向きは優れているとも言われます。)
ベッドと机と着替えを置く場所くらいで部屋がいっぱいになるイメージです。
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2016年09月05日

自分が受けた療育のことを調べたら、自分が両手利きな理由がわかった話。(3)

この話題、長くなったので分割して書いてきましたが、今回が最終回です。

小学校高学年のころに出た私の吃音の主たる原因が、当時私の祖母が私に対して熱心に行っていた「利き手の矯正」にありそうだ、ということが判明したため、それまでかなりべったりの「おばあちゃん子」だった私は、両親の強い働きかけにより、祖母から「分離」されました。
そして実際に、その環境修正によって私の吃音は劇的に軽快したわけです。

そんな中で、ここにはもう1つの切ない物語がありました。

この、私の吃音の問題というのは、それまで祖母が主導権を握り、実際にそれなりの成果を上げていた「私への(けっこうスパルタ的な)教育」についての、祖母の最初にして最大の挫折になりました。
そして、最後は「戦犯」みたいな雰囲気のなかで手元から孫を「奪われた」祖母は、それまでの溌剌とした雰囲気が嘘のようにあっという間に老け込んでいってしまいました。
私自身も中学生になって、反抗期というほどでもないですが親離れ的なメンタリティになっていったので祖母とも疎遠になり、祖母は一日中、かつて「祖母と私の部屋」だった離れの部屋で一人でテレビをずっと見ているようになりました。

その後、祖母は叔父の家に引き取られ、さらにそこから老人ホームに移りました。このあたりの細かい経緯は教えられていませんが、少なくとも叔父の家に引っ越すことについては、祖母自身の強い希望があったとは聞いています。
やがて大学生になって上京し、「なんちゃって反抗期メンタリティ」の抜けた私は、遠く老人ホームで暮らす祖母と年数回程度の手紙のやり取りをするようになりました。
私の手紙を祖母は大変喜んでいたようで、毎回、手紙の最初には私からの手紙が届いたことへの喜びが、最後にはまた手紙を書いてほしいということが書かれていました。
でも、そんな祖母からの手紙があるときから急に乱れて何が書いてあるか分からなくなり、こちらからの手紙にも返事が来なくなってしばらくしてから、祖母の死を知りました。
葬式が終わってから知らされたので、最後のお別れができなかったことが今でも心残りです。
私自身は祖母に対する悪い記憶はまったく残っておらず、私の好奇心を邪魔せずに、逆にいろいろなことを教えてくれた先生のような存在だったと思っています。私の「学ぶ」ということへの基礎を作ってくれたのは間違いなく祖母でしょう

ともあれ、こうして、私はいま吃音で困るということはなくなり、代わりに、箸は右でスプーンとフォークは左、鉛筆は右でチョークは左、マジックペンは左でも右でも書けるという中途半端な両手利きが残りました
私自身、利き手の矯正を受けたはずなのに中途半端に直っていないのはなぜだろう、ということを覚えていなかったのですが、そういう事情があったことを初めて知りました。

また、教育熱心でそれなりに「成果」もあげていて、教わる子どもの側もそれを楽しんでいるように見えて、さらに本人さえ楽しいと思っていたとしても、それでもその「熱心な教育」が実は子どもを精神的に追い込んでいたりすることがありうるんだ、ということを身をもって経験したことが、私の教育観、さらには療育観に影響を与えているということもあるかもしれませんね。
(了)
posted by そらパパ at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2016年08月29日

自分が受けた療育のことを調べたら、自分が両手利きな理由がわかった話。(2)

さて、私自身の曖昧な記憶を頼りに、親に私が過去に受けたはずの吃音の療育について実家の親に聞いてみたところ、最初に京大病院に行って医師と話をしただけで、「どうやらこれが原因らしい」というものがあっさりと特定されていたようです。

それは、

祖母による利き手の矯正

でした。

両親が共に多忙だったことと、祖母が私を離さなかったことから、私は典型的な「おばあちゃん子」でした。
ちょうど京大病院通いが始まる頃、つまり小学校の高学年まで、私は祖母と同じ部屋で寝ていたくらいです。(大きくなってから聞きましたが、それは祖母の希望だったようです。)
祖母は私の教育に非常に熱心で、祖父や曽祖父の持っていた古い本を私に読ませたり、知恵の輪やパズルなどの知育玩具で遊ばせたり、ローマ字を教えたりといったことを、私が幼稚園くらいのころからずっとやっていました。

そんななか、祖母がもう一つ熱心に取り組んでいたのが、左利きだった私の利き手の矯正でした。
祖母にとっては、左利きというのは「恥ずかしいこと」で、小さいうちに右利きに矯正しないと立派な大人になれない、といった価値観を持っていたようです。
ところがその矯正はあまりうまくいかず、祖母は熱心さのあまり、かなり激しく私にあたったりしたこともあったようです。
そして、おばあちゃん子だった私は、祖母の期待に応えようと必死だったのだろうと思います。
でも、それでも、そんなにうまくいきませんでした。

そんなころに出てきたのが、私の吃音だったのです。
その時点では、祖母の利き手矯正のスパルタ教育と私の吃音が始まったことの関係について、私自身も祖母も含めて、家族の中では誰も気づく人はいませんでしたが、さすがにそのあたりのプロである京大病院の先生には親と私へのインタビューですぐにぴんときたのでしょう。

なので、解決のソリューションとして、私自身へのトレーニング(療育)もさることながら、より原因である可能性の高い「家庭内の環境」を是正することが必要だと、医師は親に告げたわけです。

この頃、もしかすると親自身も、祖母が私を囲い込んで離さない状況をなんとかしたいと思っていたのかもしれません。
この日を堺に、私には個室が与えられ(田舎の家なので部屋はたくさんあった)、寝る部屋も祖母とは別になり、祖母には今後は子どもの教育に関わりすぎないこと、特に利き手の矯正はやめるようにということが告げられました。
親としても自分の親にそういったことを告げるのは辛かったでしょうし、もちろん祖母も抵抗しただろうと思いますが、吃音の問題を誰よりも心配していたのも祖母であり、その原因が自分にあると「専門家から」告げられたこともあって、強く反論できず、同意せざるを得なかったんだろうな、と思います。

そのような環境の切り替えとあわせて、1日10分程度の発音練習が、家庭での療育メニューとして取り入れられました。
その結果、私の吃音はみるみる軽快し、間もなくほとんど目立たないレベルになりました。
軽快のスピードの速さからいって、やはり「環境の問題」が最大の原因だったと思われます
そして、初回の来院から3か月ほどたった2回目の来院で、「もう問題ないので念のため1年ほどしたら来てください」と言われ(このあたりで自宅での発音練習も終わり)、それから1年後の「3回目」で「再発していないので治療終了」となったのです。

もう少し続けます。


【参考】吃音について知るきっかけとして、押見先生のこの作品をご紹介します。(紹介記事

志乃ちゃんは自分の名前が言えない
押見 修造

また、印象的なラップが今でも語り継がれる「スキャットマン・ジョン」氏は、吃音それ自体を音楽に昇華させた稀有な存在でした。

ベスト・オブ・スキャットマン・ジョン
スキャットマン・ジョン



(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 20:23| Comment(5) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2016年08月22日

自分が受けた療育のことを調べたら、自分が両手利きな理由がわかった話。(1)

今日は、「家づくり」のシリーズ記事ではなく、単発のエントリを久しぶりに書いてみたいと思います。

きっかけの一つは、この記事を見かけたことです。

http://mainichi.jp/articles/20160817/k00/00m/040/092000c

吃音という障害についてのアンケートの話題でした。

この記事を見て、私は先日、実家に帰省したときに親と交わした会話のことを思い出していました。
それは、

私はかつて「療育」を受けたことがある。

ということです。

記憶がパッチワークのようにしか残っていなくて、詳細は覚えていないのですが逆に部分的な記憶はものすごく鮮明で、電車とバスを乗り継いで病院に向かうために、母と二人でバス停でバスを待っている場面の映像をいまでも繰り返し思い出したりするのです。

でも、そのバス停の場面は思い出せる一方で、肝心の病院でのできごと、療育の内容はなかなか思い出せませんでした。
たしか、治療の対象は私の「吃音」だったはずで、時期としては小学校くらいということは覚えているのですが、それ以上はほとんど記憶になく、また、療育を受けていた割には病院に行ったのはせいぜい3回程度で、そんな少ない回数で一体何をやったんだろうというのも(覚えていないので)謎でした。

さらに言えば、中学校以降で吃音で悩んだ・困ったという記憶もほとんどなく、現在もそうです。
ろくに療育の回数も重ねられなかったのに、あっさり吃音の問題がなくなってしまったということも、まあ「自然に改善したんだろうな」くらいにしか覚えていなかったわけです。

そんななか、今回、帰省中にふとそのことを思い出したので、親にその頃のことを初めて聞いてみたのです。

そうしたら、意外なことが分かりました。
以後は、親に聞いた話、そしてその話をきっかけに私が改めて思い出した話を再構成してまとめています。

私が吃音の治療のために病院に連れて行かれたことは事実で、小学校高学年のころに吃音が目立つようになったので、学校の先生からもすすめられて、京大病院に連れていくことにしたそうです。
そこで親への聞き取りと、子ども(つまり私)へのカウンセリングなどを行ない、結果、割とあっさりと「これが原因だろう」ということが特定されました

それは、当時の(私自身を含む)家族には、ちょっと意外な「原因」でした。


【参考】吃音について知るきっかけとしては、青春とコンプレックスについて描かせたら右に出るものがいない、押見先生のこの作品がいいと思います。(紹介記事

志乃ちゃんは自分の名前が言えない
押見 修造

また、吃音それ自体を武器にして成功した稀有な存在として、いまでもアーティストとしての斬新さを失っていない、(私も大好きで今でも聴いている)「スキャットマン・ジョン」氏をあげたいと思います。

ベスト・オブ・スキャットマン・ジョン
スキャットマン・ジョン
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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。