2006年02月26日

上岡一世先生の本3冊お譲りします

kamioka.jpg

こうすれば伸びる自閉症児の指導法
指導年齢がわかる社会的自立のための指導プログラム
自閉症の理解とその支援―子どもが成長・発達するかかわり方

著:上岡 一世
明治図書
定価:それぞれ¥1,470、¥2,016、¥2,688

愛媛大学教授の上岡一世先生の、自閉症療育に関する本3冊です。
これまで、このブログではレビューは書いたことがないので、上記のアマゾンリンクなども参考にしてください。

簡単に説明すると、最初の「こうすれば伸びる-」は、いわゆる親向けの療育入門書です。自閉症とはどういう障害なのかの説明から、療育の方向性に関する基本的考え方、具体的な指導例などが幅広く簡潔に記載された本です。(約110ページ)

真ん中の「指導年齢がわかる-」は、自助スキルや基本的な生活スキルなど、795の項目について、発達年齢ごとに区分し、何歳くらいでどのような課題に取り組むべきか、発達の遅れている部分はどこかをチェックできるチェックリストです。課題ができないときの指導のポイントなども簡潔に述べられています。(約196ページ)

右の「自閉症の理解と-」は、「こうすれば伸びる-」の内容を、どちらかというと教育関係者向けに、もう少し掘り下げて説明した本です。ですので、指導方針や実例などにページが多く割かれています。(約244ページ)

上岡先生の本の特徴は、とにかく自閉症者の社会的自立に徹底的にこだわる姿勢です。どんなに障害が重くても、どんなに問題行動が多くても、社会的自立だけは最後まであきらめないという姿勢が極めて明確です。
療育の内容や方針は、ひたすら熱意を持って自助スキルを教え込む、というスタイルのようです。そういう意味では極めて臨床的、現場的なアプローチであり、理論的な面は必ずしも明確ではありません。(それが、このブログで過去に本書をとりあげなかった理由です。)

簡単にいうと、「温かい熱血教師の本」です。
改めて目を通してみましたが、やはり「正論」が書いてあると思いますし、自閉症児の自助スキル、社会的自立に特に強い関心のある方には貴重な情報がたくさん入っていると思います。

本棚の整理も兼ねて、この3冊の本をまとめて、送料込み1000円でお譲りしたいと思います。

状態ですが、新品で買った本ですので、まずまずきれいです。ただし、背表紙には多少日焼けの色あせがあります。

ご希望の方は、そらパパメールアドレス「」宛にご連絡ください。
発送は、冊子小包とさせていただきます。それ以外の発送も承りますが、その場合には別途送料をご相談させていただきます。

代金のお支払い方法については、こちらにまとめましたのでご参照ください。

なお、売り切れた場合は、この記事のコメントでご連絡します。
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2006年02月05日

「中村さんちの志穂ちゃんは」お譲りします

我が家の本棚のシェイプアップのために、一部の本をお譲りしたいと思います。

今回は、以前、このブログでもご紹介した、自閉症児のお母さんが自ら描いたまんがの1つです。

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中村さんちの志穂ちゃんは―自閉症のある娘との喜怒“愛”楽な日々
著:中村 由美子
全国コミュニティライフサポートセンター

自閉症児のいる毎日を淡々とつづるまんが&エッセイです。自閉症児がひきおこすびっくりするような事件や、ちょっとしたことで感動してしまうエピソードなど、我が家で起こったことを思い出したり、「これからこういうこともあるのかな・・・」と思いながら読みました。

肩ひじ張った内容ではないので、気軽に読めます。
一般の方が、自閉症について知るために読む本としてもいいかもしれませんね。

本書を、ご希望の方に、送料込み500円でお譲りしたいと思います。

状態ですが、新品で買った本ですので、帯が多少よれている以外は、本体はきれいです。

ご希望の方は、そらパパメールアドレス「」宛にご連絡ください。
発送は、冊子小包または定形外郵便(窓口で安いほうを選びます)とさせていただきます。それ以外の発送も承りますが、その場合には別途送料をご相談させていただきます。

代金のお支払い方法については、こちらにまとめましたのでご参照ください。

なお、売り切れた場合は、この記事のコメントでご連絡します。
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2006年02月02日

「アメリカはいい」ですか?

すみません、今日は個人的な感情の話です。
おとといの記事で、「福祉にはいくらでもお金をかけるべきだという考え方には賛成できない」と書きました。それに関連する話題です。
ちょっとネガティブなことを書いていますので、興味のない方は読み飛ばしてください。

療育に関連して、私にとって「違和感」を感じる議論の1つが、「アメリカではこんなに福祉が充実している」といった、海外諸国、特にアメリカとの福祉レベルの差についての比較に関する議論です。

確かに、アメリカには「すべての障害児のための教育法」(The Education for All Handicapped Children Act)というものがあり、すべての障害児が無料で適切な教育を受ける権利が保証されています。万一そういった権利が確保できない場合でも、訴訟によってそれを勝ち取るチャンスが十分にあり、そういった成功談が武勇伝のように紹介されます。

このこと自体は素晴らしいことです。

対して、日本はどちらかというと福祉切り捨ての動きが加速しており、先般可決され、4月から施行される「障害者自立支援法」も、タテマエはいろいろあっても、福祉予算削減のホンネが透けて見えます。社会格差を広げる、弱者切り捨ての動きが加速し、消費税を上げられない政治家がいよいよ切ってはいけない経費を切り始めてしまったという印象はぬぐえません。

ただ、それでも私は、日本の福祉政策を批判することはできても、アメリカの福祉の水準を崇め奉ることはどうしてもできません。

続きがあります・・・
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2006年01月26日

リンク追加しました。

さらに1件リンクの追加です。

感覚統合療法についてかなり突っ込んで書いてあるページを発見したので、リンクを張っておきます。

http://home4.highway.ne.jp/matsu1/kayano.htm
お母さんのための感覚統合療法

感覚統合の先生がまとめられているページです。

ただ、このページで扱われている療育の範囲は、厳密な「感覚統合」を超えて、感覚統合のやり方をベースにした、療育施設で実施するような全体的な療育のやり方までを含んでいます。
その中には、自閉症の療育スタイルとしてはやや古い、受容スタイルの療育や、抱っこ法的なものも含まれていますので、ちょっと注意が必要かな、と思います。

個人的におすすめしたいパートは、以下の部分になります。
具体的な療育ノウハウの部分よりも、どちらかというと理論的な面を解説している部分のほうが、「感覚統合療法って何を目指しているの?」という疑問が純粋に分かっていいように思いました。

おかあさんのための感覚統合療法
1.感覚統合療法について
2.感覚(Sensory)とは
3.感覚統合(Sensory Integration)とは?
5.感覚統合療法の実際  

おかあさんのための感覚統合療法 実践編
第1章 基本的なこと
第2章 遊具を使って- 1.固定遊具 (1)ブランコ
第2章 遊具を使って- 3.トレーニング・バルーン 
第3章 生活での工夫

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2006年01月18日

キレートと早期集中介入の共通項

最近、ちょっと気になっていることがあります。

以前批判記事を書いたキレート療法(キレーション)と、ロヴァース式の早期集中介入、この2つに同時に取り組んでいる、あるいは両方に興味を持っている(片方をやっていて、もう片方に関心を持っているケースを含む)人が、結構多いように思うのです。

統計をとったわけではないので印象でしかないのですが、それにしても、掲示板などでキレートなり早期集中介入なりが話題になっているとき、一方について書いている人が、「もう一方」について既に実施している、あるいは実施しようとしていると言及しているのをしばしば目にするように感じます。

このことについて考えていて、この2つの「療法」が、実はいくつもの共通点を持っていることにふと思い当たりました。

続きがあります・・・
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2006年01月15日

リンク追加しました

このブログへのアクセスの1/3くらいは検索エンジンからのものです。
アクセス解析から、どのような検索ワードが使われているかが分かるので、私もそのワードでの検索結果ページをよくチェックします。そうすると、このブログで取り扱っている内容に近いページが良く見つかり、参考になるからです。

そんな中で、とても参考になるページを見つけました。

http://homepage2.nifty.com/tomy_s/
トミーのページ

養護学校に勤めていらっしゃるという富岡先生という方のホームページです。

このページに掲載されているオリジナル教材の紹介は圧巻です。特に、幼児期の療育課題に役立ちそうな、基礎的な認知力、微細運動のトレーニングのための教材が充実していて、今すぐにでも使えそうです。

(教材紹介ページからの引用)
個別学習の教材を考える時難しいのは、いわゆる「中間レベル」の子どもたちである。
 イスに座って机に向かうことがまだ難しい感覚運動期まっただ中の子ども(StageI-1からI-2)の場合は、できる教材もおのずと限られてくる。一方、言語能力がある程度備わっている子ども(StageIII-1以上)は、プリント教材を中心に指導することができる。
 両者の中間(StageI-3からStageII)の段階の子どもたちは、いろいろなことができそうだし興味関心もあるが、プリント教材はまだ難しいし市販の教材だけではネタがつきてしまうという難しい段階である。ここでは、こうした段階にある子どもたちが楽しめるような教材を紹介した。


※上記記事中の「Stage」とは、いわゆる太田ステージにおける発達段階の指標を指しており、上記の「Stage I-3からStageII」とは、指差しやエコラリアが始まったあたりから、単純なことばが分かるようになるくらいまでを指しています。

教材や書籍の紹介以外にも、自閉症に関連する書籍の案内や、オリジナル教材を紹介している他のページへのリンクなども充実していて、非常にためになります。

右のサイドバーの「お気に入りリンク」にも追加しましたので、ぜひご活用ください。
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2006年01月12日

自閉症児の保育・子育て入門(ブックレビュー)

このブログでは、さんざん自閉症について書いているんですが、実はまだ「自閉症ってどんな障害?」とか「自閉症児の特性は?」といった、一番基本的なことが全然書けていません。

今後、ブログの記事としてもそういった話題について触れていきたいと思いますし、そういった部分を分かりやすく書いた本についても、今後紹介していきたいと思います。

今日ご紹介するのは、そういった、「最初の入門書」として、非常におすすめの1冊です。



自閉症児の保育・子育て入門
著:中根 晃
大月書店 子育てと健康シリーズ

1.自閉症を正しく理解する
2.自閉症の早期発見と早期治療
3.自閉症児の保育指導
4.自閉症と学校教育

おすすめの理由も含め、簡単にご紹介します。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2006年01月07日

俺ルール!(ブックレビュー)

この本は、もともと紹介するつもりはなかったんですが、ふとしたきっかけで非常に驚いたことがあったので、ご紹介したいと思います。



俺ルール!―自閉は急に止まれない
著:ニキ・リンコ
花風社

この本は、以前ご紹介した、「自閉っ子、こういう風にできてます!」の続編とでもいうべき本です。
「自閉っ子、・・・」が、対談形式で自閉症の感覚異常を中心に語っていたのに対して、この本は一人称のエッセイ形式で自閉症者の思考回路について書かれた本となっています。

でも、正直、この本はちょっとおすすめできないな、と思っていたのです。

続きがあります・・・
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2006年01月03日

ことばどんどん あかちゃんえほん(ブックレビュー)

以前も一度紹介しましたが、お子さんに最初に見せる絵本として非常におすすめなのがこのシリーズです。
ことばどんどん(1) ことばどんどん(2) ことばどんどん(3) ことばどんどん(4)
ことばどんどん あかちゃんえほん
(1)たべもの (2)どうぶつ (3)のりもの (4)せいかつ
ひかりのくに 各¥525


↑ナンバーも写真もありませんが、4冊それぞれへのAmazonのリンクです。

改めて見ても、やはりこの絵本シリーズはよくできていると思います。そう考える理由について書いておきたいと思います。

続きがあります・・・
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2005年12月18日

自閉症児の親によるまんが3冊(ブックレビュー)

最近、自閉症に直接関係する本をあまり紹介していないので、けっこう以前に読んだものばかりですが、まんがをまとめて3冊紹介します。

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うちの子かわいいっ親ばか日記―自閉症児あやの育児まんが
著:あべ ひろみ
ぶどう社




中村さんちの志穂ちゃんは―自閉症のある娘との喜怒“愛”楽な日々
著:中村 由美子
全国コミュニティライフサポートセンター




イケイケ、パニッカー―自閉症の子育てマンガ&エッセイ
著:高阪 正枝
クリエイツかもがわ


これら3冊のまんがの最大の特徴は、すべて自閉症児の親本人によって書かれている、ということであり、それはつまり、すべてノンフィクションである、ということを意味します。
あの有名なまんがが入っていませんが、それはこの定義に当てはまっていないのが理由です。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 16:20| Comment(3) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2005年11月14日

キレート療法を斬る

自閉症には、さまざまな「民間療法」が存在します。これはマーケティング的に考えると必然で、自閉症という障害が、下記のような要素をあわせ持っているからです。

・医者は「治る」とは言ってくれない。
・時間の経過とともに良くなったり悪くなったりすることがある。
・人数的にある程度の「患者」がいる。

このような状況に対して、民間療法は次のような順序でマーケットを形成します。

・医者と違って「治る」と言ってくれる民間療法が現れる。
・その療法をやっていて、たまたま(その効果ではなく偶然に)良くなる人が出てくる。
・そういったものを広告費をかけて宣伝できるだけのマーケットができあがる。

こういう民間療法マーケットは、いわゆる難病・後遺症・原因不明の病気などには必ず出てくるものですが、最後の「一定量の患者数」がいるかどうかで、「その病気/症状専用の療法」が登場するかどうかが決まります。難病であっても、マイナーであれば「万病が治る」という民間療法の「万病」の1つに押し込められるのがオチですが、例えばガンのように患者数が非常に多い病気であれば、「ガンが治る」という民間療法が大量発生する、というわけです。

さて、「キレート療法」です。
上記のような視点でみると、「キレート療法」というのは、主に自閉症に効くことを宣伝している民間療法ですから、「専用療法」のカテゴリに属します。つまり、自閉症についても、「それ専用の民間療法」が存在しうるくらい、悩んでいる人が多い障害だ、ということでしょう。

キレート療法について簡単に説明すると、自閉症の原因を、予防接種のワクチンなどによって引きおこされる水銀中毒であると考え、水銀を排出するためのサプリメントを摂取し続けることによって自閉症を治すという手法です。

ただ、キレート療法には、科学的根拠がありません。「科学的」とは、追試可能な実験が存在する、ということだと言えますが、キレート療法にはこういうものがありません。LANCETという医学誌に論文が載ったことを喧伝している業者もいるようですが、すでにこの論文は撤回されています。論文を発表した人が、「ワクチン被害者」裁判の原告から資金援助を受けてデータを捏造した論文だったということです。下記のリンクに詳細があります。

ワクチンで自閉症は増えない
http://www.geocities.com/HotSprings/4347/autism.htm

もし水銀が自閉症の原因だとすればなぜ水俣に自閉症児が多発しなかったのかとか、キレート療法には私のような素人でも感じる疑問がいろいろありますが、下記の2ちゃんねるのスレがその辺りを深堀りしていてとても面白いです。

【治る】キレート療法で改善【自閉症】
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/baby/1081348878/

このスレで特に面白かったのが55,150-160あたりを中心に出ている水銀検査の話。キレート療法商法(あえてこう書きますが)では最初に毛髪などの水銀検査を行ないますが、このスレから判断すると、そもそも業者はまともな検査なんかやっていない可能性が高い。こんなものにお金を払うのはまったくのムダということでしょう。さらに、キレート療法で使うサプリメントは高額であり、長期間買い続けなければならないところからも、いかがわしいお金儲けの匂いがします。

もちろん、高くて役に立たないだけなら、ただの「お金の無駄遣い」で済みますが、キレートに関してはそれだけでは済みません。キレート療法は体に負担をかけ、有害なのです。これは、「効果」が非科学的であるのとは対照的に、科学的根拠のある客観的事実です。必須ミネラルなども一緒に排出してしまうだけでなく、腎臓障害などの副作用も強く、それが原因で死亡したと考えられる例もあります。

5歳の自閉症児、EDTA静脈注射によるキレーション中に死亡
http://asdnews.seesaa.net/article/6390762.html

上記の死亡例は、「静脈注射」という過激な方法によるキレーションのようですが、いずれにしてもキレート療法が一般的な意味において体に良くないことだけは間違いありません。

自閉症の子を持つ親にしてみれば、突然に医者から絶望的な宣告をされ、わらにもすがる思いでこういった民間療法に手を出してしまう、そういう心境は十分に理解できます。
でも、自分自身で判断できない自閉症の子どもに、こんな危険なものを独断で与えてはいけない。私たちは、正しい知識を知ることによって、子どもを守らなければならないのです。

なお、キレート療法についての日本小児神経学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会の公式な見解は下記でご覧になれます。

自閉症における水銀・チメロサールの関与に関する声明
http://homepage3.nifty.com/jscn/smsg.html
posted by そらパパ at 23:28| Comment(75) | TrackBack(2) | 療育一般 | 更新情報をチェックする

2005年11月07日

「抱っこ法」を考える

さて、抱っこの話が出たので、「抱っこ法」の話をしたいと思います。
私は、娘の療育を開始した当初、この「抱っこ法」の書籍を購入し、実際に試しもしました。が、ブログにも以前書いたとおり、現在では、療育技術として考えた場合、この方法は有効ではないと考えています。

技法としての「抱っこ法」は、簡単に言えば、自閉症の子どもがパニックを起こしたとき、あるいは親に対する接近行動を起こさないときに、とにかく抱っこすることで状況を改善しようという療育法です。逃げようが暴れまわろうがとにかく抱っこを続け、おとなしくなるまで離しません。そうやってしばらく抱っこで拘束し続けると、そのうちおとなしくなってパニックが減少したり、親の愛情を受け入れるようになる、というものです。

(「抱っこ法」でいうところの「抱っこ」が、今日では単なる物理的な「抱きかかえて拘束する」ことを超えて、心の交流や解放をも含んでいるようですが、不勉強のためそこまでは語れません。もちろん、抱っこ法がその精神として掲げている、子どもに対する愛情を否定する気はまったくありません。)

 このやりかたは、パニックの減少に効果がある可能性があります。ただし、だからといって望ましいやり方だとは限りません。行動療法的な観点からみると、その成果は望ましくない形で学習されている可能性があります。
 つまり、「抱っこ法」は、行動療法でタブー視されている「罰による学習」である可能性が強いということです。抱っこによって拘束されている子どもは嫌がっているわけですから、例えばパニックが原因で抱っこされた場合、これは「パニックに対し罰を与えることで、パニックを起こさないように学習させている(弱化を行なっている)」ことになります。

→青色部分2005/11/17修正。

 そして、暴れることをやめると解放されるということで、「暴れるのをやめたら罰を中止する、ということによって、暴れるのをやめることを学習させて(強化して)いる」ことになります。
 この結果、「抱っこで拘束されたらすぐにおとなしくなる。抱っこで拘束する人の前ではパニックを起こさない」という行動が学習されると思われます。

 この説明が正しいとすると、抱っこは愛情表現どころか、まるっきり「罰」として機能していることになります。抱っこ法の問題の第一は、これは実は虐待なのではないか、という疑問にあります。親の前でおとなしくなったとしても、それは情緒が安定したのではなくて、罰による恐怖を学習しただけかもしれないのです。
 第二の問題は、これが罰による学習だとすると、罰が与えられない環境で問題行動が再発する恐れがあることです。つまり、親や教師の目の届かないところ(抱っこができない場面)ではパニックが再発する可能性があるのです。また、子どもに力がついて、抱っこで拘束できなくなったときに、またパニックが(より深刻な形で)再発する可能性も否定できません。

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この星のぬくもり 自閉症児のみつめる世界
著:曽根富美子
ぶんか社

高機能自閉症の女性の自伝を元にしたコミック。ちょっとレディコミ的な「お涙ちょうだい」のストーリーは?と思いますが、高機能自閉症の子どもがどんなことに苦労するのか分かり、参考になります。主人公が「抱っこ法」による拘束を受けて、まさに上で説明したような「学習」をしておとなしくなるという一節があります。
posted by そらパパ at 20:49| Comment(43) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。