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2005年12月18日 [ Sun ]

自閉症児の親によるまんが3冊(ブックレビュー)

最近、自閉症に直接関係する本をあまり紹介していないので、けっこう以前に読んだものばかりですが、まんがをまとめて3冊紹介します。

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うちの子かわいいっ親ばか日記―自閉症児あやの育児まんが
著:あべ ひろみ
ぶどう社




中村さんちの志穂ちゃんは―自閉症のある娘との喜怒“愛”楽な日々
著:中村 由美子
全国コミュニティライフサポートセンター




イケイケ、パニッカー―自閉症の子育てマンガ&エッセイ
著:高阪 正枝
クリエイツかもがわ


これら3冊のまんがの最大の特徴は、すべて自閉症児の親本人によって書かれている、ということであり、それはつまり、すべてノンフィクションである、ということを意味します。
あの有名なまんがが入っていませんが、それはこの定義に当てはまっていないのが理由です。

続きがあります・・・

posted by そらパパ at 16:20 はてなブックマーク | コメント(3) | トラックバック(0) | 療育一般

2005年11月14日 [ Mon ]

キレート療法を斬る

自閉症には、さまざまな「民間療法」が存在します。これはマーケティング的に考えると必然で、自閉症という障害が、下記のような要素をあわせ持っているからです。

・医者は「治る」とは言ってくれない。
・時間の経過とともに良くなったり悪くなったりすることがある。
・人数的にある程度の「患者」がいる。

このような状況に対して、民間療法は次のような順序でマーケットを形成します。

・医者と違って「治る」と言ってくれる民間療法が現れる。
・その療法をやっていて、たまたま(その効果ではなく偶然に)良くなる人が出てくる。
・そういったものを広告費をかけて宣伝できるだけのマーケットができあがる。

こういう民間療法マーケットは、いわゆる難病・後遺症・原因不明の病気などには必ず出てくるものですが、最後の「一定量の患者数」がいるかどうかで、「その病気/症状専用の療法」が登場するかどうかが決まります。難病であっても、マイナーであれば「万病が治る」という民間療法の「万病」の1つに押し込められるのがオチですが、例えばガンのように患者数が非常に多い病気であれば、「ガンが治る」という民間療法が大量発生する、というわけです。

さて、「キレート療法」です。
上記のような視点でみると、「キレート療法」というのは、主に自閉症に効くことを宣伝している民間療法ですから、「専用療法」のカテゴリに属します。つまり、自閉症についても、「それ専用の民間療法」が存在しうるくらい、悩んでいる人が多い障害だ、ということでしょう。

キレート療法について簡単に説明すると、自閉症の原因を、予防接種のワクチンなどによって引きおこされる水銀中毒であると考え、水銀を排出するためのサプリメントを摂取し続けることによって自閉症を治すという手法です。

ただ、キレート療法には、科学的根拠がありません。「科学的」とは、追試可能な実験が存在する、ということだと言えますが、キレート療法にはこういうものがありません。LANCETという医学誌に論文が載ったことを喧伝している業者もいるようですが、すでにこの論文は撤回されています。論文を発表した人が、「ワクチン被害者」裁判の原告から資金援助を受けてデータを捏造した論文だったということです。下記のリンクに詳細があります。

ワクチンで自閉症は増えない
http://www.geocities.com/HotSprings/4347/autism.htm

もし水銀が自閉症の原因だとすればなぜ水俣に自閉症児が多発しなかったのかとか、キレート療法には私のような素人でも感じる疑問がいろいろありますが、下記の2ちゃんねるのスレがその辺りを深堀りしていてとても面白いです。

【治る】キレート療法で改善【自閉症】
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/baby/1081348878/

このスレで特に面白かったのが55,150-160あたりを中心に出ている水銀検査の話。キレート療法商法(あえてこう書きますが)では最初に毛髪などの水銀検査を行ないますが、このスレから判断すると、そもそも業者はまともな検査なんかやっていない可能性が高い。こんなものにお金を払うのはまったくのムダということでしょう。さらに、キレート療法で使うサプリメントは高額であり、長期間買い続けなければならないところからも、いかがわしいお金儲けの匂いがします。

もちろん、高くて役に立たないだけなら、ただの「お金の無駄遣い」で済みますが、キレートに関してはそれだけでは済みません。キレート療法は体に負担をかけ、有害なのです。これは、「効果」が非科学的であるのとは対照的に、科学的根拠のある客観的事実です。必須ミネラルなども一緒に排出してしまうだけでなく、腎臓障害などの副作用も強く、それが原因で死亡したと考えられる例もあります。

5歳の自閉症児、EDTA静脈注射によるキレーション中に死亡
http://asdnews.seesaa.net/article/6390762.html

上記の死亡例は、「静脈注射」という過激な方法によるキレーションのようですが、いずれにしてもキレート療法が一般的な意味において体に良くないことだけは間違いありません。

自閉症の子を持つ親にしてみれば、突然に医者から絶望的な宣告をされ、わらにもすがる思いでこういった民間療法に手を出してしまう、そういう心境は十分に理解できます。
でも、自分自身で判断できない自閉症の子どもに、こんな危険なものを独断で与えてはいけない。私たちは、正しい知識を知ることによって、子どもを守らなければならないのです。

なお、キレート療法についての日本小児神経学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会の公式な見解は下記でご覧になれます。

自閉症における水銀・チメロサールの関与に関する声明
http://homepage3.nifty.com/jscn/smsg.html

posted by そらパパ at 23:28 はてなブックマーク | コメント(75) | トラックバック(2) | 療育一般

2005年11月07日 [ Mon ]

「抱っこ法」を考える

さて、抱っこの話が出たので、「抱っこ法」の話をしたいと思います。
私は、娘の療育を開始した当初、この「抱っこ法」の書籍を購入し、実際に試しもしました。が、ブログにも以前書いたとおり、現在では、療育技術として考えた場合、この方法は有効ではないと考えています。

技法としての「抱っこ法」は、簡単に言えば、自閉症の子どもがパニックを起こしたとき、あるいは親に対する接近行動を起こさないときに、とにかく抱っこすることで状況を改善しようという療育法です。逃げようが暴れまわろうがとにかく抱っこを続け、おとなしくなるまで離しません。そうやってしばらく抱っこで拘束し続けると、そのうちおとなしくなってパニックが減少したり、親の愛情を受け入れるようになる、というものです。

(「抱っこ法」でいうところの「抱っこ」が、今日では単なる物理的な「抱きかかえて拘束する」ことを超えて、心の交流や解放をも含んでいるようですが、不勉強のためそこまでは語れません。もちろん、抱っこ法がその精神として掲げている、子どもに対する愛情を否定する気はまったくありません。)

 このやりかたは、パニックの減少に効果がある可能性があります。ただし、だからといって望ましいやり方だとは限りません。行動療法的な観点からみると、その成果は望ましくない形で学習されている可能性があります。
 つまり、「抱っこ法」は、行動療法でタブー視されている「罰による学習」である可能性が強いということです。抱っこによって拘束されている子どもは嫌がっているわけですから、例えばパニックが原因で抱っこされた場合、これは「パニックに対し罰を与えることで、パニックを起こさないように学習させている(弱化を行なっている)」ことになります。

→青色部分2005/11/17修正。

 そして、暴れることをやめると解放されるということで、「暴れるのをやめたら罰を中止する、ということによって、暴れるのをやめることを学習させて(強化して)いる」ことになります。
 この結果、「抱っこで拘束されたらすぐにおとなしくなる。抱っこで拘束する人の前ではパニックを起こさない」という行動が学習されると思われます。

 この説明が正しいとすると、抱っこは愛情表現どころか、まるっきり「罰」として機能していることになります。抱っこ法の問題の第一は、これは実は虐待なのではないか、という疑問にあります。親の前でおとなしくなったとしても、それは情緒が安定したのではなくて、罰による恐怖を学習しただけかもしれないのです。
 第二の問題は、これが罰による学習だとすると、罰が与えられない環境で問題行動が再発する恐れがあることです。つまり、親や教師の目の届かないところ(抱っこができない場面)ではパニックが再発する可能性があるのです。また、子どもに力がついて、抱っこで拘束できなくなったときに、またパニックが(より深刻な形で)再発する可能性も否定できません。

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この星のぬくもり 自閉症児のみつめる世界
著:曽根富美子
ぶんか社

高機能自閉症の女性の自伝を元にしたコミック。ちょっとレディコミ的な「お涙ちょうだい」のストーリーは?と思いますが、高機能自閉症の子どもがどんなことに苦労するのか分かり、参考になります。主人公が「抱っこ法」による拘束を受けて、まさに上で説明したような「学習」をしておとなしくなるという一節があります。

posted by そらパパ at 20:49 はてなブックマーク | コメント(43) | トラックバック(0) | 療育一般

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