2006年11月04日

精神科医の子育て論(ブックレビュー)



精神科医の子育て論
著:服部 祥子
新潮選書

第1章 旅立つ前に―内面からの成熟をめざす子育て
第2章 誕生から一歳頃まで―最初の一歩の大切さ
第3章 一歳から三歳まで―じりつへの歩の進め方
第4章 三歳から六歳まで―自発性を伸ばす
第5章 六歳から十二歳まで―学習の開始
第6章 十二歳から二十歳まで―自我同一性の獲得
第7章 旅を通して―旅路を支えるもの

タイトルには子育てとありますが、内容としては著者が出会った、自閉症児T君をもつ母親(J子さん)の子育て実践を中心軸にして、そこから健常児を含めた子育て一般を語るという内容になっていますので、自閉症療育の本としても十分読めるものになっています
また、私が買った本は第20刷となっていますから、これまでずいぶん売れてきた本なんだと感心しました。

ですが、よく売れているからといって必ずしもいい本だと結論付けられないのが自閉症本の難しさです。実際、この本は読み方に気をつけなければならない「要注意本」だと私は感じました。

続きがあります・・・
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2006年11月01日

ゾウの鏡像認知

当ブログオリジナルの療育法「鏡の療育」でも注目している鏡像認知(鏡に映った自分を自分だとわかる認知スキル)について、新たな知見が得られたというニュースです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061031-00000018-jij-int
「鏡に映った自分」ゾウも認識=人間やサル、イルカに続き-米研究チーム

 【ワシントン30日時事】米エモリー大学の研究チームは、ゾウも鏡に映った姿を自分であると認識する能力を持っていることを確認したと発表した。30日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に研究論文が掲載された。鏡映認知と呼ばれるこの能力は、人間以外ではサルやイルカで確認されており、動物の知能を測る手掛かりにされている。ゾウもこの能力を持っているのではないかとみられていたが、確認されたのは初めて。
 
(時事通信) - 10月31日9時0分更新


一般に動物の鏡像認知は、動物を眠らせて顔に無臭の塗料を塗り、目がさめて鏡をみたときに自分の顔の塗料がついているはずの部分を触ろうとするかどうかで判定します。今回の実験も詳細は不明ですが、おそらく同様の方法で実験したんだと思われます。

まあ、ゾウの知能は一般にはイヌ以下だと考えられていますから、ちょっとにわかには信じがたいものがありますが、個人的には興味をそそられる話題です。
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2006年10月21日

NHK自閉症関連番組抄録へのリンク(続)

前回のまとめ以降、NHKの福祉関連番組において、特に新しい番組「ハートをつなごう」を中心に、自閉症・発達障害の話題が繰り返し取り上げられています。

そんなわけで、抄録が全部出る頃合いをみて記事をアップしようと思っていたのですが、「発達障害」の特集が第3弾、第4弾とどんどん続いているので(笑)、とりあえず、リンクはまだ完全ではありませんがアップすることにしました。

前回の記事とあわせてご参照ください。

2006年5月 シリーズ「発達障害」(ハートをつなごう)
 発達障害のご本人と家族、友人がスタジオに会して語り合う企画。

 5月29日 子どもたちの悩み

 5月30日 大人だからこその悩み

 5月31日 どうむきあう?

 6月 1日 わたしたちにできること


2006年8月 シリーズ「発達障害 第2弾」(ハートをつなごう)
 5月の企画にメールでメッセージを送った方をスタジオに招いての企画。

 8月 7日 母親の悩み

 8月 8日 父親の無理解

 8月 9日 若者の悩み

 8月10日 御三家に聞きたい

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2006年10月18日

自閉症の子を持って(ブックレビュー)

自閉症をとりまく「問題」のあまり表に出てこない一端が映し出されているのかもしれません。



自閉症の子を持って
著:武部 隆
新潮新書

第1章 「障害児の親」を自覚した同時多発テロの夜
第2章 心の「鬼」と向き合いながら
第3章 民間施設で訓練を開始
第4章 行き場のない子どもたち
第5章 息子の見ている世界が知りたい
第6章 福祉が当てにならない理由
第7章 得たもの、失ったもの

著者は社会事業問題などを扱う時事通信社の記者で、自分の息子が軽度自閉症と診断されたところから物語は始まります。

私が、この本を評価しているのか、評価していないのか? と聞かれれば、正直いってまったく評価していません。読んで得られるものは残念ながら何もないでしょうし、かえって自閉症について誤解を広げていると感じてしまう部分も多々あります。

逆にいえば、だからこそ、多くの自閉症児の親が(本書の著者のような、俗に「インテリ」と呼ばれるような人を含めて)陥りがちないくつもの問題を、そのまま浮き彫りにしているとも言えます。

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2006年10月15日

「自閉っ子、自立への道を探る」お譲りします

これから社会に出ることを目指す自閉症児の支援のために。


自閉っ子、自立への道を探る
服巻 智子
花風社
定価:¥1,680 (Amazonリンク

著者の服巻さんが、苦労しながらも社会的自立を達成しているアスペルガー症候群の成人の方との対談を通じて、「自閉っ子」が社会的自立をするにあたって必要な支援とは何かについて考えるという本です。

先日レビューさせていただいた本ですが、現時点では我が家のニーズとは必ずしもマッチしない本でしたので、手放すことにしました。
本書を送料込み700円でお譲りしたいと思います。

状態ですが、新品で買って一度読んだだけですので、かなりきれいなほうだと思います。帯つき。ただし、古本ですので多少の汚れ等はご容赦ください。

ご希望の方は、そらパパメールアドレス「」宛にご連絡ください。
発送は、冊子小包か定形外郵便(窓口で安いほうをこちらで選びます)とさせていただきます。それ以外の発送も承りますが、その場合には別途送料をご相談させていただきます。

代金のお支払い方法については、こちらにまとめましたのでご参照ください。

なお、売り切れた場合は、この記事のコメントでご連絡します。
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2006年10月04日

自閉症(ブックレビュー)

今さらですが読んでみました。


自閉症
著:玉井 収介
講談社現代新書

第1章 自閉症とは何か
第2章 自閉児のコミュニケーション
第3章 自閉児の自我の構造
第4章 自閉児の行動をどう理解するか
第5章 自閉からの脱却

この本が「かつての名著」であったことはよく分かります。
文章も読みやすいですし、書いてあることも時代背景を考えるとかなり的確、読めば自閉症についての理解が深まります。(最近出た本でも、読むとむしろ混乱するものがあることを考えれば、この点は素晴らしいと思います)

ただ、初版が1983年、もう発刊されてから20年を優に超える本ですから、内容の古さは隠すべくもありません。
特に、第2章、第5章あたりは、現代の私たちからみると明らかに「間違っている」と言わざるを得ない内容となっています。(自閉児はことばは獲得しているが話さないだけだ、とか、「自閉の世界に入り込む」ことで子どもと心を通わせる、等)

ですから、自閉症について知りたい、といった一般的ニーズからは、もう時代遅れで、読むべき本ではないと言えるでしょう。

でも、ちょっと違った観点から読むと、本書にはなかなかちょっと他の本では見たことがないようなユニークな内容が含まれていて、個人的には非常に参考になりました

続きがあります・・・
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2006年09月27日

自閉っ子、自立への道を探る(ブックレビュー)

面白かったんですけど、読む前のイメージとはずいぶん違う内容でした。


自閉っ子、自立への道を探る
服巻 智子
花風社

自閉っ子、故郷に生きる(藤家寛子さん)
 生活のバランスを探る
 作家デビューと生活上の挫折
 だから支援が必要だ! ほか
子どもの気持ちがわかるから…(風花さきさん)
 みんなも我慢してるんだろう
 なぜ教師を目指したか
 こんな工夫をしている ほか
自閉ライダー、前進!(成澤達哉さん)
 わざとじゃないのに
 家族の印象
 学校生活 ほか

タイトルが「自閉っ子、自立への道を探る」となっていて、立ち読みでちらっと目を通すと、以前このブログでもご紹介した、同じ花風社の「自閉っ子、こういう風にできてます!」と同様に、「自閉っ子」が社会自立への道を自らのユニークな視点から語る、といった内容なのではないかと期待して読みました。

ところが実際には、確かにそういう面もなきにしもあらずなのですが、本質的な内容はかなり違うものでした。

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2006年09月08日

実験神経症に思うこと(2)

学習(条件付け)に関する実験場面で、被験者(被験動物)が対応しきれないような難しい課題を与えられると、被験者が神経症的な状態となり、なかなか元に戻らなくなることを「実験神経症」といいます。

このような状況で実験神経症が起こるという事実は、自閉症児の療育に取り組む私たちにとって、次のようなアドバイスを含んでいるのではないでしょうか。

1. 難しすぎる課題を与えてはいけない。
2. 叱ることをベースにした指導をしてはいけない。
3. 実験神経症的反応に敏感にならなければいけない。


前回の記事で、上記1.と2.については書いたので、今日は3.について解説し、さらにもう1つ私が大切だと思っていることについて書きたいと思います。

続きがあります・・・
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2006年09月07日

実験神経症に思うこと(1)

「叱ること」のシリーズ記事で、donさんからいただいたコメントをきっかけに、「実験神経症」という現象について改めて調べてみました。

調べてみて、これは療育を進めるうえでぜひ知っておかなければならないことなんじゃないかと強く感じたので、記事として書いてみようと思います。

「実験神経症」というのは学習心理学(行動主義心理学)の用語ですが、非常におおざっぱに言えば、条件付けの実験を行なう場合に、その「課題」が非常に難しかったり、強い嫌悪刺激を伴うものであったりした場合に、それまでおとなしく実験を受けていた被験動物が攻撃的になり、学習が成立しなくなり、しかも環境を改善してもなかなか回復しない状態になることを指します。

先日donさんからいただいたコメントにもあった、パブロフらが発見した最初の「実験神経症」の実験というのは、次のようなものだったようです。

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2006年08月31日

ABAのベンチャー企業

発達障害児むけのABAをベースにした療育サービスを提供するベンチャー企業というのが神戸にできたそうです。

http://www.kids-power.net/

この会社をとりあげた日経の記事がこちら。
http://www.nikkei.co.jp/kansai/women/34963.html

こういったベンチャー企業が出てくるのはとても面白いですね。
自閉症児の親としては、選択肢が広がることは大歓迎です。

こうやって民間に療育サービスが解放されていって、その中から親が責任をもって療育メニューを選んで、行政はそれに対して「必要な」援助を与える、というのが、日進月歩の自閉症療育の世界では本来あるべき姿だと思います。

もちろん、実際に見聞したわけではないので、この企業が提供する療育サービスの内容自体についてはコメントできません。この記事は、こういったベンチャー企業が現われたということに注目しているという趣旨であって、ここのサービスをお薦めしたり批判したりといった意味は含まれていないことをご理解ください。

1時間あたり約1万円という費用については、民間のABA訪問サービスの相場という観点からみれば全然高くはないのでしょう。もちろん、それは中身が伴っていることが前提となりますので、実際に検討されている方はそのあたりをじっくり見極めることが必要になりますね。
ABAの実際の療育はある意味「職人芸」でもありますので、個々の「セラピスト」の知識とスキル、経験が最終的には問われると思います。

ともあれ、こういったチャレンジがどんどん全国規模で広がってくることを期待したいと思います。
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2006年08月23日

「叱ること」について(5)

自閉症児を「叱る」ときに考慮すべきことを考えるシリーズ記事、今回が最後になります。

これまでに書いてきたポイントを簡単にまとめると、

・叱ることには様々な副作用がある。
・自閉症児を叱ることは、健常児と比べ、特にデリケートな問題になる。
・叱る前に、叱らないで問題を解決する方法を考える。
・こういった問題を考えるとき、ABA(行動療法)の考え方が参考になる。


といったところでしょうか。

最後に残った話題は、こういった工夫をもってしても、やはりどうしても「叱る」必要があるときの対応の仕方についてです。
具体的には、その場ですぐに禁止しなければならない危険な行動や、行動自体が強化子になってしまうような自己刺激行動などがこれにあたるでしょう。

やむを得ず「叱る」ときには、できるだけ、このシリーズ記事の最初で説明したような、さまざまな副作用が問題を複雑にしないように、次のような点に留意する必要があるでしょう。

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2006年08月22日

「叱ること」について(4)

これまで、自閉症児を「叱る」ことの難しさについて考えてきました。

繰り返しになりますが、こういった「難しさ」は実際にはすべての子どもに当てはまることであり、自閉症児に限ったことではありません。

ただ、健常児の場合には自分が叱られた状況をある程度客観的に理解し、子どもなりに問題を「再構成」することができるようです。また、「叱られていない時間」によって「叱られた時間」を埋め合わせることも比較的容易です。したがって、多少「叱る」ことに失敗していたとしても、その失敗は子どもの側で適切に処理され、問題が表面化してこないことが多いのだと考えられます。

これに対し、自閉症児はそういったことが難しく、叱られるということに純粋に反応して学習を成立させてしまう傾向があるために、「叱る」という行為がよりデリケートになるわけです。

ですので、自閉症児の叱り方のコツを考える前に、まずは「できるだけ叱らない」ことを考える必要があると思います。

幸い、ABAには叱らずに(罰を使わずに)問題行動を抑える方法があります。

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2006年08月18日

「叱ること」について(3)

「叱る」という行為が本質的に持っているさまざまな問題点・副作用について、ABAの視点から書いています。

1. 問題行動の直後に叱らなければ効果がない。
2. 叱られた原因が子どもに弁別できなければならない。
3. 叱るのをやめると行動が復活する。
4. 叱られる状況と叱られない状況との間に分化強化学習が成立してしまう。
5. 恐怖反応に基づく別のレスポンデント条件付けが成立することがある。


前回は上記のうち1.と2.について説明しましたので、今日は残る3.から5.について書いてみたいと思います。

続きがあります・・・
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2006年08月17日

「叱ること」について(2)

前回にひき続き、「自閉症児を叱ること」について考えていきたいと思います。

「叱る」というのは、たくさんの副作用を持つ行為です。
特に「叱られる」ということそのものに純粋に反応する傾向が強い自閉症児の場合、闇雲に叱ることは、逆にさまざまな問題行動を増加させることにつながりかねません。

この辺りを、ABAの考え方から整理してみたいと思います。

叱る、というのはABA的にいえば「罰」(嫌子の提示による弱化)にあたります。
つまり、「嫌なもの」を提示することで望ましくない行動を減らす、というのが「叱る」という行為の端的なメカニズムだといえます。

ただ、この罰=叱るというのは、行動のコントロール方法としては次のような問題点を持っています。

1. 問題行動の直後に叱らなければ効果がない。
2. 叱られた原因が子どもに弁別できなければならない。
3. 叱るのをやめると行動が復活する。
4. 叱られる状況と叱られない状況との間に分化強化学習が成立してしまう。
5. 恐怖反応に基づく別のレスポンデント条件付けが成立することがある。


それぞれ説明していきたいと思います。

続きがあります・・・
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2006年08月16日

「叱ること」について(1)

あ、また妻のブログと微妙に話題がかぶっている・・・(笑)。

最近、娘は「叱られる」ことに対して、とても敏感になってきたように思えます。

かつては、こっちが何を言ってもまったく理解できない様子で、叱っても行動には何の変化もなく、仕方なく実力で阻止するとパニックを起こす、といった感じだったのですが、最近は、「メッ!」と叱ってやっていることをさっと中断させると、叱られてやめさせられたのが分かるようで、口をへの字に曲げてべそをかき(ここでよくに飛んでいってべそをかいている自分の顔を確認するのが面白いですが)、時には母親に抱きついて気を落ち着かせてから、1分もすると何事もなかったように別のことを始めるようになりました。

これが「いい傾向」なのかどうかは確実には分かりませんが、制止のメッセージが伝わることは、危険な行動をコントロールするという点では間違いなく意味があると感じています。

いずれにせよ、「叱る」ということはそれ自体とてもデリケートなことですし、特に相手が自閉症児だということで、娘の「叱りかた」には特に気をつけなければならない、と感じています。

今回は、そういった「自閉症児の叱りかた」について、私が考えていることを書いてみたいと思います。

続きがあります・・・
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2006年07月15日

アニマルセラピー関連(乗馬療法のニュース)

ちょっと前の記事ですが、ちょっと感動的なニュースを発見しました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060703-00000150-mailo-l40

歩む:尾家誠子さん(61)=豊前市 人生の原動力、乗馬療法/福岡

◇「馬は笑顔を分けてくれます」

 周防灘を望む豊前市の高台。周りを緑に囲まれた知的障害児・者総合施設「恵光園」に「ポック、ポック」というひづめの音が響く。障害者乗馬部門「ヒポクラブ」。障害がある利用者がリハビリやセラピーのために訪れ、馬と交流を深める。
 園の主要施設の一つ、更生施設「まぐら寮」の寮長。乗馬療法の導入を提案し、ヒポクラブ創設に力を尽くした。

 大卒後、2年間のOL経験を経て神奈川県の知的障害者施設に勤務した。指導員の資格を取った71年、欧州の福祉施設への視察でショックを受けた。スイス・チューリヒの湖畔。自閉症の男の子が、生き生きした表情で白馬にまたがっていた。
 「乗馬療法を取り入れたい」。まだ日本では乗馬療法という言葉もない時代。このショックとあこがれが「人生の原動力」になる。
 同年、結婚を機に園での勤務が始まる。当時は木造園舎で、園内は岩が転がる荒地がほとんど。職員は岩を除いて植樹する作業に追われた。あこがれを口にすることもはばかられる現実。だが、思いは募った。
 利用者の生活支援に奔走しながら、本場イギリスで学んだスタッフを招き入れ、職員や保護者に乗馬療法の良さを伝えた。利用者とともに1年かけてきゅう舎や馬場を作り、クラブを開設したのは97年春。気が付けば四半世紀を要していた。

 「資金やスタッフ、土地などどれが欠けても実現しなかった。私はきっかけを作っただけ」
 馬を眺め、触れたり、世話をすることで、利用者は療法的効果を得る。コミュニケーションが苦手な人が乗馬体験を話したくなる。何事にも積極的になる。半年間、馬に近づけなかった利用者は馬肌に触れた瞬間、笑顔をはじけさせた。
 現在、毎週40人を超える利用者が6頭の馬に親しむ。クラブが出来て来春で10年。人材の確保など課題は多く、これからが正念場と感じている。「園のテーマである『人と自然と動物と』の環境を追求していきたい」【出来祥寿】

〔北九州版〕
7月3日朝刊(毎日新聞)

若い頃の乗馬療法への感銘を、30年近くも持ちつづけて、最後に実現したというのが素晴らしいと思います。
ちなみに、私は乗馬療法をはじめとするアニマルセラピーの自閉症児への効果に一定の期待をしていますが、それは「癒し」とか「動物の不思議な超能力」といったものではありません。詳しくはこちらこちらをご覧下さい。
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2006年06月21日

遊びを育てる(ブックレビュー)


遊びを育てる―出会いと動きがひらく子どもの世界
野村 寿子
協同医書出版社

はじめに
第一章 子どもの遊びについて
第二章 障害をもつ子どもの遊びの難しさについて
第三章 遊びを育てる
第四章 環境が引き起こす子どもの動き
対談 出会いと動きがひらく子どもの世界
おわりに

かなり面白くて、意欲的な本。
自閉症の本だけでなく、いろいろな本を読んでいたおかげで、面白い本にたどり着けたなあ、という気がします。

本書は、障害を持った子どもの「遊び」をどうやって育んでいくか、ということに焦点を当てた本なのですが、いわゆる「遊戯療法」とはまったく違います

例えば公園とか砂場とか草っぱらで、健常の子どもが環境とさまざまに関わって普通に遊ぶ、まさにその体験を障害児にも「遊び」として経験させるためにはどんな風に関わっていけばいいか、そういった「関わりあう遊び」の育てかたについて書かれた本です。

実は、本書は一義的には発達障害児というよりは、肢体不自由児のための作業療育を取り扱っている本なのですが、内容としては自閉症児にも十分に役立つものとなっています。

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2006年06月14日

<S-S法>によることばの遅れとコミュニケーション支援(ブックレビュー)

先日の「本が山積み」の記事を書いた頃に、複数の方から「気になる本」として名前が挙がっていたので、さっそく読んでみました。


<S-S法>によることばの遅れとコミュニケーション支援
編:倉井 成子
著:矢口養護学校小学部
明治図書

第1章 ことばの発達の支援“S―S法”の考え方
第2章 ことばの発達の支援の方法―課題別個別学習・小集団学習・日常生活指導の中で
第3章 矢口養護学校小学部の実践―言語とコミュニケーションの発達


S-S法というのは聞きなれない名前ですが、本書のまえがきによると、

<S-S法>は、言語聴覚障害の領域で臨床的経験を基に作り上げられてきた我国オリジナルの言語発達障害児・者の評価・訓練・指導アプローチです。医療、福祉領域で働く言語聴覚士の間では、かなり使われているのですが、教育の現場では知られていないことが多いと思います。
(本書まえがきより)

ということで、日本の言語聴覚士の間で経験的に生まれてきたコミュニケーションに関する療育法のようです。

この「日本の」というのは、ことばの療育ということを考えると、意外と重要かもしれませんね。
海外の療育法は、当然にその国のことばを前提に組まれており、例えば私が強く支持するPECSも、語順が英語とは違うことがフェーズ4以降に進むことを少し難しくしていたりします。
ですから、「日本で開発された、日本語のための」療育法という点は、評価できると思います。

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2006年06月07日

涼太郎、またやっちゃった!?(ブックレビュー)

とりあえず、新刊本を見つけたら読む、ということで、これもさっそく読んでみました。発行日が6月10日(未来)になっていますので、できたてのほやほやということになります。


涼太郎、またやっちゃった!?
著:倉田 ちかこ
廣済堂出版

自閉症児の子育てまんが&エッセイということで、以前紹介した、「中村さんちの志穂ちゃんは」や「イケイケ、パニッカー」と似たような趣の本です。

上記の既紹介の2冊の本が、まんがも母親本人が描いているのに対して、この本は「著:倉田ちかこ、まんが:越智充奈子」とそれぞれ別々になっていたので、誰かプロの人が描いたんだろうか、と思って少し調べてみたんですが、どうやらまんがを担当したのは著者の妹(まんがにも何度も出てくる)のようですね。

何で調べようかと思ったのかというと、それにはわけがあって・・・

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2006年05月25日

NHK自閉症関連番組抄録へのリンク

「まあくんママのひとりごと」ブログでもリンクが貼られていたNHK福祉ネットワークの過去の番組の抄録に、自閉症に関連するものが非常にたくさんあって、しかもどれも写真入りでとても分かりやすいので、整理してリンクを貼っておくことにしました。

2003年5月 シリーズ「自閉症の子とともに」
 5月7日  行動を理解する
  自閉症児の不可解な行動がなぜおこるのかを考える

 5月14日 コミュニケーションの力を育てる
  ある通園施設での取り組みなど

 5月21日 家庭を暮らしやすく
  家庭を、自閉症児にとって暮らしやすくするための工夫など

 5月28日 “光”の世界にこめた思い
  まんが「光とともに」の作者へのインタビューほか

2005年5月 シリーズ「発達障害の子どもたち」
 5月17日 小学生の支援
  アスペルガー症候群の子どもの実例に沿って解説

 5月24日 中学生の支援
  LDの子どもの実例に沿って解説

 5月31日 発達障害 Q&A
  親や発達障害児本人からの質問に答える回

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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。