2008年05月05日

それはTEACCHじゃない!(2)

前回は、TEACCHというのは「理念」まで含めて初めてTEACCHなのであって、構造化やスケジュールなどの視覚化をはじめとする「技法」だけを取り入れても、それはTEACCHとは呼べない、ということを書きました。

つまり、課題の難易度がその子どもの発達段階やその伸びのペースを無視して勝手に上がっていくなんていうのは全然「個別化」されているとは言えませんし、「その子が待てる限界を超えて順番待ちをさせてパニックさせてしまう」などということが毎回繰り返されるとしたら、それはもうおよそTEACCHとは似ても似つかない別のなにかでしかないわけです。

これは、グループで療育することを否定するわけではないのです。

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2008年04月28日

それはTEACCHじゃない!(1)

これは妻から聞いた話ですが、プライバシーの問題もあるかもしれないので、細部についてあえてぼやかして書いている部分があることをご了承ください。

妻がこれまでの療育等を通じて知り合った「ママ友」のなかの一人の話だということですが、そのママ友さんは、自分の子ども(療育ニーズのあるお子さんです)をある療育サービスに通わせていました。

実はその療育サービスは、我が家でも検討したことがあったところでした。
検討の時点で私が聞いていた情報では、「部屋が構造化してあったり、絵カードとかスケジュールがあったりして、TEACCHをベースにしたグループ療育がされている」とのことだったので、それはなかなか魅力的だな、できることなら娘も入れてやりたいな、と思っていたわけです。それを検討していた時点では、我が家が受けているTEACCHの療育サービスが継続されるかどうかも不透明だったので、TEACCH的な療育を継続したいと考えていた我が家にとっては、「TEACCH的なグループ療育」というのはかなり魅力的でした。

ただ残念ながら、いろいろ条件が厳しくて、結局我が家は参加できませんでした。(見学にも行く機会がありませんでした)
幸い、もともと通わせていたTEACCHの療育を継続して受けられることになったので、我が家の療育体制はどうにか維持できました。

ところが、今回聞いた話では、そのママ友さんは、子どもをそのサービスに通わせることをやめることにしたそうです。

その理由というのが、

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2008年03月10日

図解 よくわかる自閉症(ブックレビュー)

かなり良いです。



図解 よくわかる自閉症
著:榊原 洋一
ナツメ社

第1章 どこか不思議な子どもたち
第2章 自閉症とはどのような病気か
第3章 自閉症の子どもをサポートする
第4章 家庭で自閉症児を支え、育てる
第5章 幼稚園や学校ではこのようにサポートする
第6章 社会生活に向けて、家庭、地域での支援

ここ最近、「よくわかる自閉症」という本が立て続けに2冊出ました。
2冊とも購入しましたので順に紹介していきたいと思いますが、まずはより一般的な内容だと思われるこちらの本から。

こちらの本は、名著「自閉症のすべてがわかる本」と同じ流れをくむ、「自閉症全般についての初心者向け絵解き入門書」です。
何より、あのナツメ社から「自閉症専門の本」が出るというのが驚きで、時代は変わりつつあるなあ、ということを感じさせますね。

それだけでなく、内容も、入門書とはいえなかなか意欲的なものになっていると言っていいと思います。特に、

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2008年02月17日

自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集(情報)

先日、JKLpapさんから紹介いただいた、「自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集」ですが、手に入れることができました。
また、ちょうどタイミングを同じくしてAmazonからDMメールが入り、この本の取り扱いを始めたという連絡がきました。

そんなわけで、ネットから入手可能になっていますので取り急ぎお知らせまで。


↑こちらはAmazon。いま見たところ「4~5日で発送」になっていました。


↑こちらは楽天ブックスです。私が見たときは、Amazonは「入荷見込なし」になっていたのでこちらで注文しました。だいたい4日ほどで届きました。

編:藤田 理恵子、和田 恵子
エンパワメント研究所

中身をざっと見ましたが、PECS的な、単語1語にカード1枚が対応するような絵カードではなく、例えばトイレや歯医者などで何が起こるかを順番に提示するような、TEACCH的な視覚化を目的とした絵カード集でした。(ですので、ちょっと我が家の娘(重度)にはまだレベルが高そうな感じではあります。)

ともあれ、本書は紹介する価値がある本だと思いますので、改めてレビュー記事にてご紹介する予定です。
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2008年02月11日

自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る(ブックレビュー)

悪くないです。



自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る
著:ニキ リンコ
花風社

目次

品川、北品川、新馬場
「自分にはわからない世界」との和解
大人になってよかった
舞台裏に回ってみよう
自分も使う強調表現
お金は想像を簡略化してくれる
自分を基準にしても、人のことはなかなかわからない
無害なまちがいは楽しくリサイクル
苦手な状況そのものを作らない

最初に「悪くない」と書きましたが、レビューを書くのはちょっと難しかったりします。
というのも、このシリーズ、非常に似た内容のものがたくさん出ているからです。

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2008年01月14日

発達障害の子どもたち(ブックレビュー)

一読、痛快!



発達障害の子どもたち
著:杉山 登志郎
講談社現代新書

第1章 発達障害は治るのか
第2章 「生まれつき」か「環境」か
第3章 精神遅滞と境界知能
第4章 自閉症という文化
第5章 アスペルガー問題
第6章 ADHDと学習障害
第7章 子ども虐待という発達障害
第8章 発達障害の早期療育
第9章 どのクラスで学ぶか―特別支援教育を考える
第10章 薬は必要か

冒頭のフレーズは、本書を読んだときの私の偽らざる印象です。

発達障害の本でそういった印象を持つことはあまり適切ではないのかもしれませんが、意見の対立が続いているような発達障害をめぐる難しい諸問題に対して、著者があえてあいまいな表現に逃げず、自信をもって断定的な結論を述べているのを読んでいると、本当にこういう気持ちになってくるのです。

本書は冒頭からアクセル全開です。

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2007年12月31日

パニックを考える(17)

「パニックを考える」のシリーズ記事、ちょうど大みそかに最後の記事が書けました。

8.まとめ

長い期間にわたって、自閉症児のパニックについてさまざまな角度から考えてきました。
パニックを「正しく」理解するうえで第一に重要なことは、パニックを単なる問題行動としてではなく、ある種の「適応行動」、つまり、自閉症児が彼らなりに獲得した、欲求や混乱を解決するための行動だととらえることだと思います。
自閉症児は、そういった状態を伝えようとしても、ことばやジェスチャーといった健常児が容易に使える方法が(何らかの認知上の困難により)うまく使えないと考えられます。そのために、端的に「泣き叫ぶ」という方法、つまりパニックという「問題行動」が「発達」してしまう、と考えられるのです。

だとすれば、以下のようなパニックへの働きかけは、すべて「望ましくない」ということが理解されるでしょう。


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2007年12月24日

パニックを考える(16)

パニックへの対応の1つとしての、「マイルドな罰の適用」について書いています。今回は「レスポンスコスト」です。

4)-c. レスポンスコスト

レスポンスコストというのは、トークンエコノミーという行動コントロールの枠組みの中で実施される「罰」のことです。ですので、レスポンスコストという罰を実施するためには、トークンエコノミーのシステムが適切に導入されている必要があります

トークンエコノミーというのは、簡単にいえば「ポイント交換システム」だといえます。

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2007年12月17日

自閉症の人の自立をめざして―ノースカロライナにおけるTEACCHプログラムに学ぶ(ブックレビュー)

読み方が難しい本ですね。



自閉症の人の自立をめざして―ノースカロライナにおけるTEACCHプログラムに学ぶ
著:梅永 雄二
北樹出版

第1章 ノースカロライナ州の自閉症サポートとTEACCHプログラム
第2章 診断・評価
第3章 就学前支援
第4章 学校コンサルテーション
第5章 就労支援
第6章 居住支援
第7章 余暇支援
第8章 研修
第9章 その他
第10章 自閉症の人の支援に関するノースカロライナに学ぶ点

この本ですが、ある特定のニーズに対しては完璧といっていい内容になっていると思います。
それは、「ノースカロライナ州で実施されているTEACCHって、実際にどんなものなんだろう?」ということを知りたい、というニーズです。

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2007年12月10日

パニックを考える(15)

あまり楽しい話題ではない、「パニックへの(比較的マイルドな)罰の適用」について書いています。
今回は、実際にやってみようとするとなかなか難しい、「過剰修正法」についてです。


4)-b.過剰修正法

過剰修正法とは、問題行動に対して、その問題行動によって起こった環境の悪化を「過剰に」回復させる、あるいは問題行動に対応する「正しい行動」を「過剰に」練習するような活動を「罰」として強制する働きかけです。

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2007年12月03日

パニックを考える(14)

パニックへの対応法として、「タイムアウト」を応用する際に考慮すべき事項について、書いています。

前回書いたとおり、パニックへの対処法としてのタイムアウトには、

①積極的な消去を行なうというよりは、その行為が間違っているということを明示することを主たる目的にする。
②「放置」ではなく、「拘束」の方向性に持っていかざるを得ない。


という2つの方向性があると思います。

前回、①について触れましたので、今回は②の視点について書いていきたいと思います。そして、その視点から、ふたたび「抱っこ法」を取り上げます。

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2007年11月12日

パニックを考える(13)

4) マイルドな罰でパニックをコントロールする

最後に、「禁断の一手」、すなわち罰によってパニックを抑制しようという働きかけです。
これまでも繰り返し書いているとおり、罰にはさまざまな副作用がありますので、できれば罰は使わずに、これまで紹介した方法を優先的に使うのがいいでしょう。

それでも、どうしてもパニックを十分にコントロールできないとき、体罰やことばによる、感情的で効果の薄い罰を与えてしまうのではなく、比較的マイルドで効果が高いといわれている罰を必要最小限に活用することは、意味のあることだと言っていいと思います。
(繰り返しになりますが、この記事の趣旨は「罰を奨励する」というものではありません。その点、ご了承下さい。)

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2007年11月05日

パニックを考える(12)

3) ストレス自体を軽減する

パニックというのは、欲求がかなえられないとか不安や混乱を感じているとか、子どもが何らかのストレスを受けることをきっかけにして起こっていると考えられますから、そのようなストレスが起こらない、あるいは起こりにくくなるような働きかけをすることができれば、パニックを未然に防いだり減らしたりすることができると考えられます。

このうち、「欲求がかなえられない」という状況を改善するためには、既に説明した「手持ちのカードを増やす」、つまり代替行動分化強化が効果的だと考えられます。

それでは、もう一方のストレス要因である不安や混乱についてはどうでしょうか?

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2007年10月29日

パニックを考える(11)

2) 逃げ場所を作る

さて、前回の記事でご紹介した「代替行動分化強化」は、パニックの原因であると考えられる「①欲求もしくは②混乱、あるいは③混乱を解消するためのサポートの要求」のうち、①と③に有効な「代替行動分化強化」でしたが、残っている②、つまり、何らかの理由でただ混乱している、かつ何かを与えてもその混乱は解消しない、といった場合にはどうすればいいでしょうか?
また、一度起こってしまったパニックによる興奮状態を、子ども自らが収束させていくためにはどうすればいいか、という問題も、ここに含めることにします。

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2007年10月22日

パニックを考える(10)

パニックについてのシリーズ記事を掲載していますが、いよいよ、有効な働きかけについて考えていきます。

7.じゃあどうすればいい?

パニックは抑えてもだめ、罰してもだめ、受け入れてもだめ、無視してもだめとなると、「じゃあ一体どうすればいいの?」という声が聞こえてきそうです。
ここまで「だめ」が重なると、取れる手段はほとんど残っていないようにも思われますが、実は意外とそうでもありません。
この後、パニックに対する有効な働きかけだと期待できるやり方を、いくつか紹介します。

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2007年10月15日

パニックを考える(9)

パニックへの対処法としてよく提案される「無視する」という反応ですが、ただ無視しても、多くの場合、子どもはより激しいパニックを続けてしまうでしょう。
そして、無視しきれなくなって、「ときどきパニックに応えてしまう」という反応をしたとき、それは行動療法的には「無視(=消去)」ではなく、「部分強化」と呼ばれます。「部分消去」ではなく、「部分強化」です。

「無視、ときどき構う」というのは、無視(消去)の一種ではなく、強化(ごほうびを与えて行動を起こりやすくする)の一種なのです。つまり、パニックに対して「無視、ときどき構う」という働きかけを行なうと、パニックはむしろ強化されてよく起こるようになります
それどころか、この「部分強化」というのは、他のあらゆる強化方法のなかでも最もその行動が強固に定着してしまう強化方法なのです。


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2007年10月08日

パニックを考える(8)

パニックに対する対処法、うまくいかない方法ばかりが続いていますが、もうしばらくご辛抱ください。

6.パニックは無視すればいい?

療育のガイドなどでは、「正しいパニックへの対処法は、とにかくパニックを無視することです」と言われたりすることがあります。
行動療法において、「強化」の反対は「消去」であり(「罰」ではありません)、消去というのは行動に対して何も強化を与えないこと、つまり「無視すること」だから、無視していればパニックなどの問題行動は消去され起こらなくなっていく、という理屈です。

これは確かに正しいのですが、「パニックは無視すればいい」というメッセージは、多くの親御さんに、多分に誤解されて伝わっている気がしてなりません。

ですので、ここではっきりと書きたいと思います。

パニックは、無視する「だけ」では解決しません!

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2007年10月01日

自閉症の特性理解と支援―TEACCHに学びながら(ブックレビュー)

率直に、いいな、と思います。



自閉症の特性理解と支援―TEACCHに学びながら
著:藤岡 宏
ぶどう社

第1部 自閉症の特性を理解する
第2部 特性に沿って支援の方法を考える
第3部 医療・親さん・地域


この本を読んでいてまず何より感じたのは、すごく「素直に読めた」ということ。
自閉症療育の本を読むときは、基本的にいつも「論旨が矛盾していないか、同語反復に陥っていないか、安易な外部からの『解釈』がないか」といったポイントを吟味しながら読んでいるので、どうしても(私にしては)時間もかかりますし、それなりに難儀しながら読んでいく感じなのですが、この本についてはそういうことがとても少なくて、何だかすとんすとんと「腑に落ち」ながら、とてもスムーズに読めたのです。

なぜそんな風に読めたのかな?と改めて考えてみると、その一番の原因は、本書がTEACCHの哲学的立場に立った著作である、ということにあるような気がします。
ですから私は、この本を読んで改めて、「ああ、やっぱり私の考えはTEACCHに一番近いんだなあ」という思いを新たにしたわけです。

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2007年09月24日

パニックを考える(7)

パニックへの対処法、の続きです。

5.パニックは認めればいい?

パニックを抑えるのが望ましくない、罰もだめだというなら、パニックを受け入れ、パニックした子どもに対してそのパニックが解消できるように積極的に働きかければいいのでしょうか?

もちろん、そうすべきではありません。

既に書いているとおり、パニックとは欲求その他を「社会的に受け入れられない形で」表現することなので、社会的に望ましくない行動です。もしそれを増やしてしまうことがあれば、それは子どもの社会適応を悪化させることを意味しています。
つまり、パニックを不用意に抑えたり罰したりするのも望ましくない一方で、(当たり前ですが)パニックを不用意に増やしてしまうことも望ましくない、ということです。

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2007年09月17日

パニックを考える(6)

パニックへの対処法、の続きです。
今回は、しばしば議論になる、パニックに「罰」で対応することについてまとめておきたいと思います。

4.パニックは罰すればいい?

パニックを罰によって解決しようとすることが、そもそもあまり効果的でないことは、実際にパニックに接している親御さんであればお分かりいただけると思います。
(なお、ここで「罰」という言葉は、行動療法(ABA)的な概念として使っています。つまり、パニックに対して、そのパニックを起こりにくくするような反応を返すこと-いわゆる体罰とか、言葉で叱るとか、そういったことですね。)

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子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。