・医者は「治る」とは言ってくれない。
・時間の経過とともに良くなったり悪くなったりすることがある。
・人数的にある程度の「患者」がいる。
このような状況に対して、民間療法は次のような順序でマーケットを形成します。
・医者と違って「治る」と言ってくれる民間療法が現れる。
・その療法をやっていて、たまたま(その効果ではなく偶然に)良くなる人が出てくる。
・そういったものを広告費をかけて宣伝できるだけのマーケットができあがる。
こういう民間療法マーケットは、いわゆる難病・後遺症・原因不明の病気などには必ず出てくるものですが、最後の「一定量の患者数」がいるかどうかで、「その病気/症状専用の療法」が登場するかどうかが決まります。難病であっても、マイナーであれば「万病が治る」という民間療法の「万病」の1つに押し込められるのがオチですが、例えばガンのように患者数が非常に多い病気であれば、「ガンが治る」という民間療法が大量発生する、というわけです。
さて、「キレート療法」です。
上記のような視点でみると、「キレート療法」というのは、主に自閉症に効くことを宣伝している民間療法ですから、「専用療法」のカテゴリに属します。つまり、自閉症についても、「それ専用の民間療法」が存在しうるくらい、悩んでいる人が多い障害だ、ということでしょう。
キレート療法について簡単に説明すると、自閉症の原因を、予防接種のワクチンなどによって引きおこされる水銀中毒であると考え、水銀を排出するためのサプリメントを摂取し続けることによって自閉症を治すという手法です。
ただ、キレート療法には、科学的根拠がありません。「科学的」とは、追試可能な実験が存在する、ということだと言えますが、キレート療法にはこういうものがありません。LANCETという医学誌に論文が載ったことを喧伝している業者もいるようですが、すでにこの論文は撤回されています。論文を発表した人が、「ワクチン被害者」裁判の原告から資金援助を受けてデータを捏造した論文だったということです。下記のリンクに詳細があります。
ワクチンで自閉症は増えない
http://www.geocities.com/HotSprings/4347/autism.htm
もし水銀が自閉症の原因だとすればなぜ水俣に自閉症児が多発しなかったのかとか、キレート療法には私のような素人でも感じる疑問がいろいろありますが、下記の2ちゃんねるのスレがその辺りを深堀りしていてとても面白いです。
【治る】キレート療法で改善【自閉症】
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/baby/1081348878/
このスレで特に面白かったのが55,150-160あたりを中心に出ている水銀検査の話。キレート療法商法(あえてこう書きますが)では最初に毛髪などの水銀検査を行ないますが、このスレから判断すると、そもそも業者はまともな検査なんかやっていない可能性が高い。こんなものにお金を払うのはまったくのムダということでしょう。さらに、キレート療法で使うサプリメントは高額であり、長期間買い続けなければならないところからも、いかがわしいお金儲けの匂いがします。
もちろん、高くて役に立たないだけなら、ただの「お金の無駄遣い」で済みますが、キレートに関してはそれだけでは済みません。キレート療法は体に負担をかけ、有害なのです。これは、「効果」が非科学的であるのとは対照的に、科学的根拠のある客観的事実です。必須ミネラルなども一緒に排出してしまうだけでなく、腎臓障害などの副作用も強く、それが原因で死亡したと考えられる例もあります。
5歳の自閉症児、EDTA静脈注射によるキレーション中に死亡
http://asdnews.seesaa.net/article/6390762.html
上記の死亡例は、「静脈注射」という過激な方法によるキレーションのようですが、いずれにしてもキレート療法が一般的な意味において体に良くないことだけは間違いありません。
自閉症の子を持つ親にしてみれば、突然に医者から絶望的な宣告をされ、わらにもすがる思いでこういった民間療法に手を出してしまう、そういう心境は十分に理解できます。
でも、自分自身で判断できない自閉症の子どもに、こんな危険なものを独断で与えてはいけない。私たちは、正しい知識を知ることによって、子どもを守らなければならないのです。
なお、キレート療法についての日本小児神経学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会の公式な見解は下記でご覧になれます。
自閉症における水銀・チメロサールの関与に関する声明
http://homepage3.nifty.com/jscn/smsg.html
今はないですが、もしそらまめちゃんの障害がわかり始めたばかりのときにこんな話を聞いたら、思わず藁をもつかむ思いですがっていたかも。。。と思ってしまいました。
でもきっとそんな大金払えないので、大金をはらうものはしないと思いますが・・・
それともう一つ、話をしていて、こうやってキレートに否定的なことを書いても、「キレートの情報を提供する」、そのこと自体によって、逆にキレートへの関心を高めてしまうこともあるのかな、と少し反省しました。
今度はキレート業者が登場して必死にキレーションを弁護していますが、客観的に見ればどちらに理があるかは一目瞭然だと思います。
自閉症の原因が特定されていない以上、キレートがまったく効果がない、と言い切れるわけではありませんが、効果がある可能性は限りなくゼロに近く、逆に副作用の危険性は間違いなくあることを考えると、手を出すべきではない療法だとは言えると思います。
自閉症は、今は原因不明で「治す」見込みのない障害ですが、将来的には原因が特定され、薬物治療の道も開けてくるかもしれません。
そのときに出てくる「薬」は、自閉症児の学習や、人などとの関わりを妨害しているような要素を抑えるものになると思いますので、使うことへの抵抗は低いものになると思います。「自閉症が消えて性格が変わる」んじゃなくて、人格の同一性が維持されたまま、より環境と困難なくかかわれるようになる、そんな感じだと予測しますので。
そんな時代が早くくるといいですね。
お子さんの言葉が発達したことは素晴らしいですね。
私なら、キレートの効果としてではなく、子どもが成長したということで喜びたいと思いますが・・・。
それと、一点、とても大切なこと。
最後に「これからもキレーション生活するつもりです」と書かれていますが、実際に「キレーション生活」しているのはお子さんです。お子さんが、リスクも可能性も、すべて請け負って(でもそのことを必ずしも理解しないで)、「キレーション生活」をしている(親は「させている」だけ)ということを忘れないでいただきたいと思います。
私が、この記事で書きたかったことは、まさにその「誰がリスクを請け負っているのか」それだけですから。
まだはっきりと診断をされたわけではありませんが、医師にはほぼ自閉症であろうと言われています。
はじめは息子の将来に対する不安で絶望的になり、打ちひしがれていましたが、本やインターネットで自閉症について調べていくうちに、ただあるがままの運命を受け入れるだけでなく、療育以外にも何か打つ手を探したいと思うようになりました。
先日毛髪検査を受けました。毛髪中の水銀・鉛含有量は危険レベルではありませんでしたが、必須ミネラルが不足気味だということでした。自閉症の治療に関する本で、体内のミネラルバランスを改善し、青魚やレバーなどに含まれるRNA、ビタミンC・B群、抗酸化物質を積極的に摂取すると症状が改善する例もあると書かれていたので、先月21日から極力添加物を使わずにそのような食事を中心に摂取しています。その結果かどうかは分かりませんが、ひと月余り過ぎて、急に息子の反応が良くなり、簡単なこちらの指示を理解したり、私の目を見て反応を探るような行動をするようになりました。余談ですが、私自身も疲れがとれやすくなり、体が軽くなったような気がします。
キレーションに関しては副作用の心配があるので、現在慎重に検討しているところです。相談できる医師を探してから、踏み切ろうかと考えています。
ところで、いっくんママさんの受けられた毛髪検査は、ら・べるびい予防医学研究所のミネラル検査でしょうか?もし良ければ参考にどこの検査を受けられたのか教えていただけないでしょうか?どうか宜しくお願いします。
同じ食事が、お子さんの場合には「自閉症の治療」に効果があるように感じられて、ご自身については「体調の改善」に効果があると感じるのは少し考えると不思議なことのように思われますが、それはおいておいて、
親の判断で副作用の大きなキレーションを実施するというのは、その有効性の検討以前の問題があると私は考えています。詳しくは以下の記事(とコメントでの議論)をご覧下さい。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/21176696.html
また、お子さんが自閉症だと知り、最初に自閉症の全体像と有効な働きかけについての考え方を理解するための本として、以下をおすすめしたいと思います。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/19797707.html
最後に、自閉症の原因は、恐らく脳のネットワークが発達してできあがった状態に何らかの不具合があることによるものだと考えられますので、食事を変えたり「ミネラルバランス(?)」を変えたりしたくらいで状態が劇的に変わる可能性は相当に低いということを書かせていただきたいと思います。
何か私に質問があったようなので、他人のブログですが失礼いたします。
その通りではございますが、そらパパさんのお返事で書かれている通り(食事を変えたり、ミネラルバランスを変えたりしたくらいで・・・)だと思いますし、ちょうど成長期の真っ只中で、一月ほどで急に状態が良くなることは、多々あることだと思います。
ウチの樹も、この一ヶ月くらいで、ウソのようにものすごく落ち着きが出てきました。
でもこれは、今までPECSや、TEACCH(もどきですが)や、ABAを取り入れたり、療育に通ったり、保育所で集団生活を送ったり、そう言ったことの積み重ねだと思っています。
そらパパさん、勝手に書き込んでしまってごめんなさい。もし不都合でしたら消していただいてもかまいません。失礼いたしました。
コメントありがとうございました。
私以外の方からも、私が書いてきたことと同じ趣旨のコメントをいただけるということは、とても心強いです。
ちなみに、最近娘はピーナツを毎日のように食べているのですが、それにともなって、オウム返しや動作模倣が増えてきました(感情の爆発も増えているようですが・・・)。きっとピーナツが自閉症に効いたのだと思います。 ←もちろん、冗談ですよ!(笑)
ウチの子も、半年以上前からピーナツを毎日食べていますが、その頃から、オウム返しや動作模倣が増えてきましたよ!
やっぱりピーナツは自閉症に効くんですかね~。(←もちろん冗談ですから、皆さん信じないでくださいね~!)
って、スミマセン。。。
悪ふざけが過ぎました(笑)
このコメントにお返事はいりませんよ!
私なりに自閉症とはどういう障害なのか、いろいろな本で勉強していますし、もちろんそれらの治療法の効果が科学的に証明されていないことは知っています。キレート療法についてのリスクも文献で調べました。
それでも、この子が将来私たちと同じように普通の子供時代を送り、普通の青春時代を送り、普通に仕事に就き、いずれは普通に結婚をして幸せな家庭を築いて欲しいと願ってしまうのは、障害児を持つ親としては当然のことでしょう。そのためには、療育以外にも、子供の体になるべく負担がかからない方法で、できることは何でもしたいと思うのが当然ではないでしょうか。
キレート療法についてはリスクが高い反面、本当に効果があるのか疑問がありますが、目に見えて症状が改善したという症例がある以上、私自身としては、検討の余地があると考えています。漢方薬でも、実際には効果があっても科学的に効能が証明されていないものがたくさんあります。もちろんキレート療法に踏み切るとなれば、信頼できる医師に相談し、定期的に子どもの体調を調べます。
食事療法についてですが、直接的に自閉症治療にはつながらなくても、食と体と心は密接に関係していることは、「切れやすい子」の例からでも、明らかです。また私たちの行っている食事療法は、健常者の体にも良いことです。例えば発芽米に多く含まれているアミノ酸のGABAという物質は鎮静作用のある神経伝達物質です。また、ある種のビタミンやミネラルは互いに組み合わさることによって、自然にデトックス作用をもたらします。私たちは知らず知らずのうちに、食事からいろんな影響を受けています。
「たかが食事くらい」「アーモンドで…」と言われていますが、アーモンドには必須ミネラルの亜鉛が多く含まれています。亜鉛はサプリメントなどで過剰に摂取すると急性中毒になりますが、不足すると成長や発育の遅れ・肌荒れ・味覚障害・肝臓の異常などを引き起こすと言われています。また、有害物質を捕まえて毒性を抑え、排泄させるタンパク質の誘導役でもあります。
食事療法が本当に息子の治療に有効かどうかは分かりませんが、「たかが食事」と疎かにはできないのではないでしょうか?
失礼ですが、「たかが食事」というのは、どなたがおっしゃった言葉なのでしょうか?
どこか他の場所でされていた議論を持ち込まれたのかもしれませんが、少なくともこの記事とコメントではそういったことばは登場していないようですね。
食事をおろそかにしていいということはないと思います。栄養のある健康的な食事を規則正しくとらせることは、なかなか食事そのものも自立・自律させられない自閉症児の療育的働きかけの中でも重要なことのひとつだと思います。
ただ、その議論がさらに進んで、「特定の食事が自閉症の『原因』である」とか、「特定の食事をとること、あるいはとらないことで自閉症という障害そのものが改善する、あるいは『治る』」といった話になってくると、それは到底科学的であるとはいえないという話をしているだけです。
それと、普通、普通ということばにこだわっていらっしゃるようですが、個人的には、それは目の前にいるありのままの障害児の姿を否定する面があるように思われてなりません。
障害を否定して「普通」にこだわるよりも、「障害」をしっかりと受け止めることのほうが、「障害児の親として」大切なことだと、個人的には考えています。
(あくまでも、個人的な意見です。)
今回始めてコメントを書かせていただきます。 私の子供(小6男の子、小3女の子)も自閉症です。 普通っていったい何なのでしょう・・? そらパパの言われている通り子供のありのままのを受け入れることからすべてが始まると思います。
私は、中学校の教師をしていますが、保護者にありのままを理解してもらえず「普通」と言う枠に無理やりはめ込まれてきたことによって障害が増幅したり、不登校になった例をたくさん見てきました。心地よい生活、ありのままを受け入れ楽しい体験をたくさんさせてあげることが子供の成長・障害と上手く付き合い快適に生活していくことにつながると思います。
私は息子が障害児だから「仕方がない」で済ませたくはありません。完治は無理だとしても、息子に無理がない範囲で、息子の持てる可能性を最大限に伸ばしてやりたい。そのためにはできる限りのことをしたいと考え、今療育と並行して食事療法に取り組んでいます。
そらパパさんをはじめ、皆さん、勉強不足の私に根気強くアドバイスをいただき、ありがとうございました。これまで反発的なことばかり書き込みをしてきましたが、そらパパさんのブログでいろんなことを勉強させていただきました。本当にありがとうございました。今後とも参考にさせていただきます。
いつか自閉症という障害がもっと世間に理解され、この障害を持つ子供たちがより住みやすい環境が整備されますように。そしていつか、自閉症という障害が完治できる日が来て、世界中の自閉症を患っている人たちやその家族が救われる日が来ますように。
私が冗談を書いていたのは「アーモンド」ではなく、「ピーナッツ」だったのですが、それはいいとして、
私がキレーションに関して一貫して書きつづけていることは、それが科学的に根拠が乏しく、かつ小さくない危険を伴ったものであるにもかかわらず、それを実行するかどうかの決定権者が本人ではなく親である、という点に倫理上の懸念がある、ということに尽きます。
「子どものためを思ってできる限りのことをする」ということは、その対象によっては常に適切であるとは限らないのです。
(これは、キレーションや他の医療(類似)行為などによって自閉症児を「改善」「治療」しようとする働きかけすべてについて言える、非常に重要なポイントです。)
このブログでは、テクニック的なこともたくさん書いていますが、本当に伝えたいことは、テクニックよりもむしろ哲学的なこと、つまり自閉症児の親として、はんらんする情報や矛盾するアドバイス、限られた時間とお金の有効な使い方などについてどんな立場をとっていくのがより好ましいのかといったことにあります。
そういった意味では、このキレーションに関する記事や、下記の三角頭蓋手術に関する記事などは、当ブログの最重要記事に属するといっても過言ではありません。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/21176696.html
これらの記事に関して、私も、コメントを寄せている他の方も、プーさんを個人的に攻撃する意図はまったくありません。行間まで含めて、これらの記事やコメントを、あらためてじっくり読んでいただければ嬉しく思います。
この民間療法に関しての知識は全く無かったのですが、そらパパさんのように、危うい民間療法に頼ってはいけないよと、いっぱい説明したのですが、やはり「藁をも掴みたい一心」なんでしょう。聞く耳持ってもらえませんでした。長年自閉症と向き合ってきましたが、たまに冷静に判断できない方とお会いする度、悲しい気持ちになります。長男は来月20歳を迎えとても良い状態で、一人暮らしながら頑張ってます。先々月に下の5歳の娘も自閉症スペクトラムと解り、また一からの子育てに頑張る事となりました。成人部の部長をしながら幼児部の新米パパとして、先々日には幼児部の勉強会にも顔を出して、若いお母さんにまじって頑張ってます。
藁をも掴みたい気持ちも分かりますが、地道に子供と共に歩んでいくのが成長の近道だと思っています。
そらパパさん、道を迷ってしまいそうな方達にこれからも道案内頑張ってください。
地道に優る近道は無いということだけは、沢山の成人当事者を見てきて言える事です。
実は,キレーションのことは,そらパパさんのHPに行き着く前に知り,衝撃を受けたことがあります。(←もちろん,担任している子には試しませんよ)ただ,初めての特学担任で悩んでいた頃だったので,非常に魅力を感じたのも事実です。
しかし,(キレーションには手を出さず)発達しょうがい者センターの方の支援のもとに指導し続けた結果,小学校2年生終了までに一桁のたし算さえまともにできなかった子が,3年生に担任してからの1年半でたし算・ひき算はもちろん,かけ算やわり算までこなすようになりました。筆算はもちろん,文章問題では図に表して,自分で解説までしてくれます。
先週,ふと,このA子さんがもらした一言に成長を感じました。
「先生,A子って去年,先生のことかじったり,ひっかいたりしたよね」
「そんなこともあったねぇ。忘れてたよ」
「先生ごめんね」
ニコニコしながらこんな風に自分を振り返られるA子さんを愛おしく感じました。
キレーションが効果あるかはわかりません。しかし,それ以上に,その子にあった育て方って何だろうと考え続けることのほうが,地道に見えて,実は劇的な効果があるのだと実感している今日この頃です。
駄文で長々とすみませんでした。
コメントありがとうございます。
キレーションを初めとする民間療法、代替療法、医療まがい行為には、熱烈なファンが多数存在することもあり、科学的ではない態度に基づいた「素晴らしい効果!」「自閉症が治る」といった宣伝もなされがちですので、わらをもつかみたい気持ちの親御さんが心奪われるのも仕方のないことではあると思いますし、なかなか扱うのが難しいテーマでもあると思います。
実際、当ブログでも(全体の中の記事数としては非常に少ないにもかかわらず)たびたびコメント欄がヒートアップする話題となっています。
私が繰り返し書いていることは、たとえ親であっても、「倫理的に」子どもにやるべきではないことがあって、これらの民間・代替療法、医療まがい行為の多くはその「やるべきではないこと」に当てはまるのではないか、ということです。
効く・効かない、治る・治らないの議論に陥ることは、ある意味、民間療法側の土俵に上がってしまうことだと言えます。そんな議論よりも、もっと本質がある、と私は思っています。
そして、もう一点大切なことは、そういった「あやしいもの」を試したくなってしまう親御さんの(追い詰められた)心理状態を受け止め、近道ではなく王道を歩けるように導くために何をすべきかを考えることではないかと思っています。
当ブログが、そのために微力ながら役に立てればいいな、といつも思っています。
キレーションではないのですが、先日近所の奥さんからニューロフィードバック療法というのが自閉症にいいというのをテレビで見たから、と勧められました。ネットで調べてみましたが、これもきっと怪しい民間療法ですよね。うちの場合は一度挫折しかけたABAを、この夏からボランティアの学生さんに手伝ってもらって再開しました。今まで言葉はまったくありませんでしたが、最近は欲しい食べ物、やりたい事に限り簡単な言葉で要求するようになってきました。とはいえ、毎日が大変なことに変わりはないのですが、でも1年前に比べれば少しは成長したかなと思います。やはり地道な療育に勝るものはないと思います。いつも、読み応えのある記事で毎回楽しみにしております。これからもご指導よろしくお願い致します。
コメントくださいましてありがとうございます。
ニューロフィードバックというのは、脳波を映像化してそれを見ながらいろいろなイメージ操作をする(そして、それらのイメージ操作が脳波にどのような変化を与えるかというフィードバックを受ける)ことで、脳波の状態を意識的にコントロールできるようにすることをいうと理解しています。ですのでこれはある種の「行動療法」であるということができます。
恐らく、この訓練が理解できる人であれば、この訓練によって脳波をある程度コントロールすることはできるようになるでしょう。
しかし、脳波というのは非常におおざっぱな指標で、脳の全体的な活動レベルの高低くらいしか教えてくれませんし、そもそもどのような脳波がどのような意味を持っているのかさえよく分かっていないというのが実態だと思います。
そして、これは「行動療法」ですから、子どもの他の行動を「行動療法」で教えるのと同じような(教える側、子ども双方の)努力が必要になるでしょう。
だとすれば、PECSや認知課題などの、より「端的にメリットが分かる」トレーニングを優先させたほうがいいだろう、というのが私の結論になります。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
キレーションを検索してここに来ました。
私自身はこういう民間療法的なものには懐疑的ですが、詳しく説明されいてとても参考になりました。
先日、卒園した療育施設の父親の会で、在園者の中にこの様な療法に傾倒された方が居り、主人は2時間近く話したそうです。納得出来ない所を何度も聞いても、『これは効く』の一点張りだったようです。
こういう方にこそ、この来てブログに来て今一度子供に対してどうあるべきか考えて欲しいと思いました。
また、私自身、まだまだ勉強しなくてはならないと強く感じました。
これから、たびたび寄らせていただいて勉強させていただきたいと思います。
よろしくお願い致します。
キレーション、毛髪検査経験ありです。
子供の検査結果は水銀値が振り切りレッドソーン、後はアルミニウムもレッドゾーンと有害ミネラルがたくさん検出されました。
ひとつ、ここのページで気になることがあり投稿しました。
キレーションに使われるサプリメントですが、私はALA(アルファリポ酸)を使ってました。これはほうれん草や体内にも存在するものです。
これも危険だとすると、ダイエットで日本でもたくさん売り出されているALAも、ミネラルが排出されてしまうということで危険物になってしまいます。
量も1回に飲む量を小分けにして何回にも分けて飲ませていました。
自閉症の原因は私も水銀だけだとは思っていません。
勉強されている方は、多分わかっていると思います。
でも、水銀やアルミニウム、食品添加物などが全く影響していないともいえないと思うのです。
子供の心身共の健康を第一に考えて、いろいろな方面から療育できたらと考えています。
ブログにもお邪魔しましたが、ご主人に紹介されたのは「GFCFダイエット」のようですね。この代替療法の話題についても、このコメント欄で一度登場しています。
こういった、何かを摂取すると自閉症が良くなるといった仮説について言えることは、本当にそうなら、科学者がとっくに解明しているはずだ、ということです。
特にいまは脳科学が非常に熱くて、ノーベル賞も取りやすくなっていますから、多くの脳神経科学者が、自閉症の脳の問題とそこに関わる化学物質に関心をもっています。
キレーションにしても、その他の代替療法にしても、まっとうな科学者が一顧だにしないということがどういうことかということを考えれば、これらの療法の効果を察することができると思います。(科学者は、怪しげな俗説であっても、そこに何らかのヒントがないかと考えて一度は実験をしてみるものです。)
ななさん、
アルファリポ酸というのは確かにサプリメントとして流通しているようですが、一般には脂肪燃焼などの補酵素として売られているようで、これを「重金属のキレート剤」として売っているのは「自閉症の代替療法屋さん」だけのように思われます。
(補酵素というと、実質的にはビタミンなども同類で、例えばビタミンCは体内物質の代謝の促進に効果がありますし、体内のミネラルバランスを多少は変えるかも知れません。でもなぜか、ビタミンCを「キレート剤」と呼ぶ人はいないですね。)
キレーションに限らず、民間療法、代替療法、医療まがい療法などに共通して私が持っている意見は、
・危険が高いものは倫理的に問題がある。
・比較的安全なものであっても、科学的に根拠のないものは時間とお金がもったいない。
という2点に尽きます。
子どもにとっての今の時間は非常に貴重なものですし、私たち親のお金と時間も同じく無駄にはできないものです。
ですから、「とりあえず無難なことなら何でも手を出す」というよりは、「本当に効果のありそうなことに集中して時間とコストをかける」というほうをおすすめしています。
ここからは余談です。
毛髪検査については、いつも不思議に思うのですが、毛髪に水銀がたくさん出るということは、体内に入った水銀が(脳に届かずに)ちゃんと排泄されているということだと思うのですが、どうなのでしょうか? また、毛髪に出る水銀が、(そもそも脳関門によって出たり入ったりしないはずの)脳を通ったりそこから出てきたりしているとなぜ考えることができるのでしょうか? 単純に脳以外の体内から出ていると考えるほうがずっと自然だと思いますが・・・
アルファリポ酸(チオクト酸)は昔から、水銀のキレート作用があることはわかっているそうです。
そのほかにも、にんにくなどに含まれるセレンなども水銀を排出する効力があるそうです。
毛髪検査で水銀値が高かったことは、たくさん排出されていると私もそう思っています。
逆にほとんど検出されない方もいるので、その考え方だとその方は体内に溜まっているのかと・・・
ただ、うちの子は安全値の10倍もの水銀が検出されたとなると、体内を巡回したと思うと、考えるものがあります。
水銀が血液脳関門を出入りするかしないかについては、水俣病で問題になったメチル水銀が説明しているように思うのですが・・
有機水銀は出入りするそうです。
予防接種だけでなく、大型魚の摂取、中国などで燃やされる石炭から排出される水銀などなど、私たちの身の回りにはたくさんあるのかもしれません。
キレーションやCFGFなどでよくなった方はいらっしゃるようですね。(どのレベルまでかは知りません)
だからといって、自分の子供に当てはまるのかどうかはまた別問題です。
栄養療法、行動療法など親がいろいろ勉強して自分の子供にとって何が一番必要か考えるべきかなと思ってます。
そして、少しでも生活しやすくなればと思っています。
いろいろ読ませていただきました。
私が思うに肝心なのは、自閉症が良くなって(?)いるのは、子供の成長なのか薬(?)のお陰なのか、結果だけでは判らないと言う事を親が理解しているかどうかだと思います。
何故ならば子供は自分が障害児だと理解していないからです。療育は良いとして治療方法が確定していない現状では、どんな治療でもそれは親のエゴにしかならないでしょう。どんな治療方法でも子供が良くなれば良いんですけどね。
当初のコメントに書いたとおり、水銀云々の部分は「余談」ですので、詳細にはあえて立ち入りません。
一点だけ、ご存知だと思いますが指摘させていただければ、水俣病は確かに有機水銀中毒ですが、水俣にて自閉症が増加したという疫学的結果を聞いたことがありませんので、有機水銀中毒と自閉症との関係には疑問があると思います。
Genieさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
実は、これらの医療まがい療法等で問題にしているのは、「結果」側の効く、効かないの問題ではなく、そもそもそういったことを実施する、しないを決断するのが誰なのかという問題です。下記の別の記事で書いているとおり、危険があると分かっている行為を行なう場合に本人の納得と同意がないということについての倫理的な側面を問題にしています。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/21176696.html
よく、これらの議論は、結果として効けばいいじゃないか、とか、証明されていないけど効くらしいんだ、とか、いい結果が出る働きかけをしようとする親心は療育でもこれらの療法でも同じだ、という方向に向けられてしまいがちですが、本当に考えなければならないのは「結果」ではなく、それを実施するということを親が選択するという、まさにそのことに対してであるべきだ、というのが私の考え方です。
(ただ、こういった部分まで入ってくると、もうこれは個人の価値観の問題であり、正しいとか間違っているという次元ではないとは思っています。)
私も子供にとっての一番の療育は、教育と愛情だと思っています。
でも以前に教育雑誌を読んでいたら「塾に行きなさいといって、夕飯はマクドナルドではだめ」という記事を読みました。
毛髪検査をするまでは、普通に生活していたのに、子供の体にこんなに有害物質があるとは思いませんでした。
ただそれが、以前にも書きましたが、自閉症に関係しているかはわかりません。
でも、それらを取り除いて脳内環境を整えてあげて、療育してあげたいと思うのです。
水銀や有害物質の除去は高価なサプリメントを飲まなくても、私は出来ると思います。
食べるものや周りの環境を整えてあげれば。大昔から人間は排出する力を持っていると思います。
我が家はお金がないので今はその方法です。
それでも、水銀値は半分に減りました。
なんか、こちらのページを荒らしちゃったみたいになってすみませんでした。
そもそもこのエントリは、このブログを始めてたった2週間後に書いた、当ブログの中でも最も古い記事の1つなのですが、それが今でもこれだけホットな議論になることは、ある意味恵まれたことだと思っています。(ですので、「荒らした」とかそういうことはありませんのでご安心下さい)
最後に1点だけ。
私が、普通にサプリメントを飲むレベルから、GFCFダイエット、キレーション、軽度三角頭蓋手術、さらには一部の過激なABAにまで共通して感じている「違和感」というのがあって、それは、「子どもの体内に有害なものがあって、それを排除すれば子どもは本来のあるべき姿を取り戻して症状も改善する」という価値観です。
私の立場は、そうではなくて、「今あるその姿が子どものありのままであって、それ以外に『本来の姿』『あるべき姿』なんてものはないし、そんな風に考えることは、今目の前にいる子どもを否定することでもあるんじゃないか」というものです。
別に、「体にいいものを食べさせましょう」とか「規則正しい生活を目指しましょう」といったことを否定する気はありません。でも、「○○を摂取して(あるいは摂取しないことで)有害物質を排除しましょう」になると、上記の違和感を感じてしまうんですね。
これも、繰り返しになりますが、それが正しいとか間違っているということではなくて、私個人の価値観として書かせていただいています。
(倫理的にも生化学的にも、私もキレーションはお勧めしない立場です。)
コメントありがとうございます。
私は元来文系の人間ですので、キレーション等の代替療法・医療まがい行為等については、基本的に倫理的側面から問題提起をしています。
でも、感覚的にいえば、キレーションは自閉症とか脳の障害とはほとんど関係ないところで、単に体ばかり痛めつけているんじゃないか、という印象はもっています。
小児科の先生の見解です。
http://plaza.rakuten.co.jp/drkameyama/bbs/
コメントを書いた後に、他のキレート剤などを見てみました。
抗酸化作用は結構あるようですね。これは訂正します。ごめんなさい。
キレート作用については、やはり弱いと思います。
(無論、強い薬を服用しましょう、といっているわけではないです)
ななさんがおっしゃっているように、「子供の心身共の健康を第一に考える」。これには全く異論はございません。
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/hair.html
同じサイトですが、水銀検査についても
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/Tests/mercurytests.html
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20071126#p6
セレンの話も出ていますが必須ミネラルである反面、毒性も強いようですから、サプリメント等で子どもに大量に摂取させるのは、はやりリスクが大きいのでは と私は思います。
面白いサイトがあるのですね。
いろいろ読んでみようと思います。
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kouza/kodomo_060512_060616.html
環境の複合汚染と小児への影響の因果関係が証明されていない現在、予防原則という考え方は必要なのだろうと思います。また、キレートを取り入れている方には、数ある選択の中、ひとつの道筋を開いて下さっているという視点でエールを送りたい心境です。
引用されている記事、拝見しましたが、一方は環境省が今後環境汚染に関して暴露リスクの高い子どもに特に焦点を当てて行政をすすめていくという一般論に過ぎませんし、もう一方は、自閉症を含む発達障害が環境汚染物質によって引き起こされているという、現時点で科学的に証明されているとは言いがたい前提を出発点として展開されている議論だと読めました。また、その講演の主催団体そのものが、「人工化学物質=悪」という強い立場をとっている団体ですから、バイアスがかかっていると判断せざるを得ないところもあります。
このブログ記事でも再三議論しているとおり、キレーションは危険を伴う行為です。
にも関らず「因果関係が証明されていない」わけですから、これは当然に「やるべきではない」ということになるでしょう、というのが私の立場です。
(特に自閉症児へのキレーションの対象になっている水銀は、水俣で自閉症が増加したということがなく、「胎児性水俣病」の患者は自閉症ではなかったことから、自閉症の主たる原因物質である可能性は、非常に低いと私は考えています。)
さらに重要なことは、キレーションを実施する対象は、「キレーションをやろう」と決断する親御さん本人ではなく、何も事情を知らされていない子どもだということを、何度でも繰り返し書きたいと思います。
ピオニーさんがどういった理由で「自閉症に関心がある」のかは存じ上げませんが、安易に「エールを送る」のはやめていただければと思います。エールを送って、親御さんがその気になるところまでは誰にも迷惑がかかりませんが、その先には、何の事情説明もなく、ただ親を信じて危険な(効果も証明されていない)キレーションにさらされる子どもがいるのです。
私があえて、直接キレートに関する情報でないものを引っ張り出しているのは環境省が毛髪検査をする予定というところです。環境汚染の人体への影響を調べるには毛髪検査は有用だということ。切迫した経済難の政府が国費をかけるに値するこういう研究も行われるという事をお知らせしたかったのです。これは一般的な小児に対する暴露リスクだというのはご指摘のとおりです。
水銀に限定したキレーションというものがあるのは、こちらのブログではじめて知りました。キレーションの危険性を発信しているそらパパさんに深く感謝しています。また、私からの情報や想いが無責任に感じたり皆さんを不快にさせたりしたことをお詫びします。私のキレーションについての知識はまだ浅いので間違っていたらどうぞ教えてください。以前から、成人の循環器疾患の患者さんに対して外国では取り入れている施設もある、という事は知っていました。国内では、毛髪検査などの結果によってサプリメントをすすめられるようですね。自閉症児に限定した療法でないので、その施設がどのくらい自閉症児に対する検証例数があるのか直接医師に確かめる必要性を感じます。また、サプリメントだけでなく必須ミネラルや生活指導について、親御さんの実情(心身ともに)に合わせたきめ細かい指導の必要性も感じます。
バイアスがかかる、という事については本当に気をつけたいことです。どんな情報でも、まずバイアスがかかっている可能性があることを念頭に読まなければなりませんね。前述の黒川氏の研究と、講演内容についても。あるいは主催団体の編集によるバイアスの可能性もありますよね。これから確かめようと思います。ご指摘ありがとうございます。
さらにこれまで公表されている政府の見解や各種団体の見解、高名な研究者の研究でも、発表文そのものを最後の最後まで読まないとその全容、今後の課題がわかりません。
それに今まさに研究中というものがとても多いですよね。これからも注意深く情報を集めようと思います。
わたしもひとりの患者として、また子どもの親として自閉症の子どもさんと親御さん、療育に関わっていらっしゃる多くの皆さんと情報を分かち合えたらと願っています。そらパパさん、こういう場を提供していただきありがとうございます。
では失礼します。
こちらこそ厳しい物言いで失礼しました。
もちろん、「一般論としての毛髪検査」にも、「一般論としてのキレーション」にも、有効な領域があることは了解しています。
ここで問題にしているのは、「科学的根拠の薄い代替療法・医療(まがい)行為を、本人の了解もなく行なうこと」です。ですので、しっかりした科学的根拠が存在するか、本人が十分その内容を理解し、了解したうえで実施することに関しては問題視していません。(現に我が家でも発達外来の定期検診を受け、そこから処方された薬を飲ませています。)
自閉症へのキレーション治療というのは、なかなかデリケートな問題です。
それは、この、素人である私が書いた、たった1つのブログのエントリに対して、既に40件以上のコメントがついていることからも察していただけるのではないかと思います。
友人(自閉症ではありませんが…)がキレート療法を薦められた、というところからキレート療法について調べています。
本ブログ、とても興味深く読ませていただきました。
大学院に残り、研究(今回の件とは全く異なるものですが)をしていた立場として言わせて頂くと、
民間療法と科学的根拠については、いろいろご意見があるとは思いますが、
「科学的な根拠」というのは、本当に大切です。
「日本で認可されていないけれど、良い薬があるから使ってみる」
と
「科学的な根拠がなくて、日本で認可されていないけど、良い薬があるから使ってみる」
というのは、天地ほどの差があります。
同じ「認可されてないけど良い薬」という言葉で、素敵なものに出会ったような錯覚を起こしがちですが、
科学的な根拠というものは、世界中で認められるものです。
普通、薬品の開発、実験では、
細胞レベルで効果と安全を確認し、その上で、動物に試し、人間で… というのが通常の流れです。
その段階を経て、効果と安全が確認され、初めてその薬や治療法に効果があると認定されます。
その過程を発表する場が、論文です。
ですから、根拠となる論文がないということは、
机上の推論で論理を構築し、それを裏づける過程をすべて飛ばして、まずヒトから…
ということですから、危険極まりない行為だと、私は思います。
また、安全性のみ確認されているものを、その治療に有効だ…という根拠もなしに使用するのは、
「健康のためにビタミン剤を飲む」程度のことであると思います。
悪くはないけど、そこまでの効果があるかは、わからない…ということです。
お金に負担のない範囲でやられているなら、良いと思いますが、無理してでもやるほどの価値は…というのは疑問です。
わらにもすがりたい思いでいらっしゃるご両親の方々の気分を害されていたとしたら、本当に申し訳ありません。
ご参考までに読んでいただければ幸いです。
長々と失礼しました。
コメントありがとうございます。
おっしゃっていることはまったく正論だと思います。
まず、効果があることが科学的根拠をもって示されるということが当然第一にあるべきなのですが、通常、それすら満たさないのが代替療法・民間療法なので、そういう療法は、本来なら議論にすら値しないものだと思っています。
とはいえ、代替/民間療法側はほとんどの場合、「効いている証拠」なるものを持ち出してきて「科学的根拠」らしきものを身にまとっています。その実験に正当性があるかどうかを私たちが調べることは事実上不可能ですので、端的には「権威ある学術雑誌にその実験を発表してくれたら信用する」と言うしかないのですが、そうすると今度は陰謀説とかに流れていきますので、基本的にはそもそもこの方向の議論で相手の土俵に立つこと自体を避けるべきだと思っています。
そもそも、私の立場は、「たとえ、有効性が科学的に実証された治療であっても、それが身体・生命の危険を伴うものであって、かつその治療を受けるか否かの判断を、実際の治療を受ける以外の者が行なうことには、極めて慎重であるべきだ」というものです。
つまり、例えば、脳のある場所を破壊すれば自閉症が治る、ということが科学的に証明されたとします。
でも、その手術によって死ぬ確率が10%あったとします。
このとき、親は、自分の子どもにその手術を施すという決定をする「権利」が、あるのでしょうか?
私には、かなり疑問に思えるのです。(もちろん、この議論自体は、特定の代替療法・民間療法を指して言っているものではなく、「リスクの高い(科学的に実証された)治療法」についての仮定の話ではあります)
とりとめないレスになってしまってすみません。これからもよろしくお願いします。
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,1721109,00.html
情報ありがとうございます。
引用元の記事(記事としては半年ほど前のものですね)を読むと、これまで自閉症とワクチンとの関係が一度も科学的に確認されていないにもかかわらず、そういう判決が出たということでいろいろな問題が起こっている、ということを冷静に解説した記事になっていますね。
それに、この子どもはミトコンドリア障害という特殊な病気をもともと持っていたうえに、ワクチンを1日に9種類5投与も受けていた日があったりと、極めて異常な状態にあったことも書かれています。
Case Study: Autism and Vaccines
By Claudia Wallis Monday, Mar. 10, 2008
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Hannah Poling, left, stands with her parents Terry and Jon Poling, right, at a news conference in Atlanta on March 6, 2008. Government health officials have conceded that childhood vaccines worsened a rare, underlying disorder that ultimately led to autism-like symptoms in Hannah, and that she should be paid from a federal vaccine-injury fund.
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What happened to little, red-haired Hannah Poling is hardly unique in the world of autism. She had an uneventful birth; she seemed to be developing normally — smiling, babbling, engaging in imaginative play, speaking about 20 words by 19 months. And then, right after receiving a bunch of vaccines, she fell ill and it all stopped. Hannah, now 9, recovered from her acute illness but she lost her words, her eye contact and, in a matter of months, began exhibiting the repetitive behaviors and social withdrawal that typify autism. "Something happened after the vaccines," says her mom, Terry Poling, who is a registered nurse and an attorney. "She just deteriorated and never came back."
Parents of kids like Hannah have been fingering vaccines — and, in particular, the mercury-based vaccine preservative thimerosal — as a cause of autism for over a decade, but researchers have repeatedly failed to find a link.
What's unique about Hannah's case is that for the first time federal authorities have conceded a connection between her autistic symptoms and the vaccines she received, though the connection is by no means simple. A panel of medical evaluators at the Department of Health and Human Services concluded that Hannah had been injured by vaccines - and recommended that her family be compensated for the injuries. The panel said that Hannah had an underlying cellular disorder that was aggravated by the vaccines, causing brain damage with features of autism spectrum disorder (ASD).
A special federal vaccine court has yet to award damages, but the recommendation, made public last week, is causing a sensation in the autism advocacy community. The Polings, who live in Athens, Ga., were originally part of a group of nearly 5,000 families with autistic children seeking damages through the National Vaccine Injury Compensation Program. The other cases remain before the court.
The Poling case is also causing deep concern among public health officials, eager to reassure parents that vaccines are safe and, indeed, hugely beneficial. In a public statement on Friday, Dr. Julie Gerberding, director of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), insisted that "the government has made absolutely no statement about indicating that vaccines are the cause of autism, as this would be a complete mischaracterization of any of the science that we have at our disposal today."
Gerberding and other health authorities point out that the benefits of vaccines far exceed their risks. They also note that thimerosal was eliminated from routinely administered childhood vaccines manufactured after 2001, and yet autism rates have continued to climb. The current CDC estimate is that 1 of 150 American children has an autism spectrum disorder.
Nonetheless, there's no denying that the court's decision to award damages to the Poling family puts a chink - a question mark - in what had been an unqualified defense of vaccine safety with regard to autism. If Hannah Poling had an underlying condition that made her vulnerable to being harmed by vaccines, it stands to reason that other children might also have such vulnerabilities.
But there are circumstances that make Hannah's case a bit unusual. For one thing, she received an unusually large number of vaccines in 2000 (when thimerosal was still in use). Because of a series of ear infections, Hannah had fallen behind in the vaccine schedule, so in a single day she was given five inoculations covering a total of nine diseases: measles, mumps, rubella, polio, varicella, diphtheria, pertussis, tetanus, and Haemophilus influenzae. "That was just too many vaccines," says Terry Poling. "I didn't find out for several months that they had thimerosal, which contains mercury, a powerful neurotoxin. Had I known, I never would have allowed it to be injected into my child."
Another confounding issue in Hannah's case is the finding that she suffers from a mitochondrial disorder - a dysfunction in basic cell metabolism. Mitochondria serve as power generators for each cell in the body, converting food and oxygen into energy. There are a wide range of these disorders, causing symptoms that vary widely but can include muscle weakness, cardiac or liver disease, diabetes, developmental delays and susceptibility to infection. In Hannah's case, the vaccine court determined that the underlying dysfunction of her mitochondria put her at an increased risk of injury from vaccines.
That decision, however, comes as a surprise to experts on mitochondrial disorders. In response to the Poling case, the United Mitochondrial Disease Foundation has released a statement saying, "There are no scientific studies documenting that childhood vaccinations cause mitochondrial diseases or worsen mitochondrial disease symptoms."
Dr. John Shoffner, the Atlanta-based neurologist who identified Hannah Poling's mitochondrial disorder, is "genuinely puzzled" by the court's judgment. Shoffner, who has been studying and treating these disorders for 20 years, says it's impossible to say whether Hannah's mitochondrial disorder was, in fact, a pre-existing condition that set the stage for her autism (as the government contends) or if it developed along with her autism. A specialist in mitochondrial disorders, he is investigating the relationship between autism and these disorders and plans to present a paper on the topic at the annual meeting of the American Academy of Neurology in April. "In some subset of people with ASD - a small group of patients, I think - mitochondrial dysfunction is an important part of their disease. But it's too early to say whether it gets the ball rolling or if it comes about after the ball got rolling."
Experts on autism spectrum disorders believe that most cases are caused by a combination of genetic vulnerabilities and environmental factors. There may be hundreds of roads to autism, involving numerous combinations of genes and external factors.
Could thimerosal or some other aspect of vaccines be one of these factors? "It's always possible that there's a small subset of kids that have this vulnerability," says Dr. Isaac Pessah, director of the Center for Children's Environmental Health and Disease Prevention at the University of California, Davis. Pessah's lab is looking at dozens of possible environmental factors, including pesticides, plastics and flame-retardants. "This is a very emotional debate," he says, "and we need more research directed at these questions."
It's difficult to draw any clear lessons from the case of Hannah Poling, other than the dire need for more research. One plausible conclusion is that pediatricians should avoid giving small children a large number of vaccines at once, even if they are thimerosal-free. Young children have an immature immune system that's ill-equipped to handle an overload, says Dr. Judy Van de Water, an immunologist who works with Pessah at U.C. Davis. "Some vaccines, such as those aimed at viral infections, are designed to ramp up the immune system at warp speed," she says. "They are designed to mimic the infection. So you can imagine getting nine at one time, how sick you could be." In addition, she says, there's some evidence, that children who develop autism may have immune systems that are particularly slow to mature.
Van de Water worries that current vaccine schedules may be overly aggressive for some children. She suggests that parents who are concerned about vaccine safety ask their pediatricians to give fewer at a time. And, she adds, don't vaccinate a child when he or she is ill.
Hannah Poling is now a third grader in public school, working one-on-one with teachers in a special-ed classroom. She continues to struggle with the effects of autism and also has seizures. Her parents are hoping her case will spur additional research into the causes of autism, including the roles of vaccines and mitochondrial disorders.
"My daughter's case raises more questions than it answers," concedes her father, Dr. Jon Poling, a neurologist who also has a Ph.D. in biophysics. Poling believes in the importance of vaccinating children: "Vaccines are one of the most important advances in the history of medicine," he says, "but people need to know there is a risk to every medicine. There may be a small percentage of people who are susceptible to injury." He and his wife would like to see thimerosal eliminated from flu vaccines, which continue to be given to children and pregnant women, a fact that, he thinks, could be one reason autism rates haven't declined. And he urges pediatricians to take a hard look at the schedule on which vaccines are given. "I think we need a grassroots movement among pediatricians to be more conservative, and not give so many shots at once."
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20080311#p6
ありがとうございます。
そらパパさんは、何か特定の食事が自閉症の『原因』であるとするのは、非科学的であるとおっしゃっていますが、乳製品のカゼイン、小麦グルテンに関しても同様にお考えですか?
キレーション等と違い、安全で薦められる食事療法として、カゼイン、グルテン除去が小児科医によって紹介されていたので、気になりました。これらを消化する酵素を元々体に持っていない場合、体内でモルヒネの様な毒性の物質に変化し、脳の発達に障害を起こすとか・・・。
こういうのも、やっぱり臨床結果は出ていなくて、トンデモ理論の一つなのでしょうか?
以前から、自然育児系列の情報では、牛乳はジュース等と同じ嗜好品程度に捉えて、毎日飲むことは薦められない、というようなことが言われているし、日本人が長い歴史の中で食べてきたものをなるべく食べるようにすれば、自然と乳製品は取らなくなったり、お米中心になるので、それはそれで良いかなぁ、とも思います。成長になくてはならない、という訳でもないですし。外食に頼らなければ、小麦製品を除去することも十分可能ですが、ただ、それらが一原因で自閉症になる可能性がある、とするのは、どうなのかなぁ?と思い、質問させて頂きました。
http://u171nt.at.webry.info/200602/article_1.html
というのがあったので、貼り付けておきます。
自閉症に効くと主張されている代替療法・民間療法はいろいろありますが、私のスタンスは基本的に「どれも採用しない」です。
なぜなら、これはこれまでも書いていますが、本当に自閉症に(少なくともこれらを推進する人たちが主張するくらい「劇的」に)効果があるのだとすれば、研究者が放っておかないだろうし、そこで効果が実証されれば、ノーベル賞をはじめとする権威ある賞が与えられるはずだからです。
そういったものがなく、「なぜか」民間の名も無い団体や個人が細々と続けているだけ(しかも高いお金をとって)なのだとすれば、それは少なくとも私にとっては「限られた大切な時間とお金を投資すべき対象」にはなりえません。(そんなものに使うなら、家族で楽しく外食したり旅行したりすることに「お金」と「時間」を使いたいと思います。)
そういった公的な研究・発表を妨害する「陰謀」を想定するのは簡単ですが、世にあるさまざまな「国家陰謀説」で、本当にそれがあったという話は、少なくとも先進民主国では聞いたことがありません。
ちなみに、特定の食べ物や化学物質を「悪者」にして、いかにもそれが健康に悪い毒物であるかのように(しかも、権威ある研究なども引用して)表現することは、実はとても簡単なことなのです。以下は有名な、いわゆる「ネタ」ですが、この文章に「自閉症の子どもは・・・」といったフレーズを適度にちりばめたら、典型的な「代替療法が特定の食べ物を攻撃する文章」になることは理解いただけるでしょう。(リンクいただいた文章と、なんかものすごく雰囲気が似ているような気がするのは、気のせいでしょうか・・・?)
http://www.komazawa-u.ac.jp/~kazov/Nis/etc/DHMO.html
DHMOに反対しよう(以下抜粋です。全文と「タネあかし」はリンク先からどうぞ)
DHMOとは
DHMO (Dihydrogen Monoxide) は水酸の一種であり、無色、無臭、無味の化学物質です。比較的古くから工業活動に使用されていましたが、産業の巨大化や軍事技術の発展に歩調を併せるかのように、その使用量は増加してきています。
DHMOは、毎年無数の人々を死に至らしめています。報告される死亡例の多くは、偶然液体状のDHMOを吸い込んだことによるものですが、危険はそれに留まりません。カナダの医学病院において、固形状態のDHMOに接触すると身体組織に激しい損傷を来たすことが実験で確認されています。又、DHMOの吸収が発汗、多尿、腹部膨満感、嘔気、嘔吐、電解質異常などを引き起こすことも臨床的に確認されています。
アメリカの国立衛生研究所のレポートには、末期癌患者から採取した癌細胞には多くのDHMOが含まれているという事実が(さりげなく)記されています。癌の研究者にとってこれは公然の事実となっています。
訳者の知人の医師も、この事実を認めています。彼女は「まともな医師ならばこの事実を否定できるはずはない」とも述べています。
子供達への影響
妊娠中の母親がDHMOを摂取した場合、胎盤を通じて胎児へもDHMOが伝わることが実験的に証明されています。授乳期間中の母親がDHMOを摂取した場合に、 母乳にDHMOが含まれることも実験的に証明されています。多くの子供達、とりわけ第3世界の子供達にとって、体内のDHMOの量は生存と成長に直接影響を及ぼす問題になっています。
見て見ぬ振りをする人達
政府はDHMOの製造、頒布に関する規制を「合理的理由がない」として拒んでおり、学会も産業界も政府のこの動きを支持しています。
このあたりの事情は、米国も日本も変わりません。日本政府も日本の学会・産業界もDHMOの顕著な悪影響を認めていません。
つまり、「定量的で統制された実験と信頼できる追試が行なわれていない、単なる定性的な『危険性の主張』」というのは、どんなに「科学的っぽい」フレーズがちりばめられていたとしても、それは科学ではなく、あまり信用できないただの「エッセイ」にすぎない、と私は考えているわけです。
あと、かなり多くの割合のお医者さんは、科学者ではなく、「職業臨床家」です。
そういったタイプのお医者さんには、患者からの「効いたと思う」という喜びの声を聞くことは励みになりますし、特段の害もなく、またお金も稼げる「療法」であれば、それを推奨される方もたくさんいらっしゃいます。そういう「専門家の推奨」を積極的に利用する業者の存在もあります。さらに医師と業者がもちつもたれつだったりすることもあるでしょう。ですから、一部の医師が推奨しているというだけでは、科学的な証明がなされたのと同等の評価はできないわけです。
明快なお答え、ありがとうございました。とてもわかりやすかったです。
そらパパさんは、以前コメントで、「食事はどのようなものをどのような形で摂取しても、極端に偏ったものでない限り、人の体はそれに適応していくので、滅多な事で死んだりはしない」というような趣旨のことをおっしゃっていたので(ちょっと違いましたっけ?こんな感じに受け止めて、なるほどーって思ってました)カゼイン・グルテン除去についても同様にあまり気にしてらっしゃらないんじゃないかなぁ、と思ってました。
あと、カゼイン・グルテン除去は、代替・民間療法の中に入るんですね。これを紹介していた小児科医が、薦める療法として、ABAやTEACCHに並べて、このカゼイン・グルテン除去の食事療法を示していたので、結構ポピュラーでエビデンスもちゃんとある療法なのかと思っていました。星野恭子という人だったと思います。自閉症に詳しい専門家なのかと思っていましたが、そういうわけではなかったのかなぁ。
何だか、色々惑わされてしまって、情けないですね。子供の為と思っても、何が本当に子供の為なのか、途中でわからなくなってしまったり・・・。そらパパさんのように、芯のある方向性を持ち続けたいと思うのですが、どうもフラフラしてしまいます。今回は聞けてよかったです。ありがとうございました。
ございます。
昨年末に、記事の削除を依頼した以来ですね。お手数をかけました。
キレーション、グルテン除去の療法をしようと思ったことはただの一度もありませんでしたが、実際このふたつをこなして方がいましたよ。本人は(キレーションに関して)効いたといってましたが・・。
それはさておき、自閉症を診る医者はたくさんいますが、積極的に薬物治療をするお医者さんもいますね。
それに関してはどう思いますか?
お医者さんというのは、ちょっと科学者とは違うロジックでものごとを考える人たちだ、と思っています。
つまり、「科学で解明されていなくても、効いているという心証が得られれば臨床的には使っていくべきだ」と考えている人が圧倒的だと思います。実際、医学の世界には「効く仕組みはよく分からないが、効いているから使っているもの」がたくさんあります。麻酔はその典型的なものでしょうし、「脳に効く薬」は、端的にいって、なぜそれが(現象的に)そのような(心への)効果を持つのかが分かっている薬は皆無だといってもいいと思います。
実際、GFCFダイエットあたりは、特に身体に害のあることをやるわけではないようですから(詳しいことは知りませんが)、私は「どうしても試してみたい」という人を止めようとは思わないです。
ただ単純に、個人的にはGFCFは科学的根拠の薄い療法だと思っているので、「私は」お金と時間がもったいないので採用するつもりはありません(むしろ、GFでもCFでもない食事が出てくる外食に出かけて楽しい時間を過ごしてしまいますよ)、と言っているわけです。
すみれママさん、
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
ご質問の件ですが、薬物療法というのが何を指しているかはちょっと分かりませんが、自閉症そのものを治す薬はないという現時点での共通認識をふまえれば、それはパニックや多動、睡眠障害といった個別の当面の問題を緩和する対症療法に限られると考えられます。
もしそうではない、自閉症を「治す」薬物療法や外科手術をすすめているとすれば、それは医師がやっていたとしても「代替療法・民間療法」として判断すべきものになるでしょう。
対症療法としての薬物投与については、当面の生活を安定させることで二次障害を防止したり、認知面での発達を促す環境を整えるといった効果が期待できるケースも多いでしょうから、信頼できる医師と相談し、実際に薬物を投与されるのが自分ではなく子どもであるという意味での高い倫理観をもったうえで、意義があると判断すれば行なってもいいのではないでしょうか。実際、我が家も薬(リスパダール)を使っています。
下記の過去の記事(とコメント)も参照ください。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/21176696.html
ビックリしています。麻酔や精神薬等は、科学で仕組みが解明されているわけではないんですか!?
「中枢神経を麻痺させ・・・」とか、「SNRIはセロトニン・ノルアドレリンの再取り込みを阻害し・・・」等の説明をされると、ばっちり科学で証明されていて、実験済みで、どう効くかどう使うと危険かも大体は把握されているのだと勝手に思っていたのですが。
「科学的」とは追試可能な実験が存在することであると、そらパパさんはおっしゃっていましたが、追試可能な実験とは、単なる臨床結果とは違うのですか?そのあたりに、科学と疑似科学を見分けるポイントがあるのでしょうか。
今まで擬似科学的なものを色々信じてしまったので(マイナスイオンやホメオパシー、
マクロビオティック、アーユルヴェータなど)これからも引っかかりそうで心配です。
ただ、科学では解明されていなくても、効くものは数多存在していますよね。民間療法の鍼灸やツボなど、プラシーボ効果だけとは言えないと思いますし、漢方薬も明らかに効くものがありますし、そらパパさんの言う、麻酔や精神薬も。(これらが科学で解明されてない、というのがショックだったのですが。)
GFCFを徹底的に行って重い自閉症的症状から全て解放された、という例は、もしかしたら、最初から自閉症とは別の症状だったのかもしれないですね・・・。
ちょっと混乱をまねく書き方をしてしまったかもしれません。
科学的解明、といっても「科学的な検証を行なっているかどうか」というレベルと、「科学的な検証を行なった結果として、極めて確度の高い理論ができているかどうか」という、2つのレベルがあるということだと思います。
例えば、ここにAという薬があって、これを飲むと多動が収まるようだ、という見込みをもっていたとして、
1)Aという薬とプラセボをたくさんの子どもに飲ませてみて、確かにAという薬には多動を抑える能力があることが「科学的に証明された」。
これが科学的解明のレベル1ですね。これは、Aという薬と多動抑制とのあいだの「相関関係」を説明できるレベルです。
このレベルについては、当然、麻酔薬も向精神薬もクリアしています。「追試可能」というのももちろんクリアしています。
(代替療法や民間療法、さらには残念ながら多くの心理療法も、このレベルがクリアできないと言われています。)
2)なぜAという薬が多動を抑えるのかについての「仕組み」の理論を作り、その「仕組み」の一部をブロックしたらAという薬が効かなくなり、逆に「仕組み」が働くようにすればAという薬でなくても効くということが分かったりすることで理論が支持され、「科学的に仕組みが解明された」。
これは、相関関係を超えて、「因果関係」や「仕組み」までもが科学的に解明された(厳密にいえば、これも仮説を作っているだけですが)という、いってみれば「レベル2」の段階になります。
この段階になると、全身麻酔の一部などはクリアできていないものもあるそうです。
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0710/200710_058.html
さらに、「脳」とか「心」に効く薬には、いわゆる「ハードプロブレム」と呼ばれる、さらに到達するのが困難な「レベル3」があると考えられます。
3)Aという薬を飲んだときの、私たちの「心」のありようの変化がどのようなもので、それがなぜ引き起こされているのか、そもそも、Aという薬が効く化学的・生理的仕組み(××という酵素が脳の○○チャネルを阻害する、といった説明)と、「子どもの『気分』がこんな風に変化して、多動がおさまる」という、現象としての「こころのありよう、『感じかた』への作用」との関係までもが「科学的に解明された」。
向精神薬について、私が「解明されていない」と書いたのは、この「ハードプロブレム」のレベルで解明されていない、ということです。
「ハードプロブレム」はそもそも現在解けていない問題なので、こころに作用する薬が、「現象として」私たちの心や意識にどのように効くのかは、現時点では分かりっこないわけです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%A0
レベル2とかレベル3というのは、科学哲学の、かなり面倒な議論を含んでいます。
麻酔薬や向精神薬は当然レベル1はクリアしているのに対して、一般にトンデモ科学とか疑似科学と呼ばれるようなものは、既にレベル1でアウトですから、同じ俎上に乗せられるものではないですね。
その点は、医学の名誉のためにもはっきり書いておきたいと思います。
とてもわかりやすい説明、ありがとうございました。
患者側としては、レベル1がクリアされていれば、ひとまず信頼を置けそうですが、医学の中にも、そこに達しているとは思えないようなものも中にはあったりしますね。インフルエンザの予防接種等。患者側にも勉強が必要なのでしょうが、いかんせんど素人なので、中途半端に知ると、余計混乱してしまったりと難儀してます。
ところで、レベル3は、最早クオリア問題なので、これって「脳」や「心」に限らず、医学全体に関わっているような気もします。極端な話、指を切って血が出たら、確かに痛覚が刺激されて(?)痛いけれども、なぜその「痛み」の現象が立ち上がるのかは、わからないわけですし・・・。そして、今の現代医学は良くも悪くも、対症療法に偏りがちなので、その「痛み」が取れれば(もしくは、症状が抑えられれば)それでOKというところもあります。クオリア問題はさておいて、精神薬に関しても、大脳生理学に基づいた説明がなされるだけで(レベル2相当?)充分な気もします。見当違いなことを書いていたら、ごめんなさい。
しかし、「ハードプロブレム」とは、悩ましい問題ですねぇ。特に、自閉症の内的世界はどうなっているのか、定型の私には決して知り得ないという悩ましさが、即ち「ハードプロブレム」とリンクしているように感じました。
さくママさんのコメントにあるような、「レベル3」への関心は、そのまま哲学(一般に「心の哲学」とか「認知哲学」とか呼ばれているジャンルですね)への問題意識につながっていくものです。
哲学というと小難しいもののように感じられますが、実はとても面白いことを考える営みなんですね。こういうことを、本当に、真剣に考えているのは、哲学だけですから。
5歳の自閉症男児の父です。昨年、奈良県に来られ講演された際にお話を聞きたかったのですが、行くことが出来ず、ブログではどのようなことを書かれているのか、覗いてみましたところ、「キレート療法」が目に入り読ませていただきました。
自閉症に関する本を探していたとき、キレート療法を扱ったものを目にしたこともありましたが、あまりに怪しげだったので、買って読みはしませんでした。
「表現の自由」の名の下、こういった民間療法が野放しになっているのはどうにかならないものかと苦々しく思っています。
私は化学、環境(分析)関係の仕事をしており、化学物質については一応、専門ですので、自閉症水銀原因説が成り立たないことはすぐに分かります。
しかし、実際に一部で「効果があった」とする人たちの主張をどう考えればよいのでしょうか。色々と考えてみました。
まずは、指摘されているように、たまたま発育の時期が一致したということが考えられます。
しかし、効いたと考える人の感触を無視していては説得力に欠けると思います。
そこで、百歩譲って何が起きていたのか、化学的なアプローチからキレートについて考えたとき、まったくの無意味でもなかったのではないか、と思うのです。
「キレート」とは、特定構造の分子が金属を取り込んで周囲との反応を阻害することを言いますが、水銀だけではなく他の金属、カルシウムにも影響します。
先に死亡事故の実例として挙げられたEDTAは、家庭用の石鹸には必ずといっていいほど入っているポピュラーなカルシウム封鎖剤です。(エデト酸塩と表記されています)
このようなキレート剤がキレーションで体内に入ったとき、カルシウムの働きを抑制することで、ドーパミンなどの脳内物質の分泌が変化し行動の異常が改善した、という可能性は考えられるのではないでしょうか。
つまり、水銀の排出ではなく、カルシウム挙動の変化が脳機能に影響したというわけです。
しかし、この場合でも、自閉症の機構は単純ではないので、この作用が良い影響だけでなく、悪化させることも考えられ(民間療法はこの点の情報はフタをしてしまうのが常です)、副作用も不明なことから、やはりリスクが大きすぎるといえるでしょう。
脳内物質の分泌異常に対する対処療法であれば、キレートのような回りくどい攻め方より精神科的な薬物療法の方が、効果とリスクがいろいろ調べられ、両者のバランスを客観的に判断することができます。
私も、そらパパさんの「選択をする人とリスクを負う人とが異なるため、倫理的な問題が大きく、許されないものである」とする考え方を支持します。
怪しげな民間療法に泣かされないためにも、この「倫理的に許されるか」という冷静な視点が必要という考えに感銘しコメントさせていただきました。
はじめてからいきなり長い文章ですいません。
これからもよろしくお願いします。
はじめまして。また、コメントありがとうございます。
キレーションのような民間療法は、私には「汚れて」見えます。つまり、困っている人を利用してお金儲けしよう、みたいな「邪念」がうごめいているように感じられて、イヤ~な感じなのですね。(笑)
キレーションが水銀排出以外にいろいろなことを引き起こすというのは、一言で言えば「副作用」ですね。そこにどんな機序が働いているか、専門家でない私には詳しくは分かりませんが、言い換えればそれは「素人判断でできることではない」ということになるのでしょう。
最後にごうえもんさんも指摘されているとおり、この問題は、究極的には「倫理」の問題であると考えています。
仮にキレーションの効果が科学的に証明されたとしても、そこに重篤な副作用のリスクがあるならば、それには慎重であるべきです。
ましてや、効果が証明されず、リスクだけが存在するような代替療法に、子どもをさらす権利は、親にもないはずです。
これからもよろしくお願いします。
http://transact.seesaa.net/article/113887944.html
「自閉症とMMRワクチンの関連を示す」論文のデータがフェイクだった by Times
忘却からの帰還
英国Timesによると、キレーション界で「超重要研究」とされてきた「自閉症とMMRワクチンの関連性を示す研究」が、実はたった12名の子どもを対象としたもので、しかもそれがフェイク(捏造)だったことが判明したそうです。
もうこうなってくると、キレーションの「根拠」なんてものはどこにもなくて、リンク先の記事にもあるように、ヒトは神が創造したといった主張と同等の「信仰」に過ぎないといえるのではないでしょうか。
しまいました。
子どもが処方されている薬がピンと
こないので、豊富な知識をお持ちの
そらパパさんにお伺いしますが、
L-ドーパ(ドパストン)を処方されて
います。
同じように処方されている方が周りに
おらず、また特に薬が必要なタイプ
(他害がある、寝れないなどは一切なし)
ではないので、体を思えば投薬治療?
は辞めたいなと感じているのです。
よいアドバイスお願いします。
コメントありがとうございます。
私は医師や薬剤師ではありませんし、すみれママさんのお子さんの状態を知っているわけではないので、処方されている薬について語ることはできません。
ただ、すみれママさんが疑問に思っているのなら、それを素直に担当医にぶつけるのが一番いいんじゃないでしょうか。
自閉症が薬で「治る」ことはなく、自閉症への薬物治療は対症療法であることは間違いないはずですから、その医師が何の症状に対して対症療法としてその薬を出しているのかを確認したうえで、やめることが好ましいかどうかを相談するのがいいと思います。
いつか、薬物(対処療法)に関することも記事にしていただけたらと期待しています。
医学の領域は私の知識の範囲から明らかに外れますので、せいぜい、「どう考えるか」といった程度のことしか書けないと思います。
そういった意味では、このエントリのコメントでのディスカッションなどが、私にとっての「どう考えるか」についての立場だとご理解ください。
私、近視(爆)で、親に、電気療法、酢大豆、サプリ(ヨクイニン・・・・笑)、最後には宗教、と地獄めぐり2年コースをして、リテラシーというか、倫理と療法を、身を以て経験したサバイバーです。で、いまは、高機能自閉症疑い児の母なんですが、なんと、イネス・リグロンさんという美容界で有名な方が、2012年現在、2009年当時(ここが味噌!)の水銀→自閉症説にのっとったブログを書いちゃってます。(正確には、自己引用)集まった人々のコメントが、あんまりにも、コロッと染まってしまっているので、一個コメントして(採用されないかもしれないけれど)悔しくて、怖くて、そらパパさんの所に戻ってきました。
私がさせられていたような治療、きっと、今もしている近視の子、いるんだろうな…。近視というだけで否定されたようで、申し訳なくて、親の愛情は良く分かったのだけど、辛かった。
それが、自閉症だったら、・・・ワクチンを受ける機会を失うのだったら、・・・。
ちなみに、医療従事者として、さらに追加すると、本物のキレート療法は、ホントに副作用強いっす。ウイルソン病の患者さんを稀にも持ちましたが、添付文書が凄いこと!その方には出なかったんですが、勉強して、注意深く処方しました。
コメントありがとうございます。
キレート療法については、既にこの療法のほとんど唯一の根拠となっていた「ワクチンで自閉症になる」という論文がインチキであったことが判明して取り消される、という一大スキャンダルがあって理論上の支えを失った状態ですが、それでも業者の広告は止まっていないようですね。
こういった、身体を危険に晒す代替療法がはびこることは、本当に心配なことです。
このブログもそうですが、「キレート療法には根拠がなく、身体を危険に晒す行為だ」ということを、できるだけ多くの人に(実践してしまう前に)知ってもらうことが、大事だと思います。
そうなんです、論文偽造だったことは承知しています。ちゃんとこのコメントの中にあるし、小児科学会の声明も、医療界で有名です。イネスさんのところには、カキコしなかったんですが、通りすがりの他の人がカキコしてくれることを期待して注視しています。
科学のどの分野でも、かなりの率で論文偽造がはびこっている…。研究過程に入るとき、その最初の講義で、偽造論文に引っかかって煮え湯を飲まされた教授の体験談から始まったくらいです。
賠償責任とか、無いみたいなのが、ホント、怖い怖い。科学者としては、生命を失いますが、訃報が出るわけではない。
やはり、リテラシー、です。愛があってもリテラシー、だれも責任取ってくれないし、
コドモはNoが言えないから、リテラシー。
コメントありがとうございます。
そうですねえ、なかなか「すでに信じちゃってる人たち」の考えを変えることというのは、難しいと思います。
私たちが比較的容易にできることは、「まだ信じていない人」に、判断の材料になる情報を提供すること、くらいでしょうか。
療育というのは、親が子に対して実施するということで、自分自身が健康法とか代替療法を試す異常に、親の倫理観+リテラシーが問われるなあ、といつも思います。
キレーション療法について詳しくご存知ないのにそれをただただ批判するのはどうなのでしょうか。ただ少ない例を上げてキレーション療法の全てを否定するのは如何なものかと思います。
キレーション療法を推奨しているわけではなく、あなたがキレーションを否定するのならそれは科学的な知見に基づくべきだと思います。
加えて、ワクチンの摂取が自閉症を引き起こすという論文がインチキであったということはキレーション療法の理論的根拠を覆す理由にはならないのではないでしょうか?水俣病による水銀中毒患者の治療にもキレーション療法が行われています。このことがキレーション療法の正当性を完全に示すとは思いませんが、論文が誤りだったとしてそれでキレーション療法の妥当性をすべて否定したような記事を書くのは賢明ではないと思います。
長文失礼致しました
コメントありがとうございます。
こういう場合、「科学的な知見」を出して自らの主張を証明しなければならないのは、「効果がある」と主張しているほうですよ。
ウィルソン病についてはご存知ですか?
ある金属が沈着するため、キレート剤を生涯使用することがメジャー(現在のところ科学的にメリットがデメリットを上回る)な病気です。水俣病より適切な例です。
病気には、病理・診断・治療が組み合わさることが必要です。水虫が真菌症である(病理)とわかって、目の前の患者が真菌症だと証明できて(KOH)、はじめてイトリゾール(抗真菌薬)を処方します。足が痒いから、と、KOHをやらずにイトリゾールを出したら、乾癬かもしれません。乾癬の場合、効きません。かつ、イトリゾールの会社は、乾癬に効くといってはいないので、副作用にも無効例にも責任を持つことができません。
誰かが別個に乾癬の病理を定義し、もしイトリゾールが効くので使うとするなら、肯定的証拠を科学的に収集し、発表しなければなりません。(ちなみに、乾癬は未だに真の病理が不明な疾患です)
このたとえと、ウィルソン病とキレートと自閉症のつながりがご理解いただけるとよろしいのですが…。
貴重なウィルソン病患者さん、および{正しい}キレート療法を担当した経験から、HNが学生、さんだったので、横道ですが、医学の考え方について長文失礼しました。
キレート療法に望みを抱きたくなる親御さんのお気持ちについては理解したいと思います。
しかしキレート療法に関してはそらパパさんのブログでなくても他に論じているブログ・ホームページはかなりあるのではないでしょうか。疑問・意見のある方は他のところも参照されてもいいのではないでしょうか。
正直なことを申し上げますとそらパパさんにこれ以上この問題に労力を割いて欲しくないという気持もあります。
「noといえる療法」の方は難しいところもありなかなかコメントが出来ませんがしっかりついてゆきたいと思います。注目していますのでこちらの方の充実もお願いいたします。
コメントありがとうございます。
ご配慮いただき恐縮です。
このエントリに限らず、代替療法に関して批判的に評しているこのブログのいくつかのエントリには、(それがどんなに古い記事であっても)定期的にこういった反論的なコメントが書き込まれてきているな、と感じています。
端的にいえば、エビデンスが不明確なものは実施する優先順位を下げ、それでも実施したい場合は3ヶ月程度の評価期間を設けてその間に進歩が見られなければやめる、といったガイドラインをもつことが大事だと思いますが、キレーションに関して言えば、その前提となっている自閉症水銀説が論文の捏造スキャンダルなどでぼろぼろなので、率直にいってもう省みる価値のない仮説、代替療法だなと思っている次第です。
こういったエビデンスがない・乏しい代替療法エントリについて、必要以上にエネルギーを投入することはもちろんありませんのでご安心下さい(^^;)。