自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集
監修:服巻 繁
編 :藤田 理恵子、和田 恵子
エンパワメント研究所
本書は、ほぼ「絵カードデータ集」と言い切ってしまって構わないと思われる内容になっています。(なので、「レビュー」ということではちょっとやりにくいですね。)
もちろん、本としての体裁はあって、絵カードの活用法なども掲載されているのですが、文章らしい文章は冒頭に服巻氏が寄せている説明文5ページと巻末の導入事例2ページだけで、残りのページはすべて絵カードのカラーイメージとなっていて、そこに使い方のアドバイスなどが若干示されているという感じになっています。
もちろん、本書だけで付属のデータから作った絵カードを使うことは十分できるだけの解説はされていますが、本書に掲載されている絵カードデータはほぼ100%、手順書(TEACCH的にいえば、手順の視覚化)のためのイメージに限られます。
絵カードのより幅広い応用としての、PECSのようなコミュニケーションや、スケジュールへの活用などについては触れられていませんので、それらについては他の本を参照する必要があると思います。
(ちなみに、PECSを知る本としては、こちら、
スケジュール作りの本としては、こちらかこちら
がおすすめです。)
そんなわけで、今回はレビューは短めに切り上げて、ここからは、絵カードデータ、つまり本書に添付のCD-ROMの中身について、詳しく見ておこうと思います。(若干技術的な話も混じりますが、ご容赦ください)
CD-ROMに入っているのは画像データだけで、閲覧ソフトや印刷ソフトなどは一切入っていません。画像フォーマットは一般的なJPEG形式なので、ファイルをクリックするだけで、見ることも印刷することも一応は可能ですが、これはちょっと不便ですね。
画像は、フォルダによって階層化されて保存されていて、その階層はこんな感じになっています。
フォルダの中を覗いてみると、たとえばこのように、それぞれのフォルダに数枚程度の手順画像(文字なし)がJPEG形式で格納されています。
基本的に画像は縦長で、およそ横480ドット×縦640ドット程度となっています。画像のトータル枚数は560枚程度のようです。
先ほども書きましたが、本の中で紹介されている「絵カードの印刷方法」は、「クリックしてイメージを表示してそのまま印刷する」というもっとも原始的な方法だけで、それ以外については「自分で調べたりパソコンに詳しい人に聞いてください」的な書き方になっています。
このやり方だと、用紙サイズ一杯に拡大して印刷されてしまいますし、パソコン(というか、画像操作)に詳しくない人は途方に暮れてしまうでしょう。
そこで今回も、「ラベル屋さんHOME」のテンプレートを作ってみました。(これまでのテンプレートはこちら)
「自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集」用テンプレート(ラベル屋さんHOME用)
↑ダウンロードして、解凍して、マイドキュメントの「ラベル屋さんHOME」フォルダなどに置いて使ってください。
「ラベル屋さんHOME」はエーワン社のフリーソフトで、こちらからダウンロードできます。
今回は「名刺印刷用紙」のテンプレートをベースにしますので、大型家電ショップなどで売っている、エーワン社の「名刺シート(1枚で名刺10枚が作れるもの)」を用意しておくと便利です。(ネットで買うなら、例えばコチラがそれになります)
ただし、ハサミで切って使うつもりであれば、専用用紙がなくても、厚めのA4用紙があればOKです。
以下に、使い方の簡単な手順を示します。
こちらの記事(1、2)もあわせてご覧になると、参考になると思います。
「ラベル屋さんHOME」を起動したら、先ほどのテンプレートを開き、「リンク編集」タブをクリックします。
↑「画像」の列のセルで右クリックして、「画像ファイルの指定」を選び、画像ファイルを指定します。
↑その画像に対応したテキストを、「テキスト1」の列に手で打ち込みます。
以上の手順が終わったら、「印刷」タブをクリックして、A4サイズの名刺カードまたは厚めの紙に印刷してください。
↑専用の名刺カードに印刷すると、こんな感じになります。
あとは、手で折り目をつければすぐに絵カードが完成します。
強度を出すには、ラミネートフィルムで保護するのがいいでしょう。
元の画像が縦長だということもあって、あえて正方形のカードにはせず、名刺サイズをそのまま使うテンプレートにしました。
(このおかげで、カードもラミネートフィルムも名刺用がそのまま使えますので、印刷後の作業は非常にラクになりました。)
もちろん、ケースによってはもっと大きな用紙への印刷が必要だったり、いろいろなニーズがあるはずです。そういった場合でも、「ラベル屋さんHOME」などの印刷専用ソフトを活用して印刷するのが便利だと思いますので、いろいろ工夫してみるといいと思います。
※その他のブックレビューはこちら。
たどり着きまして、まるで宝箱を発見した
ようにうれしかったです^^。うちの息子も
自閉症で、ぜひ効率的に絵カードを作りたい
と思っています。いつもありがとうござい
ます。
「自閉症の子どもたちの生活を支える―すぐに役立つ絵カード作成用データ集」用テンプレート(ラベル屋さんHOME用)
↑ダウンロードして、解凍して、マイドキュメントの「ラベル屋さんHOME」フォルダなどに置いて使ってください。
と書かれてありますが、どうしても解凍
できません。うちはWindowsVistaを使用
しています。どのように解凍したらよい
のでしょうか。できましたら教えて
頂ければうれしいです。よろしくお願い
します。
説明不足でしたね、すみません。
ZIP形式で圧縮されていますので、「解凍ソフト」というのが必要です。
Vista対応でフリーソフトというと、たとえば以下のものがあります。
http://www.forest.impress.co.jp/lib/arc/archive/archiver/lhaplus.html
ソフトをインストールしたら、ダウンロードしたファイルを右クリックして、右クリックメニューの中に「解凍」という項目が増えているはずですので、それを選択してください。
(どうしても分からないようでしたら、「解凍後」のファイルを用意しますので、改めてこのコメントでご連絡ください。)
早速解凍しましたが、どうしても
「絵カード作成用データ集」用テンプレート
の画像を開くことができません。
お手数ですが「解凍後」のファイルを掲示
して頂きたいのです。よろしくお願いし
ます。
圧縮していないファイルは、こちらです。
https://soramame-shiki.up.seesaa.net/image/BDC4C4B9B2E8C1FCCDD1_CCBEBBC9A5B5A5A4A5BA.lhd
ダウンロードすると変な名前になってますが、本来の名前は「縦長画像用_名刺サイズ.lhd」になります。「ラベル屋さんHOME」最新版がインストールされていないと開けませんので、ご確認ください。
テンプレート作成、お疲れ様でした。早速、この本を製作した事業団の運営する通所療育施設へ紹介しました。実際、職員室で先生方がまさに「手作り」でカードを作成されていますので、きっと、このテンプレートも役に立つと思います。
今後も期待しています!
今回の本はJKLpapaさんにご紹介いただかなければ、もっと長い間見落としていたと思います。ご紹介いただきありがとうございました。
我が家でも、今回の記事で試作した、上記の「トイレ手順カード」を、トイレの前に掲示してみることにしました。
娘にはまだ難しいだろうな、と思いつつ掲示したのですが、興味を持って覗き込んでいますので、もしかすると今後役に立ってくれるかもしれません。
実際作ってみて、手順カードとしてだと、もう少し大きなカードが作れるようにしたほうがいいような気もしています。
写真L版サイズ用とか、そういったものも、今後余裕ができたら追加したいと思います。
息子と娘の小学校入学・入園で忙しく
お礼が遅くなってすみません;
そらパパさんは、親切ですね^^。
ファイル、開くことができました。
すぐに役立つ絵カード作成用データ集を
買えば、すぐ同じようなトイレ手順表が
できるのですね。早速、購入しようと
思っています。
いつもそらパパさんの情報量には
感心します。大変助かっています!
これからも、私達に情報を発信し続けて
下さいね^^。そらパパさんのような親切な
人がいてくれて、大変うれしいです♪
ここでも、アマゾンでも調べてみたのですが分からなかったので質問させて下さい。
当方のPCはMACなんですが、本書の付録のCD-ROMを開くことは可能でしょうか。
コメントありがとうございます。
本書をみてみると、P10に次のような記載がありました。
「本書に添付されているCD-ROMはWindows対応です。
Macをご利用いただいた場合でも基本的な作動に問題はありませんが、フォルダ名の一部などに文字化けが生じる場合があることをあらかじめご了承願います。」
ということで、多少は問題がある可能性がありますが、使えるように思われます。
よろしくお願いします。
我が家にはMACしかなく、大丈夫かどうかとても気になっていました。
購入を検討しようと思います。
本当に助かりました。