1冊は感覚統合法の入門書、もう1冊は「自閉症の人の感覚異常」を自閉症の人自身が語っている興味深い本です。
最後に、娘の感覚統合訓練に、現在、非常に役立っているおもちゃも紹介します。
入門 新・感覚統合法の理論と実践
著:坂本 龍生,花熊 暁
学習研究社 障害児教育指導技術双書
感覚統合法のテキスト。比較的高価な本が多い中で、2000円以下で買えて、しかも自閉症を専門に扱っている章が含まれています。著者は感覚統合法の第一人者。感覚統合法は万能ではなく課題も抱えているという点も率直に記載されており、信頼が持てる内容。
下記の本にあるとおり、自閉症の子は高機能であっても感覚に問題を抱えているわけですから、感覚統合法的なアプローチを自閉症の療育プログラムに含めることはとても大切だと思います。
自閉っ子、こういう風にできてます!
著:ニキリンコ,藤家 寛子
花風社
二人の高機能自閉症(アスペルガー)の女性と編集者の座談会形式で進む、自閉症の人の感覚や思考回路がそうでない人とどう違っていて、どんなことで困っているのかをユーモラスに描いた本。まったく堅苦しくなく、気軽に読めます。
社会に出て活躍しているような高機能の人でも、相当程度の感覚異常があることが分かり、自閉症を理解するヒントとしてとても役立ちます。ただし、「自閉症の人はみんなこうなんだ」というとらえ方は危険でしょう。あくまで読み物、ヒントとして。
アンパンマン ポップンボール
トーホー
最近、急に「不安定な状態でバランスをとること」に興味を持ち出した娘に与えた、子ども用のバランスボール。取っ手がついていて、それをつかんでまたがって乗るのが「標準」の遊び方ですが、そんなことはお構いなし、足を乗せて手押し車のように遊んだり、壁に手をついて椅子の代わりにしたり、つかんで投げてバウンドさせて遊んだり、普段の姿からは考えられないほど「クリエイティブに」使いこなしています。
こういった遊びすべてが感覚統合には非常に有効だと考えられます。
※その他のブックレビュー等はこちら。
このアンパンマンボール、今日トイザラスで買おうかと思って辞めたもんです。
感覚統合によいならば、さっそく買ってこようかな。。
感覚統合の記事を拝見していて、うちの子、絶対やるべき療育だと思えました。
なにより、多動だし、つま先歩きや、低緊張?というタイプだと思われます。
とっても体が柔らかいからイナバウアーみたいに反り返るし。床にだら~と寝そべったり、ジャンプできませんし。
紹介している本の「新・感覚統合 理論と実践」はタメになりますか?
この記事にも書いてありますが、どのおもちゃがいい、というよりも、子どもの特性に合わせて、大人が期待するような形で遊んでくれそうなおもちゃを見つけるというのが大切だと思いますね。
娘の場合は、このアンパンマンボールは大当たりでした。
いまだに、大きなボールで遊ぶのは大好きですから。
感覚統合は、理論としてはかなりトンデモ理論だと私は思っています。ABAのような期待を持って接するとがっかりするのではないかと思います。
ただ、「子どもと楽しく遊んで粗大運動のトレーニングになる」という意味では実践的効果はある療育法だと思いますので、知識として持っておくのは悪くないと思います。
ここでご紹介している本も同様で、「実践例」にこそ意味があると思っています。
ただ、この本に出ている実践例は、大道具の必要なものが多いので、直接療育に活かせるとは考えないほうがいいでしょう。あくまでも「参考」にして、家庭でできる応用を考えるということですね。
専門誌になりますが,2001年35巻のOTジャーナルで特集が組まれたこともあります.
その中で,佐々木正美先生が,以下の様に書かれています.
(引用開始)
本来,感覚統合療法は彼らの学習や発達を汎化し加速するという原理のもとに,研究や開発がなされてきたはずであり,私はそのことを非常に期待しているが,現実はまだ多くの事例でそういう結果を得ていないと思う.(略)そのため私の感覚統合療法の応用は,一般に他の具体的な学習課題の達成を目指す療育の成果を高めるために,それと平行して実施するという方法をとってきた.そして種々の程度の成果を確認してきた.
(引用ここまで)
また,その特集の中で,そらパパさんが主張される様な,環境とのコミュニケーション障害として自閉症を捉え,センソリーコミュニケーションとしての感覚統合的なアプローチを踏まえた作業療法を展開されている方の論文が掲載されています.この方のお話を学会でも聞いたことがありますが,感覚統合的アプローチだけにとどまらず,作業療法の大きな枠組みからアプローチすることの大切さを言われていました.
この考えは現在の作業療法では主流になっていると思います(各セラピスト間の格差はあると思いますが)
感覚統合療法では講習会などが盛んで,私も一番初めの入門講習会へ参加したことがありますが,感覚統合理論の限界と,これだけでは役に立たないという事は最初の方で教えて頂けます.
また,科学としての感覚統合療法の発展のために,日本版感覚統合検査が開発されつつありますので,今後につきましては,暖かく見守って頂きたいと思います.
参考文献につきましては,入門書としては「感覚統合Q&A」を,その次の少し詳しい本では「自閉症とその関連症候群の子どもたち 学級・セラピーの現場でできること」を日本感覚統合学会入門講習会を受講した時に薦められました.
(参考:http://www.si-japan.net/book.htm)
私もまだまだ勉強不足・経験不足の上,駄文で失礼します.色々とご意見を頂けると幸いです.
またこちらのブログも楽しみに拝見させて下さい.
上記コメントでは
>環境とのコミュニケーション障害として自閉症を捉え
と書きましたが,大切な視点を書き忘れていました.
環境とのコミュニケーションも苦手ですが,それ以前に自分とのコミュニケーションが苦手という視点です.この辺も作業療法では大切にしている事をお伝えします.
感覚統合は自らの限界にかなり謙虚だというのはよく聞く話ですね。
私は基本的に感覚統合にはポジティブです。おっしゃるとおり、感覚統合は環境との相互作用の障害という自閉症児の障害に取り組むための、本当に根っこに関わる第一歩になると思います。この辺りはいま連載中の「幼児期の療育を考える」No25、No26あたりもご参照いただければと思います。