前回は、「適応的視点」に立った、このような新しい療育の視点・戦略について書きました。
この部分の議論は、療育的働きかけとはいったい何なのか? という本質的な問いに対する、1つの答えになっていると私は思います。
繰り返しになりますが、適応度マップ(どのような行動パターンがどの程度の適応度を持つのか)は、「からだ」と「環境」という2つの制約条件によって決まります。
そして、「からだ」(主体と呼んでもいいかもしれません)の側の制約条件は、発達とともにそれ自体が変化していきます。その結果として、「適応度マップ」の姿も変わります。「適応度マップ」が変化すれば、「全体最適」の位置も変わり、その時点で最適な子どもへの働きかけも変わるということなのです。
療育的働きかけは、常にこのようなダイナミズムの中にあります。
子どもが持つ自閉症という障害という「からだ」の制約条件によって、その子どもには、健常児とは異なる独自の「適応マップ」が作られます。これは別の言い方をすると、自閉症児には一人一人独特の「特性」がある、ということです。もちろん、これは実は自閉症児に限ったことでもないのですが、自閉症児の場合、それが「個性」と呼ばれるような枠組みをはるかに超えて、日常生活、日常の認知、日常の行動パターンに至るまで、独特かつ個別な「特性」として現れるのだ、という点が大きく異なります。
自閉症児への働きかけは、このような「適応マップ」の違い(=子どもの特性)を十分に理解したうえで、その時点でもっとも適切な働きかけを行ない、あまり望ましくない「部分最適」にはまっている子どもの行動パターンを、うまく「全体最適」に誘導することなのです。
そして、そのような療育的働きかけそれ自体、さらには子どもの発達によって、また「からだ」の制約条件が変わり、「適応度マップ」にも変化が生じます。その結果、より適応度の高い「全体最適」を違う場所に登場させることができたのなら、また今度はその「高み」を目指して、療育的働きかけを行なうことができるようになります。
療育的働きかけは、このようにとてもダイナミックな構造を内包しているのです。
このことを少し哲学的に表現するとするなら、「療育は生きている」と言ってもいいかもしれません。
「自己組織化」とか「オートポイエーシス」といった最近のシステム理論・哲学に興味を持っている方がいらっしゃるならば、療育を上記のような「適応的働きかけそれ自身によって適応構造の変わる適応的働きかけ」とみることによって、療育というものを非常に興味深く、また生産的な取り組みとして捕らえなおすことができるということをご理解いただけるのではないかと思います。
次回は、最後にもう1点、療育的働きかけを考えるにあたって私たちが見逃しがちなことを考えておきたいと思います。
(次回に続きます。)
私も長女がダウン症であります。
今回あなた様のHPを拝見し、メールさせていただきました。
私は、療育センターなどで使われているグッズがなかなか手に入ら
ず、どこで購入したらいいのか迷っていました。また、自分で
手作りで長女が使いやすいスプーンやおもちゃなどを作ってい
ました。
今回、メールさせていただいたのは、同じように、療育や知育、
発達のグッズを簡単に手にしていただけるように、私自身が、
ネットショップを開店しましたので、ご覧いただければと思います。
また、ご興味をもたれましたら、同じように障がいをもった
お子さまを育てられている親御さんにも勧めていただければ、幸い
です。
ちなみに、このショップの売り上げはほとんど無く、送料次第で
は今のところマイナスの営業になっております。しかし、せっかく
立ち上げたお店なので、同じ悩みをもった方にできるだけ多く知って
いただき、お役に立ちたいと思っております。
お店の詳細は下記になりますので、よろしければ、一度ご来店ください。
LANDC(ランドック)
店長 水口 和美
URL:http://landc.cart.fc2.com/
Mail:mizuguchi@gaia.eonet.ne.jp
コメントありがとうございます。
本来、記事内容との関係が薄く、広告的要素の強いコメントは承認しないことが多いのですが、サイトを拝見して、確かに興味深い教材や遊具を扱っていらっしゃることが分かったので、掲載させていただきました。
よろしくお願いします。