2007年09月23日

コップにフタ

また例によって妻のブログが、写真などがないために分かりにくいことになっている(笑)ので、娘のお茶こぼしを改善するために考えたフタの話を簡単に書きたいと思います。(今回の例は娘個人の特性にあわせた特殊な対応だと思っています。一般的に有効なものとして書いているわけではありませんので、その点はあらかじめご了承ください。)



娘がコップに入れたお茶や水をこぼしてしまう、という問題が出てきたので、問題解決の手かがりを得るために娘の様子を観察していると、どうやら「コップに注がれた飲み物は今すぐ空にしなければいけない」という強い意識が働いているようで、全部飲み切れそうにないときに「こぼす」ことで中身を空にしようとしている、という推測ができました。

だとすれば、シンプルな1つの対応は「全部飲み切れそうな量しか注がない」ということになります。(実際にこれは有効でした。)
ただ、これはどちらかというと消極的な対応で、私としては娘に「今は全部は飲みたくない」という表現を(こぼしてしまう以外の形で)できるようになって欲しいな、とも思いました。

とはいえ、娘が現時点で、ことばや絵カードでそういった意思を表示できるようになるとは思えなかったので、もっと違う方法はないだろうか、と思案していると・・・。

ここで、思いついたことがありました。
娘に、コップではなくペットボトルでお茶やジュースを与えているときは、目の前に中身の残ったペットボトルが置いてあっても平気なのです。

娘にとってのペットボトル(我が家では飲まないときはこまめにキャップを閉めています)とコップの本質的な違いはなんだろうか、と考えをめぐらせると、「上から見て中身が見えるか見えないか」が重要なのではないか、と気が付きました。
もしそうだとすれば、コップにフタをすることで、ペットボトルと同じように「上から見て中身が見えない」、だから「中身が残っていても気にならない」という状態にもっていけるかもしれない、さらには、娘が自らコップにフタをすること(という、比較的教えやすそうな行動)で、「今はもう飲みたくない」という意思表示もできるようになるかもしれない、と考えたわけです。

そこで、百円ショップに行って、こんなフタを買ってきました。



いわゆる、「湯のみのフタ」、よく茶碗蒸しを出すときなどに使うものです。

タッパーのフタのようなフタだと、フタを取るときにコップがひっくり返ってしまいますし、それ以前に不器用な娘には自分では使いこなせないでしょう。
このフタなら、ただ乗せるだけですし、上からはお茶は完全に見えなくなりますし、つまみが着いていて娘でも簡単に乗せたり取り除いたりできます。売っていた一番大きなものを選んだので、普通のコップからマグカップまで使えます。

実際に使うときは、こんな感じです。



・・・ペットボトルについての考察は、あくまで仮説だったので、このフタが実際に役に立つかどうかは試してみるまで分からなかったのですが、幸い、フタさえしてしまえばお茶を残しても気にならないようで、今のところフタを導入してからはお茶こぼしはやっていないようです

こんな風に、仮説を立てて対策を試してみて、実際にうまくいったときはかなり嬉しくなりますね。(^^)
次のステップとして、自分からこのフタをコップに乗せることで、「今はもういらない」という表現ができるよう、さらに試行錯誤を続けていきたいと思います。
posted by そらパパ at 00:11| Comment(7) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>上から見て中身が見えるか見えないか
つまり横から見えてもOKで、フタは透明ではダメってことですかね?

家族が残している飲み物も同様にこぼすのでしょうか?
Posted by gestaltgeseltz at 2007年09月23日 16:53
gestaltgeseltzさん、

記事でも触れましたが、今回は娘への対応のために十分条件が満たされるようにすばやく働きかけたので、必要条件が厳密に何かということは「分からない」です。

ちなみに写真のコップも半透明で中身が見える(写真は空の状態)うえ、ペットボトルでも横からは見えているので、横から見えるのは問題ないと判断しました。
また、家族の飲み物は過去に1度だけこぼしたと記憶していますが、普段は基本的にはこぼしません。(「自分のコップ」と「他人のコップ」をどう見分けているのかも、厳密には「分からない」ですが、これも今回の対応上は無視できるため考慮していません。)
Posted by そらパパ at 2007年09月24日 18:13
ついついシェイピングについてあれこれ考えてしまいましたが、日常生活でいえば親がフタを載せれば済むことなのかもしれませんね。
Posted by gestaltgeseltz at 2007年09月26日 14:02
今はフタは親がしてしまっています。子どもがいつ「残したいと思っているか」は分からないので、プロンプトは難しいでしょう。
シンプルに「親がフタをしたときは無理に飲まずに済んだ」という経験を繰り返すことで、いつか自分からフタを操作するようになればもうけものという感じでしょうか。
Posted by そらパパ at 2007年09月26日 22:32
「親がフタをしたときは無理に飲まずに済んだ」という解釈は、全くシンプルではないですよ。
おそらくそらパパさんの中に、『子どもは「コップの中の飲み物は一度に全部飲みきらなければいけない。今飲むのはもう無理なぐらいで残したいんだけれど、それができないときはこぼすのが良い」と考えているに違いない』という解釈(物語)があるんでしょうね。

また親御さんがフタを閉めるところから自分でフタを閉めるようになることも、ちょっと考えづらいです。
Posted by gestaltgeseltz at 2007年10月04日 01:22
何を議論されたいのかよく分からなくなってきていますが、
「シンプルに」というのは、同じ場面を繰り返すという意味で言っているのであって、経験の中身の「解釈」のシンプルさを言っているわけではないです。

親がやっているのを見ることと子どもが自分でやることはもちろん単純にはつながりませんが、娘は最近はオウム返しも含め模倣が激しいので、見てマネさせるのが簡単かな、と思ってやっています。実際、最近はフタを自分で乗せ外ししはじめています。

何度か書いているように、この記事は一般論ではなく、私の娘を話題にした特殊論だと最初から書いていますし、必要条件を特定した仮説を構築しようとしているわけでもなく、ぱっと思いついたモデルに基づく対応が十分条件を満たしていて効果があったというエッセイなので、こういうコメントのやりとりになるのは、率直に言って本意ではありません。
Posted by そらパパ at 2007年10月04日 23:08
「お茶こぼし行動」について詳しくなかったので調べてきました。
わりと多くのお子さんに起こることなんですね。

フタを載せるときに、娘さんにフタを持ってもらって、載せる補助をする方向にもっていくなどすれば良いみたいです。

しかしおっしゃるとおり、「親がフタを閉めたらこぼさなかったので、よかった」という話で、それ以上の展開は望んでおられなかったようですので、申し訳ありません。
以後控えます
Posted by gestaltgeseltz at 2007年10月14日 02:19
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