今回は、しばしば議論になる、パニックに「罰」で対応することについてまとめておきたいと思います。
4.パニックは罰すればいい?
パニックを罰によって解決しようとすることが、そもそもあまり効果的でないことは、実際にパニックに接している親御さんであればお分かりいただけると思います。
(なお、ここで「罰」という言葉は、行動療法(ABA)的な概念として使っています。つまり、パニックに対して、そのパニックを起こりにくくするような反応を返すこと-いわゆる体罰とか、言葉で叱るとか、そういったことですね。)
子どもがパニックを起こしているときは、周りからのことばなどによる働きかけを受け止めることがほとんどできない(聞く耳を持たない)状態になっていることが普通でしょうし、パニックというのがそもそも攻撃的、活動的、発散的な行動である以上、そこに大声で叱ったり体罰を与えるといった、同じく「攻撃的、活動的、発散的」な働きかけを行なったとしても、私たちが期待するような、パニックの沈静化、収束化という効果が得られるとは考えにくいのです。
要は、現にパニックを起こしている子どもを叱って事態を収拾しようとしても、子どもは聞く耳を持っていないし、働きかけ自体の性質としてもさらにパニックが激化するだけで徒労に終わってしまう可能性が高い、ということです。
ただし、行動療法的には同じ「罰」とみなされる働きかけの中でも、大声で叱ったり体罰を与えたりといった「攻撃的、活動的、発散的」な罰ではなく、「防御的、休息的、収束的」な方向にパニックをコントロールするような罰であれば、ある程度有効性が期待できる可能性があります。
(これも、実は先の「抱っこ法」と関連があるのですが、それは後の話題にとっておきましょう。)
また、そもそも、罰(子どもにとって嫌な働きかけを行なうことによって、ある行動を起こりにくくすること)というのは、さまざまな副作用があることから、行動療法ではできるだけ使わないことが望ましいとされています。
この辺りについては、以前「『叱ること』について」というシリーズ記事(1, 2, 3, 4, 5)で詳しく書きましたので、そちらを参照願います。
また、先に少し触れた、「比較的うまくいく可能性のある『罰』についても、シリーズの後半で触れたいと思います。
(次回に続きます。)
過去の分も含めて勉強させて頂いております。
毎週土曜日に父親の私が、母親を休める為に一人で、面倒を見ております。(自宅以外の別のマンションで)
いままでは、パニックを単なる機嫌の良し悪しと認識しており、どうしたら機嫌が良くなるのかばかり考えておりました。
(機嫌をとったり物を与えたり叱ったり)
しかし遂に3週間程前に私と息子(健常児)と娘(16歳重度自閉症)でマンションで過ごしていた所、前日から3人でお泊りして機嫌良く過ごしていたのに突然大爆発の大パニックを起こしました。
マンション中に響きわたる雄たけびで、こっちがパニックになり慌てて暴れる娘を引きずりマンションをでて車に押し込みました。
私は原因も解らず、酷く悩み落ち込みました。
原因が解らないので対処の方法もわかりません。
自分なりの考えが間違っていた事だけがわかりました。
それで調べている内にこのブログに出会いました。
内容は素晴らしく解りやすい。
読んでいくうちに気持ちが落ち着き安らぎさえ感じました。
自閉症に関する勉強の必要性を感じさせて頂ました。
取り敢えず、すぐに次の土曜日に出来ることを実践しました。
彼女が考えている一日を安心して過ごせる事に最重点をおきました。
また、いままでは、見過ごしていたパニックの前兆。又、その前兆があらわれた時には、基本的に放っておく。
結果、その土曜日は非常に機嫌良く家に帰ってからもその機嫌は持続しました。
その次の土曜日は午前中総合病院に連れていきましたが、とても上機嫌で過ごせました。
2度程前兆はありましたが、10分程で気をとりなおし笑顔になりました。
車に乗っている時に娘から手を握ってもくれたのです。(最近まったく無かった事です)
まだたったの2日間ですが、そらぱぱさんのおかげです。
本当にありがとうございます。何よりも娘をみる私の視点が変わった事が大きいと思います。
不安定な時も以前よりずっと落ち着いた気分で見れる様になりました。
これからも勉強させて頂きますのでよろしくお願い致します。
コメントありがとうございます。
パニックについては、本当に多くの親御さんが毎日苦労をされていると思いますし、私を含む我が家の家族ももちろん同じです。
今回のシリーズ記事をはじめ、当ブログでパニックについて書いていけるのは、万人に共通すると思われる「基礎」の部分だけです。
そこから先、お子さんごとの個別の問題は、やはり個々の親御さんが、専門家とも相談しながら解決していくしかありません。
ぴらるくさんのご報告を拝見する限り、将来にむかってお子さんのパニックがうまくコントロールできるようになったかどうかは、まだ楽観視できないかもしれません。
でも、いろいろな仮説を置きながら、試行錯誤の働きかけを続けていくうちに、きっと状況は改善されていくと思います。
その「試行錯誤」を効率的に進めていくためにこそ、私たち親は「勉強」しなければならないのだ、と考えています。
これからもよろしくお願いします!