2007年08月06日

パニックを考える(2)

パニックに関するシリーズ記事です。

さてここで、パニックの定義に戻ります。

この記事を書くためにウェブや書籍にあたってみましたが、どれもパニックという用語を何も定義せずにいきなる天下り的に使っているものが多く、パニックが具体的に定義されているものを発見することは残念ながらできませんでした。
そこで、仕方ないので私の理解から定義することにします。

私の理解では、パニックとは、

欲求や混乱が高じたときに、社会的に許容されないようなやり方でそれを表現する行動

と定義されます。

例えば、私の娘より小さいような幼い子どもが、おもちゃ屋さんで欲しいおもちゃを買ってもらえないときに、べそをかいてそんなに大きくない声で泣きながら親の服をひっぱる、くらいの行動をとったとしても、それは社会的に許容されるでしょうから、パニックとは呼ばれないですね。
でもそこで、店中に響き渡るようなとんでもない大声で泣き叫び、床に寝そべって頭を床に打ち付け、それを30分間続けたとしたら、さすがにやっているのが幼児だとしても社会的には許容されるとはいえないですから、これは「パニック」です。
また、先に書いた「(幼児なら)許容されると思われる例」についても、もしこれをやっているのが20歳の若者だとしたら、許容されないでしょう。だとすると、それは「パニック」扱いになると思われます。

つまり、ある行動が「パニック」であるかどうかは、社会の了解によって決定される側面がある、ということです。

これは重要な出発点です。

なぜなら、パニックの問題を解決する、という目的は、パニック自体を起こらなくすること以外に、パニックの現れかたを調整し、それを社会的に許容される行動に変化させることでも達成できるということを意味しているからです。

また、この点を違う角度からみると、「パニック」の問題は、子どもの年齢が上がるにつれて徐々に顕在化してくるという側面もあると理解できます。
なぜなら、同じ行動であっても、「社会の目」は子どもの年齢が上がるにつれて厳しくなるため、幼いころは社会的に許容されていたような「パニックではない」行動が、成長の過程で放置されるとやがて「パニック」として目立つようになるからです。

次回は、自閉症児のパニックがなぜ起こるのか、改めて検討をすすめていきたいと思います。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このシリーズ記事、とても興味深く読ませてもらってます。

うちの子は、想起パニック(かな?)が多いように思います。
お布団でゴロゴロしていたら突然泣き出すとか、遊戯室で走り回っていたのに急に立ち止まって泣くとか。
あとは、妹の泣き声や真っ暗な部屋でもパニックになります。

そらぱぱさんの「パニック」の定義、分かり易くていいですね。
これでいくと、うちの子も年と共にパニックが増えそうです…。
Posted by みけ at 2007年08月08日 12:40
みけさん、こんにちは。

パニックにもいろいろありますが、「想起」の場合も、恐らく何らかの「きっかけ」があって、それで過去のことを思い出しているのかな、と私は思っています。

みけさんの最後のコメントに関連して少し書きます。

自閉症は発達障害の一種ですが、実際に自閉症児の子育てをやっていると、療育っていうのはつくづく「時間との戦い」だなあ、と思うことがよくあります。

子ども自身が時間とともに変わっていきますし、それと同時に子どもを取り囲む環境も、さらには周囲の目もどんどん変わっていきます。
親も、やがて年をとっていきます。

そういう時間の流れの中で、そのときそのときにどんなことをすればいいのか、をいつも考えています。
Posted by そらパパ at 2007年08月15日 23:13
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