ここまできたのが、だいたい2月の頭くらいです。
土地が概ね決まった12月頃からパートナーを探し始めていましたので、ここまでが大体2か月といったところになります。
そしてこの時点で、IとAの見積もりの価格差は、300〜400万円くらいありました。「当初考えていた建物予算」に対してでいえば、Iは予算内、Aはやや予算オーバーといったところでした。
また、Iは格安工務店でありながら企画提案力はなかなかで、こちらの要望すべてに応え、かつ新しいアイデアを盛り込んだ間取りプランを、すべての工務店のなかで唯一提案してくれていました。
ただ、スペック的にはIとAとでは圧倒的な格差がありました。
Iは、グラスウールを並べるだけの伝統的な内断熱で、「木材の呼吸を妨げたくない」という理由で、吹付け断熱材も嫌がっていました。いちど、実際に建った家をオープンハウスで見に行ったのですが、日陰は寒く日の当たっている部屋は暑いという、断熱性能的には典型的な「建売クオリティの家」でした。
また、外壁も最低グレードのサイディングの釘打ち施工、柱はかなり細い杉材で、強度的にもかなり不安がありました。土台も檜でなく、檜にするとかなりの追加コストが発生するという、あらゆる面でスペックダウンがはっきり伺える仕様です。
今回、広いグルニエを作ることで、事実上3階建てに近い重量バランスの家になることを考えると、柱が華奢というのはかなりのマイナスポイントでした。
また、長期優良住宅+耐震性能3には微妙に届かないかもしれない、ということも言われていました。
一方、Aのスペックはこれとは一線を画した魅力的なものでした。
定評があり、厚みも十分にある部材を使った外断熱に、内側からも断熱材を吹き付けるダブル断熱に、熱交換方式の24時間換気まで導入され、高気密・高断熱となっているほか、外壁も量産クラス上位グレードのサイディングの金具止め施工、土台は当然に檜を使い、柱は(メリデメありますが)強度的には非常に強いと言われる4寸集成材、さらに面構造で耐震性も強化され、プランそのものが最初から「長期優良住宅+耐震性能3」を前提としていました。
そして、見た目の印象も明らかに違うんですね。
オープンハウスで見たIの家は、外観も内装も、やっぱりかなりコストダウンして建てたことを感じるチープさがありました。
そして、ちょっといいな、と思う部分はほとんどが「施主がこだわって標準仕様からグレードアップした部分」だったのです。
そしてそのグレードアップコストだけで、数百万以上かかっていることも教えてもらいました。
一方、Aのモデルハウスは、住宅展示場に並ぶ、値段が全然違う大手ハウスメーカーの家と比べるとやや単調で工業製品的には見えたものの、あくまで趣味的な違いで、品質的に劣る印象は受けない立派なものでした。そして営業マンに確認すると「あえて標準仕様で建てています。室内の装飾や一部設備にはオプションが使われていますが、外壁や基本設備はすべて標準仕様の範囲内です」とのこと。
これらを総合的に判断すると、結論は明らかでした。
「A社でいこう」