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自閉症-「からだ」と「せかい」をつなぐ新しい理解と療育
著:そらパパ・神谷 栄治
新曜社
2007年5月29日発行
第1章 自閉症はどう理解されてきたか
第2章 認知科学の新たな流れ-ギブソン理論とコネクショニズム
第3章 従来の自閉症モデルの問題点
第4章 新しい自閉症のモデル
第5章 具体的な療育の取り組みについて
ちょっと能書きっぽくなってしまうかもしれませんが、まずは本書のタイトルに込めた思いから書きたいと思います。
当初のたたき台となったタイトル案は「自閉症-新しい理解と療育」という素っ気ないものでしたが、これでは自閉症のお子さんを持つ親御さんに手にとってもらいにくい(笑)し、本書の内容についての訴求力も弱いということで、もう少しカジュアルなイメージで、かつ本書の内容を的確に反映したものに微調整したいと思いました。
そこでまず考えたのが、本書のキモになっている理論が、認知科学における、コネクショニズムとギブソンのアフォーダンス論である、という点です。
コネクショニズムは、ニューロンどうしの接続状態、すなわち「つながり」を研究する立場ですし、ギブソン理論はまさにヒトと環境との相互作用に着目する心理学なので、こちらも「つながり」に関係します。
ここで、「○○と××をつなぐ」というコピーのイメージが浮かびました。
ここまでくれば、ギブソン理論にしたがって、○○と××は「からだ」と「環境」とすれば本書の趣旨にも完全に合致するということで、「『からだ』と『せかい』をつなぐ新しい理解と療育」という、本書のサブタイトルが生まれました。
ここで、○○と××のいずれにも「こころ」を入れなかったところが、ささやかなこだわりです。
私は、この辺りの立場については実は結構「過激派」で、「心」というのが実在するかどうかについて、かなり懐疑的だという考え方です。
(ただしこれは、一般的にヒトが、「心」というものがあると考え、他人の「心」を推測して社会的に適応しているという事実を否定するということではなく、「心」という概念をおかなくても知性や自閉症の全体像を理解することはできる、という「心身一元論」の立場を指しています。)
自閉症を考えるときに「こころ」という概念を持ち出してしまうと、それは結局、目に見えないものに効果が分からない働きかけをするという療育法につながってしまう危険性が高いといえるでしょう。
このように、目に見えないもの、証明できないものを議論の中心に据えることは、突き詰めていくとオカルトの世界に入っていくということであり、科学としての心理学なり療育なりを考えるときには、厳に慎まなければならないことだと思います。
ところが残念ながら、「自閉症に働きかける心理学」の世界では、どちらかというと「こころ」という概念に強く依存した議論が今でも強い勢力を持っているように感じます。
これには、いろいろな理由があるとは思いますが、1つには、自閉症という障害を理解することがきわめて難解である(我々の常識が通じないうえに、本人が自らの状態を語ったり表現したりすることも難しい)ことから、その「分からないこと」を何とか説明・理解・対処するために、それらの「分からなさ」を丸ごと飲み込んでくれる「こころ」という概念に頼らざるを得なかったという側面があると思います。
本書で私が目指したのは、そのような自閉症の「分からなさ」をできる限り解消し、「自閉症の症状」という最上位の現象と、「脳の障害」という最下位の現象との間を、「こころ」のようなあいまいな概念を使わずに連続的に説明し、さらにそこから具体的な療育の方向性を示すことでした。
これは、「こころ」という概念ありきで始まる多くの臨床心理学的立場とも、行動よりも上位の部分だけを切り取って、厳密な科学を構築する行動主義的立場とも異なるものです。
第2章でいきなり認知科学の歴史の話になって、少々唐突な印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、第3章、第4章と続けて読んでいただくことで、自閉症という「分かりにくい」障害を、これまでになく見晴らしのいい場所から眺めることができるはずだと期待しています。
次回は、もう「発売後」になると思いますが、本書の内容についても少し書きたいと思います。
(次回に続きます。)
これまでに書いてきた、自閉症に関連するブックレビューはこちら。
まだ入手していませんがとても楽しみです。
図書館にもリクエストして療育ママ仲間にも広げますね^^
コメントありがとうございます。
Amazonは売り切れた上に、予約もできない「在庫切れ」の状態になってしまいましたね。
今のところ、楽天ブックスのほうが在庫状況はいいようですので、Amazonがだめならそちらも覗いてみてください。
今回、内容的には、しっかりした心理学の本を書こうということで書いたので、自閉症の本を全然読んだことがない人には多少難しいものになっているかもしれませんね。
当ブログでも紹介している「自閉症のすべてがわかる本」などの次に読んでいただけるといいかな、と思ったりもしています。
5歳の自閉症児のママです。
発達センターに通っていますが、今日照問題でもめていて大変です。
みんなに知ってもらいたくて来ました。
よかったらホームページを見てね。
明日、セブン・イレブンに本書が届きます。たのしみです。
楽天で31日に注文しましたが、まだ発送の連絡は届いていません。楽天ブックスは在庫管理がイマイチ。「在庫あり」の表示は信用できません><何度か裏切られた経験ありです。
そらパパさんのブログを拝見するようになってから「療育とは何か?」という疑問が自分なりに解決できた一人として、ブログの書籍化を熱望していました。パソコンを持っていない療育仲間に知らせたい内容が盛りだくさんなのですが、プリントアウトするにはボリュームありすぎで断念。ブログの書籍化も可能であれば是非お願いします!!
注文しましたが、2週間待ちのようです。手元に届くのが楽しみです。
楽しみは先送りされてしまいました。。。
私は31日に注文して3日の午前中にコンビニで受け取りましたから!
まだ読んでないで~す。
子供と遊んでたから…。家の子は多動+自閉+宇宙語+一人遊びは嫌いで元気100%なのでメチャクチャ疲れます。
出版、おめでとうございます。
コメントありがとうございます。
Amazonは注文を受け付けるようになりましたが、相変わらず納期はずっと先でご迷惑をおかけします。
セブンイレブンの本屋さんというのは、セブンアンドワイのことですね。
そちらのほうが納期が早いということでしたら、皆さん是非ご利用ください。
(私も、セブンアンドワイへもリンクが張れるように申請中です)
難しい本は何を読んでもほとんど理解出来ない私ですが
そらパパさんの本は読んでみたいと思いました。
すごーく楽しみです♪(すいません、入手困難で まだ手元にありませんが・・・)
何だか入手困難になっているようで、ご迷惑をおかけしています。
今週の2回目の紹介記事で書いたとおり、今回は療育の実践よりは自閉症に関する理論的な部分に焦点を当てて書いているため、もしかすると少し難しいと感じるかもしれません。
が、もし機会あって読んでいただければうれしく思います。
お忙しいとは存じておりますが、今後も記事を楽しみにしております。
私自身も、自分が書いた原稿が本になると、何か自分の書いたものではないような不思議な気持ちになりました。
うまく内容を絞り込んで、深く掘り下げた内容を書けたと思っています。最後まで読んでいただけると嬉しく思います。
ヤフーオークションに出品されている
http://page18.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w7894401
のを見て、久しぶりに寄ってみました。
確かに、ヤフオクに出ていますね・・・。
でも、「入手困難」というのは現在は正しくありませんね。現在は、Amazonでも普通に買えるようになりました。
村人さん、こんにちは。
ブログも拝見しました。ご紹介いただきありがとうございます。
療育について書いている記事は、いろいろなところから得た情報を私なりに再構成したものですが、「新しさ」という点では弱いかもしれませんね。(今回、本を出せたのは、「新しいこと」を書けたからだ、と私なりに理解しています。)
でも、機会があればこれからもいろいろなことにチャレンジしていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。