そして、学区で決められた高等部は同じ市区のほぼ反対側(かつ都心側)にあってスクールバスも出ていないため、通学が極めて困難だという問題がありました。
ただ、もちろんこの問題は我が家以外の「先輩家族」の方にもあったわけですが、そういった方たちはみな隣接する市区の学区にある特別支援学校に越境入学することで問題が解決できていました。
そのため、我が家も当然その選択をするつもりでいました。学校側もこの問題を認識しており、越境入学のための説明会や学校見学も校内で案内されていました。
ところが、この隣接市区の特別支援学校が再編され、それによって学区が変更されて規模に比較して非常に多くの生徒を受け入れなければならなくなったため、これまで比較的定常的に受け入れていた学区外からの越境入学を、突然認めなくなってしまったのです。
これが、長女が小学3年生くらいのころに起こった動きです。
それ以降は実際、中学部からの生徒の進学先の表を見ても、それまでずっと一定数存在していたその学校への進学者がある年を境にゼロになってしまっており、学校見学や越境入学の案内なども学校に届かなくなってしまったので、我が家も「これはこの学校への越境入学は無理になったようだ」と悟りました。
これによって、それまでは越境で解決できると思っていた長女の高校進学問題が解決できなくなり、突如として「無理ゲー」になってしまったというわけです。
それでも、似たような境遇の家族は他にもいるわけで、学校サイドからなにかしらの解決策が示されるのではないかと期待していたのですが、結局1年たっても2年たっても状況は変わりませんでした。
スクールバスについては、コストの問題、学校の駐車場の問題などがあり、嘆願は毎年出ているものの、いい答えはまったく得られていない、そういう状況のようでした。
そして、そういった境遇におかれてしまった「先輩家族」がどうしているかといえば、「往復何時間もかけてなんとか学区の高等部に通わせる(実際には学校を欠席する日がたくさん出てしまう)」か、「引っ越して学区を変えてしまう」か、あとはツテのある有力者を通じて越境入学を何とか押し込んでしまうとか、いずれにしても相当無理な解決法をとっていることも分かりました。
学区を変えるための引っ越しを選択した家族の中には、自宅が持ち家だということもあって、一時的な(子どもが高校にいある間だけの)引っ越しコストを抑えるために、妻と子どもだけが小さめのマンションなどに引っ越す「越境入学別居」を選択している家族もありました。
学校の案内にしたがって越境入学を申し込む、という形で、これまで「公」の側で解決できていたはずの問題が、いきなり、強引に「私」の側で解決しなければならない問題に移行してしまったわけです。
そしてそれは、我が家も同じことでした。
(ちなみにこのような動きは、子どもに希望の学区の学校に通わせたい普通校の生徒の家族や、より充実した公的療育サービスを受けさせたい未就学の障害児の家族でも現に起こっていることですが、この問題の場合「選り好みするつもりが全くないのに、与えられている選択肢を事実上選べない」という点が異なるのではないか、と考えます。)
そんなわけで、この問題を「私的に」解決するほかなくなった我が家にとって、どのような解決策が考えられるかを模索する日々が始まりました。
この問題を本格的に検討し始めたのが、次女が誕生することが判明し、かつ区切りのいい「小学校卒業」まで1年半ほどとなった、一昨年(2013年)の秋口でした。
越境通学などに制限がかかるようになった現状を残念に思います。「選り好みするつもりが全くないのに、与えられている選択肢を事実上選べない」が重いです。
いつもながら私の疑問点をおたずねする事になって申し訳ありません。
井出草平という人が光文社新書から「アスペルガー障害の難題」とかいう本を出しています。内容はこれまでアスペルガー障害とされた凶悪犯罪を並べてアスペルガー障害と犯罪傾向には関係があると主張するものだそうです。
ママ友(息子さんが軽い発達障害)がこの本を読んでパニック状態になってしまいました。
そらパパさんに書評で取り上げてこの本を批判していただけないでしょうか。書評に取り上げる価値もないというご判断でしたら、何かの記事のついでに書いていただくだけでも、このコメントに対するレスだけでも・・・。
家づくりの連載も興味深く読んでいますので、そちらが一段落してからで全然かまいません。
連載内容と関係のないお願いですみません。ママ友の電話を受けてちょっとあわてています。
パンがなければ菓子パンをお食べじゃあるまいに、バスがなければ家族が送迎、それも使えなきゃ近場におうちを買えばいいじゃないって現状…青くなりますよ、実際。隣の自治体でも往復5時間の通学か引っ越して高等部に通うか、選択を迫られたご家庭を見聞きしております。より良い条件求めて選択肢が狭くなる、なんてお貴族様は障害の軽重に関わらずほんのひとつまみですよ。引っ越すしかない、ここしかない、他に受け入れ先がないが障害児の学校の現実。
東京エリアも建前にはお菓子やお餅、おひねりを撒きますか?今でも引っ越し蕎麦の習慣は残っていますか?この度お側にまいりました、という江戸の洒落と粋がまだ残っていますか?
コメントありがとうございます。
「アスペルガー障害の難題」の件、コメントができなくてすみません。
実は、この本は立ち読みはしたんですがあまり得るところがなさそうだということでそのまま買わずに済ませているので、詳しいお話ができません。
ただ、内容をまとめたサイトはいくつかありましたのでそちらの内容をふまえるならば、私の考え方は例えばこちらのブログの方と近いです。
http://d.hatena.ne.jp/kaerudayo/touch/20141124
簡単にいうなら、「犯罪を犯した後で注目された群」からさまざまなバイアスを取り除くのは極めて困難だし、常に暴力を振るうような群があったとして、そういう子は予めそういう行動が予見できるわけだから「対策」できるわけだし、それをもって平穏に生きている・育っている発達障害の子が偏見にさらされることがあるなら、こういう本は啓発よりも偏見を生むよなあ、という感じでしょうか。
統計的にこういう結果が出ている、という「事実」があったとして、それが発達障害と犯罪をある方向で結びつける「評価」にはそのままつながらないわけで、この本はその「つなげかた」のスジが悪く、だからこそ注目もされずに消えつつあるんじゃないかな、と思っています。
さて、我が家のほうの「難題」ですが、このエントリで書いているような状況が起こってから1年半ほどたちましたが、ようやくひととおりの問題が解決し、この春からは子どもも新しい学区の学校に通うことになります。
指定された学校に通学するのに数時間かかる、というのは馬鹿げていますが、それがこんな東京の23区内で起こるとは思いませんでした。
引越しですが、あいさつとかんたんな粗品は配りますね。
今回の引越し先は分譲地なので、家族全員が移った時点で、分譲地内の家はひととおりまわる予定です。
例のママ友には紹介してもらったブログとこのページのアドレスを書いたメールを送っておきました。
ちょっと時間をおいてから様子見の電話を入れてみようと思います。
紹介のブログも見ました。そちらもわかりやすいと思いましたが、私にはそらパパさんの簡潔な指摘の方が鋭いと思いました。
ママ友の様子を確認したら報告します。
今回はありがとうございました。