2014年10月13日

障害者いじめの一つの「形」-「聲の形」から(21)

さて、前回までかけて、「段階的認定制度」の問題点を指摘してきました。

・マイナスのインセンティブ構造が生まれる。
・認定の枠組みがない弱者が支援されない。


言い換えると、これらの問題が発生しないためには、次のような支援の枠組みが必要だ、ということになります。

・プラスのインセンティブが発生する(弱者まで含めて、頑張ればより多くが得られる、という構造になっている)こと。

・認定の枠組みが必要ない(そもそも「認定」されなくても、すべての人が困っていれば支援を受けられるシステムになっている)こと。


そんな都合のいい仕組みがあるのか、と聞かれれば、理論モデルとしてはかなり有力なのが1つあります、とお答えすることができます。

それが、

ベーシックインカム制度

ということになります。

ベーシックインカム制度とは、自由主義経済と社会主義経済を折衷したような経済システムです。

1)まず、その「社会」に属するすべての人は、無条件に「生きていくために最低限必要な支援」を受けることができます。
この、必要最低限の支援(実際には経済的収入)のことを「ベーシックインカム」と呼びます。

2)さらにそのうえで、各個人は経済活動に参加してお金を稼ぎ、ベーシックインカム以上の収入を得て生活を豊かにすることができます。

3)ただし、2)で得られた収入に対しては、1)のベーシックインカム制度を維持するための高額な税率がかかります。


ちなみに、上記1)から3)だけを導入して、それ以外の社会保障制度をごっそり全部削ってしまう、というのが、もっとも急進的な新自由主義的ベーシックインカム制度のイメージです。

ただ、それだけだと、「ただ生きていくだけで余計にお金がかかる」タイプの弱者の困窮が救済されにくくなりますので、このシリーズ記事で考えている趣旨を盛り込んだベーシックインカム制度ということでいうと、以下の4)のシステムも同時に盛り込むのがいいと考えます。

4)医療や教育などを受けることについても、「必要最小限の生活」を保証するために必要なものであるため、難病治療や特別支援教育なども含めてすべて原則無償とします。

この条件を追加することで、ベーシックインカム制度は、弱者が支援されるための理論モデルとしてより強く安定したものになるのではないかと思います。

(次回に続きます。)

※既にまんがの内容とは別のポイントでの議論になっていますが、いちおうまんがのリンクも貼っておきます。今週末、10月17日金曜日に第6巻が発売予定ですので、次回のエントリはこちらの第6巻のブックレビューとなる予定です。


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻・第4巻・第5巻・第6巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC
posted by そらパパ at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする
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