2014年06月30日

障害者いじめの一つの「形」ー「聲の形」から(8)

さて、前回記事からかなり時間があきましたので、改めておさらいから始めます。
このシリーズ記事ですが、当初、まんが「聲の形」のいじめ描写の話題から入りましたが、そこで得られたヒントを出発点に、現在はグラフを使った「障害者いじめの構造」の考察という段階に入っています。

そして、いくつかグラフを提示しつつ、前回記事の最後で提示したグラフが、こちらでした。



横軸が、個人が社会に適応できる力の強弱。(右ほど社会的強者)
縦軸が、その個人が社会から得られる利得の大小。(上ほど社会から多くが得られる)

政府の介入のまったくない弱肉強食社会では、この横軸と縦軸は比例関係になるはずです。
それが緑の点線で、この線で表現される利得グラフを「ベース利得」と呼びます。

それに対して、政府の福祉的介入により、社会への適応の力の弱い層(グラフの左のほう)に対し、いくつかの段階(このグラフでは3段階)に分かれた「福祉支援」を提供することを考えます。
それが階段状になっている茶色の実線で、この利得グラフは「福祉利得」と呼びます。

そして、この福祉利得の提供は、税金徴収なしには実現しませんから、福祉の対象となる左端の弱者層以外から税金を徴収して、福祉利得とバランスさせます。
それが紫色の実線で、この利得グラフはプラスマイナス逆で「税金グラフ」ということになります。

これら3つを加算(税金については減算)したグラフが、水色の実線ということになります。
この水色の利得グラフが、近代的福祉社会における「最終利得グラフ」を表している、ということになります。

さて、この最終利得グラフをぱっと見ると、いくつかのことに気がつきます。

まず、グラフ左端の「社会的弱者」の方が受け取る社会からの利得は、福祉的支援によってかなり底上げされており、福祉がなければ実現しなかったであろう、文化的な生活の確保が(少なくともある程度は)実現していることが分かります。

一方で、税金がかかっていることから、グラフ右側の「社会的強者」の目線からみると、自分たちが徴収された税金が弱者救済のために使われている、ということが認識できる状態になっていることも分かります。

そしてもう1つ、これが結構重要なポイントになりますが、

・この最終利得グラフの左のほうは、スムーズな直線ではなくのこぎりのようなギザギザした形になっている。

という点も見逃せません。

ギザギザしている、とは、要はどういうことを意味しているでしょうか?

それはつまり、「社会への適応力と、社会から得られる利得が逆転するポイントが複数生まれている」ということになります。

このギザギザが生まれる源は、「福祉利得」が階段状になっていることにあります。
この例でいうと福祉利得の「階段」は3段ありますから、これを左からそれぞれ「重度むけ支援」「中度むけ支援」「軽度むけ支援」と呼ぶことにします。

そうすると、「重度むけ支援」を受けられるぎりぎりの弱者の人と、それよりわずかに「右」に位置するために、「中度むけ支援」しか受けられない人との間で、「利得の逆転」が起こっています。
同様に、「中度と軽度の境目」「軽度と支援なしの境目」にもそれぞれ、「利得の逆転ポイント」が生まれていることも分かります。

次回はこのあたりから考察を加えていきたいと思います。

(次回に続きます。)

※既にまんがの内容とは別のポイントでの議論になっていますが、いちおうまんがのリンクも貼っておきます。

聲の形 第1巻・第2巻・第3巻・第4巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC
posted by そらパパ at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする
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