子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

fortop.gif当ブログの全体像を知るには、こちらをご覧ください。
←時間の構造化に役立つ電子タイマー製作キットです。
PECS等に使える絵カード用テンプレートを公開しています。
自閉症関連のブックレビューも多数掲載しています。

花風社・浅見淳子社長との経緯についてはこちらでまとめています。

2007年04月16日 [ Mon ]

「環境への働きかけ」を再定義する(6)

療育の目的を「内的な能力の訓練」ではなく「アフォーダンス知覚の獲得」に設定することは、1つの大きなメリットを生み出します。
それは、あるアフォーダンス知覚を発達させるための働きかけは、1つではないという点にあります。
ポイントは、子どもと環境との「接点」に着目することです。その「接点」が真に有意味な「接点」になったとき、そこにアフォーダンス知覚が獲得されるのです。

例えば、子どもにレストランで自分で食事ができるというスキルを身に付けさせようと思ったときに取ることができる働きかけとして、まず思いつくのは

@子どもに対して、レストランで食事をするスキルを訓練する。

です。でも、もう1つのやり方もあります

A近所のレストランにお願いして、子どもがその店で(お金を払ったり注文できなくても)食事ができるようにとりはかってもらう。(お金は別途親が払うなどする)

@とAは、「子ども」と「レストラン」という社会的資源との「接点」に働きかける、対照的なやり方ですが、このAのやり方は、単に社会の「お情け」で子どもを甘やかしているだけでしかないのでしょうか?

必ずしもそうとはいえません。

このような取り計らいによって、それまでレストランという「社会的資源」を活用できなかった子どもがそれを利用できるようになったとすれば、それによって初めてその子どもは、レストランの「意味」あるいは「価値」を知る、つまりレストランという環境要素に対するアフォーダンス知覚を獲得することができる可能性があります。

だとすれば、実はこのAのやり方は、子どもにとってみるとレストランのアフォーダンスを学習し、実際にそれを活用できるようになるという観点からは@と等価であるといえます。もちろん、細かく考えればいろいろ違いはありますが、少なくともこの@とAは対立する働きかけではなく、同じ目的を実現するための異なった働きかけの「選択肢」なのだ、ということは理解いただけると思います。

ここで、Aよりも@のほうがすぐれている、と安易に判断しないでください。

仮に、@を実現するのに3年かかる(ちょっとオーバーかもしれませんが)とした場合、その子どもは、3年間の間、レストランのアフォーダンスを知覚することなく年をとっていくことになります。幼い子どもにとって、この「過ぎていく(戻らない)時間」というのは、無視できない損失です

それに対して、もしかするとAは10分で実現できるかもしれないのです。その場合、その子どもはお金を払ったり注文したりするスキルはその段階では身につかないかもしれませんが、その日からレストランを「利用する」ことを学習し、レストランとは出かけていけば食事ができる場所なんだ」というアフォーダンス知覚を発達させることができるのです。

その結果、「レストランに行って食事をしたい」という欲求が初めて生まれるでしょう。その動機づけを利用しながら、注文したりお金を払ったりといったスキルをゆっくりと訓練すれば、結果として@のやり方よりも効率的なトレーニングができる可能性も高いと思います。

これは、音声言語によるコミュニケーションと、PECSによる絵カードを使ったコミュニケーションとの関係でもいえることですね。まず絵カードで「コミュニケーション」できるようにしてから、音声言語はゆっくり教えるという考え方です。

(次回に続きます。)

posted by そらパパ at 22:50 はてなブックマーク | コメント(4) | トラックバック(0) | そらまめ式
この記事へのコメント
こんにちは。行動療法やTEACCHなどとっても参考にさせていただいています。早速ですが今年から特別支援級で指導しています。今とても子どもの指導で悩んでいます。自閉症の診断を受けた子がいます。その子の親は自閉症とは知りながらもどうしても普通級に入れたがり言葉による指示、叱る??ことによる指示「○○させないよ!!」により子どもを動かし、生まれてから一度も視覚指示をしたことがありません。ですので私がいざその子に絵カードや文字を提示しても動きません。(10歳ですが一度も学習してないのでできません)親にも何度も言ったのですが母親自身軽度発達障害の疑いがあり「公文に入れている。自分の子はもっと勉強ができる。だから普通級にいれたい。」とそればかりです。自閉症の当人は自分の気持ち(最近友だちにはイヤといえるようになりました)がほとんど言えずぼーっとしていったり自閉的空想の時間がとても長いです。「叱り方」のところがとっても参考になったのですが叱って動くことが定着してしまった子にはどのように指導していけばよいでしょうか・・。アドバイスお願いします
Posted by たっちい at 2007年04月19日 05:50
たっちいさん、こんにちは。

私は素人ですので、個別のケースに具体的にお答えするのは荷が重い感じもしますが、親御さんの協力がどうしても難しい場合は、教室でだけ起こること、教室だけの働きかけでちゃんとコントロールできる活動から働きかけを始めるしかないのではないかと察します。
(具体的には、高畑庄蔵先生の「やさしい応用行動分析」に出ている実践例のような活動でしょうか)
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/19851925.html

そして、教室での活動の改善で「実績」を作り、それを親御さんに見せていくことで親御さんの行動を変えていくという地味なアプローチしかないようにも思われます。
絵カードなどの指示も、教室でやっても家で消去されるのなら定着しないと思いますので、例えば時間割や特定の作業の手順のように、教室内だけで完結する要素から徐々に始めていくようなやり方はいかがでしょうか。

ABA的なやり方は、「刺激と結果の関係を強力にコントロールできること」が必須条件になりますので、自分がコントロールできる範囲で導入することが必要になると思われます。
Posted by そらパパ at 2007年04月21日 08:30
ありがとうございました。是非明日からやってみたいと思います。先日、交流級で目を離したときにパニックをおこしたらしいです。その旨を母親に言ったところその子を責め襟首をつかみ、押し倒し、怒鳴りつけていました。「パニックをおこし、課題をやらなかったことに対して」怒鳴ったようです。難しい母親ですので気をつけてみていきたいとおもいます。ありがとうございました。
Posted by たっちい at 2007年04月22日 06:20
たっちいさん、

なかなか難しい親御さんなのですね。
パニックに対してそのような対応が誤りであることは、理屈では簡単に説明ができるのですが、実際に理解してもらうのはとても難しいことだと思います。

教室が、逆にそのお子さんにとって安心して能力を伸ばせる場になるといいな、と思います。
Posted by そらパパ at 2007年04月24日 22:48


コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※コメントはブログオーナーの確認後に表示されます。中傷的内容は掲載しません。
※コメントされた内容の著作権はブログオーナーに帰属します。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/36969614
※トラックバックはブログオーナーの確認後に表示されます。

この記事へのトラックバック

書籍ベストセラー