”タイムタイマーに代わる療育用タイマーを自分で作りたい。”…
そう思い立って情報収集を続けるなかで、その思いを実現する具体的な方法として、PICマイコンとLEDを使って自分で(電子タイマーとして)作る、というアイデアが少しずつ形になってきました。
今回は、既存の工作キットを作るのではなく、回路もプログラムも一から作らなければならないので、とりあえずは「試作環境」が必要になります。
そのための具体的な環境として、ブレッドボードとPICマイコン書き込み機を用意しました。
ブレッドボードというのは、はんだづけをしなくても電子回路を作ることができる、試作・設計用の板です。
実はブレッドボードは電源を確保するのが面倒なのですが、これは私は別途5VのACアダプタと、そのACアダプタのコネクタにコードを継ぎ足したものを作り、それを使って確保しました。
サンハヤト ニューブレッドボード SAD-11 | サンハヤト ジャンプワイヤキット SKS-140 |
↑ブレッドボードです。
そして、PIC書き込み機は、何台か安物を買って失敗してしまったのですが、最終的に秋月電子のこちらの書き込み機が、高かったですが非常に安定していて、結局現在でもこれを使っています。
面倒な信号戦の引き出しも不要(基板上のソケットにPICマイコンを差し込むだけで書き込める)ですし、PICマイコンの製造元、マイクロチップ社の純正のライティングソフトが使えます。
これらの機材を用意したうえで、電源、PICマイコン、LEDといった必要最小限の部品で構成した回路をブレッドボード上に作成し(最初の回路の作成にあたっては、前回ご紹介した書籍などを参考にしました)、回路を修正したり、プログラムを少し書いて試してみたりして、少しずつ自分ができる範囲で、LEDによるタイマー回路とそのプログラムを作成していきました。
このタイミングで新たに出会った重要パーツが、「マトリックスLED」です。
当初のイメージでは、LEDについては、既存の(療育用)電子タイマーと同様、10個くらいのLEDを並べ、それで時間を表現しようと考えていました。
でも、それだとLEDの数が少ないため、量的な変化をあまり明確に表現できない恐れがありました。
また、PICマイコン自体の最大出力電流の制約により、あまり多くのLEDを同時点灯できないという技術的な問題もありました(たくさん同時点灯しようと思うと、アンプ的な回路が必要になって難易度が上がる)。
そんなとき、これまた秋月電子で偶然出会ったのが、特価100円で大量に売っていた、8×8のマトリックスLEDです。(マトリックスLEDとは、たくさんのLEDがまとまって並んでいるモジュールのことです)
↑マトリックスLEDです。
これなら、値段も抑えられるうえに、64個もの大量のLEDを制御して「量的な変化」をはっきり表示することができそうですし、さらに必要な電流も少なめなので、PICマイコンだけで64個全部のLEDを駆動できます。
その分、プログラミングのほうは面倒になるわけですが、こちらはそれなりに自信があったので、さっそくこのマトリックスLEDを表示デバイスにすることに決定しました。
↑技術面でのご参考までに、今回使ったマトリックスLEDのデータシートです。
あとは電源ですが、当初は入手性のよさと容量から、単3電池を使いたいと思っていました。
ところが、PICマイコンを安定駆動させるには5Vの電圧が必要です。
単3電池の場合、3本で4.5Vでは5Vに届かないので、4本を使うイメージになりますが、このとき、アルカリ電池だと6V近く出てPICマイコンを壊してしまう恐れがある一方で、エネループなどの充電池を使うと1.2V×4本=4.8Vで5Vに届かない、という非常に悩ましい状態になることが分かりました。
もっと少ない本数で電圧を上げる「昇圧」も考えましたが、昇圧回路は非常に高くつくうえ、回路作成に失敗すると感電や火災などのリスクもあり、これも採用できませんでした。
そんなわけで、電源は、9Vという十分な電圧のある「006P」電池を使い、降圧回路(降圧は昇圧と違って安全かつ安価に作ることができます)を入れて5Vを確保する、というスタイルに(多少不本意でしたが)決まりました。
これで、作る電子タイマーの概要がほぼほぼ固まりました。
・LED制御にはPICマイコンを使う。
・表示デバイスには8×8のマトリックスLEDを使う。
・電源は006P電池とし、降圧して5Vを確保する。
そして、この条件でブレッドボード上に回路を設計し、プログラムを書き換えたり配線を修正したりして、電子タイマーの製作を具体的に始めていったわけです。
(次回に続きます。)