そんな中で、↑のぬいぐるみは、以前ショッピングセンターのゲームコーナーのクレーンゲームで手に入れることができた、いちごケーキの上にどきんちゃんが乗っているという面白いぬいぐるみです。
娘も比較的このぬいぐるみは気に入っているようで、たまに指さしながら「けーき、けーき」と名前を読んだりしています。
で、先日、娘がこのぬいぐるみを持って何か言っているので、「ああ、またケーキと言ってるんだな」と思って「ケーキ」と答えてあげたのですが、どうやら違うようなのです。
よくよく観察してみると、娘はぬいぐるみをひっくり返して、ケーキのスポンジに相当する部分を指さしながら、「イイヨ、イイヨ」と言っているのです。
それを見て妻が、「ああ、きっと『黄色』って言ってるんだよ」と言いました。ちょっと信じられなかったのですが、「きいろ」と言ってあげると、満足してぬいぐるみを表に返しました。
そして、今度はケーキの部分を指差しているので、今度こそケーキだと思って「ケーキ」と言おうと思ったら、娘が小さな声でつぶやいている発音は、「シヨ、シヨ」でした。なので、「しろ」と言ってあげると、満足したのか別のところに行ってしまいました。
この一連のできごとには、ちょっとびっくりしました。
というのも、色については、確かに風船とかねんどのような色以外の要素がほとんどないようなおもちゃで遊ぶときに、意識してこちらから「あおい、ふうせん」とか「ぴんくの、ねんど」といったように、色の名前を言って聞かせるようにはしていたのですが、フォーマルトレーニングで色について教えたことはないですし、ましてや今回のぬいぐるみのように色が主要な要素ではないものについては、色について教えたり言わせたりしたことはまったくといっていいほどなかったからです。
しかも、このぬいぐるみについては、既に「ケーキ」とか、いちごの部分だけを指して「いちご」といった呼び名で呼ぶ習慣が定着していたので、その同じぬいぐるみを相手にして、別の「色」という概念的な要素に注目してその名前を自分から言うことができるなんて思ってもみなかったのです。
やっぱり、ことばや概念の発達って、そう簡単に理論の枠にはまるものではないし、私たちの予測を常に裏切っていくものなんだなあ、と改めて感じました。特に、今回のようにいい方向に裏切られるときは、本当に嬉しいものです。
そういえば、娘が通っているTEACCHの療育で以前もらったメモによると、娘は課題なんかをやる場合でも、色に対する関心が比較的高いそうです。残念ながら、そのわりには現時点では絵を描いたりといったスキルがほとんど伸びていませんが、将来は美術・工芸系の趣味を持たせることができるかもしれませんね。
また、娘が獲得しつつある「色の概念」をとっかかりにして、大きさや数といった他の概念語についてもうまく教えていくことができるといいなと思います。