今回で15回目の記事になります。
さて、前回は、タブレットの操作系の全体像を「ワークフロー」として見て、たとえばフローチャートなどを活用して、そのワークフローをできるだけシンプルにすることが、本質的に複雑なタブレットの操作を、障害のあるお子さんにマスターさせるために有効だ、という話をしました。
SMT-i9100
au(SAMSUNG)
↑我が家の療育で使っているAndroidタブレットはこちら。
前回もご紹介しましたが、現在、我が家で活用している動画再生アプリ「MX動画プレイヤーPro」のワークフローは、このようになっています。
↑MX動画プレイヤーProのワークフローです。
このワークフローのポイントの1つは、「ハブとなる状態があり、どんな操作をしても、最終的には常にそこに戻ってくる」ということです。
このワークフローで、もっとも重要な状態は、動画の再生ではなくて「動画リスト表示」の状態です。
動画を選択し、再生が最後まで終わると、この「動画リスト」に戻ってきます。
スリープ状態から電源を入れ直し、ロック解除して復帰しても、この「動画リスト」の画面に戻ってきます。
つまり、この「動画リスト画面」という状態が、このワークフローの「ハブ」になっているわけです。
言い換えると、このワークフローが何らかの理由によって撹乱されて、多少ややこしい状況に陥ったとしても、適当に操作すればとりあえずこの「動画リスト」に戻ってこられるようなら、そのワークフローは「頑強」で「わかりやすい」といえます。
そういう観点をもちながら、このワークフローが撹乱される要素と、それへの対処法について書いてみたいと思います。
まず、1つの撹乱要素は、「長押し」です。
AndroidアプリやiOSアプリでは、「長押し」に、単なるタップとは別の機能を持たせることが多くあります。
MX動画プレイヤーでも、曲リスト画面で曲を選ぶときに、「長押し」してしまうと、サブメニューが表示されてしまいます。
ただし、これについては、設定の「一覧」→「編集を許可」のチェックを外すことによって無害化できます(ファイル削除などの致命的な結果に至らずに、動画再生に移行または曲リストに戻ってくることができるように設定できます)。
また、動画再生中に画面をタッチした場合も、余計なメニューが表示されてしまうのですが、これも、設定の「タッチ操作」の設定で可能な限り機能をカットすることで、トラブルが発生しにくいように設定することができます。
アプリ自体における「撹乱要素」はだいたいこれくらいです。
これに加えて、タブレット療育における最大の撹乱要素があります。
それは、「ホームボタン」「戻るボタン」をはじめとする、各種ハードキーです。
この点についてももちろん対策していて、以前も書いた通り、SMT-i9100のタッチパネル式のハードキーが不用意に押されないよう、手製のケースに入れてハードキーの上部を覆っています。
このように、
・シンプルなワークフローを作る。
・そのワークフローのなかに、常にそこに戻ってくる、分かりやすい「ハブ的状態」を作る。
・ワークフローを撹乱する要素をできるだけ排除する。
といった配慮をすることによって、タブレットを操作するハードルをできるだけ下げていくことが、障害あるお子さんに向けてタブレット療育を実施していくにあたって、非常に重要になってくると思います。
そして、そういうワークフローが作れるアプリを意識して探し、採用することも、実はとても大切なことになるわけです。
(次回に続きます。)