2012年10月15日

娘がタブレットを使えるまで (9)

今回のシリーズ記事では、我が家の娘がAndroidのタブレットを使えるようになるまでの長い長い道のり(笑)を振り返りながら、これからお子さんの療育にタブレットを使ってみたい、と考えている親御さんへのガイドになるような話題を書いていこうと思っています。

娘にAndroidタブレット「SMT-i9100」を手渡すにあたって、何より最初に考えなければならなかったことは「不用意にハードキーに触れることを避けること」でした。


SMT-i9100
au(SAMSUNG)

規格が1種類しかないiPadとは異なり、Androidタブレットは、機種によってハードキー(本体についている操作系のボタン、スイッチ類)が異なります。

SMT-i9100の場合、横に持ったときに、本体のエッジ部分の上辺左側に電源スイッチ(ハードスイッチ)、左辺上側にボリュームスイッチ(シーソー型のハードスイッチ)、タブレット表面の額縁部分の右サイドに検索、戻る、ホーム、メニューの4つの機能ボタン(タッチボタン)があります。

SMT-i9100のボタンレイアウト
↑SMT-i9100のボタンレイアウトです。

このうち、電源スイッチとボリュームスイッチは、よほど意識的に操作しないと反応しないと思われますが、タブレットの額縁部分にあるタッチボタンについては、普通にタブレットを両脇からつかんだだけで触れてしまいますから、そのままだと意図せずにアプリを終了させてしまったりメニューが立ち上がったりしてしまいます。

幸いなことに、これらのボタンは(物理的に押し込む)ハードキーではなく、(触れることで反応する)タッチパネルのボタンになっていますので、簡単な対策があります。

それは、

タブレットを布製かなにかのソフトケースかジャケットのようなものに入れて、ボタンの上を覆ってしまえばいいのです。
こうすることで、不用意にボタンを押すことを回避することができます。

※実際、この「Androidの各種機能(ホーム、戻る等)のハードキーが、物理的なスイッチではなくタッチパネルになっていること(そのために、カバーで簡単覆い隠すことができること)」も、療育デバイスとしてSMT-i9100をみたときの強みになっています。
 ちなみに、最新のAndroid4.0以降では、これらの機能系のハードキーを省略して、画面内にこれらの機能ボタンを表示するインターフェイスに変わってきているので、そもそもこれらのハードキーはタブレット上からはなくなりつつあるようです。


というわけで、我が家のSMT-i9100も、ケースに入れました。



マイナーな機種で、専用のケースはありませんし、もしあったとしてもハードキーを隠すような仕様にはなっていないので、当然のように手作りです。(でも、いろいろな工夫があります!)



百円ショップの「キャンドゥ」で売られている、こちらのビニールの「ソフトメッシュクリアケース」の「便利サイズ」というサイズが、あつらえたようにぴったりなので、いつもこれを使っています。

ジッパーを閉じたときに、ジッパーのつまみが右にくるように(左側にある電源スイッチを押すのにつまみがじゃまにならない向き)タブレットをいれたときに、液晶画面が来る位置をくりぬいて、こんな風にケースを自作します。



実は、ここで、何もせずただくりぬいただけだと、ハードキーのあるタッチパネルの上の部分を強めに触ると、覆い隠しているはずのハードキーが反応してしまいます。
そこで、液晶部分を切り取ったビニールを再利用して、ハードキーの部分だけ、ビニールを二重にします。


↑メッシュケースを完全に裏返しにして、ハードキーを覆う位置のビニールを、くりぬいた部分のビニールを再利用して二重になるように加工します。

これで完成です。

※ちなみに、このケースの写真を見ると、ハードキーの位置に赤く塗った部分があったりするのに気づかれると思います。
 実は、しばらく娘にタブレットを使わせているうちに、娘がどんどんタブレットを使いこなせるようになってきて、機能系ハードキーのうち「戻る」ボタンについては、必要な場合は押せたほうが便利だ、という状況に変わってきています。
 そこで、写真に掲載している現バージョンのケースでは、「戻る」キーの位置だけあえてビニールを一重にして、さらにその部分に赤い色をマジックで塗り、その赤い部分を強く押せば「戻る」機能を使えるようにしてあります。


ともあれ、娘が「自分で」タブレットをうまく使えるようになるために、不用意なハードキーの操作を避けられるよう、こんな風に特性のタブレットケースを自作したわけです。

(次回に続きます。)
posted by そらパパ at 21:31| Comment(1) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
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1. 障害の構造
(1) 一次的障害=自閉症(脳の機能障害)

(2) 二次的障害
① コミュニケーションの障害
② 社会性の障害
③ こだわりと想像力の障害(同一性保持)
④ 常同行動
⑤ 感覚過敏・偏り
⑥ シングルフォーカス
⑦ セントラルコヒーレンス

(3) 三次的障害
自傷、他傷、パニック、かんしゃく、嘔吐、他害など

2. 対策
(1) 二次的障害対応の取組
① コミュニケーションの障害→PECS、絵カード、視覚支援
② 社会性→一番難しく、課題として残っているが、個別の指導計画の目標項目に上げ、授業の中でも目標にして取組中である。
家庭や学校の中での社会性を身につけさせることで、社会に出たときにその力が発揮できるようにする。家庭や学校を小さな社会として位置付け、その中でしっかりと社会性を身に付けさせていくようにすれば、社会に出た時もしっかりできる。
③ こだわり(同一性保持)→変更の受け入れ、時間の制限、スモールステップ→我慢する力、頑張る力、耐性を付けていく。
④ 常同行動→やることがなくて困っているので、何か課題を与える。掃除、お手伝い、調理、ストレッチ、散歩、余暇、課題学習など
⑤ 感覚過敏→無理をせず少しずつ慣れさせていく。味覚過敏や触覚過敏からくる偏食など。
感覚欲求を子どものニーズと位置付けることで、学習後のご褒美にする。
⑥ シングルフォーカス→集中して一つのことに取り組める力として利用し発揮させる。
⑦ セントラルコヒーレンス→サバンの力として、その特異な能力を引き出す指導をする。
(2) 三次的障害をすぐなくすのは大変である。三次的障害の対応ばかりしていても二次的障害は変わらない。そこで、大変でない小さいところから取り組んでいくことで、三次的障害の全体量を減らしていこうという考えである。小さなこだわりから変更を受け入れる力を付けていく。数を少し減らしたり、時間を制限したり、スモールステップで取り組んでいく。
Posted by marc at 2013年01月15日 20:01
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