Slide 23 : 「行動レベル」と「知覚・認知レベル」(続き)(再掲)
くり返しますが、行動レベルと知覚・認知レベル、いつも両方を考えて、子どもの行動を理解する、働きかけを考えることが大切です。
たとえば私たちは、子どもが問題行動を起こしているときは、つい、その行動にばかり目がいってしまって、その背後に子どもがどんな困難をかかえているかを見失いがちになります。
また一方で、そういった行動の背後にある自閉症児の困難について深く考えようとすると、私たちはついつい想像の世界に足を踏み入れすぎてしまって、自閉症児の世界を勝手に想像のなかに作りあげてしまったりもします。
でも、確実なのは目にみえる行動だけなんです。
これはとても大切なポイントです。
ですから、自閉症児がどんな行動を実際にしているかということから目を離してはいけません。
知覚・認知レベルで、自閉症児がどんなことに苦しんでいるのかを考えることはとても大切なのですが、それはやっぱり目に見えない想像の世界、言い換えると「仮説」にすぎませんから、それが正しいかどうかを、行動レベルで常に検証して確認していかなければならないわけです。
先ほどから繰り返しお話ししているとおり、「心の療育」みたいな目に見えない世界にどんどん入っていくんじゃなくて、具体的で目に見える、自閉症の人と環境との接点をしっかり見つめてください。
そして、そこに働きかけてください。
具体的に何をどうすればどうなるということが分からないアドバイスや考えかたというのは、実際に療育をする当事者にとって、ぜんぜん意味がないんです。
認知・知覚レベルの困難を常に意識しつつ、目に見える行動からも絶対に目を離さない。
これを実践するのは実はかなり大変なことなんですが、でもこれが実践できないと、療育の長期戦をちゃんと戦っていくことはできません。
さて、いま、仮説を検証する、という話が出てきました。
実は、仮説を立ててそれを検証していく、というのは、自閉症の療育ではものすごく重要なことなんですが、このことは療育の本とかにもほとんど出てこないので、最後にしっかりお話ししたいと思います。
(次回に続きます。)