今回は、前回に引き続き、お父さんが、「プレイング・マネージャー」として、家庭の中でどういう仕事を受け持つことが考えられるか、というお話の続きです。

Slide 18 : プレイングマネージャーの役割とは?(再掲)
ここまでいくつか「お父さんが受け持てるような役割」についてお話ししてきましたが、プレイング・マネージャーの役割は、単に特定の役割を分担する、ということだけではありません。
現場のメンバーの仕事として、もう一つとても大事なことは、「チームに欠員ができたとき、その穴をきっちりと埋めること」です。
これは平たくいえば、「奥さんが家事をできないときは、自分がやる」ということです。
この場合は、その間の家事全般をぜんぶ自分でやらなきゃいけません。家事全般ができないと代わってあげられないことになってしまいますから、お父さんは、いざというときに、ひと通り、最低限の家事ができるように、普段から慣れておく必要があるわけですね。
ここで大切なことですが、この「家事をできない」というのには、病気とか法事とかそういうことだけじゃなくて、「ちょっと息抜きで外出」とかも当然に含まれます。
仕事におきかえて考えてみてください。
仕事でも、プロジェクトのメンバーは、息抜きしたいという理由で有給休暇をとれますよね。
休んでリフレッシュすることは、モチベーションの維持のためにもとても大切なことです。
だとすれば、それは家族のプロジェクトにとってもまったく同じことなわけです。
今日この会場にいらしているお父さん、毎日療育に励んでいる奥さんから、「こんどの週末、ちょっと友達に会いに行ってもいいかな?」と相談されたら、ぜひ二つ返事で「いいよ」と笑顔で送り出してあげてください。
そうやって「希望すればいつでも休みをとれるんだよ」というメッセージを発信すること、実はそれ自体に、とても大きな付加価値が生まれてくるんです。
これがとても重要です。
つまり、実際に休みをとっていないときでも、「必要なときはいつでも休めるんだ」と思えるようになる、それが付加価値です。実際に休んでいないときの精神的負担まで軽くしてくれる、魔法の付加価値です。
そういう風に考えることができる、そのこと自体が、家族の精神的負担を軽くすることができるわけです。
ただし、そういう大きな付加価値を生み出すためには、奥さんが実際に「休んでいいかな」と相談してきたときに、イヤミをいったり交換条件を出したりせずに、素直に「もちろんいいよ」といつも言ってあげることがとても大切です。
有休をとろうとするたびにイヤミを言う上司の下で、「いつでも有休がとれて安心」と思えるかどうかを考えれば、その意味は明らかですね。
(次回に続きます。)