リーダーは療育のプロジェクトを任されるわけですから、当然、自閉症について学んでいく必要があります。
自閉症という障害そのものについての知識、さらには基本的なかかわり方、TEACCHやABA、絵カードなどの定評のある療育法の基本的な知識、そして逆に、「いかがわしい」療育法にだまされないような考えかたをマスターすることは、とても大切ですね。
ちなみに、最後の「だまされない考えかた」については、あとで「科学の目」という話題のところで改めてお話しします。
さて、先ほどお話しした「ビジョン」が決まったら、次に、自分たちがいまどういう状況におかれているのかを把握することが大切になってきます。
療育というのは、家庭のなかだけでは完結しません。社会とつながっています。
それは、支援をしてくれる人や組織が外部にも存在する、ということでもありますし、療育そのものの目的が、最終的に、社会に出ていって自立したり、外部のいろいろなサービスを自分で利用したりできるようになるというところにある、ということともつながっています。
残念なことですが、敵対的な外部の一部の人たちや勢力とは、戦わなければいけないことだってあるかもしれません。
では、一般的に療育プロジェクトというのはどんな状況、環境におかれているのか?
次のスライドでその辺りについて少し詳しく見ていきましょう。
Slide 20 : プロジェクトをとりまく環境(図)
こちらの図をみてください。
療育という家族のプロジェクトは、だいたいこんな環境のもとにあります。
左側の濃い○が家族です。
家族のなかには「ビジョン」があり、そのビジョンに基づいてメンバーが活動し、そのメンバーの一員としてリーダーがいます。
さらに家族に協力してくれる専門の療育施設など、ここでは「サポートリソース」と呼んでいますけれども、それから、支援してくれる実家の親などの「サポートメンバー」を加えて、ここまでを広い意味での「チーム」ととらえます。
そしてさらに外側に、行政機関や学校、レストランや公共交通機関といった一般的な社会的リソースがあり、さらには自閉症という障害に対する世間一般の価値観などの「外部環境」も、療育に影響を与えます。
これが、療育というプロジェクトをとりまく環境のイメージになります。
(次回に続きます。)