7.セカンドハウスを活用する(続き)
セカンドハウスを活用した生活に慣れてきたら、ぜひ検討していただきたいのが、自転車を持ち込んでみるというアイデアです。
現地で買ってもいいですし、折りたたみ自転車を車で運んでもいいと思います。
マンションの自転車置き場を契約するか、規約上問題がなければ部屋まで持ち込んで玄関などで保管しておきます。(雨ざらしで保管するとあっという間に使えなくなるので、できるだけ屋根などのある室内に近い環境で保管する必要があります。)
自転車が一台あると、ちょっとした買い物や、近所の観光地にぶらっと出かけて気ままに写真撮影を楽しむなど、便利に使え、活動の幅が広がるでしょう。
特に、コンビニなどのお店が少し遠くにあって、でも車を出すほどでもない、というときには、自転車はとても役に立つと思います。
もうひとつの「活用アイデア」は、ご両親や親しくしている親類、知人、友人などにも使ってもらうことです。
安価な宿泊を楽しんでもらえれば、普段サポートをもらっていることへの恩返しにもなりますし、使ってもらうことで空気の入れ替えもでき、物件の状態を保全するのにもいい効果もあります。
寝具の数とスペースさえ確保できれば、友人や親類と一緒に泊まって観光を楽しむ、なんてことも可能ですね。
観光地なら周辺にも宿泊施設はたくさんありますから、友人を呼んで、宿泊は別のところに取ってもらいつつも、マンションを「拠点」「休憩ポイント」にして観光を楽しむこともできるでしょう。(これは我が家でも実際にやってみたんですが、結構うまくいきました。)
そして・・・
購入した物件を遊びつくして、お子さんの外泊トレーニング場所、家族の観光拠点としての役目を十分に果たし終わったと判断したら、もしかするとそれは「売却」のタイミングなのかもしれません。
購入するときに流動性を最大限考慮して選んでいるはずですから、売るときも比較的売りやすい物件になっているはずだ、と思います。
物件を購入した不動産業者に相談して、売り出してもらうのがいいでしょう。(もちろん一般的なマンションの売買同様に、複数の業者に取り扱ってもらってもいいと思います。)
なお、「売りやすい物件」を選んでいても、セカンドハウスの市場は小さく、実際に売却できるまでにはある程度の期間がかかることを覚悟しておいたほうがいいと思います。
売却を急ぎたい場合は、値段を破格に下げることで買い手は比較的早く見つかるでしょうし、ある程度大手の不動産業者であれば、市場の相場の7割とか8割くらいの値段で「買い取り」をしてくれるはずです。そういった「手離れのよさ」を確保するためにも、ぜひとも購入時には徹底して「売りやすい物件」を選ぶようにしたいものです。
8.最後に
長らくこの話題におつきあいくださって、ありがとうございました。
自閉症の子どものために、セカンドハウスを拠点にする、という我が家のアイデアが、どれほど一般的な意味で有効なのかはわかりません。
ただ、少なくとも我が家にとっては、いくつかのリスクをとって投資したことに見合ったリターンのあった、ユニークな選択だったと感じています。
今回のシリーズ記事が、もしもお読みいただいた方にとって何らかのヒントなどを提供することがあれば、うれしく思います。
ちなみに、我が家はまだマンションを売らずに維持していますが、いつか確信をもって売却できるときがくればいいな、と思っています。
そのためには、娘が、休日に楽しく過ごせる趣味を見つけ、週末ごとに親が遠くまで連れて行かなくても充実した週末を過ごせるようになることと、初めての外泊先でもパニックにならずに落ち着いてすごせるようになることが必要だと思っています。
幸い、後者(外泊先でパニックしない)はほぼ達成できたので、あとは前者(趣味を見つけること)が達成できればなあ、と考えています。
(終)
我が家にとって、娘に重い障害があっても、家族全員が「外の世界」とつながっていて、成長するきっかけが得られたり、また日々の療育のなかでの息抜きができること(=家族のQOLが維持されること)は、本当に切実な願いでした。
このシリーズ記事の最初のほうで書きましたが、そういう切実な思いを何とか実現したくて、私自身も周囲で聞いたことがなかったですが、「障害のある子どものためにセカンドハウスをもつ」という選択肢を見つけ、それを選んだ、という経緯があります。
幸い、その選択はまずまず成功し、娘にとっても、私たち家族にとっても、このセカンドハウスはとても大切な場所になりました。
井上先生のペンション、実現したら最高ですね。
きっと、困難をもつお子さんとそのご家族が大挙して訪れることと思います。
我が家もぜひとも一度はお邪魔してみたいです!実家が滋賀にあるので、西日本方面に遠征することもそれなりに現実的です(^^)。
実際、ある「閾値」を超えると、家族揃っての第三者的な場所(ホテルや観光施設など)への外出は本当に難しくなると実感しています。
そういった当事者・家族への支援の1つのあり方として、そういった困難があっても、宿泊・観光できる「場」の提供、というのはとても意義深いものなのではないだろうか、と、こころから思っています。
これからもよろしくお願いします!
当方、現在中3男子(中等度自閉症・ADHDあり)のことで絵カード作成を検討中です。来春から特別支援学校高等部にスクールバスを利用する予定でいましたが、最近になって徒歩+JRで通学できないかと考え始めました。
ヘルパーさん同行による通学の練習を考える中で、口頭やメモによる情報よりも「絵カード(写真)+説明」の方が実践に有効かと思った次第です。『小さめサイズでコミュニケーションブック形式』が良いのか、『大きめサイズで単語帳形式(穴を開けた後でリングで閉じる)が良いのか思案中です。
3月上旬の完成を目指して頑張りたいと思います。ブログの内容と直接関係ないコメントで失礼いたしました。
そらパパさん、今後ともよろしくお願いいたします。
はじめまして。
当ブログにお越しくださり、ありがとうございます。また、コメントありがとうございました。
絵カードがどういったものがいいのかを考えるには、いちど家庭内で活用して、サイズ感やどういった絵カードが理解しやすいかなどを試行錯誤するのがいちばん近道かもしれません。
(結局、絵カードというベースはありつつも、実際にどのようなものを作るのかは完全にカスタマイズの世界ですからね(^^))
これからもよろしくお願いします。