2006年09月20日

ちょっとした試練?

妻のブログでも書かれていますが、先日の連休から娘に大きな変化があり、事実上自由に外食ができなくなってしまいました。

思い起こしてみると、少し前から兆しはありました。

3週間前の山中湖旅行では、出発前の療育で病院の食堂を嫌がるという事件がありましたし、先々週はやはり病院の食堂を嫌がってマクドナルドを喜んで食べるという事件がありました。さらに、先々週の週末(私が韓国から帰ってきた翌日の日曜日)も、これまでだったら大喜びのはずの回転ずしで、席に座らせようとしたとたんパニックを起こしました。このパニックは1~2分で終わったのであまり気にも留めなかったのですが、結局、これがおとなしく外食できた最後になってしまったようです。

以前から書いていたように、私は「療育生活」の中で、親自身のQOL(生活の質)を維持することが、前向きな気持ちで長丁場の療育を乗り切っていくために絶対に必要だと考えています。
我が家の場合、そのQOLを維持する1つの象徴的なイベントが「外食」だったので、これを一旦大幅に制限せざるをえない状態になったのは、正直、ちょっとショックを感じたのは否定できませんね。
一方、ブログにも書いてありましたが、妻はかなり落ち込んでいました。

まあ、とは言ってもマックを食べるのは好きなので、ドライブスルーで注文して車の中で食べたりすれば、「外出」は続けていけそうではあります。(でも、最近自分の興味のない買い物をしているとすぐ大騒ぎしますが・・・笑)

こういう、子どもの社会適応性が下がるような「事件」があるとつい落ち込んでしまうのは人の(親の?)性ですが、冷静に考えてみれば、「普通の4歳児」は当たり前にレストランで「自分の食べたいもの」を選んで食べているわけですし、親が勝手に好みと違うものを注文したら怒るでしょう。
そういった意味ではどんなものが出てきても特段の主張をせず出てきたものを食べる、という状態と比べると、食べたくないものが出てきたり、居心地の悪い環境におかれたら怒って拒絶する、というのは、自発的なコミュニケーションの現われとポジティブに評価できる面もあります
少なくとも、こういった変化が、発達過程における「退行」である可能性はほとんどないと考えられます。

そういうポジティブな判断を支える傍証としては、ほんのわずかではありますが、娘にABAでいうタクト的な発語が出てきたということがあります。

昨日の夜、娘の寝る前のトイレタイムの手伝いをしていて、娘にパジャマのズボンをはかせるために下を向いているときに、娘が私のあごをつかまえて持ち上げるので、何だろうと思って顔を上げると、パジャマの胸の部分にデザインされているハートマークを自分でさわりながら「はあと」と言いました。
私はすかさず「うん、は・あ・と」と答えて頭をなでましたが、こんなに明快に「意味のある発語」、しかも、マンド(要求)というよりタクト(叙述)に近い発語をしたことに驚いてしまって、すぐに妻に今起こったことを話しました。すると妻からは「それ、私にもやったよ」との返事。バスマットのあひるの絵を指差して「あひる」と言う、ということもあったそうです。(こちらは独り言でしたが)

自閉症児の典型的な言語発達を考えると、叙述的な発語が出てくるのは、ごくまれに要求のための発語が出るだけ、という状況と比べると飛躍的な進歩が起こった可能性を感じさせますし、発語の定着という意味でもかなり期待させる出来事です。

恐らく、こういった「認知面での伸び」と、「外食時の反応の劇的な変化(一時的にであれ、悪い方向にですが)」とは無関係ではないと思います。

自閉症児に限らないかもしれませんが、発達障害を持つ子どもと関わるときの基本的なスタンスの1つは「問題をごまかして乗り切ろうとしないこと」だと考えています。
ごまかしていると、やがて子どもの認知面、体力面が発達して「ごまかし」が効かなくなったときに、手に負えなくなります。
例えば、パニックを力で抑えていた場合、子どもが大きくなって体力がついたときにどうしようもならなくなります。脱走癖も、適切な対処に失敗すると、やがて子どもの走りに親が追いつけなくなり、自転車や電車を駆使してどこまでも遠くへ行ってしまうようになってしまうかもしれません。
そのような状態になる前に「ごまかし」を捨て、コミュニケーションを教えたり、親と同じ生活圏で生活することで安心感と満足を感じるように導くという、「地道で努力が必要なやり方」をあえて選択しなければならないのだと思います。

今回の外食の件も同じでしょう。
もしかすると、私たちも外食のメニューを選ぶ、という点では、ある意味での「ごまかし」、安易な道を気づかないうちにとっていたのかもしれません。
そして今回の件は、子どもからの「そんなごまかしはもう効かないよ」という明確なメッセージだと考えられます。
そして、ここで対応を間違えると、社会適応性の悪化傾向が悪循環に入ってしまう(社会適応性の悪化→問題行動→ますます外に出せない→最初に戻る)リスクがあるだけに、慎重かつ迅速に必要な対応を取らなければなりません。

急ぎ、「絵カードで外食のメニューを選ばせる」というやり方を導入しようと考えています。
その結果が「毎回マクドナルド」でも当面はいいのです。それが出発点になって、うまく工夫していけばやがてもう一度外食ができるようになる、マクドナルドが食べられない店では他のメニューが選べる、といった状態に持っていけると確信しています。
そのときは、娘も自分の好きなものを選んで食べられるようになっているはずで、今よりも相当に「前に進んだ」状態になっているはずです。


↑とりあえずの「出発点」のために急きょ作った「どっちカード」。写真サイズです。


↑まずは木曜日の病院の療育でこんな風に使って、「マクドナルド」のカードを選ばせるところから始めようと思います。

その日を目指して療育に取り組みながら、目の前のちょっとしたこの「試練」を前向きに乗り越えていきたいですね。
posted by そらパパ at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
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