2006年09月02日

スケジュールを車に持っていった理由

先日の記事でご紹介したとおり、我が家では、これまでスケジュール表に単純に貼っていたスケジュール用の絵カードを、新たに導入した「スケジュールストリップ」に貼り付け、外出時にはそのまま車に持っていくやり方にチャレンジしています。



今回、スケジュールを「取り外し・携行」する試みを始めたのは、スケジュールに関する娘の現状と、以前、TEACCHの療育を見学させてもらってそこで見た光景からの連想、この2つが頭の中でふと組み合わさったのがきっかけです。

まず、娘の現状についてですが、「こちらの指示を絵カードで通す」というやり方が、こちらが期待していた以上に効果的なようです。

外出時のスケジュールだけでなく、普段の食事やトイレ、お風呂といったイベントについても、声かけだけで指示を通そうとするより、絵カードを見せて視覚支援を加えながら指示を出すことで、より確実にこちらのメッセージを伝えることができることが分かりました。
また、先日来ご紹介しているとおり、スケジュール表については、絵カードを掲示すると食い入るように1枚1枚のカードを見つめ、そして納得したかのように?玄関に向かうようになりました。



ただその一方で、外出先では自分が好きでない場所に車が停まると、とたんにパニックを起こして暴れ出すといったこともありました。少し我慢すれば、次は楽しい場所に行けるわけですが、まだまだそこまで見通しを持っているわけではないようです。

そんな風に、外出前にスケジュールを見せて、車に乗って外出して、どこかに停まって、娘が喜んだり怒ったりして、また車に戻ってきて、また別の場所に移動して、また車に戻ってきて・・・というパターンを繰り返しているうちに、ふと、妙な既視感(デジャヴ)にとらわれました。このパターンは、どこかで見たことがある・・・。

頭を巡らせているうちに、この既視感は、ちょっと前に見学したTEACCHの教室からきている、ということに気がつきました。

そこでは、子どもごとに個別の絵カードによるスケジュール表が廊下に掲示されていて、子どもはその絵カードを上から取り外しては、その絵カードに対応する活動(運動、課題、おやつなど)のための部屋に移動し、カードを部屋の入口のボックスに入れてから活動を始めます。そして、活動が終わるとまた廊下のスケジュール表に戻り、次の絵カードを外して新しい活動の部屋に移動します。

ここでは、部屋を分けることで空間の構造化が図られており、廊下がTEACCHでいう「トランジション・スペース」(活動を切り替えるという目的専用の場所、経由地点)になっているわけです。

我が家の外出も、最初にスケジュール表を見せるということと、「車の中」という共通の「経由地点」に毎回戻りながら、いろいろな活動を順番にこなしていく、という点において、意外と構造化ができているのかもしれない、と思いました。
そう考えたとき、外出の際、娘にとって「車の中」はトランジション・スペースとして機能していることは明らかです。実際、娘は、気に入らない場所に停まってパニックを起こしたとしても、再び車が動き出すとおとなしくなり、気持ちを切り替えて新しい場所に向かうことができます。

だとすると、私が見た「TEACCHの教室」と、現状の「車での外出」との間で違っていることは何だろう、と考えたとき、トランジション・スペースである車の中に、娘がスケジュールを確認するための絵カードがないことが最大の違いだ、と気づくのに時間はかかりませんでした。

よし、うちでも「トランジション・スペース」にスケジュール表を掲示して、そこ(つまり車の中)に戻ってくるたびに今後の予定が確認できるようにしよう。

・・・というわけで今週から、少なくとも週末はスケジュールストラップを使って車の中でもスケジュールを確認させながら移動してみることにしました。

これが期待どおりのプラスの結果を生んでくれるかどうかは、まだ分かりません。
今のところ、とりあえず興味は持ってくれているようですし、「好きでない場所」でパニックを起こしているときに、スケジュール表を見せたらパニックが収まったことが1回だけありました。
しばらく、これで様子を見てみようと思っています。
posted by そらパパ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
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