今回、スケジュールを「取り外し・携行」する試みを始めたのは、スケジュールに関する娘の現状と、以前、TEACCHの療育を見学させてもらってそこで見た光景からの連想、この2つが頭の中でふと組み合わさったのがきっかけです。
まず、娘の現状についてですが、「こちらの指示を絵カードで通す」というやり方が、こちらが期待していた以上に効果的なようです。
外出時のスケジュールだけでなく、普段の食事やトイレ、お風呂といったイベントについても、声かけだけで指示を通そうとするより、絵カードを見せて視覚支援を加えながら指示を出すことで、より確実にこちらのメッセージを伝えることができることが分かりました。
また、先日来ご紹介しているとおり、スケジュール表については、絵カードを掲示すると食い入るように1枚1枚のカードを見つめ、そして納得したかのように?玄関に向かうようになりました。
ただその一方で、外出先では自分が好きでない場所に車が停まると、とたんにパニックを起こして暴れ出すといったこともありました。少し我慢すれば、次は楽しい場所に行けるわけですが、まだまだそこまで見通しを持っているわけではないようです。
そんな風に、外出前にスケジュールを見せて、車に乗って外出して、どこかに停まって、娘が喜んだり怒ったりして、また車に戻ってきて、また別の場所に移動して、また車に戻ってきて・・・というパターンを繰り返しているうちに、ふと、妙な既視感(デジャヴ)にとらわれました。このパターンは、どこかで見たことがある・・・。
頭を巡らせているうちに、この既視感は、ちょっと前に見学したTEACCHの教室からきている、ということに気がつきました。
そこでは、子どもごとに個別の絵カードによるスケジュール表が廊下に掲示されていて、子どもはその絵カードを上から取り外しては、その絵カードに対応する活動(運動、課題、おやつなど)のための部屋に移動し、カードを部屋の入口のボックスに入れてから活動を始めます。そして、活動が終わるとまた廊下のスケジュール表に戻り、次の絵カードを外して新しい活動の部屋に移動します。
ここでは、部屋を分けることで空間の構造化が図られており、廊下がTEACCHでいう「トランジション・スペース」(活動を切り替えるという目的専用の場所、経由地点)になっているわけです。
我が家の外出も、最初にスケジュール表を見せるということと、「車の中」という共通の「経由地点」に毎回戻りながら、いろいろな活動を順番にこなしていく、という点において、意外と構造化ができているのかもしれない、と思いました。
そう考えたとき、外出の際、娘にとって「車の中」はトランジション・スペースとして機能していることは明らかです。実際、娘は、気に入らない場所に停まってパニックを起こしたとしても、再び車が動き出すとおとなしくなり、気持ちを切り替えて新しい場所に向かうことができます。
だとすると、私が見た「TEACCHの教室」と、現状の「車での外出」との間で違っていることは何だろう、と考えたとき、トランジション・スペースである車の中に、娘がスケジュールを確認するための絵カードがないことが最大の違いだ、と気づくのに時間はかかりませんでした。
よし、うちでも「トランジション・スペース」にスケジュール表を掲示して、そこ(つまり車の中)に戻ってくるたびに今後の予定が確認できるようにしよう。
・・・というわけで今週から、少なくとも週末はスケジュールストラップを使って車の中でもスケジュールを確認させながら移動してみることにしました。
これが期待どおりのプラスの結果を生んでくれるかどうかは、まだ分かりません。
今のところ、とりあえず興味は持ってくれているようですし、「好きでない場所」でパニックを起こしているときに、スケジュール表を見せたらパニックが収まったことが1回だけありました。
しばらく、これで様子を見てみようと思っています。