これまで、セカンドハウス、その中でも現実的な、「リゾートマンション」の「いい面」を中心に書いてきましたが、具体的な「物件の見方・選びかた」に入る前に、これまでも何度か警告している、「リゾートマンションのリスク」について、その最も危険なものを見ておきたいと思います。
それは、「手放したいのに手放せない、財産を吸い上げ続ける最悪の不良資産になること」です。
もっと普通の言い方をすると、リゾートマンションにはかなり高い流動性リスクがある、ということになります。
具体的にどういうことか説明しましょう。
マンションを購入すると、購入者はマンションの区分所有権を手に入れ、それは不動産登記されます。
それによって、購入者は2つの金銭的な義務を負います。
1つは、固定資産税・住民税等の税金を払い続けること。もう1つはマンションの管理費・修繕積立金を払い続けることです。
この2つの義務から解放されるためには「マンションを手放すこと」、より端的には「別の人にマンションの区分所有権を移転登記すること」が必要です。
問題は、リゾートマンションは一般的に管理費が高く(ぜいたくなエントランスや温泉・プールといった共用施設が多いのが主な原因です)、しかも定住している人が少ないために、管理がずさんになりがちである、というところにあります。
高い管理費が払えず、滞納者が大量にいるリゾートマンションも少なくありません。
それにより管理費が不足してくると、修繕積立金が管理費に転用されて大規模修繕が行なわれなかったり、物件の売りであるはずのプールや温泉施設等が使えなくなったりして、徐々に「スラム化」がすすみます(すでに進んでしまったあとの物件も多いでしょう)。
そんなマンションでは、泊まりにいっても快適に過ごせず、楽しくないですよね。
そこで、管理費も高く維持コストもかかるので、売りに出そうと決意したとします。
ところが、管理費が高く滞納者だらけ、スラム化して共用施設もろくに稼動していないような「リゾート」物件を欲しがる人は誰もいません。つまり売れません。
それでも固定資産税等は払わなければいけませんし、管理費の支払いからも逃げられません。それらを滞納すると絶対転売できないという悪循環もあります。
こうなると「売る」側は、タダでもいいから持ってってくれ、となりますが、不動産屋も商売なので、あまり物件価格が安いと手数料が出ないので仲介してくれません。タダでは売りに出せないのです。
それで仕方なく、100万円とか150万円という「格安(でもタダじゃない)」の値段が設定されます。でも、売れないわけです。
不動産は「捨てる」ことができません。特にマンションの場合、自分ひとりでは取り壊すこともできません。誰かに登記を移して「ババをつけ回す」ことしかできないわけです。
それができない限り、死ぬまで税金と管理費の支払い義務が続き、死んだ後も「負の遺産」が残って相続者にまで迷惑をかけてしまいます。
これは悲惨な状態ですね。
こういう状態で、破産することも売却することもできず、使ってもいないマンションに高額のお金を払い続けている人もいます。
リゾートマンションは、「お金を食い続けるだけのゴミ」になったとき、そのゴミを捨てるゴミ箱が存在しない(ゴミのままで誰かにつけ回すしかない)。
これが、「最大のリスク」です。
そして、このリスクを回避するための最大のポイントは、「とにかく徹底的に『売却しやすい物件』を選ぶこと」、これに尽きます。
次回以降、このリスクに対する具体的な回避方法もふくめ、「自閉症児と泊まるためのリゾートマンションの選びかた」について書いていきたいと思います。
(次回に続きます。)
熱海のリゾートマンション70万!なんてチラシをみて、何でこんなに安いんだろうって思っていましたが、なるほど理解できました。
コメントありがとうございます。
そういう激安物件を見かけたときは、まず管理費等の維持費の月額を見てみるのがいいと思います。
それが4万円を超えているようなら、大変危険な物件である可能性を考えたほうがいいと思います。
また、そういった物件は、現地に見に行ってみると、ロケーションが悪かったり風通しが悪くてかびだらけだったりと、建物や部屋としても劣悪なものが少なくないです。
このあたりについても、今後書いていきたいと考えています。