2011年08月22日

自閉症児をもつ家族のためのセカンドハウス(1)

このエントリは、もう何年も前からいつか書こうと温めていましたが、タイミング等を逸してずっとお蔵入りになっていたシリーズ記事です。
ただ、その後、子育て・療育を続けてきて、ここで取り上げようとしている「我が家の選択」が、我が家にとって間違いなく意義のあるものだったと確信するに至ったので、書いてみることにしました。

具体的に言ってしまうと、「通常の旅行が難しい、障害ある子どもと家族が安心して利用できる『旅の拠点』として、セカンドハウスを買いました」というお話です。

我が家では、2006年の年末、娘が4歳の頃に、富士五湖エリアに中古マンションを買いました。主としてセカンドハウスのニーズに応える、いわゆる「リゾートマンション」と呼ばれるものです。
バブルの頃に大量に建築されたリゾートマンションは、誰も住まなくなってスラム化しているものもありますが、いい状態で管理され、定住者がいるような良好な物件も、探せば見つかります。
そういった中古物件のなかから、交通の便がよく、娘がパニックを起こしても迷惑になりにくい部屋(要は階下に居室がない)で手ごろな値段のものを見つけて、ローン購入しました。
そして、いまでもそれを手放さずに持ち続けて、利用しています。



と、こんな風に書くと、「なんだかリッチな話だな」という印象をもたれるかもしれませんが、意外とそうでもありません
バブル期に建った築20年前後の中古リゾートマンションは、一般的なイメージ以上に値崩れしています(たとえばコチラ参照)。ローンを組むこともでき、その金利も住宅ローンと同程度~やや高いくらいで、自動車ローンよりはるかに低いです。そして、購入後の維持費は平均すると月数万円程度です。
ですから大雑把にいうと、中堅クラスの外車を買うくらいの購入費と維持費を用意できれば、リゾートマンションを買って維持できることになります。(別の言い方をすると、家族で年1~2回海外旅行に出かけるのと同等の維持費ですから、海外旅行に行く代わりの選択とも言えます。)

※後の記事でご紹介する予定ですが、リゾートマンションを「賃貸で借りる」という方法もあり、これだと負担はさらに軽くなります。

もちろん、だからと言って安い買い物ではないのは間違いありませんが、子どもと家族の「活動範囲を広げるための投資」として、悩みに悩んで、自宅の住宅ローンとの二重ローンを組んで買ったのが、私たちにとってのこの部屋でした。
そういう意味で、我が家の限りある経済力を、例えばABAのセラピストを雇うのに使うか、将来のために貯えるか、広くて環境のいい家に引っ越すか、海外旅行に挑戦するのに使うか、そういったさまざまな選択肢のなかから選択した、我が家の「療育リソースのポートフォリオ」の1つでもあります。言うまでもなく、とても大きな、勇気のいる買い物でした。
幸い、借り入れ金額もそれほど大きくなかったので、ローン自体は2年ほどで完済し、経済的な負担感はずいぶん軽くなっています。

そういえば、少し前にこんな記事も見かけました。(元記事は既に消えています)

http://blogs.yahoo.co.jp/hiyokoha_kiiro/676665.html
会員制別荘:障害持つ娘のため建設 会員1000人超す

障害を持ったお子さんとの「外泊・旅行・観光」については、当事者の皆さん、それぞれさまざまな苦労をもち、またいろいろ工夫をしていらっしゃると思いますが、そんな「取り組み」のひとつのちょっと違ったスタイルを、我が家の実例をベースに書いていければと思っています。

次回からは、我が家が、娘と家族のために「第二の拠点」を検討するきっかけになった、ある「事件」と、実際の購入までの経緯について書いてみたいと思います。



(次回に続きます。)

※ご注意です。
 リゾートマンションは難しい不動産で、買いかたを失敗すると大きな痛手を蒙ることもありますので、購入を検討される場合は焦らずじっくりいくことが重要かと思います。注意すべき点や失敗を避けるためのポイントなどはこのシリーズ記事でも書いていきたいと思います。

posted by そらパパ at 21:12| Comment(6) | TrackBack(0) | 療育一般 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日のワークショップで
1歳の息子のお話しを聞いて頂いた者です

名刺を頂き家に帰るまで気がつきませんでしたが
そらパパさんだったと自宅で気がつきました

以前からブログ閲覧させて頂いています

早速通っているデイと相談し
デイと平行してPECS を自宅でも療育を取りいれ行く話に進みました
そらパパさんのアドバイス
この場を借りてありがとうございました


自閉症の方達が安心して旅行てきるのはいいですね

私も(*^.^*)沢山の経験を子供にさせて行きたいと思っています
Posted by アニー at 2011年08月23日 03:32
子供にとって、最高の環境ですね。
Posted by 凸凹息子の父 at 2011年08月23日 17:07
皆さん、コメントありがとうございます。

アニーさん、

お話をさせていただいた、とのことですが、それはずっと以前ということでしょうか?
というのも、ここ最近は、ずっと講演やワークショップなどでお話をさせていただいたことがないからです。
(もし仮に最近のお話ということでしたら、それは私ではないと思います・・・)

ともあれ、PECSを家庭でも挑戦してみるというのはやってみる価値があると思いますし、本文でも書きましたが、子どもが安心して旅行できる環境づくりというのは私もとても大切だと思っています。



凸凹息子の父 さん、

ありがとうございます。

最高の環境、かどうかはわかりませんが、自分なりにできる最善のことをやって、子どもにとってさまざまな刺激、挑戦ができる環境を作ってあげたいな、といつも思っています。

これからもよろしくお願いします。
Posted by そらパパ at 2011年08月23日 23:18
そらぱぱさんこんにちは。

以下の人物はアスペルガー当事者として名乗り出る前は普通の喋り方でした。それが本の出版や講演会の講師をするようになってから急に喋り方がしろどもどろになりました。
アスペルガーを演じているのでしょうか?
洞察力の鋭いそらまめぱぱ、どう思いますか?

綾屋紗月(しどろもどろな喋り方のとき)
http://www.allneetnippon.jp/2011/03/8_33_1.html
綾屋紗月(普通な喋り方のとき)
http://www.youtube.com/watch?v=qbg17DWLSHA&feature=player_embedded
Posted by まき at 2011年08月27日 18:17
まきさん、

コメントありがとうございます。

いただいたご質問ですが、当エントリとは無関係なようですし、話題にされている方については著書があるということくらいしか存じ上げていないので、コメントは控えさせていただきたいと思います。
Posted by そらパパ at 2011年08月27日 22:26
そらパパさんへ

お返事ありがとうございます。
私は基本的に、彼女のように当事者を名乗ってそれ(障害)をネタに金を稼いでいる人を疑問に思います。
逆に、テンプルさんのように自分の障害と無関係な分野で名声を得て講演活動している人は信用できます。
今後、彼女みたいな人が増えてくるのでしょうね。(ため息)

Posted by まき at 2011年08月28日 12:05
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