先日、オークションで安く落札した「SIGMA 70-300mm F4-5.6 DG MACRO」というレンズを全域マクロに改造し、このレンズの性能が非常に高いため常用レンズとして愛用していたのですが、実家に帰省中に使っていてあえなく壊れました。
壊れた原因は改造ではなく、このレンズ特有の弱点である、AFを動かすギアが欠けるという経年劣化によるものです。(このタイプのレンズをたくさん分解して、どういう状況でどんな風に壊れるかをよく知っていたので、壊れた瞬間に「ああ、これは例のアレだ」とすぐ分かってしまいました(^^;))
さて、こうなると、あとは以前に改造した古いレンズ(やや性能が低い)を改めて使うか、あるいは以前に新品で買ってそのままにしてある同じシグマのDG MACROを改造してしまうか、どちらかなのですが、今回は思い切って新品レンズを改造してしまうことにしました。
前回改造したのは、「DG MACRO」の1つ前の型でした。今回は現行品ということでマイナーチェンジが予想されますが、結論から先に言うと、作業そのものはほとんど同じでした。
一応、今回の作業写真をアップしておきますが、やっている作業は前回とほぼ同じです。
※以下、改造方法についての記述が続きますが、レンズの改造はあくまで自己責任でお願いします。
新品で買ったレンズなので、当然箱に入ってます。「α55/33対応」のシールが現行品の証。
↑今回の改造の対象はこちら。ソニーα用レンズです。他のマウント用の場合レンズ内モーターやクリックボールの有無などで違いがあるはず。
↑現行品は、「SIGMA DG」というゴールドのエンブレムが入っています。
いよいよ分解です。いつものとおり、マウントの側から分解していきます。
○印がついているのが、取り外すべきネジです。
マウントを取り外すと、スペーサーとAF用のシャフトが出てきます。スペーサーは金属のみから金属&ゴムみたいものに替わっていました。これらを取り外します。
マウントをもう1段階取り外します。
これは4つのネジを外すだけなので簡単です。
このあたりでズームリングのゴムを外して接点を取り外しましょう。
ズームリングのゴムを外すと、いつものとおり金属板(←)が出てきます。
この金属板を外すと、ブラシ状の接点が出てきますから、これを慎重に取り外します。
うまく取り外せました。
続いて、マウントの側に戻ってもう1段階ネジを外します。
赤○の4つのネジ(うち2つは、基板の後ろにあるので少しドライバーに角度をつけて回す必要があります)とオレンジ○の1つのネジを取り外します。
そうすると、これまたいつものとおり、鏡筒がごっそりと抜けます(抜くときに、必ずかみ合わせの位置を覚えておいてください)。
鏡筒を抜き、さらにズームリングも少しひねって外すと、マクロスイッチの下部にアクセスできるようになります。
このスイッチ下部の金属のでっぱりを、ペンチなどで頑張って切り取り、やすりで削って整えます。
これで、あとは今までの手順を逆にさかのぼっていき、組み立てなおせば、全域マクロレンズの完成です。
この改造でメーカー保証は当然受けられなくなりますが、70mmから300mmまでズーム全域で最短撮影距離が95cmという、望遠レンズとしては驚異的な接写が可能になり、利便性が格段に向上します。
※おまけ:
今回壊れたレンズを分解して確認してみたところ、予想通りギア欠けを起こしていることが分かりました。
○のついた部分がギア欠け。ギア欠けの周囲の金色はこのギアと噛み合わされている歯車(金属)の塗装がはがれたもの。AF無限遠位置に相当するこの部分に、強い負担がかかって最後にはギアが欠ける、というのがこのレンズの故障の典型的パターンです。
マウント部分だけの違いであとは同じだべ、とか思ってたら結構違ってて楽しかったですw
コメントありがとうございます。
Kマウントは一度だけ分解したことがありますが、クリックボールが入っていたりしていて、他のマウントよりも難易度が高い気がします。
でも、成功されて何よりです。
シグマの70-300 MACROのシリーズは、分解して全域マクロにして初めて真価を発揮する気がしますね。
これからもよろしくお願いします。