前回まででようやく「ABA(応用行動分析)」に関連する殿堂入り本のご紹介が終わりました。今回はその続きとして、殿堂入り以外のABAおすすめ本をご紹介します。
2.ABA(応用行動分析)・行動療法についての本(続き)
<おすすめできるその他の本>
うまくやるための強化の原理―飼いネコから配偶者まで(レビュー記事)
自閉症支援-はじめて担任する先生と親のための特別支援教育(レビュー記事)
「うまくやるための-」は、これまでのシリーズ記事でご紹介したABA入門書の次に追加で読む「2冊目の入門書」といった位置づけです。
著者がABAによるイルカなどの動物のトレーナーだということもあって、類書とはちょっと異なる視点から、ABAについて語られています。
特に、問題行動をやめさせる方法について非常に詳しく(まあ、かなり極端な方法が多いので、実際に応用できるものはそのなかの一部になってしまいそうですが)、入門書といいながら、実際の療育への「応用」にもかなり役立つ情報が含まれています。ボリュームもそれほど大きくなく、気軽に読めるのもいいところです(ただし、内容は見た目よりはかなり硬派です)。
ただ、紹介した時期からはちょっと時間がたっていますし、最近は療育や特別支援教育に特化したABAの入門書もたくさん出てきていますから、そういう意味ではちょっと古くなってしまったかな?という印象も否めません。
ABAの読み物として読む、あるいは古本屋などで安く出ていたら読む、といったところかな、と思います。
「自閉症支援-」は、特別支援教育に携わる教職員の方を主な想定読者とした、「ABAの基本と、自閉症療育への応用法」について書かれた本です。
タイトルからも想像されるとおり、他の2冊に比べると、より療育のテクニックに寄った内容になっており、「基礎」だけでなく「応用」についても書かれた本になっています。
具体的には、「ストラテジーシート」と呼ばれる用紙を使った、ABC分析をベースにした、問題行動の代替行動への切り替え(代替行動分化強化)のテクニックや、お子さんの情報を支援者に伝える「サポートブック」の作り方などが取り上げられています。
1冊で、ABAの基本から応用まで、浅く広く学ぶことができる本です。
変革を定着させる行動原理のマネジメント(レビュー記事)
こちらは、少し前にご紹介した「行動分析学マネジメント」と似たアプローチの、ABAをビジネスに応用する実践例を紹介した本です。
本来のABAの概念から考えると、かなり大胆なアレンジが加わっていますので、この本でABAを学ぼうとするのはちょっと危険ですが、「ABAのビジネスへの応用例の1つ」として読むなら、とてもユニークで得るところのある本だと思います。
なお、ABAに関するその他の応用的な本としては、以下の記事が参考になると思います。少し古い記事ですが、まだご紹介している本はどれも現役と呼んで差し支えないと思います。
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/21537451.html
新版・ABAおすすめ本系統図
(次回に続きます。)
※ブックレビュー一覧をまとめた記事はこちら。