今回のPECSマニュアル日本語版を翻訳された、門 眞一郎先生のウェブページにおいて、本格的なABA入門書が自由にダウンロードできるようになっています。
http://www.eonet.ne.jp/~skado/book1/book1.htm
ページの下のほう、「第5章 他褌書」の、なぜか「子どもの虐待関連」のリンクのところにあります。
子どもと親-あなたならどうしますか?こんな行動 インターネット版
著:パーマン・パイン、ロイ・ハワース
訳:門 眞一郎、杉原 康子
1章 本書の内容について
2章 学習ということ
3章 いつどのように報酬を使うか
4章 子どもの行動をどう言い表すか
5章 観察したことを書きとめる
6章 罰は必要か
7章 新しい行動を学習する
8章 取り決めをする
9章 組み合わせてプログラムを作る
10章 家庭と学校の連携
付録1 プログラムの例
I.部屋のかたづけを教える
II.ぐずぐずすることを減らす
III.子どもに宿題をさせる
付録2 記録用紙
これ、無料で手に入るのが信じられない、充実した本ですね。
もともとは、1990年に出版されて定価約2,000円で販売されていた本のようです。(参考リンク)
内容は、一般的な家庭における「子どものしつけ」を、応用行動分析(ABA)の観点からやさしく解説したものです。
日本語版出版から15年以上、原著出版からは30年ほどたっている本ですが、内容的にはほとんど古さを感じることはなく、それどころか、親御さん向けのABA入門書としてはトップクラスの充実度を誇っていると言えるでしょう。
本書の構成は、それぞれの項目ごとに、次のようになっています。
①クイズ「あなたならどうしますか?」
さまざまな「しつけ」の問題がクイズ形式で出題され、解答も示されます。
②解説
なぜその解答が正しいのかや、関連するABAの知見についての解説です。
③「あなたならどうしますか?」についての検討
クイズについて、正解と違う対応をしたらどうなるのかなど、応用的に再検討されます。
④復習問題
今回のトピックについての小テストです。(解答つき)
取り上げられる内容も非常に多岐にわたります。
学習理論、強化と消去、観察記録法、罰の問題、シェイピング、トークン・エコノミー、介入プログラムの作成など、ABAの主要な話題がほぼ網羅されているだけでなく、これらを「ABAのプロ」ではなく、家庭の親御さんが勉強し、実際に取り組んでいくというスタンスで書かれていることが素晴らしいと思います。(まあ、「家庭のしつけ」の本ということになっているので、当然といえば当然なのですが・・・)
もともとは本書は「しつけの本」であって、自閉症児療育の本ではないのですが、門先生が翻訳していることからも分かるとおり、実際には自閉症児の問題行動への対応や発達課題の遂行といった、自閉症児の行動に関する療育にとても役立つ内容となっています。
本書の内容に、PECSによる「ことば」や「コミュニケーション」に関する療育プログラムを組み合わせることで、自閉症児に対する家庭での行動療法のための情報はほぼ入手できるといえそうです。(その両方を、門先生が翻訳されているというのは偶然ではないでしょう。)
「行動療法で子どもを育てる」とはどういうことなのかを、誰にも分かるように、でも決してレベルを落とさずに教えてくれます。おすすめです。
無料で公開してくださっている門先生に感謝。
自閉っ子(5歳・男の子)を含む3児のママです。
先日所属しているTEACCH研究会主催の門先生のセミナーに参加してきました。大変素晴らしい講演で、希望に満ちた気分で帰り道は足取りも軽く感じられました。
こちらに門先生のネット版の本の紹介がありましたので、DLして早速読みたいと思います。
ABAは青い表紙のABA入門を読んだことと、CASの土屋立先生のセミナーで何度かABC分析を知り興味が出て、兵庫教育大の井上先生のweb版ペアトレに参加したりもしました。これまでのモヤッと感が、そらパパさんの記事を読んでるうちに晴れた感があります。
記録も、こちらで紹介してあるような日記のような形式やなど用いて早速やってみようと思います。
ちょこちょこお邪魔して、日々の対応のヒントにさせて頂きますね。これから宜しくお願いします
私は門先生にお会いしたことはありませんが、訳書「虹の架け橋」は大好きですし、このエントリで紹介させていただいている先生のHPからもいろいろなことを学ばせていただきました。
もしよろしければ、今後も気が向いたときにお越しください。ありがとうございました。